この経費は固定資産?消耗品費?減価償却資産の判定基準を解説
監修者: 高崎文秀(税理士)
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購入したものを固定資産に分類するか、消耗品費として処理するか判断に迷うケースは少なくありません。本記事では、固定資産の取得価額を減価償却により経費計上する際の考え方や、減価償却のメリット・デメリットを解説します。併せて、減価償却の基本的な仕組みや取得価額を判定する基準を詳しく紹介します。日々の経理処理や確定申告で押さえておきたいポイントを整理しました。
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固定資産として計上するもの
「固定資産」とは、企業が継続的な使用を目的として長期間保有する資産のことです。具体的には土地、建物、機械設備、車両、美術品などを指します。
取得価額や使用期間によって、即時に費用処理できるものと、減価償却が必要なものに分かれます。この記事では、まず資産の金額による区分を整理し、減価償却の具体的な方法や判断基準を解説します。
固定資産については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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取得価額による処理方法
資産を取得した際の会計処理は、取得価額によって以下のように分類されます。
| 取得価額 | 処理方法 |
|---|---|
| 10万円未満 (または使用可能期間1年未満) |
全額を取得年度に費用計上(消耗品費など) |
| 10万円以上20万円未満 | 3年均等償却(一括償却資産)、通常の減価償却、全額費用計上(※特例)から選択 |
| 20万円以上30万円未満 | 通常の減価償却もしくは全額費用計上(※特例)から選択 |
| 30万円以上 | 通常の減価償却 |
- ※全額を取得年度に費用計上することは、中小企業者等(資本金1億円以下の青色申告の法人、青色申告の個人事業主など)のみ適用可能な特例です。年間300万円までが上限、2026年(令和8年)3月31日までに取得した資産に適用。
-
参照:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
」
減価償却資産とは
固定資産のうち、時間の経過によって価値が減少し、使用可能期間が1年以上で、取得価額が10万円以上の資産が「減価償却資産」に分類されます。業務に用いられる建物、機械装置、器具備品などが減価償却資産に該当します。土地や骨とう品などの時間の経過によって価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。
資産の取得に要した支出を、取得した年度に一括で経費計上せずに減価償却するのは、費用と収益を正しく対応させるためです。建物や機械装置などは取得年度だけでなく長期間にわたり収益に影響を与えるため、経営状況を適切に把握するには、複数年にわたって計上しなければなりません。
資産ごとに法定耐用年数(税法上の使用可能期間)が定められており、それに基づいて減価償却します。
主な減価償却資産の耐用年数は、下記の国税庁のサイトで確認できます。
-
参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表
」
減価償却の計算方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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減価償却の例
ここからは具体的な事例を用いて、減価償却の計算方法を紹介します。例えば、7月に法人が20万円のソフトウェアを現金で購入した場合、7月の帳簿では、ソフトウェアとして固定資産に計上します。
| ソフトウェア 200,000 | 現金 200,000 |
この時点では、ソフトウェアという無形固定資産を取得しただけで経費にはなっていません。
次に減価償却による経費化の手順を説明します。ここでは毎年一定額を減価償却する「定額法」で期間配分します。自社利用目的のソフトウェアの耐用年数は5年なので、20万円を5年間で経費化します。当年度分は以下の計算式で算出できます。
200,000円×0.2(耐用年数5年に基づく定額法の償却率)×6/12(月割計算)=20,000円
- ※月割計算では、1か月未満の端数を切り上げて1か月とします。
翌年度以降は、各年40,000円ずつ減価償却します。実際の帳簿づけでは、「減価償却費」として経費計上し、ソフトウェア(無形固定資産)の帳簿価額を減らします。
| 減価償却費 40,000 | ソフトウェア 40,000 |
-
参照:国税庁「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数
」
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法人と個人事業主の違い
減価償却費の計上方法は、法人と個人事業主で取り扱いが異なります。以下では、それぞれに適用される任意償却と強制償却について解説します。
任意償却とは
税法上の「任意償却」とは、法人に認められている償却方法です。償却限度額の範囲内で、費用として計上する金額を任意に調整できます。償却限度額とは、耐用年数や償却方法(定額法・定率法など)に基づいて計算される、その年度に経費計上できる上限額のことです。
任意償却の対象は、「繰延資産」と「減価償却資産」です。繰延資産とは、企業の開業費や開発費などで、支出した費用の効果が1年以上に及ぶものを指します。
繰延資産については、以下の記事で詳しく解説しています。
強制償却とは
強制償却とは、その年に計上すべき減価償却費を必ず経費として計上しなければならない仕組みのことで、個人事業主に適用されます。
法人は前述のとおり任意償却が認められており、計上額を調整したり、計上しない年度を選んだりできます。
一方、個人事業主には任意償却が認められていません。法定耐用年数に基づき、事前に選択した償却方法に従って計算した金額を、必ず経費として計上しなければなりません。
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固定資産を減価償却するメリットとデメリット
減価償却の計算方法と法人・個人事業主の違いを理解したところで、次に減価償却のメリットとデメリットを解説します。
固定資産を減価償却するメリット
減価償却には以下のメリットがあります。
損益を正確に把握できる
減価償却では一括で経費を計上しないため、取得した時期以降の損益も正確に把握できます。
