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法定内残業の計算方法は?残業の種類と割増賃金の違いも解説

残業には「法定内残業」と「法定外残業」の大きく2種類があります。従業員が残業をしたときには残業代(残業手当)の支払いが発生しますが、残業代の計算方法は、法定内残業と法定外残業で異なります。法定内残業では割増賃金は発生しないので、残業代の計算時には注意が必要です。

ここでは、法定内残業の定義や法定外残業との違い、法定内残業の残業代の計算方法の他、特殊な労働形態における残業の注意点などについて解説します。

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法定内残業とは法定労働時間内の残業のこと

法定内残業とは、所定労働時間を超えるものの、法定労働時間を超えない残業のことです。法定内残業について解説する前に、まず「所定労働時間」や「法定労働時間」について解説します。

所定労働時間は就業規則などで定められた労働時間

所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書で定められた、会社や従業員ごとの労働時間のことです。就業規則や雇用契約書に記載された、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を差し引いたものが、所定労働時間になります。

例えば、始業時刻が9時、終業時刻が18時、休憩1時間なら、所定労働時間は8時間です。

会社は、次に解説する法定労働時間の範囲内であれば、従業員の所定労働時間を自由に設定できます。法定労働時間は1日8時間以内なので、1日の所定労働時間を6時間や7時間に設定しても問題ありません。しかし、法定労働時間を超えて所定労働時間を定めることはできません。

法定労働時間は労働基準法で定められた労働時間の上限

法定労働時間とは、労働基準法によって定められている「1日8時間・週40時間」という労働時間の上限のことです。

労働基準法第32条では、使用者(雇用者・企業)は原則として、1日に8時間かつ週に40時間を超えて労働者を働かせてはいけないと定められています。法定労働時間を超えて従業員を働かせた場合は、通常の賃金の125%以上の割増賃金が発生します。なお、この労働時間には、休憩時間は含みません。

法定外残業(時間外労働)との違い

法定内残業と法定外残業の違いは、残業を含めたトータルの労働時間が「1日8時間かつ週40時間」の法定労働時間を超えるかどうかという点です。

例えば、所定労働時間が7時間の人が1時間残業をした場合、1日の労働時間は8時間で法定労働時間の範囲内なので、その1時間は法定内残業となります。しかし、同じ人が2時間残業をすると、1日の労働時間が9時間になるため、残業のうち1時間は法定内残業、1時間は法定外残業となります。また、所定労働時間が8時間の人の場合は、残業はすべて法定外残業となります。

労働基準法では、「1日8時間かつ1週間40時間」を超える労働、つまり法定外残業のことを「時間外労働」と呼びます。時間外労働に対しては、通常の賃金の125%以上の割増賃金を支払わなければなりません。また、時間外労働をさせるには、後述する36協定の届出が必要です。

早出残業、普通残業との違い

企業によっては、始業時刻前に働くことを「早出残業」と呼び、終業時刻後の一般的な残業と区別するケースがあります。また、早出残業に対して、終業時刻後の一般的な残業を「普通残業」ということもあります。

早出残業も普通残業も、労働時間に対する考え方は同様で、「1日8時間かつ週40時間」の法定労働時間内なら法定内残業です。

例えば、所定労働時間が7時間の人が1時間の早出残業をした場合、法定労働時間の範囲内なので、法定内残業となります。

法定内残業に36協定の締結は不要

法定内残業においては、36協定の締結は必要ありません。36協定とは、時間外労働や休日労働をさせる場合に必要な、労働基準法第36条に基づく労使協定のことです。

労働基準法では、法定労働時間を超える労働は原則禁止されていますが、あらかじめ労使の合意のもと36協定を締結し、管轄の労働基準監督署に届け出ていれば、36協定の範囲内での時間外労働を認めています。
36協定を結ばずに、従業員に時間外労働をさせることはできません。しかし、法定内残業は労働基準法上の時間外労働に該当しないため、36協定の締結・届出は必要ないのです。

残業の種類と割増賃金

法定内残業と法定外残業は、どちらも賃金の支払いが必要ですが、割増賃金の有無が異なります。また、深夜労働や法定休日における労働など、他にも割増賃金が必要な事例はあります。ここでは、残業の種類と割増賃金について解説しましょう。

