勤務時間に休憩時間は含まれる?労働時間との違いや計算方法を解説
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仕事中の休憩時間は、従業員が労働から離れ、心身を休めたり食事をとったりするための大切な時間です。多くの企業では、昼休みといった休憩時間を設けていますが、休憩時間は勤務時間や労働時間に含まれるのでしょうか。
ここでは、労働基準法における休憩時間の定義やルールのほか、勤務時間・労働時間・休憩時間の関係などについて解説します。
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勤務時間と労働時間の違い
「勤務時間」と「労働時間」は意味が異なるため、休憩時間を把握する上でその違いを確認しておく必要があります。
勤務時間とは、法律では定めはありませんが、一般的には就業規則で定めた始業から終業までの時間のことで、休憩時間も含みます。就業時間と同じ意味の言葉です。
一方、労働時間とは、雇用主の指揮命令下で労働者が働く時間のことです。実際に働く時間のことを指すため、労働時間に休憩時間は含まれません。つまり、勤務時間から休憩時間を引いたものが、労働時間となります。
なお、労働契約や就業規則で企業が定めた労働時間のことを、「所定労働時間」といいます。所定労働時間は、労働基準法で定められた1日8時間かつ週40時間の法定労働時間の範囲内であれば、自由に設定することが可能です。
例えば、「始業時間が9時、終業時間が18時、休憩時間が60分」の場合、勤務時間は9時間、所定労働時間は8時間ということになります。
労働基準法における休憩時間の定義
労働基準法では、労働者の休憩時間に関するさまざまなルールを定めています。勤務時間や所定労働時間を設定する際には、休憩時間のルールについて把握しておくことが大切です。
休憩時間の付与における3原則
労働基準法第34条では、休憩時間の付与に当たり、雇用主に対して次の3つの原則を定めています。
途中付与の原則
雇用主は従業員に対し、休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。例えば、始業すぐの休憩や、終業間近で休憩時間を取りそのまま退勤するような形では、労働基準法を守っていることにはなりません。
自由利用の原則
雇用主は、休憩時間中は従業員を労働から完全に離れさせ、自由に時間を使用させる義務があります。休憩時間に、業務に関することを命じることは休憩時間の取得とみなされません。
例えば、昼休みに電話番をさせた場合、それは休憩時間を与えたとはみなされません。電話番をさせるのなら、その時間は労働時間とし、別途休憩時間を与える必要があります。また、休憩時間は労働から離れているため、賃金の支払いが発生しない時間となります。
一斉付与の原則
雇用主は休憩時間を、事業場のすべての従業員に対して、同じ時間に与える必要があります。従業員ごとに休憩時間のタイミングを変えることは認められていません。
ただし、労使間において書面による協定がある場合は、一斉付与でなくてもかまいません。また、業種によっては、従業員が同時に休憩を取ってしまうと不便が生じます。そのため、旅客業や運送業、小売業、接客業など特定の業種に関しては、一斉付与の原則から除外されます。
労働時間に応じて休憩時間が付与される
雇用主が従業員に与えなければいけない休憩時間の長さは、労働時間に応じて決められています。労働基準法第34条では、労働時間が6時間超8時間以下の場合に関して、少なくとも45分の休憩を与えると定められています。また、8時間を超える場合は、少なくとも60分の休憩を与えなければなりません。
例えば、所定労働時間がちょうど8時間であれば、休憩時間は45分でも法的には問題ありません。しかしその場合、1分でも残業をすると労働時間が8時間を超え、60分の休憩時間が必要です。そのため、多くの企業では、所定労働時間が8時間なら、あらかじめ60分の休憩時間を設定しています。
なお、運輸業や運送業など、業種によっては、労働基準法の基準よりも長い休憩時間を付与する場合もあります。ただ、休憩時間には「途中付与の原則」があるので、休憩時間が長くなれば、その分勤務時間(拘束時間)も延ばさなければなりません。そのため、この勤務時間(拘束時間)にも一定の限度時間が定められています。詳細は、厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」を参考にしてください。
