スモールビジネスとは?小さく始めるメリットと起業の成功事例を解説

2023/12/04更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

スモールビジネスは、その名のとおり小規模な事業を指します。小規模だからこそ事業にまつわるリスクを抑えやすいといった特徴があり、起業・開業や副業をする方に選ばれるビジネスモデルの1つです。
これからビジネスを始めてみようと考えている場合は、リスクを抑えて安定した事業継続ができるよう、スモールビジネスのメリット・デメリットや成功事例を知っておきましょう。

ここでは、スモールビジネスの特徴やメリット・デメリットの他、起業事例も交えてスモールビジネスで起業する方法について解説します。

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スモールビジネスとは少人数かつ小資本で行うビジネスモデル

スモールビジネスとは、少人数かつ小資本で行うビジネスモデルのことを指します。明確な定義はありませんが、中小企業をはじめ、1人会社のような小規模法人、個人事業主やフリーランス、副業などもスモールビジネスと呼ばれることもあります。

スモールビジネスは、少ない資金で事業を始めることからリスクを抑え、時間をかけて堅実な成長を目指すことが特徴です。また、少人数で行うため、個人の裁量や力量などが売上に影響しやすい傾向があるので、始める前に稼働時間や売上見込みなどのバランスを考えて事業を考えるようにしましょう。

スモールビジネスで起業・開業するメリット

スモールビジネスは小規模事業だからこそ起業・開業する際にメリットになることがいくつかあります。
スモールビジネスでの起業には、主に次のようなメリットがあります。

スモールビジネスで起業・開業する主なメリット

  • 初期費用を抑えやすい
  • 自分の裁量で働ける
  • リスクを抑えやすい

初期費用を抑えやすい

スモールビジネスは小規模で事業を行うので、大企業に比べて初期費用を抑えやすいというメリットがあります。例えば、コンサルタントやライター、デザイナーはパソコンやインターネット環境、机などがあれば自宅でも仕事が可能です。また、店舗や事務所を必要とする飲食業でも、家賃や敷金、礼金、設備費、仕入れ代、人件費はかかりますが、店舗面積や立地といった条件次第で初期費用を抑えることにつながります。店舗での販売だけでなく、キッチンカーやテイクアウト専門店、卸売りといった販売方法を工夫することでも初期費用を抑えられるでしょう。

大手外食チェーンのように全国展開したり、広大な店舗面積を確保したりする大規模事業でのリターンは大きいですが、初期費用もその分かかってしまいます。起業の際に金融機関からの融資を受けずに手元資金だけで事業を始められると、返済のリスクを抱えなくてすみます。

個人の裁量が大きい

スモールビジネスでは、個人の裁量が大きくなりやすいこともメリットに挙げられます。例えば、中小企業では人数が少ない分、大企業よりも一人当たりの裁量権が大きくなりやすく、多岐にわたる経験を積める可能性があります。また、自分1人で働く場合は就業時間や休日、作業場所といった働き方の他、売上や経費といったお金のこと、業務内容や業務量についても自分で決めることができます。個人の裁量を活かせる環境であれば、自分の好きなことや得意なことなどを取りいれることで、やりがいにもつながるでしょう。

しかし、個人の裁量が大きいとプレッシャーになることはあるかもしれません。特に1人で起業・開業する場合は、まずは副業で試してみて、自分がどれくらい働けるのか、売上があがるのかをはかってみるのも1つの方法です。

リスクを抑えやすい

スモールビジネスは、初期費用や運転資金が少ない分、リスクを抑えられるというメリットがあります。事業において予測外のことが起きても、損失が小規模であればリカバリーする範囲を最小限にとどめられる可能性があります。

また、起業して初めから生活費をまかなうだけの利益をだすことは難しいかもしれません。そのため、会社勤めをして生活費をまかないながら、副業で始めればリスクを抑えやすいでしょう。初期投資を小規模にとどめておけると、事業継続が難しくなった場合の損失を抑えることにもつながります。