法定内残業

法定内残業では、割増賃金は発生しません。従業員が法定内残業をした場合は、通常の1時間当たりの賃金を、残業時間数に応じて支払います。なお、会社の規定に基づいて、法定内残業に対して割増賃金を支払っても、労働者有利であることから問題はありません。

法定外残業(時間外労働)

法定労働時間を超える法定外残業(労働基準法上の時間外労働)には、割増賃金が発生します。時間外労働に対する割増賃金の割増率は、125%以上です。つまり、従業員に法定外残業をさせたときには、通常の賃金の1.25倍以上を支払わなければなりません。

36協定で定める時間外労働の上限は、「月45時間・年360時間」です。ただし、特別条項付きで労使協定を締結していれば、臨時的な特別な事情がある場合に限り、月45時間を超える時間外労働が認められます。この場合、1か月の時間外労働が60時間を超えると、150%以上の割増率を支払わなければなりません。

また、月45時間を超える時間外労働は、年間6か月までしかできないので注意が必要です。その他、臨時的な特別な事情があって労使が合意していても、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超える時間外労働はできません。

割増賃金が発生するその他の労働

割増賃金には、時間外労働の他、深夜に労働させた場合の「深夜労働」や、法定休日に働かせた場合の「休日労働」があります。これらの労働は、種類によって賃金の割増率が異なります。

深夜労働

深夜労働とは、22時~翌朝5時における労働のことです。従業員に深夜労働をさせた場合は、割増率125%以上の割増賃金を支払う必要があります。なお、深夜にわたって時間外労働を行った場合、それぞれの割増率が加算され、時間外労働(125%以上)+深夜労働(125%以上)で、割増率は150%以上です。

法定休日における労働

法定休日とは、労働基準法で定められた「週1日または4週を通じて4日の休日」のことです。この法定休日に従業員を働かせたときは休日労働とされ、割増率は135%以上となります。休日労働が深夜に及んだ場合はそれぞれの割増率が加算され、休日労働(135%以上)+(125%以上)で、割増率は160%以上です。

法定外休日における労働

法定外休日とは、就業規則や雇用契約書で定められた、法定休日以外の休日を指します。従業員を法定外休日に働かせたとしても、法定労働時間の範囲内であれば割増賃金は発生せず、通常の1時間当たりの賃金を、労働時間数に応じて支払います。ただし、「1日8時間かつ週40時間」の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働として割増賃金の対象になります。

残業の種類と最低割増率
残業の種類 最低割増率
時間外労働(法定労働時間を超える労働) 1.25
時間外労働(上記の法定労働時間60時間を超過した場合) 1.5
深夜労働(22時~5時の労働) 0.25
法定休日労働 1.35

法定内残業の賃金計算

法定内残業に対する残業代は、その従業員の1時間当たりの基礎賃金を基に計算します。計算式は下記のとおりです。

法定内残業の賃金の計算式

法定内残業の賃金=1時間当たりの基礎賃金×法定内残業時間

1時間当たりの基礎賃金の求め方は、給与形態によって異なります。

月給制の場合

月給制の場合は、一般的に次のような計算式で1時間当たりの基礎賃金を算出します。

月給制の1時間当たりの基礎賃金の計算式

1時間当たりの基礎賃金=月給額÷1か月の平均所定労働時間

  • 平均所定労働時間を使用するかどうかは就業規則によって異なります。

1時間当たりの基礎賃金を算出するにあたり、月給額には、基本給以外に支払っている手当等も含まれます。ただし、下記の手当等は除外されるので注意しましょう。

基礎賃金から除外される手当等

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金(結婚祝い金や傷病手当金など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

