納税準備預金は必要?活用するメリットや注意点を解説
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法人税や消費税などの納税資金を確実に確保するための方法として「納税準備預金」があります。これは納税資金を事前に積み立てる仕組みで、利息が非課税になるなど税制上のメリットも設けられています。とはいうものの「本当に利用すべきなのか」「通常の預金とどう違うのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、納税準備預金を活用するメリットや注意点を解説します。納税資金の管理に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
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納税準備預金とは、利息が非課税になる納税用資金の預金
納税準備預金とは、法人税や所得税などの納税資金を積み立てる目的で利用できる預金のことです。銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫など、一部の金融機関で取り扱われています。納税専用の預金であるため、一般的な預金とは異なり、利息にかかる所得税が非課税になる点も特徴です。
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納税準備預金を活用するメリット
納税準備預金を活用することで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとしてあげられるのは以下の4点です。
法人・個人問わず利用できる
納税準備預金は、法人のほか個人事業主も利用できます。金融機関で通常の預金口座と同じように手続きできるため、特別な資格や条件は不要です。
事業規模の大小にかかわらず、納税資金を計画的に積み立てられるため、資金繰りの安定や急な資金不足の回避に役立つでしょう。
国税・地方税どちらの納付にも使える
納税準備預金を活用して納付できる税金は、所得税・法人税・消費税などの国税のほか、住民税・事業所税といった地方税も対象となります。さらに、加算税・延滞税・過怠税・印紙税などの付随税目の納付にも活用可能です。
その一方で、社会保険料や民間の保険料といった「税金以外の支払い」には使えないため、用途が限られている点には注意しましょう。
同居親族の税金の支払いも対象になる
納税準備預金は預金名義人自身が納める税金だけでなく、個人の場合、名義人の同居家族が納める税金も対象になります。そのため、家族経営の事業者などが活用しているケースも少なくありません。
多くの金融機関で振替納税やダイレクト納付にも対応している
納税準備預金の口座は、振替納税やダイレクト納付の指定口座として利用できる場合があります。振替納税は、申告した税額が納期限に自動的に預金口座から引き落とされる仕組みです。また、ダイレクト納付は、納税者自身が指定した即時または期日に預金口座から納付する方法です。
このため、納付忘れを防止でき、納税の手間を大幅に軽減できます。振替納税とダイレクト納付は、普通預金や当座預金などでも利用できますが、納税準備預金であれば税金分をあらかじめ口座に積み立てておけるため、資金移動の手間も省け、納税に伴う資金管理がスムーズになるでしょう。
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納税準備預金の注意点
納税準備預金を利用するにあたっては、いくつか注意しておきたい点があります。以下の4点を理解したうえで、自社やご自身の利用について検討しましょう。
納税以外の目的で引き出すと利息が課税対象に
納税準備預金を納税目的以外で引き出した場合、利息に所得税等が課税される場合があります。納税目的で預金を引き出す場合とは税務上の取り扱いが異なるため注意しましょう。
決算の際には、その利息が非課税か課税対象かを判定したうえで処理する必要があります。納税目的で引き出した場合は利息を非課税扱いにする一方で、納税以外の目的で引き出した場合は個人、法人を問わず利息が所得税等の源泉徴収対象となります。
引き出しには納付書などの証明書類が必要
納税準備預金を引き出す際には、税金の納付書などの証明書類を金融機関に提示する必要があります。資金を自由に出し入れできる一般預金とは異なる点に注意しなければなりません。緊急時の資金確保など、納税以外の用途への流用がしにくい面があります。
取り扱い金融機関が限定されている
納税準備預金口座は、あらゆる金融機関で取り扱っているわけではありません。口座を開設するには、納税準備預金口座を取り扱っている都市銀行や地銀、信用金庫などを選ぶ必要があります。
利率は金融機関によって異なる
納税準備預金口座は、金融機関ごとに利率が異なります。ほかの預金口座と同程度の利率が設定されているケースもあれば、普通預金などと比べてやや高い利率が適用されるケースもあるなど、金融機関によって対応はさまざまです。適用される利率を事前に確認しましょう。
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計画的な納税資金準備が事業の安定につながる
スモールビジネスが軌道に乗るまでは、日々の資金繰りに追われることも多く、つい納税する予定の資金まで運転資金に回してしまいがちです。法人は決算日から2か月以内に法人税や住民税などを納付しなければならず、個人の場合も5月や6月には固定資産税、住民税、自動車税などの第1期納付期限がやってきます。
毎年納税する時期が近づくたびに納税資金の確保に慌てていては、事業に集中できません。消費税課税事業者の場合、たとえ事業が赤字でも、消費税はあくまで売上によって消費者から預かった税金のため、自分が仕入のときに支払った消費税を差し引いて納めなければなりません。あらかじめ試算表などで算出した予定納税額を定期的に納税準備預金に積み立てておけば、納税資金に手を付けずに確実に納税できます。計画的な納税資金準備を続けて、事業の発展につなげましょう。
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仕訳を登録するたびにAIが学習するので、徐々に仕訳の精度が向上します。
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納税準備預金を活用して安定した事業運営をしよう
納税準備預金は、納税資金を計画的に積み立てられるだけでなく、利息が非課税になるというメリットもある便利な仕組みです。法人・個人を問わず利用でき、国税・地方税の幅広い税目に対応できる点も大きな魅力です。ただし、納税以外の引き出しでは利息が課税扱いになることや、利用できる金融機関が限られる点には注意しましょう。
日々の資金管理を確実に行うには、納税準備預金だけではなく会計ソフトを活用するのがおすすめです。帳簿付けや決算書作成を効率化できれば、納税資金の把握や管理もスムーズになります。
photo:Getty Images
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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)
税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。