スモールビジネスで起業するデメリット

スモールビジネスは自分の裁量が大きくなりやすいというメリットがある一方で、少人数だからこそデメリットになることもあります。スモールビジネスで起業を考える際には、メリットとデメリットの他、自分の生活に必要な収入についても考えておきましょう。

スモールビジネスで起業する主なデメリット

  • 人が減ると業務がまわらなくなる
  • 仕事の幅や量に制限ができる
  • 複数人いる会社より信用度が低くなることがある

人が減ると業務がまわらなくなる

スモールビジネスのデメリットとして、少人数なために急に人が減ると業務がまわらなくなることが挙げられます。例えば、病気やケガなどで従業員や自分が倒れたり、働けなくなったりすると業種によっては事業運営をストップしなくてはいけない場合があります。特に自分1人で事業を行っている場合であれば、自分が働かなければ仕事が進まず、収入を得られなくなることも考えられるでしょう。少人数で負担を分散することで残業が増えたり、仕事ができない期間は収入が途絶えたりすることがありますので注意してください。

仕事の幅や量に制限ができる

スモールビジネスは個人の裁量が大きくなる一方で、個人の能力に合わせて仕事の幅や量に制限ができることもデメリットといえます。小規模でリスクを最小限に抑えられるものの、大きなリターンは見込めないともいえるでしょう。

また、1人で事業を行った場合は資金繰りや広報活動など、全てのことを自分で行わなくてはいけないため、慣れない作業に時間がかかって、事業運営に影響することもあるかもしれません。

複数人いる会社より信用度が低くなることがある

スモールビジネスは1人や少人数で行っているため、経営者である自分が倒れたり、従業員が減ったりすると事業存続が危ぶまれます。そのため、多くの人が組織的に働いている大企業と比べると社会的な信用度が低くなることもデメリットといえるでしょう。例えば、社会的な信用度が低くなると、取引先からの依頼や金融機関から融資を受ける際に影響があるかもしれません。ただし、一般顧客を相手にするECショップや小売りなどを経営する場合においては、スモールビジネスだからといってデメリットにならない場合もあります。

スタートアップとの違いはビジネスモデル

スモールビジネスとスタートアップの違いは、ビジネスモデルや事業目的です。スタートアップは、革新的な新しいビジネスモデルを考え、新たな市場を提供して短期的に急成長させる会社のことです。また、短期間での利益回収といった出口戦略(イグジット)を意識していることも、スモールビジネスとの違いに挙げられます。

一方、スモールビジネスは少ない資金から事業を始め、既存のビジネスをベースに派生させた商品・サービスなどを展開する傾向があります。革新性や急成長を目指すのではなく、事業を堅実に長く継続させていくことを目指すビジネスモデルといえるでしょう。

なお、混同しやすい言葉にベンチャーもあります。ベンチャーには新しい事業を行う会社や起業したての会社という意味があり、一般的にスモールビジネスとスタートアップはベンチャーに含まれるといわれています。

※スタートアップ起業については以下の記事も併せてご覧ください

スモールビジネスを始める際には市場ニーズや利益率を考えておく

スモールビジネスで起業・開業をする際には、リスクを抑えて事業を安定させられるよう、いくつか意識しておいた方がいいポイントがあります。主に意識しておくべきポイントは以下のとおりです。

市場規模を確認する

スモールビジネスに限らず、起業・開業するうえで市場規模を確認しておくことは、売上や利益の予測につながります。スモールビジネスは小規模になるため、大企業なら採算がとれないと考えるようなニッチな市場でもビジネスとして成り立つこともあるかもしれません。

ただし、その売上規模で生活ができるのか、事業が継続できるのかは別問題といえます。小規模事業でも事業を継続して生活していくためには、自分のやりたい事業で参入した際の市場ニーズや市場規模を分析しておきましょう。

