商品券の勘定科目は?仕訳方法や注意点などを解説
監修者: 小林祐士(税理士法人フォース)
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事業者が贈答用や自社用の商品券を購入・使用する場合は、取引内容に応じて適切に仕訳することが求められます。とはいうものの、商品券の会計上の扱いや仕訳方法について判断に迷うケースも多く、経理担当者が悩みやすいポイントの1つではないでしょうか。
本記事では、商品券の仕訳に用いる勘定科目や仕訳方法について解説します。商品券の経費計上に関する注意点や管理方法、税務処理も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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商品券は適切な勘定科目で仕訳する必要がある
商品券は会計上、用途や状況に応じて「貯蔵品」「接待交際費」などで処理されるのが一般的です。取り扱う際には、取引内容に応じて適切な勘定科目を選定し、正確に仕訳することが求められます。
不適切な勘定科目を使用してしまった場合、財務諸表の信頼性を損なう原因となるだけでなく、税務リスクや監査への対応にも影響を及ぼす可能性があります。特に、期末には未使用の商品券の残高を正確に処理することが大切です。
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商品券の仕訳に用いる勘定科目
商品券の仕訳をする際は、種類や用途に応じて適切な勘定科目を使い分ける必要があります。商品券の仕訳に用いる主な勘定科目は下表のとおりです。
商品券の仕訳に用いる主な勘定科目
| 勘定科目 | 概要 |
|---|---|
| 貯蔵品 | 未使用の商品券を一定期間保管する場合などに使用する。 |
| 接待交際費 | 取引先など社外関係者に商品券を贈答する場合に使用する。 |
| 消耗品費 | 日常的に使用する備品や物品を商品券で購入した場合に使用する。 |
| 雑費 | やむを得ない場合に限り、分類が難しい少額の取引に使用する。 |
帳簿に記載する際は、取引の内容、日付、金額、概要(例:「◯月◯日商品券◯枚使用」「◯◯株式会社へ商品券提供」など)を正確に記載し、取引の背景を明確に把握できるようにします。また、商品券の種類や金額、使用目的を明記することで、経理処理の正確性と税務対応の適正性を高められます。
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商品券の仕訳方法
実際に商品券を購入・使用する際には適切な仕訳が求められます。ここでは、取引ごとの仕訳例を見ていきましょう。
商品券を購入した場合の仕訳例
商品券を購入した時点では、未使用で用途が未確定のため、「貯蔵品」として仕訳します。この際、商品券の消費税区分は非課税である点に注意しましょう。なお、小売業などで商品の決済に商品券を取り扱う場合は「他店商品券」として処理することもあります。
仕訳例:5,000円分の商品券を現金で購入した場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貯蔵品 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
購入した商品券を得意先への贈答に使用した場合の仕訳例
商品券を自社で使用せずに贈答に使用した場合は、消費税の非課税取引として仕訳します。
仕訳例:5,000円分の商品券を購入し、得意先への贈答品の購入に使用した場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 接待交際費 | 5,000円 | 貯蔵品 | 5,000円 |
購入した商品券を売却した場合の仕訳例
商品券を売却した場合は、消費税が非課税となるため、非課税売上として仕訳します。このとき、非課税売上になるのは実際の売却額で、差額は消費税の対象外となる点に注意しましょう。
仕訳例:商品券を5,000円で購入し、後日金券ショップにて4,500円で売却した場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 4,500円 | 貯蔵品 | 5,000円 |
| 雑損失 | 500円 | ||
期末に未使用の商品券が残っている場合の仕訳例
期末の時点で未使用の商品券が残っている場合は、以下の2点に注意する必要があります。
期末の時点で未使用の商品券が残っている場合の注意点
- 自社で使用する予定の商品券であっても、未使用のものは「貯蔵品」とする
- 贈答用に購入したものであっても、まだ相手先に配布していないものは「貯蔵品」とする
仕訳例:贈答用に購入した商品券が期末時点で未使用のまま5,000円分残っていた場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貯蔵品 | 5,000円 | 接待交際費 | 5,000円 |
上の例では、商品券が取引先への贈答目的で購入されたものであるため、借方は「貯蔵品」、貸方は「接待交際費」としています。また、摘要に「取引先への贈答品として購入した商品券の残り」などと記載しておくと、税務調査の際に指摘を受けるリスクを軽減できるでしょう。
