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法人(会社)を住所変更する手続きは?本店移転登記の必要書類も解説

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法人が住所を変更する際には、個人の引越しとは異なり、さまざまな手続きが必要です。例えば、法人の本店所在地や代表者の自宅の住所が変わったときには、変更が生じた日から2週間以内に法人登記を変更しなければなりません。さらに、法人が住所変更をする際には、登記以外にも手続きが発生します。
各種手続きには、期限が設けられているものもあるため注意しなければなりません。

ここでは、法人の住所変更に伴い必要になる手続きについて、手続きの種類や提出書類、期限などを解説します。

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本店所在地を変更するときに必要な手続き

本店所在地は、定款に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」となっています。そのため、本店所在地を変更するときには、変更登記を申請する前に、まず定款の変更から行わなければなりません。

そのほかにも、本店所在地を変更する際に必要となる手続きには時間や手間がかかります。どのような届け出が必要なのか、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

定款の変更

本店所在地を変更する場合には定款の変更を行う必要がありますが、もし移転先が同じ市区町村内であれば定款の変更は不要です。定款の本店所在地の記載が、最小行政区画(東京23区内なら区、郡なら町・村、それ以外は市)までとなっているためです。

定款を変更するには、株式会社なら、原則として株主総会の特別決議が必要になります。特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その2/3以上の賛成によって行われる決議です。決議後、取締役会または取締役の過半数の一致によって、移転先や移転日などを決定します。

合同会社の定款の変更には、原則として総社員の同意が必要です。また、具体的な移転先や移転日は、業務執行社員の過半数の一致により決定します。

本店移転登記の申請

変更登記をするには、登記申請書だけでなく、さまざまな書類を提出しなければなりません。株式会社であれば株主総会議事録や取締役会議事録など、合同会社であれば総社員の同意書や業務執行社員の過半数の一致を証明する書面などの提出が必要です。登記申請書は法務局のWebサイト新規タブで開くからダウンロードでき、設立登記申請と同様に窓口、郵送、オンラインの3種類の提出方法があります。

本店移転登記の申請先や登録免許税の金額

本店移転登記など法人の変更登記の手続きは、移転によって管轄の法務局が変わるかどうかで、申請先や登録免許税の金額が異なります。移転後も管轄の法務局が同じであれば、申請先はその所在地を管轄する法務局で、登録免許税は3万円です。

一方、住所変更によって管轄の法務局が変わった場合は、旧所在地と新所在地を管轄するそれぞれの法務局に申請が必要です。ただし、旧所在地を管轄する法務局に2件分の登録申請書などを提出すれば、新所在地に転送されるため、改めて提出し直す必要はありません。なお、法務局の管轄が変わる場合の登録免許税は、2件分の6万円となります。

また、登記されている支店を移転した場合にも、同じように変更登記手続きが必要です。従来は、本店所在地と支店所在地の両方で登記手続きが必要でしたが、会社法の改正によって、登記の申請先は本店所在地を管轄する法務局だけでよくなりました。登録免許税は、支店1か所につき3万円かかります。

本店移転登記以外に必要な届出と提出先

法人が本店所在地を変更した際には、変更登記以外にもさまざまな届出が必要です。登記の変更後に必要になる手続きには期限があるものも多いため、忘れないように注意しましょう。

変更登記以外に届け出が必要な提出先と書類一覧
提出先 書類の名称
税務署 異動届出書
消費税異動届出書(課税事業者)
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(従業員を雇用している場合)
都道府県税事務所
  • 自治体によって提出書類が異なる。
異動届出書(法人異動事項申告書)
登記事項証明書
定款
市区町村役場
  • 自治体によって提出書類が異なる。
法人の設立・設置・変更等に伴う届出(異動届)
登記事項証明書
特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書
年金事務所 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
登記事項証明書
労働基準監督署 労働保険名称・所在地等変更届
公共事業安定所(ハローワーク) 雇用保険事業主事業所各種変更届
登記事項証明書
労働保険名称・所在地等変更届の控え
金融機関
  • 金融機関によって提出書類が異なる。
通帳
本人確認書類
登記事項証明書
郵便局 転居届

税務署

税務署へは、移転後すみやかに、法人税や消費税に関する届出を行いましょう。また、従業員を雇用している場合は、移転した日から1か月以内に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出が必要です。移転前の所在地(納税地)を所轄する税務署に提出します。

都道府県税事務所

会社は法人住民税や法人事業税といった地方税を納めなくてはならないため、移転した日から1か月以内に都道府県税事務所への届出が必要です。都道府県をまたいで移転をする場合は、移転前と移転後の自治体でそれぞれ税額を計算しなければなりません。そのため、移転前と移転後、両方の都道府県税事務所で手続きを行います。

一般的な提出書類は上記のとおりです。必要書類や提出方法は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

