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賃金支払基礎日数とは?給与体系別の数え方や注意するポイントを解説

賃金支払基礎日数とは?給与体系別の数え方や注意するポイントを解説

雇用保険の「賃金支払基礎日数」とは、賃金の支払い対象となる日数を意味します。被保険者期間の算定などに使用するため、正しく数えることが重要です。

本記事では、社会保険における「支払基礎日数」との違いを整理したうえで、給与体系別の数え方や、休日・有給休暇・夜勤時の取り扱い、算定時の注意点を解説します。よくある質問も紹介していますので、賃金支払基礎日数算定の際にお役立てください。

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賃金支払基礎日数とは、賃金や報酬の支払い対象となる日数のこと

「賃金支払基礎日数」とは、雇用保険の制度において、賃金の支払いがあった日として扱われる日数を指します。基本手当(いわゆる失業手当)や育児休業給付金など、各種給付の受給要件を判断する際の基礎となります。

似た用語に「支払基礎日数」がありますが、こちらは健康保険など社会保険料を計算するベースとなる、被保険者の標準報酬月額を決定する際に使用するものです。

また、「賃金の支払い対象になる日数」は、実際の「出勤日数」とは必ずしも一致しません。給与体系によって数え方が違うため、賃金支払基礎日数の正しい算定ルールを理解しておきましょう。

雇用保険の賃金支払基礎日数とは

雇用保険における被保険者期間の算定では、賃金支払基礎日数が基準となります。被保険者期間は、離職日から1か月ごとに遡って区切った各期間のうち、「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」または「賃金支払いの基礎となる労働時間が80時間以上ある月」を完全月と呼び、これを1か月としてカウントします。時給制や日給制の場合、賃金支払基礎日数が11日未満であっても、合計の労働時間が80時間以上であれば1か月として算定されます。

失業保険を受給するためには、原則として離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算で12か月以上あることが条件となります。

社会保険料の支払基礎日数とは

標準報酬月額の算出方法

支払基礎日数は、社会保険料の計算基準となる「標準報酬月額」を決定するために使われます。標準報酬月額は、原則として毎年7月1日を基準日とし、4月・5月・6月の3か月間に支払われた報酬の平均額に基づき、年に一度「定時決定(算定)」によって見直されます。具体的には、3か月分の報酬総額を月数で除して算出した平均報酬月額が基となります。

ただし、この算定対象となるのは、4~6月の3か月間すべての支払基礎日数が17日以上の場合です。もし4~6月で支払基礎日数17日未満の月がある場合、通常の被保険者(フルタイム等)と短時間労働者では算定方法が異なります。
通常の被保険者の場合、17日以上の月の報酬を優先して平均を算出します。一方で、短時間労働者の場合は条件が緩和され、支払基礎日数が11日以上の月が算定対象となります。

このように算出された平均報酬額を「標準報酬月額保険料額表」に当てはめて、その年の9月からの保険料が決定します。

標準報酬月額を使用する社会保険料

社会保険料の計算において標準報酬月額を使用するのは、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て支援金です。各保険料は、標準報酬月額にそれぞれの保険料率を乗じて算出します。企業と従業員で保険料を折半するため、従業員が負担する月々の保険料は「標準報酬月額×各保険料率÷2」の計算式で求められます。

標準報酬月額について詳しくはこちらの記事で解説しています。

短時間就労者の社会保険における取り扱い

短時間就労者の場合、社会保険における標準報酬月額の算定基準が通常とは異なります。ここでいう短時間就労者とは、正社員と比較して所定労働時間や所定労働日数が少ない条件で勤務する人を指します。
短時間労働者の標準報酬月額も、正社員と同様に毎年1回の定時決定によって決まります。

ケースごとの算出方法は以下のとおりです。

短時間就労者の標準報酬月額の算出方法
  • 4月、5月、6月の3か月間で、支払基礎日数17日以上の月が1か月以上ある場合
    →17日以上の月の報酬を合算し、その月数で除して算出した平均を基に、標準報酬月額を決定します。
  • 短時間労働者(特定適用事業所に勤務する短時間労働者を除く)で、4月、5月、6月の3か月間すべての支払基礎日数が17日未満の場合
    →3か月間の中で、支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬総額から算出した平均を基に、標準報酬月額を決定します。
  • 4月、5月、6月の3か月間すべての支払基礎日数が15日未満の場合
    →原則として、従前の標準報酬月額が用いられます。

