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雑費とは?消耗品費との違いや計上時の注意点、仕訳例などを解説

監修者:税理士法人 MIRAI合同会計事務所

2023/08/18更新

帳簿付けをする際にはさまざまな勘定科目を使いますが、その中でも判断に迷いがちな科目が「雑費」です。特に、雑費と消耗品費について、どのようなルールで使い分ければいいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。適切な会計処理を行うためにも、雑費について正しく理解しておきましょう。

ここでは、雑費の定義や消耗品費との違い、雑費を計上する際の注意点、実際の仕訳例などを解説します。

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雑費とは、他の勘定科目にあてはまらないものを仕訳するときに使用する勘定科目

雑費とは、事業上の費用のうち、他の勘定科目にあてはまらないものを仕訳するときに使用する勘定科目です。少額かつ一時的な出費で、他に該当する勘定科目がない経費が発生したときは、雑費として処理することができます。

ただし、ここで気をつけたいのが、雑費は「少額かつ一時的な出費」であるという点です。たとえ他にあてはまる勘定科目がなくても、その費用が高額だったり継続的だったりする場合は、新しく適切な勘定科目を設定する必要があります。

例えば、事業に必要な書籍を購入した場合、それが一時的な出費であれば「雑費」で処理しても問題ありませんが、何度も購入するようであれば「新聞図書費」などの勘定科目を新たに設定した方がいいでしょう。

雑費に仕訳される主な経費には、下記のようなものがあります。

雑費に仕訳される経費の例
  • 振込手数料
  • 証明書の発行手数料
  • クレジットカードの年会費
  • 書籍代
  • 引越し費用
  • オフィス機器などの一時的なレンタル費用
  • ごみ処理代
  • 臨時的な清掃費など

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消耗品費と雑費との違い

勘定科目の中でも、雑費と混同しがちなのが「消耗品費」です。消耗品費とは、帳簿や文房具、コピー用紙、電池など、短期間で消耗する物品に対して使われる勘定科目です。具体的には、「使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費」と定められています。短期間で消耗する物品であっても、取得価額が10万円以上のものは基本的に固定資産となり、減価償却をして毎年一定額を費用として計上します。ただし、青色申告をしている中小企業や個人事業主は、所定の要件を満たせば、取得価額が30万円未満の減価償却資産を一括で経費計上できる特例があります。

一方、雑費は物品を使用することで発生する費用ではありません。他の勘定科目に振り分けられない少額かつ一時的な費用であり、上の例に挙げたように、主に目に見えないサービスにかかる支出を仕訳するときに使われます。例えば、臨時的に発生したごみ処理代は雑費ですが、そのときに使用したごみ袋の購入費は消耗品費になります。

なお、勘定科目の中には、消耗品費とは別に、「消耗品」というものもあります。消耗品費は繰り返して購入・使用する費用の勘定科目ですが、消耗品は購入してからまだ使用していないものを意味する資産の勘定科目です。本来は、物品を購入したときに消耗品の勘定科目で資産計上し、その物品を使い始めたときに、消耗品費として費用へ振り替えます。ただし、消耗品は元々少額なケースが多いこともあり、実務上、物品の購入段階で消耗品費として費用計上することが認められています。

雑費として計上できる経費の上限は?

雑費として計上できる金額に上限は定められていません。しかし、雑費は実際に何のために使ったのかがわかりづらい勘定科目です。そのため、雑費の金額が大きいと「決算書に不明確な要素が多い」とみなされ、税務調査で内訳を精査される可能性があります。また、事業状況を分析するうえでも、雑費が多すぎると、帳簿を見ても内容がわからず支出の傾向を把握しづらくなってしまいます。

決算書の信頼性を担保するためには、雑費の金額は、多くても経費全体の5%から10%が目安だといわれています。もし、その目安よりも雑費の金額が多くなりそうなときは、適切な勘定科目を新たに設定した方がいいかもしれません。また、雑費を計上するときには、内訳をきちんと把握できるように、何のための費用なのかを、摘要欄に記載しておきましょう。

雑費の計上時の注意点

雑費を用いるのは、他の勘定科目にあてはまらない費用を仕訳するときです。そのため、帳簿付けで勘定科目に迷ったとき、「とりあえず雑費にしておこう」と安易に計上してしまっている方もいるかもしれません。