その他の賃金制の場合

月給制以外の給与形態では、下記のように1時間当たりの基礎賃金を求めます。

時給制の1時間当たりの基礎賃金の計算式

1時間当たりの基礎賃金=時間給として決まっている金額

日給制の1時間当たりの基礎賃金の計算式

1時間当たりの基礎賃金=日給÷1日の所定労働時間数

出来高制の1時間当たりの基礎賃金の計算式

1時間当たりの基礎賃金=出来高給÷出来高給の算定期間中の総労働時間数

法定外残業の賃金計算

法定外残業(時間外労働)に対する賃金は、次の計算式によって算出されます。

法定外残業(時間外労働)の賃金の計算式

時間外労働の賃金=1時間当たりの基礎賃金×時間外労働時間数×1.25

1時間当たりの基礎賃金の求め方は、法定内残業の場合と同様です。時間外労働の割増率は125%以上ですが、ここでは最も低い125%としています。

なお、1か月の時間外労働時間が60時間を超えたときは、割増率は150%となり、計算式は「1時間当たりの基礎賃金×時間外労働時間数×1.5」となります。

例えば、1時間当たりの基礎賃金が1,500円だったとき、時間外労働1時間に対する賃金は下記のとおりです。

1か月60時間までの法定外残業での1時間当たりの賃金

1,500円×1.25=1,875円

1か月60時間を超える法定外残業での1時間当たりの賃金

1,500円×1.5=2,250円

さまざまな労働制における残業の注意点

これまで解説してきたように、法定内残業には割増賃金は発生しません。「残業代=割増賃金」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、残業が法定内残業であれば、通常の1時間当たりの賃金を残業時間に応じて支払えば問題ありません。

ただし、裁量労働制や、フレックスタイム制といった労働形態では、労働時間の計算方法が異なる場合もあるため注意が必要です。ここでは、さまざまな労働形態における残業の注意点をご説明します。

裁量労働制の場合

裁量労働制とは、実際に働いた時間とは関係なく、あらかじめ定められた時間を労働時間とみなす制度のことです。

例えば、契約する労働時間(みなし労働時間)を8時間とした場合、8時間分の仕事量をこなせば、実際の労働時間が1時間でも10時間でも8時間分の賃金が支払われます。

また、従業員を深夜や法定休日に働かせた場合は、裁量労働制であっても、それぞれ所定の割増率の割増賃金が発生します。

フレックスタイム制の場合

フレックスタイム制とは、一定の期間内で定められた総労働時間の範囲内で、労働者自身が日々の始業時刻や終業時刻、労働時間を会社が定めるフレックスタイム制の規定に従い、自由に決められる制度です。

フレックスタイム制では、法定労働時間である「1日8時間かつ週40時間」を超えたからといって、すぐに時間外労働になるわけではありません。フレックスタイム制の法定労働時間は、下記の計算式で算出されます。なお、清算期間とは、労働者が働くべき時間数を定めた期間のことです。

フレックスタイム制の法定労働時間の計算式

清算期間における法定労働時間の総枠=40時間(1週間の法定労働時間)×清算期間の暦日数÷7

例えば、清算期間が1か月の場合、清算期間の暦日数ごとに法定労働時間の総枠は下記のようになります。

フレックスタイム制での清算期間の暦日数別法定労働時間
清算期間の暦日数 1か月の法定労働時間の総枠
31日 177.1時間
30日 171.4時間
29日 165.7時間
28日 160.0時間

この法定労働時間の総枠を超えた労働時間については時間外労働となり、割増賃金が発生します。

変形労働時間制の場合

変形労働時間制とは、一定期間内における所定労働時間を柔軟に調整する制度です。繁忙期と閑散期とがはっきりしている業種などで採用されており、「繁忙期には所定労働時間を長くし、閑散期には短くする」といった設定ができます。

変形労働時間制には、1か月単位、1年単位、1週間単位(非定型的)の3種類があり、それぞれで労働時間の上限などが異なります。ただし、いずれの場合も1週平均の労働時間は40時間までと決められています。

変形労働時間制の場合の割増賃金は、計算が非常に複雑なので、導入する単位によって適切に対応する必要があります。

残業代の計算をミスなく行うには給与計算ソフトがおすすめ

残業代の計算は、残業の種類によって、割増賃金の有無や割増率が変わります。従業員が残業をしたときには、まず法定内残業か法定外残業かを把握したうえで、それぞれに合わせた方法で残業代を計算しなければなりません。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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