短時間労働者の場合も、4~6月の3か月すべての支払基礎日数が17日以上の場合や、4~6月の中で17日以上の月が1か月でもある場合、通常の方法で平均報酬月額を算出します。

また、4~6月のすべてが17日未満であっても、15日以上の月があれば、該当月(15日以上17日未満の月)の報酬の平均を平均報酬月額とします。支払基礎日数が3か月とも15日未満である場合は「保険者算定」となり、直近で使われていた標準報酬月額がそのまま適用されます。

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給与体系別の賃金支払基礎日数の数え方

賃金支払基礎日数の数え方は、「完全月給制」「日給月給制」「日給制・時給制」といった給与体系ごとに異なります。以下にそれぞれの給与体系別の賃金支払基礎日数の数え方を詳しく解説します。

完全月給制の場合

完全月給制とは、月単位で支給額が固定されており、欠勤があった場合でも基本的に給与の減額が行われない給与形態です。完全月給制の場合は、欠勤した日も含めた暦日数が賃金支払基礎日数となります。

暦日数とは、土日や祝日を含めたカレンダー上の日数を指します。このため、月末が31日の月であれば31日、30日の月であれば30日が賃金支払基礎日数となります。例えば、賃金計算期間が3月26日から4月25日の場合、暦日数で数えるため、賃金支払基礎日数は31日です。

日給月給制の場合

日給月給制は、月額賃金を基準としながら、欠勤が生じた場合には欠勤日数分が差し引かれるしくみの給与形態です。

日給月給制における賃金支払基礎日数は、就業規則や賃金規程で定められた月平均所定労働日数から、欠勤日数を差し引いて算出します。例えば、月平均所定労働日数が20日の場合、欠勤がなければ賃金支払基礎日数は20日となり、欠勤が2日あれば18日となります。なお、有給休暇を取得した日は欠勤には該当せず「賃金の支払い対象」に含まれるため、賃金支払基礎日数から差し引かれません。

同じ「月給制」でも、完全月給制は「暦日数」、日給月給制は「所定労働日数から欠勤日数を差し引いた日数」を基準にするという違いがあります。自社がどちらに該当するかを正しく把握しておきましょう。

日給月給制について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

日給制・時給制の場合

日給制や時給制の場合、実際の出勤日数が賃金支払基礎日数となります。有給休暇を取得した日も出勤日と同様に賃金支払いの対象となるため、賃金支払基礎日数に含めて数えます。

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賃金支払基礎日数で注意するポイント

賃金支払基礎日数の数え方には、いくつかの間違えやすいポイントがあります。賃金支払基礎日数を正確に算定するために、以下の点に注意しましょう。

公休日の扱い

賃金支払基礎日数を数える際、公休日の扱いは従業員の給与形態によって異なります。

日給制や時給制であれば、実際の出勤日数が賃金支払基礎日数となります。そのため、土日祝日などの公休日に出勤した場合は賃金支払基礎日数に含まれ、出勤していなければ含まれません。

完全月給制と日給月給制はいずれも、公休日に働いたかどうかで賃金支払基礎日数が変わることはありません。完全月給制では暦日数を基準として賃金支払基礎日数を算定し、日給月給制では月平均所定労働日数(から欠勤分を引いた日数)を基に算定します。

特別休暇や有給休暇の扱い

賃金支払基礎日数を算定する際は、特別休暇や有給休暇の扱いを正しく理解しておきましょう。労働基準法に基づき、給与形態や雇用形態を問わず一定の要件を満たした従業員に付与される年次有給休暇は、実際に出勤していなくても賃金が支払われるため、賃金支払基礎日数に含まれます。

また、企業が独自に設けている慶弔休暇やリフレッシュ休暇などの特別休暇についても、賃金が支払われるのであれば、同様に賃金支払基礎日数の対象になります。ただし、企業がその特別休暇を無給と定めている場合は、賃金支払基礎日数には含まれません。

