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当座比率とは?計算方法や見方、流動比率との違いをわかりやすく解説

企業の状態を数字で表した経営指標には、さまざまなものがあります。中でも、「当座比率」と「流動比率」の2つは、会社の資金繰りをチェックするうえで重要な指標です。

本記事では、当座比率の表すものと計算方法、流動比率との違い、活用方法について解説します。

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当座比率とは財務状況の安全性を示す経済指標

当座比率とは、企業の財務状況の安全性を示す経済指標の1つです。この当座比率は、「流動負債」に対して「当座資産」がどの程度あるかを数値化したもので、1~3か月程度の短期の債務返済に関する企業の財務安全性を示しています。

なお、流動負債とは、貸借対照表の日の翌日から1年以内に支払期限が到来する債務および企業の通常の営業サイクルの中で発生した債務を指します。主な勘定項目としては、買掛金、支払手形、短期借入金、前受金などがあります。

当座資産とは、流動資産から棚卸資産を除外したもののことです。流動資産は、貸借対照表の日の翌日から1年以内に現金化できる資産および企業の通常の営業サイクルの中で発生した資産をいいます。棚卸資産は、いわゆる在庫のことなので、当座資産とはつまり、流動資産の中でも短期間で簡単に現金化できる資産(現金・預金、売掛金、受取手形、有価証券など)を指します。

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会社の安全性を短期的に見るときは当座比率を使う

流動資産は、比較的短期間に現金化できる「当座資産」や、製品や仕掛品などを指す「棚卸資産」、前払金、短期貸付金などを指す「その他流動資産」などで構成されており、会社の経営分析に使うことができます。
会社の安全性を短期的で見たいのであれば、これらの指標を使って求められる当座比率を使うといいでしょう。

ここでは、当座比率の算出方法のほか、当座比率がどれぐらいあると短期債務返済能力があるのかなどについて解説します。

短期債務返済能力の目安は、当座比率が100%以上あること

当座比率は、当座資産を使って次の計算式で求められます。

当座比率の算出方法

当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100

つまり、当座比率が100%以上であれば、当座資産が流動負債を上回っているので、短期債務返済能力は十分あるとみなすことができます。反対に、100%を切っているのであれば、短期債務返済能力が十分ではないので、対策を講じなくてはなりません。

なお、当座資産に含まれる売掛金や受取手形は、取引先がの資金繰りの状況次第では回収できないことがあるため、「当座比率が100%以だから絶対大丈夫だ」と言い切れないことに注意する必要があります。

当座比率が100%未満であれば、資金繰り面に要注意!

当座比率はどれぐらいあるといいのでしょうか。一般的な目安としては、以下のとおりです。

当座比率の目安

  • 100~120%以上…十分な短期債務返済能力がある
  • 100%未満…わずかな資金繰りの悪化で資金がショートする可能性がある

なお、自社の経営分析を行う場合、所属する業界や競合他社の比率がどれぐらいなのか、チェックすることをおすすめします。

当座比率だけでなく、流動比率もチェック

当座比率とセットで扱われることが多い流動比率は、流動負債に対して流動資産がどれだけあるかを表したもので、企業の財務状況の安全性を示す指標です。当座比率と同様に、短期の債務に関する返済能力を示しています。流動比率は、次の計算式で求められます。

流動比率の算出方法

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

流動比率は当座資産に占める流動負債の割合ではなく、当座資産に棚卸資産も含めた流動資産に占める流動負債の割合であることが、当座比率との違いです。流動資産には棚卸資産やその他流動資産が含まれているのに対し、当座比率には棚卸資産やその他流動資産が含まれていません。

その結果、流動比率の方が当座比率よりも数値が大きくなります。より厳しく財務の安全性をチェックしたい場合は、当座比率を使うことをおすすめします。

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当座比率、流動比率の業界別平均値はどれぐらいか?

中小企業庁が行った「中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年度決算実績)」によると、当座比率、流動比率の業界別平均値は以下のとおりです。

当座比率・業界比率の業界別平均値
業界 当座比率平均値 流動比率平均値
総合 156.2% 185.0%
建設業 167.0% 200.0%
製造業 161.9% 198.6%
情報通信業 213.1% 245.4%
運輸業、郵便業 177.7% 180.5%
卸売業 148.2% 172.8%
小売業 125.9% 160.7%
不動産業、物品賃貸業 135.3% 176.9%
学術研究、専門・技術サービス業 183.7% 189.1%
宿泊業、飲食サービス業 149.0% 154.8%
生活関連サービス業、娯楽業 165.2% 171.9%

当座比率と流動比率はどのように活用する?

