売上台帳とは?必要となる場面や書き方、保管期間などを解説
監修者: 税理士法人 MIRAI合同会計事務所
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売上台帳とは、その名のとおり、取引の中で発生した売上について記載した帳簿です。売上が発生した日付や取引先、発生要因、金額などをまとめ、月々の売上を管理するために作成します。また、売上台帳は、確定申告や給付金の申請時などにも必要になることがあります。
本記事では、売上台帳の役割や売上台帳が必要となる場面に加え、具体的な書き方や保管期間などについて解説します。
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売上台帳とは、取引の中で売上のみを集計した帳簿のこと
売上台帳は、取引の中で売上のみを集計した帳簿のことで、売上帳とも呼ばれます。売上台帳には、売上が発生した日付や取引先、発生要因、金額などを記載し、月ごとの売上をまとめます。法人でも個人事業主でも、作成方法は変わりません。
売上台帳は、売上管理と将来的な売上予測を立てるために重要な役割を持ちますが、確定申告でも必要になることがあります。確定申告で最大65万円か55万円を所得から控除できる青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記による複数の帳簿作成が必要です。
その一方で、白色申告の場合は、簡易的な方法による記帳が認められています。青色申告の場合も、白色申告の場合も、収入金額を記載した帳簿が必要になり、売上台帳はこれに該当します。
さらに、コロナ禍においては、持続化給付金や家賃支援給付金といった各種給付金の申請時に、売上台帳の提出が求められました。このことから、売上台帳の重要性がより高まったといえます。
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売上台帳の保管期間
売上台帳は、法人・個人事業主共に保管期間が定められています。
法人の場合、保管期間は、会社法で10年、法人税法で7年となっています。なお、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度、または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度については、10年保管しなければなりません。
また、個人事業主の場合は、青色申告でも白色申告でも7年間の保管が必要です。
売上台帳が必要な場面
売上台帳は、どのようなときに必要なのでしょうか。売上台帳が必要となる主な場面は、次のとおりです。
収支管理をするとき
売上台帳が必要な場面の1つは、自社の収支管理をするときです。事業を行ううえでは、支出が収入を上回らないように、取引における収支を把握することが大切です。しかし、取引の数が多いと、いつ、どのような売上が発生したのか、わからなくなってしまうこともあるかもしれません。そのような場合も、売上台帳を記載することで日々の売上を可視化でき、月ごとの売上の推移を確認するのにも役立ちます。売上の集計や分析を含め、スムーズな収支管理を行いやすくなるでしょう。
所得税を計算するとき
個人事業主なら、売上台帳で売上を把握することで、所得税を計算しやすくなります。所得税は、1年間の所得から基礎控除や配偶者控除などの各種所得控除の合計を引いた課税所得金額に所定の税率を掛け、税額控除額を差し引いて算出します。売上台帳で収支をきちんと把握していれば、所得税の計算もかんたんにできるでしょう。
また、法人の場合も、法人税などは課税所得金額をもとに税額が算出されるため、税金計算をするのに役立ちます。
確定申告をするとき
確定申告を白色申告で行う場合には、売上台帳は確定申告に必須の書類といえます。白色申告では、収入金額を記載した帳簿を作成し、保存することが義務付けられているからです。売上台帳という名称でなくても問題ありませんが、同様の項目が記載された帳簿を作成する必要があります。
給付金や補助金を申請するとき
売上台帳は、給付金や補助金の申請をするときに必要になる場合もあります。例えば、コロナ禍における持続化給付金や家賃支援給付金の申請には、対象とする月の売上台帳等の提出が求められました。普段から売上台帳をつけていないとこのような申請時に困ってしまうため、日頃から必ず売上台帳をつけておくようにしましょう。
売上台帳の書き方
売上台帳には定められたフォーマットはないので、手書きや表計算ソフトで作成しても問題ありません。また、会計ソフトを使えば、自動で売上台帳を作成することもできます。ここでは、売上台帳を表計算ソフトで作成する場合の記載項目と書き方を解説していきます。

タイトル
売上台帳だと一目でわかるように、帳簿の上部にタイトルを記載しましょう。売上台帳は月ごとに管理するため、例えば「売上台帳 2023年◯月」というように、対象月も入れておくのがおすすめです。過去の売上について確認したいことがあるときも、探すのが容易になります。
申請者名
売上台帳の上部に、申請者名を記入しましょう。企業なら会社名、個人事業主なら屋号や氏名になります。この記載がないと、誰の、何の事業に関する売上台帳なのかがわからなくなってしまいます。特に給付金の申請などに使用する場合は、忘れないように注意が必要です。
