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公告とは?意味や公告方法の種類、変更手続きを解説

監修者:森 健太郎(税理士)

2024/02/14更新

会社を設立するときに決める事項の1つが、公告の方法です。一般的には、会社は決めた公告方法を定款で定めているため、定款の作成にあたって、「そもそも公告とは何だろう」「公告方法にはどんな種類があるのだろう」などと戸惑う方もいるかもしれません。

公告には、官報への掲載などの他に電子公告などの方法もあり、それぞれの公告方法の違いを知っておく必要があります。
ここでは、公告の意味や公告方法の種類の他、定款で公告方法を定める際の記載例を解説します。会社設立後に公告方法を変更する場合に必要な手続きも紹介しますので、確認しておきましょう。

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公告とは株主や債権者に特定の事項を告知すること

公告とは特定の事項について、会社が広く一般に告知することです。会社から、株主や取引先、顧客、金融機関など、全ての利害関係者(ステークホルダー)に対して、会社の重要事項を広く知らせることを目的としています。

公告が必要な事項は、会社法によって定められています。このように、法令で定められた公告を「法定公告」といいます。

会社には公告義務がある

法定公告の中でも代表的なものが、決算公告です。決算公告とは、会社の成績や財務状況を出資者(株主)や債権者に明らかにし、取引の安全性を保つために行うものです。

会社法第440条において、株式会社は定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大会社にあっては、貸借対照表と損益計算書)を公告しなければならないと定められています。つまり、株式会社は、毎年必ず決算公告を行う義務があるということです。なお、合同会社には、決算公告の義務はありません。

一方、会社が行う法定公告には、決算公告の他にも、合併公告、資本金の額の減少公告、準備金の額の減少公告、解散公告などがあります。これらについては、株式会社のみならず、合同会社など他の会社形態でも公告の義務があります。

公告の方法は3種類ある

公告には、「官報公告」「新聞公告」「電子公告」という3つの方法があります。会社は公告方法として、この3つのいずれかを定款で定めることができます。公告方法は登記事項であり、登記簿にも記載されます。

ただ、公告方法は、定款に必ず記載しなければならない絶対的記載事項ではないため、定款で公告方法を定めなくても法的な問題があるわけではありません。もし、定款に定めがない場合には、公告方法は「官報公告」とされます。

とはいえ、ほとんどの会社は、設立時に定款で公告方法を定めます。たとえ官報を選択する場合でも、その旨を定款に記載することが一般的です。

官報公告は官報に特定の事項を掲載し周知させる公告方法

官報公告とは、官報に掲載する公告方法です。官報とは国が発行する機関紙で、法令や告示、公告などを国民に周知することを目的としています。行政機関の休日を除く毎日発行されており、国立印刷局と東京都官報販売所に掲示されるほか、オンラインでも配信されています。株式会社のうち、約8割以上が選択している公告方法が、この官報公告です。

官報公告の利用手順

官報で公告を行う場合は、全国官報販売協同組合のWebサイトの入力フォームへの入力または掲載申込書などのファイルを添付してメールで送信するほか、最寄りの官報販売所に郵送やFAXで送るといった方法もあります。申込時には、掲載申込書や掲載原稿の提出が必要です。

官報公告の掲載にかかる料金

官報公告の掲載料金は、行または枠単位で決まります。
掲載内容によって料金は異なりますが、例えば決算公告の場合、一般的には7万円程度の費用がかかります。

官報公告のメリット

官報公告のメリットは、国の機関誌であるため信頼性が高く、比較的かんたんに掲載手続きができることです。特に、オンラインで申し込みをする場合、入力フォームや原稿のひな形があらかじめ用意されているので、手軽に手続きができます。

官報公告を利用する際の注意点

官報公告を利用する際の注意点は、後述する電子公告に比べて費用がかかることです。ただし、日刊新聞紙に比べれば、費用を抑えることができます。

新聞公告は日刊新聞紙を通じて行う公告方法

新聞公告とは、日刊新聞紙に掲載する公告方法です。日刊新聞紙とは、会社法第939条で定められている「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙」のことです。全国紙はもちろん、特定の地域で発行されている地方紙でも問題ありません。ただし、スポーツ紙などは不可とされています。