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商品券の経費計上に関する注意点
商品券を経費として計上する際は、正しいルールや基準を理解しておくことが大切です。商品券の経費計上に関して特に注意すべき点を詳しく見ていきましょう。
経費計上の条件と基準を把握する
商品券の経費計上に関する注意点の1つは、経費計上の条件と基準を把握することです。
経費として認められるのは「サービスの提供」や「業務に関連する支出」であることが前提となります。そのため、経費を計上する際は、帳簿記録と共に支出に関する証拠書類を適切に保管する必要があります。
また、商品券は「配布または使用した時点」で経費計上するのが原則です。商品券を購入した時点では、原則として経費に計上できない点に注意しましょう。商品券を配布または使用した事実が確認できることが経費計上の要件です。
消費税区分を間違えないようにする
消費税区分を間違えないようにすることも、商品券の経費計上に関する注意点にあげられます。
商品券の購入には、原則として消費税はかかりません。したがって、仕訳の際には商品券の額面どおりに記載します。その一方で、商品券を商品やサービスの購入に充てた場合は、その取引に消費税が課税されるため取扱いが異なります。消費税区分は間違いやすいポイントのため、十分に注意しましょう。
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商品券の管理と税務処理
商品券は、支払手段として現金に準じた使い方ができる資産の一種ですが、会計上の「現金」や「現金同等物」には該当しません。そのため、発行から保管まで一貫した管理と、取引内容に応じた適切な税務処理が求められます。商品券の管理と税務処理上の注意点を確認しておきましょう。
商品券の管理方法
商品券管理の基本は、発行や購入に関する記録を正確に残すことと、盗難リスクに備えて厳重に管理することの2点です。
自社で商品券を発行する場合は、発行枚数・額面・発行日・使用条件などを記録した管理資料を作成します。その一方で、他社商品券を購入した場合は、仕入先・購入金額・使用目的を記録し、帳簿と照合できる状態で保管することが大切です。また、商品券の有効期限や発行日、更新日などの日付も厳格に管理する必要があります。記載漏れを防ぐため、管理資料を複数名で確認するなどチェック体制を整えておきましょう。
盗難リスクへの備えとしては、鍵付きの金庫などでの保管を徹底し、管理担当者を明示するといった対策が有効です。加えて、管理表を作成し、出入庫の履歴や使用目的を記録・把握できる体制を整えるなど、不正防止策を講じることが求められます。
税務調査でのポイント
商品券の発行や使用に関する記録に不備があると、課税漏れ、税務調査での指摘につながるリスクが高まります。そのため、商品券の使用目的を明記した資料を作成し、帳簿や会計システムと連携させて保管することが大切です。
また、税務調査の際には専門的な事項に踏み込んだ判断が求められるケースも多いことから、税理士に相談することをおすすめします。商品券を取り扱う場合は、あらかじめ顧問税理士に伝えておき、税務調査時に判断を仰ぐと安心です。
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商品券の勘定科目や仕訳方法を理解して適切な取扱いを徹底しよう
商品券は、支払手段として現金のように利用できるものの、会計上は「貯蔵品」として処理する資産とされるのが一般的です。購入時・使用時にそれぞれ仕訳が必要となるため、勘定科目や消費税区分を正確に判断することが求められます。また、商品券の発行・購入に関する記録を正確に残すと共に、どのような目的で使用されたのかを明記した資料を整備しておくことが大切です。今回紹介した仕訳方法や経費計上に関する注意点を参考に、商品券の適切な取扱いを徹底するよう心掛けましょう。
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よくあるご質問
商品券は経費にできる?
商品券は、その使用目的や対象によっては経費に計上できることがあります。ただし、すべての商品券が自動的に経費となるわけではありません。重要な判断基準は、商品券を「どのように使うのか」という点にあるといえます。あくまでも、サービスの提供や業務に関連する支出であることが経費計上の前提となります。なお、商品券は配布または使用した時点で経費に計上するのが原則です。商品券を購入した時点では経費とはみなされないため注意しましょう。
商品券の勘定科目はどのように選ぶべき?
商品券の勘定科目は用途に応じて「貯蔵品」「接待交際費」など、複数の選択肢があります。判断に迷った際には、まず業務との関連性を確認し、同様の用途で使用される勘定科目を選ぶとよいでしょう。ただし、実際の状況に応じては、勘定科目の判断に専門知識を要する場合もあります。必要に応じて税理士などの専門家に相談し、税務上の取扱いについても確認することが大切です。
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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)
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