売上日
売上が発生した日を記載します。売上が発生したとする基準は、業種や業態によって異なります。例えば、商品を引渡した日や、サービスを提供した日、商品を発送した日などです。なお、売上日は、代金を受け取った日(現金主義)ではなく、売上が発生した日(発生主義)とするのが基本です。
取引先
売上の相手方の名称を記載します。つまり、商品を販売したり、サービスを提供したりした相手の取引先の社名です。取引先の記載は、原則として正式名称で行いますが、略称でも相手が特定できる場合は略称でもかまいません。小売業や飲食業など、売上の相手方が一般消費者で名前を特定できない場合は、「お客様」などと記載するとよいでしょう。
売上日の発生要因
何によって売上が発生したのか、その発生要因を記載します。販売した商品や提供したサービスなど、売上が発生した理由を記載しましょう。「A株式会社に◯◯(商品名)を50個販売」というように、できるだけ具体的に記すことが大切です。
金額
売上の金額を記載します。売上が0円だった場合は、0と記載しましょう。また、消費税については、税込みか税抜きかをあらかじめ決めておき、同じルールで統一して記載します。
月末になったら、その月の売上金額を集計し、最終行に合計額を記入しておくことが大切です。
助成金の申請月
給付金や助成金を申請する場合は、対象となる申請月を記載します。申請する給付金や助成金によって、申請要件が異なる可能性があるので、あらかじめきちんと確認しておきましょう。
売上台帳を作成する際のポイント
売上台帳をするときには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、特に注意すべき6つのポイントを紹介します。
記入漏れに気をつける
売上台帳に記入漏れや記入ミスがあると、適切な収支管理につなげることができません。さらに、確定申告で用いる売上台帳に記入漏れがあると、収入をごまかしているとみなされてしまうかもしれません。売上台帳は確定申告での提出義務はありませんが、税務調査で漏れやミスが発覚する可能性はあります。また、給付金や助成金の申請時にも、売上台帳に不備がある場合は受け付けてもらえません。記入の際には漏れのないよう十分に気をつけ、合計金額などの計算ミスにも注意しましょう。
添付書類に注意する
売上台帳が手元にない場合、売上台帳ではない書類を添付してはいけません。給付金や助成金の申請時に売上台帳の提出を求められた場合、請求書や領収書などの他の書類を添付しても売上台帳の代わりとは認められないため、注意しましょう。なお、請求書や領収書などは、売上台帳とは別に法律によって保存が義務付けられています。
決められた保存期間は必ず守る
前述したように、売上台帳は、法人は10年間、個人事業主は7年間の保存が必要です。売上台帳を作成したら、必ず法律で決められた期間は保存しておくようにしましょう。これは、紙で作成した場合でも、エクセルや会計ソフトで作成した場合でも同様です。また、保存している売上台帳は、税務調査などで求められたときには、すぐに提示できるようにしておかなければなりません。
売上が0円でも、必ず提出する
売上台帳は、たとえ売上が0円でも記載が必要です。1か月の売上が0円だった場合は、売上台帳の1行目に「◯月売上なし」と記し、合計欄に「0円」と記載しましょう。特に、給付金や助成金の申請時に売上台帳を提出するとき、空欄のままだと記入漏れと見なされ、申請が認められない可能性があります。
データでも保存しておく
電子帳簿保存法により、売上台帳を最初からパソコンで作成した場合は、一定の保存要件のもとに電子データのまま保存することも可能です。なお、手書きで紙の売上台帳を作成した場合は、紙のまま保存しましょう。パソコンで作成した売上台帳を、印刷して保存しても問題ありません。
会計ソフトを使う
会計ソフトを使って帳簿をつけていれば、売上台帳を自動で作成することも可能です。ほとんどの会計ソフトには売上の抽出機能が備わっているため、売上だけを抽出することで、かんたんに売上伝票が完成するのです。さらに、会計ソフトを使えば、確定申告に必要な他の書類もかんたんに作成できて、とても便利です。最大65万円か55万円を所得から控除できる青色申告特別控除を受けるための要件となる複式簿記での帳簿も、スムーズに作成できます。
会計ソフトを選ぶポイントはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
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売上台帳とは、取引の中で発生する売上についてまとめた帳簿で、確定申告や給付金の申請時などに必要になることがあります。また、売上台帳を作成すると、事業における収支や業績の管理にも役立ちます。法律によって一定期間の保管も義務付けられているため、適切に取り扱うようにしましょう。
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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所
四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。