新聞公告の利用手順

日刊新聞紙に公告を掲載する場合、基本的には掲載を希望する新聞社と原稿をやりとりすることになります。メールなど、新聞社が指定する方法で原稿を送付します。

新聞公告にかかる料金

日刊新聞紙の公告掲載料金は新聞社によって異なりますが、官報公告や電子公告に比べて高額であることがほとんどです。全国紙か地方紙か、掲載サイズ(段数)をどのぐらいにするかによっても料金は変動しますが、決算公告の場合、数十万円はかかるとみていいでしょう。

新聞公告のメリット

新聞公告のメリットは、しいて挙げるとすると、合併公告などの債権者保護手続きにおいて、債権者への個別催告を省略できることです。
法定公告のうち、債権者保護に関わるもの(合併公告や資本金の額の減少公告など)は、官報での公告にとともに債権者に個別催告も必要です。しかし、定款で公告方法を「新聞公告」と定めておくと、官報と併せて日刊新聞紙に公告を掲載することで、個別催告を省略することができます。

新聞公告を利用する際の注意点

新聞公告を利用する際の注意点は、他の公告方法に比べて費用が高額になることです。掲載する新聞にもよりますが、多くは30万円以上かかります。そのため、新しく設立する会社は、新聞公告以外の公告方法を選ぶことが多いようです。

電子公告はオンラインで情報を公開する公告方法

電子公告とは、自社や帝国データバンクのWebサイトなど、オンライン上で情報を公開することより公告を行う方法です。2005年施行の「電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律」によって、それまで官報または日刊新聞紙に限定されていた公告方法に加え、電子公告が認められるようになりました。

電子公告を行う場合は、定款で定めると同時に、公告を掲載するWebページのURLを登記する必要があります。なお、公告方法を官報または日刊新聞紙としている場合でも、決算公告のみを電子公告とすることが可能です。その場合、定款への記載は必要ありませんが、決算公告を掲載するWebサイトの電子公告のURLは登記する必要があります。

電子公告の利用手順

電子公告を利用するには、公告を掲載するためのWebページを用意する必要があります。掲載するのは自社のWebサイトでも問題ありませんし、公告掲載専門のサイトを利用する方法もあります。
なお、決算公告以外を電子公告で行う場合は、公告期間中、電子公告が適法に行われたかどうかについて、電子公告調査機関の調査を受けなければなりません。決算公告については、電子公告調査は不要です。

電子公告にかかる料金

自社のWebサイトであれば、電子公告の掲載費用はかかりません。外部のサイトを利用する場合は、掲載期間に応じた利用料がかかります。利用料はサイトによって異なりますが、1年あたり数千円から数万円程度です。また、自社のWebサイトであっても、外部の制作会社に更新業務を依頼している場合には、公告を更新する度にコストがかかるでしょう。

なお、決算公告以外の法定公告は電子公告調査を受ける必要がありますが、この調査にかかる費用は10万~20万円かかり、それも含めると官報に掲載する費用の3万~20万円より多くなる場合もあるため、注意が必要です。
特に、小規模な会社であれば決算公告以外を公告する必要性はあまりないので、決算公告のみを自社のWebサイト上で行い、その他の公告が発生した場合には官報で公告するという方法をとれば、運用面やコスト面をよりシンプルにすることができます。

電子公告のメリット

電子公告のメリットは、コストを抑えられることです。自社のWebサイトへの掲載なら掲載費用は不要ですし、外部のサイトに掲載を依頼する場合も、官報や日刊新聞紙に比べて費用がかかりません。

また、新聞公告のメリットと同様に、合併公告などの債権者保護手続きにおいて、債権者への個別催告を省略できることも電子公告のメリットとしてあげられます。
法定公告のうち、債権者保護に関わるもの(合併公告や資本金の額の減少公告など)は、官報での公告にとともに債権者に個別催告も必要です。しかし、定款で公告方法を「新聞公告」と定めておくと、官報と併せて日刊新聞紙に公告を掲載することで、個別催告を省略することができます。

