合名会社の設立方法とは? 合名会社の特徴とメリットデメリット
2023/12/04更新

この記事の執筆者安田博勇

この記事の監修者中野 裕哲(起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士)

3つのタイプがある持分会社のうちの「合名会社」についてご説明します。合資会社と同様、最近は新規設立の形態としては比較的少なくなっていますが、どんな特徴のある会社なのか知っておきましょう。
POINT
- 合名会社の設立には無限責任社員1名以上が必要
- 労務出資が受けられるというメリットがある一方、社員全員が無限責任を負う
- 合名会社の設立方法やコストは合同会社、合資会社と同じ
そもそも合名会社とは
合名会社とは、合同会社・合資会社と同じ「持分会社」の形態のひとつです。
合名会社では、出資者(社員)が皆、「無限責任社員」(すべての弁済義務を負う)で構成されます。合名会社を設立するには、無限責任社員1名以上が必要となります。
合名会社で会社設立をするメリット・デメリット
合名会社は、合同会社・合資会社と同様、新規設立の手続きが比較的容易で、設立にかかる費用が抑えられることが最大のメリットです。株式会社・合同会社では出資の対象が金銭もしくは現物のみであるのに対し、労働すること自体を出資の形として認める「労務出資」を受けることができる点は、合資会社と同様です。
しかし合名会社で設立すれば、出資者は自動的に「無限責任社員」となりますから、株式会社・合同会社・合資会社と比較して、最も厳しい条件にある会社の新規設立の形態といえるかもしれません。
無限責任であるということは、ほとんど個人事業主であることと同じです。大きなメリットを得られないことなどからも、2006年(平成18年)5月に施行された会社法の施行以降、合名会社での新規設立の数も減少しています。

合名会社を設立する方法と手順
合名会社設立の手順は、合同会社・合資会社の設立手順と同じです。
合名会社設立の方法・手順
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1.設立時社員で会社の基本事項(商号、所在地等)を策定する
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2.設立時社員が出資者となり、出資金を準備する
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3.損益の分配割合を定める(定めのない場合は、出資価額に応じる)
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4.業務執行社員・代表社員を選任する
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5.定款作成を行う(無限責任社員を明記、認証は不要)
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6.法務局にて会社の登記申請を行う
なお、会社設立に直接的にかかるコストは他の持分会社と同じです。
photo:Getty Images
この記事の執筆者安田博勇
1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

この記事の監修者中野 裕哲(起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士)
起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。起業コンサルV-Spirits/中野裕哲税理士・社会保険労務士・行政書士事務所代表。
起業コンサルV-Spiritsグループ
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト「DREAM GATE」で10年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『オールカラー個人事業の始め方』(西東社)がある。
