合同会社の決算のやり方とは?決算から確定申告までの流れを解説
監修者: 税理士法人 MIRAI合同会計事務所
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合同会社とは、2006年の新会社法の施行によって誕生した企業の形態の1つです。合同会社は出資者と経営者が同じであるため、意思決定のスピードが早く、かつ少ない資金で設立することができます。
そのため近年は会社設立の際、株式会社ではなく合同会社の形を選ぶ方が増えてきていますが、合同会社でも決算を行う必要はあるのでしょうか。
本記事では、合同会社における決算の必要性や手続きの内容、決算のために必要な書類などについて解説します。
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合同会社にも決算や確定申告は必要?
合同会社も株式会社と同様、法人形態のひとつです。そのため合同会社も、事業活動における利益や損失を計上し、財務状況を把握しなければならず、決算と確定申告が必要です。
株式会社と合同会社の決算における違いとしては、手続きの有無が挙げられます。株式会社においては、株式総会において決算書等の計算書類の承認を得たうえで、確定した決算にもとづいて法人税の計算をする必要があります。
その一方で、合同会社においては株式総会のような手続きはなく、合同会社の出資者である社員の合意により迅速な意思決定が可能であるため、決算の際には株式会社に比べてスピーディーに進めることができます。
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合同会社にかかる税金を把握する
合同会社が決算、確定申告を行う際には、合同会社にかかる法人税等についてきちんと把握し、申告する必要があります。合同会社が納めなければならない法人税等は、「法人税」、「法人住民税」、「法人事業税」です。
ここでは、それぞれの税金について解説します。
法人税
法人税とは、法人の所得に対して課税される国税です。税率は法人の種類や資本金の額で変動します。
区分 | 税率 | ||
---|---|---|---|
資本金1億円以下の法人など(※1) | 年間課税所得が800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% |
適用除外事業者(※2) | 19% | ||
年間課税所得が800万円超の部分 | 23.2% | ||
上記以外の普通法人 | 23.2% |
- ※国税庁「No.5759 法人税の税率」
- ※1大法人の100%子会社など、大法人による完全支配関係がある普通法人などは除く。
- ※2「適用除外事業者」とは、事業年度開始前3年以内に終了した、各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人などを指し、年800万円以下の部分については19%の税率が適用される。
なお、法人税額は以下の計算式で求めることができます。
法人税額の計算式
法人税額=課税所得(益金-損金)×税率-税額控除
益金とは売上収入や売却収入のことで、損金は売上原価や販売費、損失費用のことです。法人税は、収益から費用を差し引いた利益に対して、法人税法の規定に従った税務調整を行うことで所得金額を査定し、この金額に法人税の税率を乗じることで算出します。
法人住民税
法人住民税とは、会社の所在地の都道府県と市町村に支払う地方税です。消防やごみ処理などの身近な行政サービスなどに対する地域における費用負担として、法人にも個人と同じように幅広く課されます。原則として国に納付する法人税の税額をもとに算出・課税される「法人税割」と、法人の所得が黒字か否かに関わらず資本金や従業員数に応じて課税される「均等割」の2つの要素で構成され、これらの合計額が納付されます。
法人事業税
法人事業税とは、法人の事業活動が受ける行政サービスについて負担する地方税で、納付先は都道府県に限定されます。従業員数だけでなく、業種ごとにも税率の条件が詳細に分類されています。
税率は法人の種類や資本金、所得金額などによって変動します。また、税率は都道府県ごとに異なり、資本金や所得に応じて軽減税率、標準税率、超過税率が適用されます。
資本金が1億円以下の場合、所得金額に応じた税率は以下のようになります。
所得金額 | 税率 |
---|---|
400万円以下の金額 | 3.5% |
400万円超800万円以下の金額 | 5.3% |
800万円超の金額 | 7.0% |
- ※総務省「法人事業税」
合同会社の決算から確定申告までの流れ
合同会社における決算から確定申告までの流れを解説します。具体的には、以下のステップで順番に進めていきましょう。
1 帳簿書類を整理する
合同会社において決算を行う際、まずは帳簿書類を整理しましょう。決算書を作成する際には、日々の取引を適切に記録し、正しく帳簿に反映させなければなりません。通常は決算月においても月次決算を行い、そのうえで年に一度の年次決算を行い帳簿の記載に漏れがないかを確認することが大切です。
また、売掛金、買掛金などの残高も正確であるかどうかを、請求書や領収書などの帳票を通じて検証します。預金残高などについては、通帳や残高証明書を確認し、残高を一致させる必要があります。
2 決算整理仕訳を行う
帳簿書類の整理が完了したら、次は決算整理仕訳をしましょう。決算整理仕訳とは、年次決算の際に行う特別な仕訳です。決算時点で、期中に作成した帳簿とずれが生じないよう修正し、企業の財産や収益を会計上適切に処理します。
決算整理仕訳の流れは、以下のとおりです。
決算整理仕訳の流れ
-
1. 現金・預金の残高を実際に確認し、帳簿との過不足がないか確認する
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2. 売掛金や買掛金の金額を確認する
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3. 経過勘定を確認する(前払金、前受金、未払金、未収入金など)
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4. 決算時点の棚卸資産を確認する
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5. 固定資産を確認する(減価償却など)