市区町村役場

自治体によっては、都道府県税事務所の他に、市区町村役場にも届出が必要な場合があります。例えば、他の市区町村に移転する場合は、移転前・移転後の両方の自治体で法人住民税に関する手続きを行います(東京23区内の移転の場合は窓口が東京都になるため、区役所への提出は不要)。また、住民税の特別徴収を行っている場合は、「特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書」の提出が必要です。

一般的な提出書類は上記のとおりです。こちらも、自治体によって必要書類が異なるため、事前に確認しておいてください。

年金事務所

移転から5日以内に、所在地を管轄する年金事務所で社会保険に関する手続きを行います。移転によって管轄が変わる場合は、移転前の所在地を管轄する年金事務所へ届出をします。年金事務所への手続きは、特に期限が短いため注意しましょう。

労働基準監督署

従業員を雇用している場合は、労働保険に関する手続きが必要です。移転日の翌日から10日以内に、「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。提出先は、移転後の所在地を管轄する労働基準監督署です。

公共事業安定所(ハローワーク)

従業員を雇用していて、雇用保険に加入している場合は、公共事業安定所(ハローワーク)での手続きも必要です。公共事業安定所への届出の期限も、労働基準監督署と同様に、移転日の翌日から10日以内です。手続きの際は労働基準監督署に提出した「労働保険名称・所在地等変更届」の控えが必要になるため、労働基準監督署への届出を先に済ませておきましょう。

金融機関

法人口座を開設している金融機関へは、住所変更が決まり次第すみやかに届出を行わなくてはなりません。手続きの際は、一般的に、通帳や届出印、本人確認書類、登記事項証明書などが必要ですが、金融機関によっても違いがあります。また、インターネットバンキングで手続きをする場合は、別途書類の送付を求められます。

手続き方法や必要書類は金融機関によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

郵便局

移転後しばらくの間は、移転前の住所に郵便物が届く可能性があります。旧住所宛の郵便物を新住所に転送するため、郵便局に転居届を提出しましょう。転居届は、郵便局の窓口かポスト投函、インターネット(e転居)で提出可能です。

窓口とポスト投函では、窓口で手続きを行う人と会社・団体等との関係が分かる社員証や各種健康保険証などの提示も求められます。また、インターネットでの申込時には、本人確認済みのゆうびんIDが必要です。

なお、転居届は移転前でも提出することができます。転居届の提出から登録までには3~7営業日を要するため、郵便物を確実に転送するには移転前に手続きをしておくと安心です。

代表者の住所を変更するときに必要な手続き

株式会社の代表取締役や合同会社の代表社員は、氏名の他、住所も登記事項に含まれます。そのため、会社の代表者が引越しをしたときには、変更登記の手続きを行わなければなりません。

代表者の住所変更登記の申請

変更登記申請書を作成したら、本店所在地を管轄する法務局へ提出します。
株式会社代表者以外の役員については登記事項に氏名のみしか記載がないため、代表者以外の役員の住所変更時には住所変更登記の申請は必要ありません。

また、合同会社も代表社員のみ登記事項に住所が記載されているため、代表社員の住所を変更した場合には登記変更の申請が必要です。

住所変更登記の申請先や登録免許税の金額

変更登記の申請にかかる登録免許税は、1万円(資本金が1億円を超える場合は3万円)です。

社長の自宅を本店所在地している場合は、代表者の住所変更と本店所在地の変更登記を同時に手続きすることも可能です。ただし、その場合も、登録免許税の総額には変わりはありません。
例えば、資本金1億円以下の会社が、管轄内の本店移転と代表者の住所変更を同時に申請すると、登録免許税は3万円+1万円で合計4万円となります。

手続きで悩んだときの相談先を手軽に見つける方法

法人が住所変更をすると、変更登記をはじめとしたさまざまな手続きが発生します。会社の移転前後の慌ただしい時期に、これらの手続きをすべて自分で行うのはたいへんです。そのため、司法書士や税理士、社会保険労務士といった専門家に依頼する企業も少なくありません。
そのような場合は、弥生株式会社の「税理士紹介ナビ新規タブで開く」がおすすめです。

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法人の住所変更の際は、必要な手続きを忘れずに行おう

法人の住所変更は、個人の引越しに比べて多くの手続きが必要になります。届出の期限が設けられているものも多いため、漏れのないように計画立てて手続きをすることが大切です。併せて、取引先仕入先、顧客などへの連絡も、忘れずに行うようにしましょう。

とはいえ、登記や税金に関する手続きは煩雑で、不安を感じる方も多いかもしれません。「住所変更に伴う手続きの手間を軽減したい」「ミスなく手続きを進めたい」という場合には、弥生株式会社の「税理士紹介ナビ新規タブで開く」などを活用して、専門家へ相談すると安心です。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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