商品廃棄損の仕訳方法とは?必要性や勘定科目などを解説
監修者: 小林祐士(税理士法人フォース)
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商品の在庫は企業にとって大切な資産ですが、多すぎる在庫(過剰在庫)や販売できない在庫(不良在庫)を抱えることは、経営上のリスクとなるため注意が必要です。これらの在庫をやむを得ず廃棄する際に発生する損失を「商品廃棄損」といいます。
本記事では、商品廃棄損が発生する原因や仕訳の必要性、使用する勘定科目などを解説します。在庫の廃棄に伴い、税務調査に備えて必要な記録や書類についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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商品廃棄損は商品をやむを得ず廃棄した際に生じる損失
商品廃棄損とは、賞味期限切れや不良品、製造ミスなどの理由により販売できない商品を廃棄した際に発生する在庫損失を指します。商品廃棄損は、多くの企業にとって避けられない経済的損失であり、利益に直接影響を与える点が大きな特徴です。
例えば、賞味期限切れの商品が大量に発生した場合、その商品は廃棄され、売上を得ることはできません。廃棄された商品には製造コストや保管費用がかかっており、こうしたコストは「商品廃棄損」として会計処理されます。商品廃棄損を正確に把握・管理することは、製造・在庫管理体制の改善に加え、利益の最大化の観点からも欠かせません。
また、商品廃棄損を定期的に把握することによって、固定資産の遊休化や非効率な運用、過剰な仕入を防ぐ効果も期待できます。商品廃棄損の管理は単にコスト削減にとどまらず、企業の持続的成長と経営判断の正確性向上に欠かせない取り組みといえるでしょう。
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商品廃棄損が発生する原因
商品廃棄損が発生する原因は多岐にわたりますが、多く見られるケースとして賞味期限切れや消費期限切れがあげられます。特に、食品や医薬品のように消費期限のある商品に関しては、在庫の回転が遅れたり、需要予測が外れたりして消費期限を過ぎてしまうことは珍しくありません。このような状況に直面すれば、商品を廃棄せざるを得なくなるでしょう。
また、市場の需要変動やトレンドの変化も、商品廃棄損が発生する大きな要因の1つです。予想に反して需要が低迷した場合、過剰に生産・仕入れた商品が在庫として残り、最終的には廃棄されることになります。
このように、自社において商品廃棄損が発生しやすい状況を把握し、定期的に分析して将来の商品廃棄損の削減に向けた対策を講じることが大切です。
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商品廃棄損の仕訳の必要性
在庫を廃棄した際には、商品廃棄損の仕訳を正確に行う必要があります。商品廃棄損の仕訳が必要な理由は以下の2点です。
棚卸資産の残高を正確に把握・管理できる
商品廃棄損の仕訳が必要な理由は、棚卸資産の残高を正確に把握・管理できるためです。
商品廃棄損は、企業が実際に負担する費用として扱われ、仕入や運搬にかかった原価の一部として減額処理されます。そのため、棚卸資産の残高を正確に把握するには、商品廃棄損を正しく仕訳しなければなりません。
残高を正確に把握できていなかった場合、財務諸表において資産を過大に計上する原因となります。財務諸表の資産が実態とかい離しないよう、商品廃棄損の仕訳を正確に行うことが大切です。こうした背景から、商品廃棄損の仕訳は企業経営において重要なプロセスとして位置づけられています。
税務上の処理に影響する
商品廃棄損の仕訳が必要なもう1つの理由は、税務上の処理に影響するためです。
税務申告を適切に行うには、税法や国税庁が公表している通達などに従い、根拠となる書類や記録を適切に保管する必要があります。商品廃棄損は費用として税務上の損金に計上されますが、廃棄の事実を示す証拠や在庫管理台帳などの資料がなければ、損金として税務上認められない可能性があります。
その一方で、税務上のポイントを押さえて商品廃棄損を適切に損金算入すれば、効果的な節税対策にもつながるでしょう。このように商品廃棄損の仕訳を適切に行うことは、透明性の高い会計処理を実現する意味においても、節税対策の観点からも重要な取り組みといえます。
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商品廃棄損の会計処理で使う勘定科目
商品廃棄損に関連する勘定科目には複数の種類があります。正しい会計処理を行うには、それぞれの勘定科目の役割や貸借対照表上での位置づけを理解することが大切です。商品廃棄損と関わりのある主な勘定科目として、以下のものがあげられます。
商品廃棄損に関連する主な勘定科目
| 勘定科目 | 概要 |
|---|---|
| 商品廃棄損 |
|
| 棚卸資産 |
|
| 現金・預金 |
|
| 未払金等 |
|