しかし、雑費を計上するときには、下記のような点に注意が必要です。

計上金額が大きくなりすぎないようにする

雑費として計上する際には、計上金額が大きくなりすぎないよう注意が必要です。雑費として計上する金額が多すぎると、税務調査で指摘を受けたり、事業の実態が正確に把握できなくなったりしてしまいます。雑費を計上する際には、「該当する他の勘定科目がないか」「高額な費用ではないか」「一時的な支出か」といったことを、よく確認する必要があります。

もし、勘定科目の見直しなどを行っても雑費が5%から10%を超えるような場合は、勘定科目を新たに設定することを検討するといいでしょう。仕訳で用いる勘定科目は、既定のもの以外にも、任意で設定することができます。前述した雑費の例でいえば、次のように他の勘定科目で仕訳することが可能です。

振込手数料

銀行の振込手数料や、代引手数料などは、「支払手数料」の勘定科目で仕訳できます。その他、税理士などへの報酬費用も、「支払手数料」として処理が可能です。

証明書の発行手数料

役所で発行してもらう証明書の発行手数料は、「租税公課」で計上できます。例えば、印鑑証明書や納税証明書、登記事項証明書(登記簿謄本)などの発行手数料が該当します。

クレジットカードの年会費

事業用のクレジットカードの年会費は「支払手数料」または「諸会費」に該当します。クレジットカードの年会費以外に、業界団体や商工会議所、自治会など、業務に関連して加入する団体への会費も、諸会費で処理できます。

書籍代

業務に必要な書籍や雑誌、新聞、業界紙などの書籍代は「新聞図書費」の勘定科目で仕訳できます。電子書籍やメールマガジンの購読費も、新聞図書費に含まれます。

引越し費用

事務所などの移転に伴う引越し費用は「荷造運賃」で計上可能です。なお、従業員が転勤する際の引越し費用を社内規定にもとづき会社で負担する場合は、福利厚生費に該当します。

オフィス機器の一時的なレンタル費用

事業に必要な機器や機材、家具などのオフィス機器の一時的なレンタル費用は「賃借料」で仕訳できます。なお、会議などのために一時的に会議室やレンタルオフィスを利用した場合の費用は、会議費で処理するといいでしょう。

ごみ処理代

事業に関連したごみの処理代は、雑費の他、「支払手数料」や「設備維持費」といった勘定科目を使用できます。例えば、自治体のごみ処理券を購入した場合は支払手数料、設備のメンテナンスなどに伴い不用品を処分した場合は設備維持費に計上することができるでしょう。

臨時的な清掃費

事務所や店舗などの清掃費が定期的に発生するような場合は「衛生管理費」として、雑費とは別に計上した方がいいでしょう。

いずれにしても、雑費として扱うかどうかの判断のポイントは「高額な費用ではないか」「継続的に発生する支出ではないか」ということです。その支出が年に数回程度なら雑費でも差し支えありませんが、頻繁に発生するようであれば、適切な勘定科目を設定する方が望ましいでしょう。

同時に、どの費用をどの勘定科目で仕訳をするか、社内できちんと統一しておくことが大切です。担当者によって使用する勘定科目がバラバラでは、お金の流れを正しく把握できなくなってしまいます。

雑費の消費税区分を誤らないようにする

雑費として計上する際には、雑費の消費税区分を誤らないようにしましょう。取引には、消費税のかかる「課税取引」と、消費税がかからない(または免除される)「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」があります。雑費に仕訳される取引の多くは課税取引ですが、中には不課税や非課税のものもあるため注意が必要です。

例えば、クレジットカードの手数料は、分割払いなどのときに発生する金利手数料も、加盟店として支払う決済手数料も、どちらも非課税です。また、立退料や、起工式や地鎮祭で納める玉串料などは不課税となります。雑費に計上されることが多いキャンセル料も、解約に伴う事務手数料としてのキャンセル料なら課税対象ですが、解約時期によって金額が変わるような損害賠償金としてのキャンセル料には消費税はかかりません。

