Excel(エクセル)で給与計算をするには?Excelでの計算方法と注意点

2022/12/09更新

この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

従業員を雇用している事業者の中には、「Excelを使って給与計算をしたい」と考えている方もいるかもしれません。Excelでの給与計算は手書きに比べて手間を削減できます。しかし、Excelで給与計算を始める前に、知っておきたいいくつかのポイントがあります。

ここでは、Excelを使った給与計算の具体的な流れと、Excelで給与計算を行うメリット・デメリットについて解説します。

Excelで給与計算をする方法

Excelを使って給与計算をする場合、まずは基本となるフォーマットを用意する必要があります。その方法には、「自分で給与計算用のExcelシートを作成する」または「既存のテンプレートを利用する」という大きく2つがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

自分で給与計算用のExcelシートを作成する

自分で給与計算用のExcelシートを作成すれば、自由にカスタマイズができるので、自社に合った使いやすい給与計算システムを作り上げることが可能です。

しかし、給与計算用のExcelシートを自作するのは手間と時間がかかるうえ、もし仕様にミスがあった場合は正確な給与計算ができません。Excelの操作によほど精通した方でなければ、ハードルの高い方法だといえるでしょう。

既存のテンプレートを利用する

給与計算に使える既存のテンプレートの多くは、給与計算に必要な項目や基本的な機能が備わっており、無料でダウンロードすることもできます。さまざまなテンプレートがあるため、好みのデザイン、仕様を選ぶことができるでしょう。

なお、テンプレートはあくまで雛型なので、自社の給与形態に合わせたカスタマイズが必要です。

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Excelを使った給与計算の流れ

ここからは、実際にExcelで給与計算を行う際の手順について見ていきましょう。給与計算に用いるExcelシートは、設定によって仕様や機能が異なりますが、基本的な流れは下記のとおりです。

1. 給与の計算期間を設定する

給与の締め日や支給日などを入力し、給与の計算期間を設定します。これらの情報がないと、いつからいつまでの給与を計算すればいいのかわからなくなってしまいます。

2. 従業員の情報を入力する

従業員ごとに、氏名や生年月日、年齢、住所、入社日、扶養家族の人数、社会保険の加入日などの情報を入力します。

3. 基本給や交通費などの給与に関するデータを入力する

基本給や通勤交通費などの原則的に固定となる給与について、従業員ごとに入力します。昇給や引越しなどで固定給に変動があった場合は、必ずデータを変更するようにしましょう。

4. 手当に関するデータを設定する

住宅手当や役職手当、資格手当、家族手当など、従業員ごとの手当に関するデータを入力します。割増手当に関しては、時間外、休日や深夜など残業の種類によって割増賃金の計算方法が異なるため、ケースごとに分けて設定しなければなりません。

なお、割増賃金を計算する際に、原則として、家族手当や通勤手当、住宅手当などは、基礎となる月給には含まれません。割増賃金の計算に含まれる手当と含まれない手当を確認し、区分して管理できるようにしておきましょう。また、日割りや欠勤・遅刻早退の控除計算についても別途設定する必要があります。

5. 控除に関するデータを設定する

月々の給与から控除する社会保険料や所得税・住民税の設定をします。従業員の年齢が40歳以上の場合は、介護保険料の控除も必要です。組合費や積立金など会社独自の控除項目があれば、併せて設定しておきましょう。

6. 勤怠管理シートに出勤状況を入力する

出勤日、始業時間、終業時間といった従業員1人1人の出勤状況を勤怠管理シートに入力します。出勤状況データの入力は、タイムカードなどの勤怠記録を確認する方法が一般的です。データを入力すると、それまで設定した内容に応じて、給与や手当、控除に関する金額が計算されます。

給与計算で便利なExcel関数

Excelでの給与計算は、関数を使うとより効率化できます。給与計算に役立つExcel関数をご紹介します。

WEEKDAY関数

WEEKDAY関数は、日付から曜日に合わせた数値を返す関数です。勤怠データの日付に合わせて曜日が自動で入力されるため、ミスや手間の削減につながります。休日労働など曜日が関わる給与計算を行う際にも役立ちます。

CEILING関数、FLOOR関数、MROUND関数

CEILING関数、FLOOR関数、MROUND関数は、勤務時間や割増賃金の計算をする際の端数処理に役立つ関数です。設定した基準値に応じて、切り上げを行うのがCEILING関数、切り捨てを行うのがFLOOR関数、切り上げまたは切り捨て(四捨五入)を行うのがMROUND関数です。

IF関数

IF関数は、あらかじめ設定した条件に従い、条件に合っているときと合っていないときで処理を変える関数です。例えば、所定の労働時間を超えた場合のみ残業時間の計算を行うなど、残業の有無をひと目で判別できます。

Excelで給与計算をするメリット

Excelでの給与計算には、次のようなメリットがあります。

Excelがあれば無料で使える

Excelを使う大きなメリットは、インストールされていれば料金がかからないことです。給与計算のExcelシートは、インターネットなどから無料でダウンロードできるものがたくさん公開されています。

手書きよりも手間を省ける

給与計算に必要な設定をしたExcelなら、勤怠情報を入力するだけで、ある程度は自動で給与計算が可能です。計算機などを使って手書きで給与計算をするよりも、格段に手間を省くことができるでしょう。

普段からExcelを使っている方は操作に慣れている

普段からExcelの操作に慣れていて、関数なども使いこなせる方であれば、給与計算もスムースに行えるでしょう。自社の状況に合わせてカスタマイズができれば、より一層、利便性が高まります。

Excelで給与計算をするデメリット

Excelでの給与計算にはメリットがある一方で、デメリットもあります。Excelを使った給与計算を行う際には、下記のことに注意しましょう。

税額表や保険料の変更に注意が必要

税額表や社会保険料の料率は、改定が行われます。Excelで給与計算をする場合は、頻繁な改定にその都度手動で対応しなければなりません。改定時期も一定ではないため、日ごろから細かくチェックしていないと変更を見逃してしまう可能性があります。万が一、誤った料率で計算してしまうと、従業員に支給する手取り給与の金額が変わり、修正や精算の処理が発生します。

作業が属人化しやすい

Excelでの給与計算は、Excel操作に慣れていない方にはハードルが高いものです。そのため、「Excelに精通した担当者でないと給与計算ができない」「担当者が退職・異動すると引き継ぎが難しい」という事態に陥ってしまうことがあります。

データの保管が万全ではない

給与計算のデータは、毎月支給する給与をはじめ、労働保険の年度更新や年末調整などの業務にも影響します。Excelで給与計算を行う場合は、予期せぬパソコンの故障などに備え、定期的なバックアップが必須です。また、情報漏洩を防ぐために、入力データや使用するパソコンの管理には十分注意を払う必要があります。

給与計算をかんたんにするには給与計算ソフトの利用がおすすめ

Excelでの給与計算はコスト面でのメリットがあるものの、Excelの操作や関数の知識がない方にとっては、かえって時間と手間がかかってしまう可能性があります。

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この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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