利益率を高くする

仕事の幅や量に制限のあるスモールビジネスで事業を継続させていくには、利益率を上げることも意識しておくべきポイントといえます。利益率が高ければ高いほど、少ない量の仕事で効率良く利益を得ることができます。反対に、仕入れ代や外注費などが占める割合が多すぎると、いくら自分が頑張ってもなかなか利益が上がらなくなってしまいます。スモールビジネスで起業する際には、できるだけ原価を抑えられるビジネスモデルを構築するよう意識しましょう。

勉強を欠かさない

スモールビジネスでは、起業・開業の準備から事業運営、営業活動といった事業に関わる全てを自分や少人数の従業員で行う必要があります。個人の裁量が大きくなる分、会計処理や広報活動、営業活動など初めて行う業務もあるかもしれませんが、勉強を欠かさないことが安定した事業運営につながっていくでしょう。

また、積極的な情報収集も欠かせません。ビジネスについて勉強するには、先輩起業家の話を聞いたり、起業セミナーに参加してみたりする方法があります。

スモールビジネスで起業した成功事例

スモールビジネスから始めて、起業したケースは少なくありません。ここでは、副業としてスモールビジネスを始め、起業に至った2人の起業事例をご紹介します。

副業ではじめたカヌレ専門店が大人気店舗へ

週末3日間限定でカヌレ専門店「Canelé Labo(カヌレラボ)」を営む寺島孝尚さんは、会社員として働きながら、副業でカヌレの製造と卸売を始め、のちに法人化させた起業家です。大学生の頃に食べたカヌレの味が忘れられず、独学でカヌレ作りを始め、仕事の合間に勉強をしながら、副業でカヌレの卸販売を始めます。

その後カヌレが評判となり、店舗を構えることになります。味に自信はあったものの、事業として成功するかがわからなかったため、ローリスクになるよう小さな店舗から開始。会社勤めも続けていたので、できる範囲で徐々に販売数を増やしていき、3年で年商1,000万円を超えたときに独立を決意したといいます。脱サラするまでに約22年。SNSを中心に地道な宣伝を続けた結果、お店はネット集客や口コミで人気を集め、法人化と店舗の移転拡大も実現させています。

※先輩起業家からのヒント

銀行員からフードコーディネーターに転身

「やりたいことを仕事にしよう」と決意し、銀行員から未経験のフードコンサルタントに転身した松田弘子さんは、地元・奈良県を拠点に食にまつわる総合的なフードコンサルティング業を行っています。

銀行で働くかたわら、フードコーディネーターという仕事を知ったことをきっかけに養成学校に通って資格を取得しました。週末にフードコーディネーターのアシスタントしている際に働かないかと打診をいただくも、銀行員を辞める決意がそのときはまだできなかったといいます。その後、野菜ソムリエの資格を取得し、広告代理店での知り合いも増え、これならできるかもと思った29歳のときに銀行を退職して起業。周囲からの反対の声もあったそうですが、覚悟を決めたといいます。

その後、行政や産直レストランの仕事を通して、フードコンサルティング業へも広がり、仕事の規模が大きくなってきたことを契機に法人化しました。仕事の依頼が増えても、あくまでも自分がプレイヤーとして、誠意をもって対応できる範囲を大切にしているそうです。

※先輩起業家からのヒント

会社の設立手続きを手軽に行う方法

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スモールビジネスはリスクを抑えて起業・開業する方法の1つ

中小企業をはじめ、少人数や1人会社で始められるスモールビジネスには、自分の裁量が大きな環境で働けたり、大企業よりも初期費用が抑えられたりといったメリットがあります。自分の好きなことでいつかは起業したい、起業したいけれどリスクが心配という方は、まずは副業でスモールビジネスを始めてみるのも1つの方法です。

ビジネスが軌道に乗ってから法人化する方法もありますので、自分がやりたい事業内容や市場規模に合わせて、無理のない方法で起業を目指しましょう。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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