例えば、耐用年数5年の設備を100万円で購入したとします。仮に全額を初年度に経費計上すると、その年だけ利益が大きく減少します。しかし、設備は2年目以降も継続的に事業に貢献するため、初年度だけに費用を集中させると事業の実態にあわない決算内容になってしまいます。定額法で減価償却すれば、毎年20万円ずつ5年間にわたって経費計上できます。この方法により費用と収益が適切に対応し、年度ごとの経営状況を正確に比較できます。
法人は計上額を調整できる
法人では各事業年度において、償却限度額の範囲内で減価償却費の計上額を調整できます。ただし、償却限度額に満たない金額を計上しても、その不足分を翌期以降に繰り越すことはできません。
一括償却資産で早期に経費化できる
取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として3年間で均等に経費化できます。耐用年数が3年を超える資産であれば、通常の減価償却よりも早期に経費化できるため、短期的な税負担の軽減につながる場合があります。
固定資産を減価償却するデメリット
固定資産として計上すると、耐用年数にわたって減価償却の計算や資産の管理を継続しなければなりません。耐用年数や償却方法(定額法・定率法など)に応じて処理が異なるため、単年度で完結する経費処理と比べて、事務負担が増える点はデメリットです。
減価償却の計算や取得価額の判定には、一定の会計・税務の知識が求められます。処理を誤ると、その後の年度にも影響が及ぶため、正確に理解しておきましょう。税制改正により耐用年数や特例の取扱いが見直されることもあります。制度が変更された場合、既存の固定資産についても対応が求められるため、制度変更を継続的に確認しましょう。
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固定資産として計上するかの判断基準
ここからは、実務で迷いやすい固定資産か消耗品費かの判断基準を解説します。基本的には取得価額が10万円以上かどうかで決まりますが、付随費用の扱いや消費税の経理方法によって判定が変わるため注意しましょう。以下で、取得価額の判断基準を詳しく解説します。
取得価額には送料や工事費などを含む
取得価額に含まれるのは本体価格だけではありません。例えばエアコンを購入した場合、配送費や取り付け工事費がかかります。そうした付随費用も、個別の経費ではなく取得価額に含まれます。99,800円のエアコンを購入し、工賃が5,000円かかった場合、合計104,800円を取得価額として固定資産に計上します。
取得価額に含めなくてもよい費用もある
付随費用は原則として取得価額に含めますが、例外的に含めなくてよいものもあります。
-
- 不動産取得税、新増設に係る事業所税、登録免許税、登記費用などの租税公課
- ローンで購入した場合の利息や手数料など
- 減価償却資産取得のための借入金の利子(使用開始まで)
- 減価償却資産の契約を解除して、他の減価償却資産を取得した際の違約金
- 建設計画を変更したことで不要となった、調査、測量、設計などの費用
消費税の処理方法で判断が変わる
消費税の課税事業者の場合は、税込経理と税抜経理から選びますが、選んだ方法によって取得価額の判断が異なります。
-
- 税込経理の場合
消費税を含めた総額で判定します
- 税抜経理の場合
消費税を除いた本体価格のみで判定します
- 税込経理の場合
消費税の仕訳方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
個人事業主は家事按分前の金額で判定する
個人事業主の場合、事業と生活の両方で使うものについては、事業に使用する割合を算定し、部分的に経費にする家事按分をします。家事按分の対象となる固定資産は、家事按分前の金額で判定します。
例えば、120,000円で購入したパソコンを事業用に80%使用している場合、事業割合を掛けた金額は96,000円で10万円未満です。しかし、減価償却資産に該当するかどうかは取得価額全体を基準に判断するため、このケースでは減価償却資産として扱い、減価償却します。
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固定資産の一式の考え方
取得価額の判定では、付随費用や消費税の処理方法に加えて、何を1単位とみなすかも重要です。ひとかたまりで機能するものや、複数個をまとめて1単位として取引される固定資産は、個別ではなく取引単位ごとに取得価額を判断します。以下に具体例を挙げます。
応接セット
テーブルや椅子は単品でも購入できますが、応接室に置く場合などは、テーブルと人数分の椅子を一式でそろえることが一般的です。そのため、テーブルと椅子の一式を1単位として取得価額を判定します。
カーテン
カーテンは1枚単位で購入できますが、実際には複数枚を組み合わせて使用することが一般的です。例えば、カフェなどの店舗で、店内の雰囲気に合わせて同一デザインのカーテンを同時に購入し、同じ部屋の窓に設置する場合は、まとめて一式として使用します。このような場合、使用実態に基づき、複数枚を合算して取得価額を判定します。
簡易間仕切り
簡易間仕切りとは、事務所と商談スペースなどを仕切るための移動可能なパーティションのことです。パーティションは通常1枚単位で販売されていますが、間仕切りとして複数枚を組み合わせて設置することもあります。組み合わせて初めて機能する場合には、実際の設置状況を踏まえて、一式の取得価額を判定します。
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固定資産の減価償却について正しく把握しよう
固定資産とは、土地、建物、車両など長期にわたって保有する資産のことです。使用可能期間が1年以上で取得価額が10万円以上の資産は、原則として耐用年数に応じて減価償却します。ただし、土地のような時間の経過により価値が減少しない資産は減価償却の対象外です。
減価償却により各年度の損益を正確に把握できますが、耐用年数の管理や継続的な帳簿づけが求められます。
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この記事の監修者高崎文秀(税理士)
高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役
早稲田大学理工学部応用化学科卒
都内税理士事務所に税理士として勤務し、さまざまな規模の法人・個人のお客様を幅広く担当。2019年に独立開業し、現在は法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また通常の税理士業務の他、一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行っている。