電子公告を利用する際の注意点

電子公告を利用する場合にも注意点があります。決算公告において、官報や日刊新聞紙では貸借対照表の要旨だけを掲載すればいいのですが、決算公告を電子公告で行う場合は、貸借対照表の全文を掲載する必要がある点です。加えて、電子公告は5年間掲載し続けなければなりません。

また、決算公告以外の法定公告には電子公告調査機関の調査が必要になるため、別途調査費用がかかる点も負担に感じられるでしょう。

公告の定款への記載方法

官報以外の方法で公告を行う場合は、あらかじめ定款で定める必要があります。また、公告方法を官報とする場合も、会社設立時に定款に記載しておくことが一般的です。

ここからは公告方法別に、定款への記載例を紹介します。

定款の記載の仕方

  • 官報公告の場合の記載例
  • 新聞公告の場合の記載例
  • 電子公告の場合の記載例

官報公告の場合の記載例

公告方法を官報とする場合は、定款に次のように記載します。

官報公告の場合の記載例

当会社の公告は官報に掲載する方法により行う。

新聞公告の場合の記載例

公告方法を日刊新聞紙への掲載とする場合は、具体的な新聞名を定款に記載します。地方紙の場合は、発行地域名も併せて記載しましょう。

新聞公告の場合の記載例

当会社の公告は◯◯新聞に掲載する方法により行う。
当会社の公告は◯◯県において発行される◯◯新聞に掲載する方法により行う。

電子公告の場合の記載例

電子公告の場合、掲載するWebページのURLを登記する必要がありますが、定款にはURLの記載は不要です。

電子公告の場合の記載例

当会社の公告は電子公告により行う。

また、システムトラブルなどによって電子公告ができない場合の公告方法について、定款に定めることが可能です。

電子公告に公告できない場合の公告方法を定める場合の記載例

当会社の公告は電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法により行う。

  • 定款の書き方については以下の記事を併せてご覧ください

公告方法の変更手続き

定款に定めた公告方法を変更する際には、所定の手続きが必要になります。公告方法は登記事項でもあるため、定款の変更に加えて、変更登記手続きも行うようにしましょう。

  • 定款の変更については以下の記事を併せてご覧ください

公告をしないと罰せられる規定がある

会社法第976条では、決算公告を含めた法定公告を怠ったときや、不正の公告を行ったときは、100万円以下の過料に処すると定められています
ただ、会社法第440条では、決算公告を行うべきタイミングを「定時株主総会の終結後遅滞なく」としており、明確な期日が定められているわけではありません。

定款の作成など会社設立を手軽に行う方法

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また、「弥生の設立お任せサービス」は、弥生の提携先である起業に強い専門家に、会社設立手続きを丸ごと代行してもらえるサービスです。専門家を探す手間を省けるほか、電子定款や設立登記書類の作成、公証役場への定款認証などの各種手続きを依頼でき、確実かつスピーディな会社設立が可能です。会社設立後、専門家とご相談のうえ、会計事務所との税務顧問契約を結ぶと割引が受けられ、サービス利用料金は実質0円になります。定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。

公告方法の違いを知ったうえで定款に定めよう

会社を設立するときには、公告方法を定款に定めるのが一般的です。公告方法は官報への掲載とする企業が大半ですが、その他にも日刊新聞紙や電子公告といった方法を選ぶことも可能です。

特に株式会社は、年に1度、決算公告を行う義務があります。公告方法は後から変えることもできますが、その場合は定款と登記の変更手続きが必要になります。公告方法によって特徴や費用が異なるため、よく検討してから決めるようにしましょう。

また、会社設立の際は、手軽に定款の作成ができる「弥生のかんたん会社設立」や専門家に手続きの代行を依頼できる「弥生の設立お任せサービス」の活用をご検討ください。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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