取引先から「手形で払う」と言われたらどうする?
執筆者: カトウ・マユ
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「手形」とは、支払期日に手形額面を支払うことを約束した有価証券です。現在では手形取引はピーク時から大幅に減少しているものの、業種によっては今も選ばれる決済手段です。取引先から「手形で払う」と言われた際に慌てないように、受け取り時のチェックポイントを覚えておきましょう。
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POINT
- 手形を受け取るときに確認すべき記載事項に注意しよう
- 下請法改正で手形の受取人負担が改善されている
- 最近は電子手形も普及し始めている
手形を受け取るときに確認すべき記載事項
一定の取引実績があるビジネスの取引において、約束した期日に銀行口座へ支払額を振り込まれる「売掛け」のケースが大半です。この売掛けは口約束でも成立してしまいます。これらがあいまいにならないようと発行されてきたのが、金額や支払期日を明記した手形です。
手形取引はこれまで企業の代金決済の主な手段でしたが、ピークの1990年に対して現在の手形交換高はわずか3%と激減しています。とはいえ、コロナ禍の影響を受けながらも2020年の手形交換高は134兆円にのぼり、約束手形で支払われる機会はまだ十分あり得ます。
日本国内での手形取引の多くは、約束手形といって振出人(支払人)が名宛人(受取人)に対して期限付きで一定の金額の支払いを約束する二社間取引によるものになります。取引先から「約束手形で支払う」と言われた場合、下記の記載を確認しましょう。
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①約束手形という文字
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②受取人の名前
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③支払期日(暦にある日か確認)
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④支払地(銀行の所在地)
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⑤金額欄のチェックライターなどによる金額
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⑥支払いを約束した文章(「上記金額をこの約束手形と引き換えに支払います」など)
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⑦手形の振出日および振出地
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⑧振出人名(法人の場合、会社名、代表者の肩書、振出人の銀行届出印)
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⑨印紙(消印がされている)

- ※約束手形の見本
代表者の氏名や押印された印鑑が支払銀行届出印と異なっていた場合は支払われません。また、⑥の支払いを約束した文章などに「条件付き」など断り書きがないか、必ず確認しましょう。
支払期日までに支払地の金融機関に取立依頼をしなくてはなりません。この支払有効期限は期日日を含め3営業日となり、その期間を過ぎた手形は金融機関では受け取ってもらえず、最悪の場合、入金がなくなるので要注意です。
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下請法改正で手形の受取人負担が改善されている
手形割引という方法で、受け取った手形の期日前に支払額を現金化することができます。受取人が銀行などの金融機関に支払期日前の手形を持参して手続きをし、受取額は手形金額から一定の利息相当額(割引料)を差し引かれたものとなります。この場合、手形割引によって早期に現金を得られますが、手形売却損が計上され、利益が減少してしまいます。
手形は振出日から支払日までの期間(支払手形サイト)が長期間になりやすく、通常当月末締め翌月末払いの掛け払いよりも現金化に時間がかかる手形取引は、受取人にとって資金繰りが悪化する原因となっています。
このような状況を受けて、2021年3月に公正取引委員会が下記のガイドラインを出しています。
- 下請代金の支払いはできる限り現金で行うこと
- 手形割引料のコストを受取人が負担することのないよう、下請代金の額を親事業者と下請業者が十分協議すること
- 支払手形サイトは、60日以内とすること
電子手形も普及し始めている
経済産業省は2026年をめどに、約束手形の利用を廃止することを産業界へ求める方針を示しています。約束手形は現金化に時間がかかる傾向にあるため、現金振り込みや電子手形への移行を要請する方針です。
手形取引は長年、紙ベースで行われてきましたが、「電子記録債権法」に基づき、2009年11月から電子手形がスタートし、普及が進んでいます。電子手形は、紛失や盗難、偽造のリスク、受け渡しや保管のコストがなくなり、金融機関に取立依頼に行かなくても、期日に自動的に口座に入金されるのが大きなメリットです。また、従来の紙の手形にはなかった「分割割引・分割譲渡」といった取引が可能となり、1,000円以上1円単位で約束手形の一部を現金化できるようになりました。
このようにメリットの多い電子手形ですが、事前に法人向けインターネットバンキングや電子決済の利用申し込みを金融機関に行い、審査を受ける必要があります。また、利用に際し、個人認証システムの強化や不正アクセス防止などセキュリティ対策がこれまで以上に必要となります。
- 参考
- 電手情報ポータルサイト
今後、今まで経験のないような支払い手段を提示する取引先に対しても臆さずに取引をしていきたいですね。
photo:Getty Images
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この記事の執筆者カトウ・マユ
1974年生まれ。大学卒業後、出版社等に勤務。出産後は個人事業主として、主にwebメディアの編集業務を行う。会社員時代に子会社の経理・決算業務に携わる機会があり、簿記3級を取得。