課税事業者は、売上にかかる消費税から、仕入れや経費にかかる消費税を差し引いて、納付する消費税額を算出します。雑費だからと一括りにして課税区分を判断することのないよう注意が必要です。

雑費と雑損失を混同しないようにする

雑費として計上する際には、雑費と雑損失を混同しないよう注意が必要です。雑費と間違えやすい勘定科目に「雑損失」があります。雑費と雑損失の違いは、「本業と関係があるかどうか」です。

雑費とは、前述したように、事業上の費用のうち他の勘定科目にあてはまらないものを指します。それに対して、雑損失は、本業とは関係なく発生した損失を処理するための勘定科目です。

雑損失に該当するのは、災害や盗難による損失、延滞料や罰金、損害賠償金の支払いなどです。他の勘定科目にあてはまらない支出という点では雑費と同じですが、性質がまったく異なるため混同しないように注意しましょう。

個人用途と事業用途の両方で支出する場合は家事按分を行う

雑費として計上する際、個人用途と事業用途の両方で支出する場合は家事按分(かじあんぶん)を行いましょう。

雑費の中には、事業用とプライベート用の両方にかかわる費用が発生することがあります。例えば、個人事業主の方で、自宅の一室を仕事部屋として使っているケースもあるはずです。このような自宅兼オフィスを引越しする際の費用は、全体の費用を事業での利用分とプライベートの利用分の割合に応じて振り分け、事業分だけを経費として計上することができます。これを、家事按分といいます。

引越し費用をどのように家事按分するかは、基本的には、運搬する荷物量のおおよその割合で判断します。引越しで運ぶ段ボールが全部でいくつあり、そのうち事業用の荷物が何箱、プライベート用が何箱、というように数えるのがおすすめです

雑費の仕訳例

雑費はどのように仕訳すればよいのでしょうか。ここでは、雑費を計上する際の具体的な仕訳例をご紹介します。

本を購入して5,000円を現金で支払った場合

本を購入して、代金を現金で支払った場合の仕訳はどのように行うのでしょうか。例えば、事業に必要な書籍を購入し、代金5,000円を現金で支払った場合の仕訳は、下記のとおりです。

本を現金で購入した場合の仕訳例
借方 貸方 摘要
雑費 5,000 現金 5,000 書籍代(◯◯書店)

事務所兼自宅の引越し代5万円を現金で支払った場合

個人事業主が事務所兼自宅を引越すことになり、引越し代を現金で支払った場合の仕訳はどのように行うのでしょうか。

例えば、個人事業主が事務所兼自宅を引越すことになり、引越し代5万円を現金で支払った場合の仕訳について考えてみましょう。なお、全体の荷物量に対して、個人的な荷物が70%、仕事用の荷物が30%だったとします。この場合、プライベート分の費用は「事業主貸」の勘定科目で処理し、経費には計上しません。

このときの仕訳は、下記のとおりです。

個人事業主が引越し代を現金で支払った場合の仕訳例
借方 貸方 摘要
雑費 15,000 現金 50,000 引越し代(◯◯引越社)
事業主貸 35,000

会計ソフトなら、雑費などの経費の内訳の把握や仕訳業務もかんたん

雑費などの経費の内訳をきちんと把握し、適切な仕訳をするための大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用できるので、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。
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「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データのほか、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成いただいたCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

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「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営状態がひと目で把握できます。

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業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお答えします。製品操作が不安な方や業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

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雑費とは何かを理解して適切な仕訳を心掛けよう

雑費は、他の勘定科目にあてはまらない、少額かつ一時的な経費です。一見便利そうな勘定科目ですが、「判断に迷ったらとりあえず雑費にしておこう」などと安易に計上するのは避けましょう。雑費の金額が大きくなりすぎると経費の内訳が不明瞭になり、税務調査で指摘を受けたり、収支状況を把握しづらくなったりする可能性があります。他に該当する勘定科目がない場合でも、頻発する支出であれば、適切な勘定科目を新たに設定するのがおすすめです。

法人の場合は「弥生会計 オンライン」などの会計ソフトを使えば、新しい勘定科目もかんたんに追加できます。経費の内訳をきちんと把握し、適切な仕訳をするようにしましょう。

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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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