当座比率や流動比率をチェックすれば、資金繰りの面だけでなく、不良在庫となっている棚卸資産の多さを読み解くことができます。ここでは、当座比率と流動比率の活用方法について見ていきましょう。

会社の資金繰りをチェックする

当座比率・流動比率を見ることで、会社の資金繰りに余裕があるのか、あるいは資金繰りが悪化傾向にあるのかをチェックできます。当座比率や流動比率が100%を切っている場合は、取引先の支払遅延など、ちょっとしたきっかけで資金ショートを引き起こす可能性もあるので、早急に対策を講じる必要があります。

たとえ、当座比率・流動比率が100%以上であったとしても、年々数字が減っているような場合は、徐々に資金繰りが悪化していると考えられるので、早急に原因究明に乗り出し、対策を講じなくてはなりません。

財務内容の改善につなげる

当座比率・流動比率の数字が低い場合、資金繰り改善のために取り組むべきことは、当座資産を増やすかあるいは流動負債を減らすかです。

当座資産を増やすには、売上を伸ばすといった根本的な取り組みが必要になります。客単価を上げる、顧客のリピート率を高める、新規顧客を開拓する、商品単価を見直すなど、売上を伸ばすさまざまなアイデアの中から自社に合っているものを探し、改善に注力しましょう。

それに対して、流動負債を減らすには、短期借入金を返済したり買掛金を支払ったりすればよいように思えます。しかし、借入金を返済したり買掛金を払ったりすれば当座資産である現預金の減少も意味しますので、必ずしも比率の改善につながるわけではありませんし、比率を気にしすぎて資金繰りを悪化させては本末転倒です。支払いは計画的に行いましょう。

不良在庫などを発見する

当座比率と流動比率の差が大きい場合は、不良在庫になっている棚卸資産が多いのではないかと疑われてしまうでしょう。不良在庫を値引販売したり、廃棄処分したりすると共に、不良在庫が発生する原因を特定しなくてはなりません。そして、在庫管理を見直し、どのように改善していくかが重要になります。

長期的な視点で財務状況を分析する2つの重要な指標

当座比率と流動比率は、先述したようにどちらも短期的な視点から財務状況を知るための指標でした。これに対し、長期的な視点で財務状況を知るための指標には、「固定比率」と「固定長期適合率」があります。

固定比率

固定比率とは、自己資本に対する固定資産の比率です。

固定比率の算出方法

固定比率(%)=固定資産÷自己資本

建物や設備といった固定資産を購入するのに、返済不要の自己資金を使う割合が高いほど、固定比率は低くなります。固定比率が100%以下であれば、企業の長期的な財務安全性は高いと判断されますが、あまりに低すぎると、業種によっては積極的な投資が行われていないとも考えられます。

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固定長期適合率

固定長期適合率とは、自己資本に固定負債を加えた金額に対する固定資産の比率です。

固定長期適合率の算出方法

固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

固定資産の購入を自己資本の範囲内で賄おうとするのは、超優良企業を除き、厳しいと思われます。そのため、自己資本だけでなく、固定負債(支払期日まで1年以上の余裕がある負債)を、返済までに猶予がある安定した資金と考え、固定資産購入の原資としてあててもいいという考え方から生まれた指標が、この固定長期適合率です。

一般的に、固定比率が100%を超えていても、固定長期適合率が100%を下回っていれば、長期的な財務の安全性には問題がないと判断されます。

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当座比率・流動比率を経営でうまく活用しよう

当座比率と流動比率は、企業の短期的な財務の安全性を測るうえで重要な指標です。企業の長期的な財務指標となる、固定比率・固定長期適合率とともに、会社の資金繰りチェックや不良在庫の点検、財務体制の改善にも役立つ指標なので、ぜひ活用することをおすすめします。

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よくあるご質問

当座比率とは?

当座比率とは、企業の財務状況の安全性を示す経済指標の1つです。当座比率は、「流動負債」に対して「当座資産」がどの程度あるかを数値化したもので、1~3か月程度の短期の債務返済に関する企業の財務安全性を示しています。詳しくはこちらをご確認ください。

当座比率の計算方法は?

当座比率は、「当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100」の計算式で求めることができます。短期債務返済能力の目安は当座比率が100%以上あることであるのに対し、100%を切っているのであれば、短期債務返済能力が十分ではないため対策の必要があるといえます。詳しくはこちらをご確認ください。

当座比率と流動比率からわかることとは?

当座比率や流動比率をチェックすれば、会社の資金繰りに余裕があるのか、あるいは資金繰りが悪化傾向にあるのかだけでなく、不良在庫となっている棚卸資産の多さを読み解くことができます。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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