勘定科目を選定する際には基準を明確にし、目的に応じて適切な勘定科目を設定することで、帳簿管理や財務分析を円滑に進められます。
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商品廃棄損の仕訳方法
商品廃棄損の処理は、在庫の性質や処分方法によって仕訳が異なります。ここでは、不良在庫を廃棄した場合と、売れ残り商品を廃棄した場合について、それぞれの仕訳例を見ていきましょう。
不良在庫の仕訳例
帳簿上の価値が20万円の不良在庫を廃棄した場合は、借方に「商品廃棄損」、貸方に「商品」「製品」などの勘定科目を用います。廃棄によって費用が発生し、それに伴って棚卸資産が減少したことを示す仕訳になります。ただし、期中に仕入れた商品・製品に関しては、貸方科目に用いる勘定科目は「仕入」です。
仕訳例:帳簿上の価値が20万円の不良在庫を廃棄した場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 商品廃棄損 | 200,000円 | 商品 | 200,000円 |
売れ残り商品の仕訳例
売れ残った在庫の廃棄時には、処分費用の有無に応じて仕訳の形が変わります。ここでは、廃棄処理業者に廃棄費用として1万5,000円を支払った場合と、自治体の規定に従い一般ごみとして処分する場合の仕訳例を見ていきましょう。
仕訳例:帳簿上の価値が20万円の商品を廃棄し、廃棄費用として廃棄業者に1万5,000円を支払った場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 商品廃棄損 | 200,000円 | 商品 | 200,000円 |
| 支払手数料 | 15,000円 | 現金 | 15,000円 |
上の例では、廃棄業者への廃棄費用を「支払手数料」として計上しています。廃棄に伴う費用の内容や性質が明確に伝わるように、商品廃棄損と諸費用はそれぞれ別に計上することが必要です。
仕訳例:帳簿上の価値が2,000円の商品を自治体の規程に従い、一般ごみとして廃棄した場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 商品廃棄損 | 2,000円 | 仕入 | 2,000円 |
ごく少量の在庫については、自治体の規程に従い、一般ごみとして廃棄するケースもあります。このような場合、期中に仕入れた商品であれば、貸方の勘定科目は「商品」ではなく「仕入」として処理することができます。これは、廃棄によって実際には売上に結びつかない仕入が発生したことを反映するためです。
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税務調査に備えて必要な記録と書類
税務調査において、在庫管理は重要な項目として位置づけられている調査対象の1つです。税務調査に備えて必要な記録と書類を事前に確認しておきましょう。
廃棄に関する記録の重要性
廃棄に関する記録の有無や適切な書類の保管状況は、税務調査において特に重視されます。廃棄された商品については、仕訳だけでなく、実際に廃棄が行われたことを証明しなければなりません。具体的には「いつ」「どのように」「なぜ」廃棄したのかを明確に記録し、その事実を裏付けることが求められます。
不良在庫や売れ残り商品を廃棄した場合には、その概要、廃棄した理由を記載した社内報告書、写真、廃棄業者との間で交わした契約書、廃棄証明書などを保管することが大切です。なお、廃棄証明書の保管期間は原則5年間、領収書を兼ねているものについては7年間(個人事業主の場合、前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年)の保管が義務付けられています。ただし、法人の場合、欠損金の繰越控除などに関わる税務調査が想定される場合には、最大で10年間の保管が必要となることもあるため、重要な書類については10年程度の保管をおすすめします。これらの書類を適切に保管しておくことで、税務調査時に有効な証拠資料として提示できるでしょう。
税務調査で求められる書類
商品廃棄損に関連して必要となる主な資料として、以下のものがあげられます。
税務調査で求められる商品廃棄損に関連する書類
- 請求書、領収書:廃棄に伴い支払った費用を証明するための書類
- 廃棄報告書、社内記録:廃棄の意思決定に至った背景や経緯を記録した書類
- 廃棄証明書:廃棄処分されたことの証明として、廃棄業者から発行された書類
- 帳簿データ:棚卸資産の名称や数量、取得価額、取得時期などを記録した台帳など
- 写真、現場記録等:廃棄前・廃棄時の状況を撮影した写真など
これらの書類は、事実に基づく証明書類として機能します。税務署から依頼された際には、迅速に提示できるよう準備することが大切です。
税務調査についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
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photo:PIXTA
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