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時短勤務の給料の計算方法は?給与や賞与の減額率を解説

近年では働き方の多様化が進んでおり、育児や介護などの理由で時短勤務を選択する従業員も増えています。従業員が時短勤務を希望した場合には、フルタイム勤務に比べて給料の金額が少なくなるため、給与計算の方法を正確に把握し、対応することが重要です。

ここでは、時短勤務の給与やボーナス(賞与)、各種手当の計算方法を紹介すると共に、従業員から時短勤務を希望された場合の注意点についても解説します。

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育児・介護での時短勤務は、勤務時間に応じた給与の減額が可能

従業員が育児や介護を理由に時短勤務を希望した場合、それを理由に企業が基本給や時給を不合理に減額することは認められません。時短勤務中であっても、従業員の給与は、従来の基本給や時給を基に計算されます。ただし、時短勤務によって労働時間を短縮した分、給与の支給額は減少するため注意が必要です。

例えば、これまで8時間勤務だった人が6時間の時短勤務になれば、労働時間が従来の75%となるため、支給される金額基本給も75%になるということです。

育児・介護休業法では、3歳未満の子どもを育てる従業員から希望があった場合、会社は時短勤務をさせなければならないと定められており、1日の所定労働時間は、原則として6時間に短縮されます。

同様に、家族を介護している従業員から申し出があった場合も、会社は所定労働時間の短縮等の措置を講じなければなりません。介護のための時短勤務については、法律による所定労働時間の定めはありませんが、育児時短勤務と同じく1日6時間とすることが一般的です。

その他、会社によっては、就業規則で定める範囲で、時短勤務の対象範囲を拡大したり、独自の時短勤務制度を導入したりするケースもあります。なお、時短勤務の給与計算においても、最低賃金を下回らないことは大前提です。

時短勤務における1か月の基本給の計算方法

時短勤務をする従業員が時給制であれば、給与計算は「時給×時短勤務時の労働時間」ですから、それほど難しくはありません。では、月給制の場合、時短勤務の給与計算はどのように行えばよいのでしょうか。

月給制の従業員が時短勤務を取得した場合は、一般的に、労働時間に応じて基本給の金額を計算します。計算式にすると下記のとおりです。

時短勤務における基本給の計算方法

時短勤務の基本給=通常の基本給÷通常の所定労働時間×時短勤務の所定労働時間

例えば、通常の所定労働時間が1日8時間、基本給25万円の従業員が、時短勤務によって1日の所定労働時間を6時間に短縮したと考えてみましょう。この場合、時短勤務中の基本給は、下記のようになります。

25万円÷8時間×6時間=18万7,500円

所定労働時間が8時間から6時間へ25%短縮されたのに応じて、基本給も25万円から18万7,500円へと25%減額となります。

基本はノーワーク・ノーペイの原則を採用している企業が多い

時短勤務中の基本給が減額されるのは、「ノーワーク・ノーペイの原則」(労働基準法24条)に準拠しています。ノーワーク・ノーペイの原則とは、「労働者が働いていない場合、会社はその部分について賃金を支払う義務はない」という給与計算の基本原則です。

ただし、時短勤務中の賃金が減少するのは、あくまで労働時間が短縮された分についてのみです。減少した労働時間に対して、合理性がなく、明らかに賃金の減少割合が大きい場合は、「不利益取扱いの禁止」にあたります。

また、時短勤務になれば必ず給与が減少するとも限りません。会社によっては、時短分に対しても一定の給与が支払われたり、従来どおりの成果を上げれば時短勤務中でも給与額が変わらなかったりするケースもあります。

時短勤務では残業手当やボーナスにも変化がある

従業員に支払われる給与は、基本給だけではありません。時短勤務になると、ボーナスや残業手当を始めとする各種手当の金額にも変化が生じます。

ボーナスは通常時よりも減額になることがある

ボーナス(賞与)は基本給とは異なり、法律で支給が義務付けられているものではありません。そのため、時短勤務中のボーナス支給額は、各企業の就業規則や賃金規程の定めによって計算されます。

ボーナス支給額の計算方法は企業によって異なりますが、基本給や企業業績、個人業績を基準とすることが一般的です。ケース別に、時短勤務のボーナスの計算方法を見てみましょう。

基本給が基準の場合

「基本給の◯か月分」というように、基本給を基準にボーナス支給額が決まる場合は、時短勤務中の基本給が算定のベースになります。

例えば、前述の例のように、時短勤務によって基本給が25万円から18万7,500円になった場合、ボーナス支給額を基本給の2か月分としている会社なら、18万7,500円×2か月で37万5,000円です。基準となる基本給の額が少なくなる分、ボーナスの支給額も減額となります。

企業業績、個人業績が基準の場合

企業業績や個人業績を基準とする場合は、フルタイム勤務でも時短勤務でも同じ基準で判断しなければなりません。ただし、時短勤務の従業員に対して、労働時間などに合わせた目標設定をするなどの配慮が求められます。

基本給、企業業績、個人業績のすべてが基準の場合

基本給、企業業績、個人業績を複合的に判断する場合は、基本給と企業業績・個人業績を基準としたボーナス支給額を別々に算定してから合算します。算定基準の中に基本給が含まれるため、企業や個人の業績が良かったとしても、支給額は時短勤務前より減少する可能性が高くなります。

時短勤務でも残業時には手当が支払われる

時短勤務であっても残業は可能です。ただし、育児や介護を理由とした時短勤務においては、従業員本人から残業免除の申請があった場合、所定労働時間を超えて残業をさせることはできません。