特に、日給月給制や日給制・時給制の場合は、「出勤した日だけを数える」と勘違いしやすいため、賃金が支払われる特別休暇・有給休暇を賃金支払基礎日数に含めるよう注意しましょう。

休職・産休の扱い

賃金支払基礎日数を数える際は、休職期間中の扱いについても理解しておきましょう。

業務外の病気やケガなどによって休職した日数は、賃金の支払い対象とならないため、賃金支払基礎日数には含まれません。なお産休(産前産後休業)など、賃金が支払われない休業も同様に対象外となります。

遅刻や早退などの扱い

遅刻や早退によって1日の労働時間が所定労働時間に満たない場合でも、賃金支払基礎日数の計算上は1日分として数えます。また、半日勤務のような短時間勤務の日についても、0.5日とは数えず、1日として計算します。

夜勤や深夜労働の扱い

看護師や介護職、建設業従事者など、勤務が翌日にまたがる「夜勤」がある場合、所定労働時間が8時間を超えるかどうかで日数の数え方が変わります。

雇用保険における賃金支払基礎日数では、夜勤や深夜労働によって勤務が翌日にまたがる場合でも、所定労働時間が8時間以内であれば1日として数えます。一方で、所定労働時間が8時間を超える勤務が翌日にわたる場合には、これを2日として取り扱います。例えば、所定労働時間が22:00~翌7:00(休憩1時間を含む)の場合、賃金支払基礎日数は1日となります。

なお、ここでいう労働時間とは実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定められた所定労働時間を指します。この取り扱いは雇用保険における賃金支払基礎日数の算定に関するものであり、社会保険の標準報酬月額の算定とは考え方が異なります。

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賃金支払基礎日数に関するよくある質問

最後に、賃金支払基礎日数の数え方や記載方法などに関するよくある質問と回答を紹介します。

離職票(離職証明書)の賃金支払基礎日数と基礎日数の違いは?

離職票(雇用保険被保険者離職証明書)には、「賃金支払基礎日数」と「基礎日数」の2つの欄がありますが、それぞれ対象となる期間の区切り方と、数える日数の内容が異なります。
「賃金支払基礎日数」には、給与計算期間に関わらず離職日から1か月ごとに遡った期間ごとに、雇用保険における被保険者期間の算定対象となる期間のうち、賃金の支払いがあった日数を記載します。これには、実際に労働した日数に加え、有給休暇など賃金が支払われた日も含まれます。
「基礎日数」に記載するのは、原則として給与計算期間(締日)に基づく期間ごとに、実際に労働した日数を記載します。一般的には、いわゆる出勤日数に相当します。

賃金支払基礎日数と基礎日数は、賃金が支払われる休暇(有給休暇など)の有無によって異なる場合があります。また、給与計算期間の途中で退職した場合など、賃金の支払い状況が通常と異なるケースでは、両者の日数が一致しないことがあります。

離職証明書について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

賃金支払基礎日数に祝日は含まれる?

賃金支払基礎日数に祝日が含まれるかどうかは、給与体系や就業規則により異なります。
完全月給制で賃金支払基礎日数が暦日数に基づくと定められている場合は、祝日も含まれます。
日給制や時給制では、原則として実際に勤務した日が賃金支払基礎日数となるため、祝日に働いていなければ含まれません。
日給月給制など欠勤日数分の給与が減額となる給与体系の場合は、就業規則や給与規程等に基づいて事業所が定めた日数から欠勤日数を差し引いた日数が支払基礎日数となります。
祝日の取り扱いについては、就業規則や給与規程で定められた算定方法によって異なります。

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賃金支払基礎日数の数え方を正しく理解しておこう

賃金支払基礎日数とは、雇用保険で賃金などの支払い対象となる日数のことです。賃金支払基礎日数の数え方は、給与体系によって違います。また休日を日数に含むかどうかも、給与体系ごとに変わるので注意しましょう。

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  • ※本記事は2025年1月7日時点の情報を基に制作しています。
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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

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