会社設立時の役員はどう決める?必要な人数や構成の決め方を解説
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会社を設立する際、「役員は何人必要なのか?」「自分1人でも設立できるのか?」といった疑問を抱く方は少なくありません。会社法によると株式会社・合同会社ともに1名から設立が可能ですが、役員には従業員とは異なる法的な責任やルールが存在します。
本記事では、会社設立時に最低限必要な役員の人数や役割の違い、役員構成の決め方から、任期のルール、そして就任時に知っておくべき重い責任(競業や利益相反取引の制限など)までわかりやすく解説します。起業前に押さえたい役員の基礎知識を網羅していますので、ぜひ参考にしてください。
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会社設立時に必要な役員と責任の範囲
会社を設立するときは、役員についても決定が必要です。株式会社か合同会社によって、必要な役員や責任の範囲は異なります。それぞれの役員構成について知っておきましょう。
なお、厳密には合同会社には会社法上の「役員」という概念はありません。本記事では分かりやすくお伝えするために、株式会社の役員と対応させる形で、合同会社の「業務執行社員」や「代表社員」についても便宜的に「役員」として説明しています。
会社役員については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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株式会社と合同会社で異なる役員構成
株式会社と合同会社の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
株式会社の場合
株式会社の場合、役員は取締役、監査役、会計参与の3種が定義されていますが、必ず置かなければならないのは取締役のみ、つまり役員は最低1名から設立可能です。また、取締役の任期は原則2年ですが、すべての株式に譲渡制限がかかっている会社(非公開会社)の場合は定款で最長10年まで伸ばすことができます。
| 取締役 | 会社の方針や通常業務などの経営に関する事項の決定や、その実行が主な任務です。取締役の中で会社を代表する者を最低1人代表取締役とします。 |
|---|---|
| 監査役 | 取締役の会社経営が適正に行われているかを監査します。監査の範囲は、会計のみにする場合、業務まで監査できる権限を持たせる場合の2種類があります。 |
| 会計参与 | 取締役らと共同して会社の損益計算書や貸借対照表などを作成します。公認会計士、監査法人、税理士もしくは税理士法人のみ就任できます。 |
取締役については、以下の記事でも詳しく解説しています。
合同会社の場合
合同会社の場合は、業務執行社員とその他の社員という、シンプルな役員構成です。業務執行社員が最低1名いれば設立可能です。
| 業務執行社員 | 会社の業務を行う人。さらに代表社員を最低限1人この中から選出できます。 |
|---|---|
| その他の社員 | 会社の業務を行わず出資のみを行います。 |
合同会社の役員については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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役員構成の決定における注意点
株式会社でも合同会社でも、役員は2パターンに分かれます。それは、1人で起業する場合と複数名で起業する場合です。
1人起業の場合
株式会社の場合は取締役・代表取締役に、合同会社の場合は業務執行社員・代表社員に就任します。個人事業主が法人に移行する場合などは、この1人起業であることがほとんどで、個人事業主が出資して、そのまま役員に就任します。
1人で会社を作る手順やメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
複数人で起業する場合
友人や共同創業者、あるいは家族(妻など)を役員に迎える場合、誰が役員に就任するのか、最終的な決定権は誰が持つのか、また報酬はどのように受け取るのかなどについても、相手の意向を踏まえたうえで、決定していく必要があります。
役員の肩書きについて
社長、専務、CEOといった呼称は社内で自由に決められるもので、法律上定められた取締役、監査役、会計参与の役員とは関係がありません。ただ、役員でない人に経営陣を連想させるような肩書きをつけることは、取引先に誤解を与える場合もありますので注意しましょう。
代表取締役や執行役員については、以下の記事でも詳しく解説しています。
役員の任期と変更登記について
役員の氏名や代表取締役、代表社員の住所は登記事項証明書に記載されます。任期満了によって同じ人が役員を続ける場合(重任)や、新任・辞任があった場合、また代表取締役や代表社員の住所変更があった場合などは、変更が生じた日から2週間以内に法務局へ変更登記の手続きが義務付けられている点に注意しましょう。
なお、2024年10月1日より「代表取締役等住所非表示措置」が開始され、株式会社の設立登記等の際に一定の要件を満たせば、代表取締役の自宅住所を非表示(市区町村までの記載)にすることが可能になりました。プライバシー保護の観点から、自宅を本店所在地にして起業する方などに注目されている制度です。
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役員就任時の留意点
役員になると通常の従業員と比べ、より大きな責任が求められます。もし、会社業務執行について、重大な過失があり第三者に損害を与えた場合、それが故意に損害を与えた場合でなくても役員が賠償する責任を負います。第三者に損害を与えたケースでは、株主総会の承認で免責されることもないので、役員はより慎重に業務を遂行しましょう。
役員が特に配慮しなければならないのが、競業と利益相反取引です。競業はその名の通り、会社と競合するような同じ部類の取引をすることです。役員が就任中に別会社を立ち上げて会社の顧客を奪うケースなどは、典型的な競業にあたります。さらに自分の利益になるように会社と取引をすること、たとえば会社の資産などを通常より著しく低い金額で購入したり、無償で譲り受けたりすることは利益相反取引とみなされ、行うには、原則として株主総会の承認が必要となります。
さらに税務・社会保険の面でも従業員とは異なります。役員は原則として労災・雇用保険(労働保険)の対象外となりますが、役員報酬を受け取る場合は法人として社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられます。
役員を引き受ける際、もしくは、誰かを役員に選出する際には、その責任の重さを考慮したうえで、検討を重ねて決断したいですね。
役員就任前に確認しておきたい就任承諾書の書き方や役員報酬に関しては、以下の記事も併せてご確認ください。
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よくあるご質問
会社設立に役員は何人必要ですか?
株式会社の場合は取締役が最低1名、合同会社の場合は業務執行社員が最低1名必要です。したがって、自分1人(発起人=役員)でも会社設立は可能です。株式会社と合同会社の役員構成の違いについては、「株式会社と合同会社で異なる役員構成」も参考にしてください。
会社設立時の役員就任にはどんな書類が必要ですか?
役員に就任することを承諾した「就任承諾書」が必要です。また、取締役会を設置しない株式会社を設立する場合、取締役に就任する全員分の「印鑑証明書」(発行から3ヶ月以内のもの)が原則必要となります。就任承諾書の詳しい書き方やルールについては、「就任承諾書の書き方は?作成する際の注意点も解説」を参考にしてください。
役員報酬はいつ、どのように決めたらよいですか?
会社設立後、3ヶ月以内に定時株主総会(合同会社の場合は社員の同意等)で決定しましょう。一度決めた金額は原則として次の事業年度まで(1年間)変更できないため、慎重に決定しなければなりません。役員報酬の詳しいルールや、給与との違いについては「役員報酬とは?決め方や給与との違い、定期同額給与や事前確定届出給与も解説」も併せて参考にしてください。
役員が決まったら、次にどのような手続きが必要ですか?
役員構成や任期が決まったら、会社のルールを定める「定款」や、役員の「就任承諾書」などの設立書類を作成し、公証役場や法務局で手続きを行います。これらの書類をゼロから自分で作成するのは手間がかかりますが、「弥生のかんたん会社設立」を利用すれば、画面の案内に沿って入力するだけで、必要書類を自動で作成できます。専門知識がなくてもスムーズに設立手続きを進められるため、ぜひご活用ください。
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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)
税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。
著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版』