もし、時短勤務の従業員が残業をしたときには、当然のことながら、労働時間に応じた残業代が発生します。このときの残業代は、労働時間が「1日8時間かつ週40時間」という法定労働時間を超えるかどうかで計算方法が変わってくるため注意しましょう。

例えば、時短勤務で所定労働時間が1日6時間の従業員が1時間残業した場合、1日の労働時間は7時間で法定労働時間内なので、通常賃金に応じた1時間分の残業代を支払います。

しかし、同じ従業員が3時間の残業をした場合、1日の労働時間が9時間となるため、法定労働時間を超えた1時間に対しては、通常賃金の1.25倍以上の割増賃金(時間外手当)を支払わなければなりません。

残業手当以外の手当の計算は会社ごとに異なる

会社によっては、残業手当以外にも、通勤手当や住宅手当など、さまざまな手当を設定していることがあります。時短勤務中、これらの手当がどのように計算されるかは、各企業の就業規則や賃金規程によって異なるため確認が必要です。

各種手当には、一般的に次のようなものがあげられます。

労働日数が基準となる手当

通勤手当、宿直手当、食事手当、皆勤手当などは、実際の労働日数や労働時間に応じて支給の有無や支給額が決まる手当です。時短勤務で労働日数が変わることで金額が変更になる可能性があります。

職務が基準となる手当

役職手当や資格手当などの職務が基準となる手当は、あらかじめ就業規則などでルールを定めておくことが大切です。支給要件に該当すれば、時短勤務で労働時間が短くなっても手当の計算は変わりません。

家庭関連の手当

家庭関連の手当には、住宅手当や扶養手当などがあります。これらの手当は、労働日数や労働時間に関係なく支給されるものなので、就業規則に定める要件を満たせば、時短勤務になっても減額はありません。

社会保険料は届け出をしないと従来どおりのまま

時短勤務になると、給与額は減少することがほとんどです。給与から差し引かれる社会保険料は時短勤務以前の基準が適用されるため、「給与だけが下がって、社会保険料は従来どおり」ということになり、手取額がさらに減少してしまいます。

ただし、育児休業からの復職後そのまま育児時短勤務をする場合に限り、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、社会保険料を給与に応じて減額することが可能です。

また、育児時短勤務によって社会保険料を減額したとき、「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出すれば、将来受け取る年金額が減少されない「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度もあります。これらの届け出は、本人が会社に申し出を行い、会社が日本年金機構に提出します。

なお、育児以外の理由による時短勤務は、このような減額措置は設けられていません。

育児・介護のための時短勤務で注意すべき点

育児・介護休業法では、事業主に対して、育児や介護をする従業員のために時短勤務制度を導入することを義務付けています。所定の要件を満たした従業員から申し出があれば、会社はその従業員の労働時間を短縮させなければなりません。

従業員からの申請に適切に対応するために、育児・介護休業法における時短勤務対象者の条件や法改正などの注意点を、改めて確認しておきましょう。

育児のための時短勤務の対象となる労働者

育児のための時短勤務ができるのは、3歳未満の子どもを養育する労働者です。企業は、3歳未満の子どもを育てている従業員から希望した場合には、1日の所定労働時間を原則として6時間とする時短勤務をさせなければなりません。従業員は、子どもが3歳になるまで、育児時短勤務を利用することができます。

ただし、たとえ3歳未満の子どもを育てる労働者でも、時短勤務の対象とならないケースがあります。

育児のための時短勤務が対象外となるケース

  • 1日の所定労働時間が6時間以下
  • 日々雇用される者(日雇労働者)
  • 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業(産後パパ育休含む)をしている
  • 労使協定により、適用除外とされている(その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者や、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者など)

介護のための時短勤務の対象となる労働者

介護のための時短勤務を申請できるのは、要介護状態の家族を介護する労働者です。企業は家族を介護する従業員に対して、介護休業とは別に、時短勤務など必要な措置を講じる必要があります。
講じるべき措置は以下のいずれかで、連続する3年以上の期間内で2回以上利用できるようにしなければなりません。

介護のための時短勤務で企業が講じるべき制度

  • 時短勤務(1日の所定労働時間、または週・月の所定労働日数や時間の短縮)
  • フレックスタイム制度
  • 始業・終業時刻の繰り上げ、繰り下げ
  • 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度

ただし、次のような場合は、介護時短勤務の対象にはならないため注意しましょう。

介護のための時短勤務が対象外となるケース

  • 日々雇用される者
  • 労使協定により、適用除外とされている(その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者や、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者)

育児・介護休業法の改正に注意する

育児・介護休業法は、何度も改正が行われています。例えば、2022年には2度、2023年にも1度の改正がありました。2022年の改正では、雇用環境整備および個別周知・意向確認の措置が義務化され、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件が緩和されました。また、直近の2023年4月施行の改正においては、常時雇用する労働者数が1,000人超の大企業を対象に、育児休業等の取得状況の公表が義務付けられました。

これらの改正を受け、各企業でも、育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施や相談窓口の設置、社内周知、業務体制の見直しなどが求められます。育児・介護休業法は今後も改正される可能性があるため、常に最新情報に注意を払う必要があるでしょう。

時短勤務の計算は給与計算ソフトで効率化しよう

時短勤務は、育児・介護休業法と密接なかかわりがあります。時短勤務の給与計算を行うには頻繁な法改正にも対応しなければならず、処理が大変です。また、時短勤務の給与については、基本給の他、ボーナスや手当などについても個別に計算しなければなりません。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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