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管理職には残業代が支払われない?支給するケースや注意点を解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/03/01更新

従業員が所定の労働時間を超えて残業をすると、会社から残業代が支払われます。では、管理職が残業をした場合、残業代はどうなるのでしょうか。

一般的には「管理職になると残業代が出ない」という話がよく聞かれます。しかし、管理職の肩書があっても、残業代が支払われるケースと支払われないケースがあります。

ここでは、なぜ管理職に残業代が支給される・支給されないケースがあるのか、その違いや管理職の残業代に関する注意点などについて解説します。

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管理職に残業代が支給されない理由

会社によっては、管理職として一定の役職に就くと、残業代が支給されなくなることがあります。「管理職になったら役職手当は支給されるが残業代は出なくなった」という話を聞くこともあるでしょう。

しかし、管理職の肩書がついたからといって、すべての人に残業代が支給されないわけではありません。残業代が支払われないのは、その管理職が、労働基準法で定められた「管理監督者」である場合のみです。

残業代が支給されないのは管理監督者に該当するため

管理職に残業代が支払われないのは、その人が労働基準法における管理監督者に該当するためです。

労働基準法では、労働時間の上限を原則「1日8時間・週40時間」と定めており、これを法定労働時間といいます。従業員が法定労働時間を超えて働いた場合、会社は残業代として割増賃金を支払わなくてはなりません。また、法定休日(週1日または4週を通じて4日の休日)に働いた場合も、割増賃金(休日出勤手当)の支払いが発生します。

しかし管理監督者には、労働基準法の労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。そのため、たとえ法定労働時間を超えて働いたとしても、残業代が支給されません。

管理監督者とは、労働基準法第41条2号に定められている「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるもの」と定義されています。つまり、ただ肩書が管理職であるだけではなく、経営にかかわる立場に該当する場合は、残業代が支給されないということになります。

なお、管理監督者には残業代や休日出勤手当は支給されませんが、22時~翌5時の労働に対しては、一般の従業員と同じように深夜労働手当が発生します。

管理監督者に該当する条件

管理監督者に該当するかどうかは、職務内容や責任と権限、勤務態様などの基準にもとづいて判断されます。一般の従業員との違いは具体的にどのような内容なのか、確認していきましょう。

経営にかかわるような職務を担っている

管理監督者であるかどうかを判断する大きなポイントが、その職務内容です。管理監督者は経営者と一体的な立場にあり、部署内の管理だけにとどまらず、会社の経営にかかわるような職務を担っている必要があります。

例えば、経営会議の参加や役員の採用活動など、経営者と同等の業務を行い、総合的に経営に携わっていると判断される場合は、管理監督者とみなされます。労働時間や休憩、休日などの枠を超えて働かざるを得ないような重要な職務内容でなければ、管理監督者とはいえないでしょう。

重要な責任と権限を与えられている

管理監督者とみなされるには、経営者から重要な責任と権限を委ねられている必要があります。たとえ「課長」や「リーダー」などの肩書があったとしても、「重要な事項については上司に判断を仰ぐ必要がある」「決定権がなく経営陣の意向を部下に伝えるだけ」といった状態では、管理監督者とは認められません。役職名がついているだけではなく、仕事における決定権を持っているかどうかが重要です。

勤務形態にとらわれない働き方をしている

管理監督者は勤務時間に明確な決まりがなく、自分の業務量や業務内容、仕事の進め方などを、勤務形態にとらわれず自身の裁量で決定することができます。そのため、一般従業員のように出勤時間や退勤時間、残業時間などを管理されることはありません。また、欠勤や遅刻、早退によって、減給処分、賃金控除などのペナルティを受けることもありません。

もし労働時間を厳しく管理していたり、上司の指示に従って業務を行っていたりする場合は、管理監督者に該当しないと考えられます。

賃金などの待遇が見合っている

会社にとって重要な職務を担う管理監督者は、その責任や権限に見合った待遇を受けるべきです。給与や賞与をはじめ、その他の待遇においても、一般従業員と扱いが異なるのは当然といえます。

「収入が他の一般従業員とほとんど変わらない」「管理職になったらそれまでと比べて手取りが減ってしまった」というようでは、相応の待遇とはいえません。そのような場合は、管理監督者に該当しない可能性が高いでしょう。

管理監督者とみなされるかどうかは実態に応じて変わる

労働基準法における管理監督者に該当するかどうかは、上に挙げた判断基準にもとづいて総合的に判断する必要があります。「管理職に就いたら管理監督者」「労働時間を管理されなければ管理監督者」などと、特定の条件のみで認められるものではありません。

「残業代が支払われる管理職か、それとも残業代が発生しない管理監督者か」という判断は、職務内容や責任と権限、勤務態様などの実態に応じて変わります。例えば、店舗の責任者として店長を任されていても、アルバイトの採用や解雇等の人事権に関する権限がない場合は、管理監督者とはいえないでしょう。反対に、採用や解雇に関する人事権を持っているからといって、必ずしも管理監督者に該当するとは限りません。

また、労働基準法の労働時間や休日の規定が適用されない管理監督者だからといって、休日なしで何時間働いてもかまわないということではありません。会社は、健康を害するおそれのある長時間労働をさせないように配慮する必要があります。

管理職で残業代を支給するケース・支給しないケース

これまで解説してきたように、管理職で残業代が支払われないのは、その管理職が管理監督者に該当する場合に限られます。ここで改めて、管理職に残業代が支給されるケースと、支給されないケースについて確認しておきましょう。

残業代を支給するケース

管理職として役職に就いていても、勤務実態や待遇などが一般の従業員と変わりない場合は、残業代の支給対象になります。会社は、法定労働時間を超えて働いた残業(時間外労働)に対して、通常の賃金の1.25倍以上の割増賃金を支払わなければなりません。

時間外労働の上限は原則として、1か月45時間、1年360時間です。ただし、特別条項付きで労使協定を締結していれば、必要性がある場合に限り月45時間を超える時間外労働が認められます。

なお、時間外労働が1か月60時間を超えると、割増賃金率は50%以上となります。

残業代が支給されないケース

管理監督者の条件を満たす管理職は、労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日の規定が適用されません。そのため、法定労働時間を超えて残業をしても、残業代は支給されません。
ただし、22時~翌5時の深夜労働を行った場合は、管理監督者も一般従業員と同じように深夜労働手当が支給されます。深夜労働手当の割増率は、25%以上と定められています。

管理職における残業代の注意点

管理職の残業代に関して注意しなければならないのが「名ばかり管理職」の問題です。名ばかり管理職とは、勤務実態や責任と権限、待遇などが管理監督者の条件に該当しないにもかかわらず、残業代や休日出勤手当が支払われない管理職のことです。

そもそも管理職とは、ある一定の組織を管理運営するポジションを指す言葉であり、企業が任意で決めている概念にすぎません。社内での役職や肩書がついていても、管理監督者としての実態が伴っていないのであれば、会社は残業代や休日出勤手当を支給する必要があります。管理職と管理監督者を混同し、必要な残業代を支払わないことは法律違反となるため注意が必要です。

管理職の残業代の有無は労働実態によって決まる

「管理職に残業代が出ない」といわれることはよくあります。ただし、残業代が支払われないのは、労働基準法で定められた管理監督者に対してです。管理監督者に該当するかどうかは、勤務態様や責任と権限、待遇などの実態から総合的に判断されます。

管理監督者ではない管理職には、一般の従業員と同様に残業代や休日出勤手当の支払いが発生します。また、管理監督者であっても、深夜労働手当の支給は必要です。これらの割増賃金は、種類によって計算方法や割増率が異なります。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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