-
6. 有価証券の期末時かを確認する
-
7. 貸倒引当金を設定する
決算整理仕訳についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
3 決算書を作成する
決算整理仕訳が完了したら、次は決算書を作成しましょう。合同会社は、主に損益計算書、貸借対照表、社員資本等変動計算書、個別注記表の4つの書類を決算書として作成し、提出します。
4 計算書類の承認を行う
決算書が作成できたら、計算書類の承認を行いましょう。株式会社であれば、株主総会のような特定の組織機関において計算書類の承認を得なくてはなりません。合同会社の場合、その必要はありませんが、代わりに定款で定めた代表社員による承認が必要となります。業務執行社員を定款で定めておらず、かつ社員が2人以上いる場合には、社員の過半数による同意をもって承認されます。
5 法人税等の確定申告と納税を行う
計算書類の承認が得られ、最後に法人税等(法人税、法人住民税、法人事業税)の確定申告と納税を行いましょう。決算日から2か月以内に確定した決算にもとづき、法人税等の確定申告書を提出します。期限にあたる日が土曜日、日曜日、祝日などの場合は、その翌日(休み明けの平日)が期限です。申告期限の延長の申請をしている場合、提出期限は消費税を除いて決算日から3か月以内となります。また、消費税についても同様の手続きがあります。
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合同会社の確定申告に必要な書類
合同会社が確定申告を行うには、どのような書類が必要になるのでしょうか。ここでは、合同会社の確定申告に必要な書類について、それぞれ解説します。
法人税申告書
法人税申告書とは、法人が事業で得た所得について申告するための書類です。法人税申告書は別表一から十九まであり、会社の状況により必要となる別表や明細書は異なります。詳しくは国税庁の「[手続名]法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)」記載を参照してください。
適用額明細書
適用額明細書とは、租税特別措置法の条項、適用額その他の事項を記載する書類です。適用額明細書は、法人税額や所得金額を減額する特例を適用した場合に、会社が適用した特例を一覧にして明示する役割があります。そのため、租税特別措置法などの適用がある場合、適用額明細書が必要となります。
貸借対照表
「企業がどれだけ財産を保有し、債務を負っているか」という決算日時点での財政状態を示す書類が、貸借対照表です。左右の金額が均衡状態を保っていることから、英語表記のBalance Sheetを略して、「B/S(バランスシート)」とも呼ばれます。
すべての会社は決算の際に、損益計算書と共に、必ずこの貸借対照表を作成しなければなりません。貸借対照表を見ると、会社が保有する現金や建物、ソフトウェアなどの形のない財産を含めた「資産」、いずれ返済しなければならない「負債」、返済義務のない自己資本である「純資産」を把握することができます。
損益計算書
損益計算書とは、ある一定期間の収益と費用の損益計算をまとめた書類で「P/L」とも呼ばれます。収益・費用・利益の3つの要素から成り立ち、「企業がどの程度売上を上げて(収益)」「費用を何に使って(費用)」「どれくらい儲けが出たのか(利益)」がひと目でわかります。貸借対照表と同様、すべての会社は決算の際に、必ずこの損益計算書を作成しなければなりません。
社員資本等変動計算書
社員資本等変動計算書とは、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するための決算書類です。「株主資本」と「株主資本以外」に分けて、それぞれ当期首残高、当期変動額合計、当期末残高を記載します。
勘定科目内訳明細書
勘定科目内訳明細書とは、貸借対照表や損益計算書の勘定科目の内訳を示した決算書類です。決算日の翌日から2か月以内に、税務署へ提出する必要があります。勘定科目内訳明細書を提出することで、税務署は会社の取引の実態や財務状況を正確に把握することができます。
法人事業概況説明書
法人事業概況説明書とは、法人の業務状況について示す書類です。法人名、納税地、事業内容、期末従業員数の状況、主要科目などを記載します。
法人税等を納付し忘れた場合、どうなる?
確定申告書の提出が期限内に終わっていても、法人税等を期限内に納付しなかった場合は、ペナルティが発生します。法人税等の支払い期限は「事業年度終了日の翌日から2か月以内」です。申告と納付のどちらも、2か月以内に行わなくてはならないことを忘れないようにしましょう。
原則的には、期限の翌日から納付日までの日数に応じ、延滞税が課されることになります。また、申告をしなかった場合は「無申告加算税」の対象となり、故意に隠蔽した場合には、懲罰的な「重加算税」の対象となります。さらに、期日内に申告・納税できたとしても、内容に誤りがあった場合には同様にペナルティが発生する場合があります。
個人事業主の場合、自分で所得税の確定申告を行う人もいますが、法人の場合は計算が複雑で、税額も大きくなることが多いため、専門家の知識が必要です。申告書の作成は、税理士や会計士に依頼をするか、クラウド型会計システムを利用するのがおすすめです。個人事業主から法人化(法人成り)したばかりの方は注意しましょう。
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合同会社は、株式会社と同様に決算と確定申告を行う必要があり、法人税、法人住民税、法人事業税などの税金を支払う義務があります。起業時には負担する納税額を意識して、経営に影響を及ぼすことのないよう注意しなければなりません。また、用意する書類、申請の手順を正しく理解し、期限内にスムーズに申告・納税できるように努めることが大切です。
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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所
四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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