労働時間に対して必要な休憩時間
従業員の労働時間が6時間を超えると、休憩時間が必要となります。ここからは、具体例をあげて、従業員に付与すべき休憩時間について確認していきましょう。
労働時間が6時間超8時間以下の場合
始業時間が9時30分、終業時間が17時15分というケースでは、勤務時間は7時間45分となりますので、45分以上の休憩が必要となります。
なお、休憩時間を45分に設定する場合、所定労働時間は勤務時間の7時間45分から休憩時間を引いた7時間となります。
労働時間が8時間を超える場合
始業時間が8時30分、終業時間が17時30分というケースでは、1分でも残業をすれば労働時間が8時間を超えるため、少なくとも休憩時間を60分とした方がいいでしょう。
このケースで18時30分まで仕事をした場合、勤務時間は10時間となりますので、所定労働時間の8時間と休憩時間の1時間を引いて、時間外労働は1時間ということになります。
労働時間がちょうど6時間の場合
労働基準法で休憩時間の付与が定められているのは、労働時間が6時間を超える場合です。そのため、所定労働時間がちょうど6時間であれば、休憩時間がなくても法的に問題はありません。
ただし、労働時間が6時間を1分でも超えた場合は、労働時間中に45分の休憩が必要です。もし残業によって労働時間が6時間を超えるときは、「途中付与の原則」に基づき、休憩時間を与えてから残業させなければなりません。
休憩時間における注意点
雇用主が従業員に休憩時間を付与する際には、いくつかの注意点があります。労働基準法におけるルールと共に、以下の点に注意しましょう。
雇用形態や勤務形態にかかわらず付与
休憩時間に関するルールは、従業員の雇用形態や勤務形態で変わることはありません。正社員や契約社員、パート、アルバイトなど、どのような雇用形態でも、休憩時間の付与における3原則に則って、労働時間に応じた休憩を与える必要があります。
例えば、正社員であっても労働時間が6時間以下なら休憩時間を与える義務はありません。また、勤務形態が時短勤務や裁量労働制の場合でも、6時間を超える労働であれば休憩時間が必要となります。
残業における休憩時間
休憩時間の有無や長さは、実際に働いた労働時間によって決まります。所定労働時間が6時間でも、残業をして実際の労働時間が6時間を超えれば、少なくとも45分以上の休憩時間が必要です。また、残業によって労働時間が8時間を超えた場合は、少なくとも60分の休憩時間を与えなければなりません。
例えば、始業時間が9時、終業時間が17時、休憩時間が45分のケースで考えてみましょう。この場合、所定労働時間は7時間15分なので、通常の休憩時間は45分で問題ありません。しかし、この従業員が1時間残業をすると、労働時間は8時間15分となるため、少なくとも60分の休憩時間が必要になります。この場合、通常の休憩時間に加えて15分の休憩を与え、トータルの休憩時間を60分以上にしなければなりません。
休憩時間は分割して付与することも可能
従業員の休憩時間は、分割して付与することができます。例えば、60分の休憩時間を30分ずつに分割するといった場合です。
ただし、分割した場合でも、休憩時間の付与における3原則は守らなければなりません。休憩時間の分割が細かすぎて1回当たりの時間があまりに短いと、従業員が自由に時間を使うことが難しくなるため、「自由利用の原則」に反します。
また、「途中付与の原則」があるため、分割した休憩時間も労働時間の途中で付与する必要があります。分割した休憩時間を終業直前に設定し、早めに帰るようなことは認められません。
休憩時間のルールを理解し、適切に管理しよう
労働基準法では、従業員の労働時間に応じた休憩を与えなければならないと定められています。また、従業員に休憩をさせるときは、休憩時間の付与における3原則を守る必要があります。正社員やアルバイトなど、雇用形態や勤務形態を問わず、ルールに沿って適切に休憩時間を付与するようにしましょう。
休憩時間や労働時間を正しく理解することは、従業員の給与計算を行う上でも非常に大切です。特に、休憩時間や労働時間が従業員によって異なる場合、従業員の数が増えるほど管理も煩雑になってきます。
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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務
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