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アルバイトにも給与明細の発行は必要?作り方や必要な項目を解説

アルバイトは、正社員とは給与形態が異なります。そのため、アルバイトの雇用にあたって「アルバイトにも給与明細を発行する必要があるのだろうか」「アルバイトの給与はどのように計算すればいいのだろう」などと悩む方がいるかもしれません。

ここでは、アルバイトの給与明細に必要な項目や作成時の注意点の他、アルバイトの給与計算の流れについて解説します。

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給与明細の発行はアルバイトにも義務付けられている

給与明細は正社員にのみ発行の義務があると思われがちですが、アルバイトに対しても、正社員と同様に給与明細の発行が必要です。

給与明細とは、勤怠情報や給与の支給額、控除額を明記したものです。所得税法では、給与の支払者(会社)は、給与の支払いを受ける者(従業員)に支払明細書を交付しなければならないと定めており、この「給与の支払明細書」に該当するのが給与明細書です。正社員、アルバイトといった雇用形態にかかわらず会社は従業員に対して給与明細を発行する義務があります。

また、アルバイトとは、契約期間の制限があり、1週間の所定労働時間が正社員に比べて短い従業員のことです。法律上はアルバイトとパートの区別はなく、どちらも「パートタイム労働者」と呼ばれます。アルバイトは時給制での募集が多く、契約によっては契約期間に制限がなかったり、フルタイムで働いたりする場合もあります(当記事におけるアルバイトには、日雇いや季節労働者は含みません)。

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アルバイトの給与明細に必要な項目

給与は、毎月決まった期日に1回以上支払われ、支払いの際に原則として一緒に給与明細が渡されます。給与明細に記載する項目は、雇用形態によって異なり、アルバイトの給与明細に記載が必要な項目は「勤怠」「支給」「控除」の大きく3つに分類されます。

勤怠

勤怠の項目には、1か月間に出勤した日数や時間などの勤務状況を記載します。具体的には、勤務日数や欠勤、労働時間、時間外労働・深夜労働を行った時間などです。その月に実際に働いた日数や合計時間を計算して記録に残します。

支給

支給の項目には、支払われる金額を記載します。基本給や時間外手当、深夜手当、交通費などの支給額が該当します。アルバイトの場合は、時給×労働時間で基本給を出し、手当や交通費などを合計した総支給額も記載しましょう。

控除

控除の項目には、給与から差し引かれる税金(所得税等)や社会保険料について記載します。勤務先に「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」を提出していない方は、月の給与が8万8,000円以上になると、アルバイトであっても所得税の源泉徴収が必要です。

また、所定の給与や労働時間を超えると、アルバイトも社会保険(健康保険、厚生年金保険)や雇用保険への加入義務も生じるため注意しましょう。なお、控除の項目にも、合計額の記載が必要です。

アルバイトの給与明細作成に必要なもの

アルバイトの給与計算は、シンプルに、時給に労働時間を乗じて算出しますが、実際には、給与を計算するうえでいくつかの確認事項があります。

アルバイトの給与明細を作成する際には、下記の書類をあらかじめ用意し、確認しながら給与計算を進めましょう。

就業規則

就業規則には、始業時刻や終業時刻、休憩時間、休日、給与の支払日など、大切な事項が定められています。給与計算は就業規則に従って行う必要があるため、必ず内容を確認し、労働時間や給与の取り扱いについて把握しておきましょう。

なお、常時10人以上の従業員を雇用する会社は、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。たとえ従業員数が10名未満の会社であっても、トラブル防止のために就業規則を作成しておいた方がよいです。

賃金規程

賃金規程には、給与計算の基準や計算方法の他、給与の締め日や支払の時期、支払方法についてなど、給与に関わる内容が細かく規定されています。確認漏れがないように注意しなければなりません。

タイムカードなど勤怠管理の書類

給与明細に記載する出勤・欠勤日数や労働時間の確認に必要となるのが、タイムカードなどの勤怠記録です。従業員の勤怠情報がわかるものであれば、勤怠管理システムのデータなど、タイムカード以外のツールでも問題ありません。

同時に、税金や社会保険料の控除に関わる書類についても、確認が必要です。

アルバイトの給与計算時には割増賃金に注意

アルバイトの給与計算にあたって気を付けたいのが、割増賃金の計算です。アルバイトを含めた従業員に時間外労働や深夜労働、休日労働をさせた場合は、会社は割増賃金を支払わなくてはなりません。割増賃金の割増率は、労働基準法によって定められています。

また、アルバイトとして多いのが、大学生(19~22歳など)、専門学校生(16~22歳など)、高校生(16~18歳)ですが、それぞれの年齢において、勤務できる条件が変わります。詳しくは下記を確認してください。

※厚生労働省「高校生等を使用する事業主の皆さんへ新規タブで開く

時間外労働の場合

労働基準法では、1日の労働時間を8時間以内、1週間の労働時間を40時間以内と定めています。この法定労働時間を超える労働のことを、時間外労働といいます。アルバイトに時間外労働をさせた場合は、法定労働時間を超えた分について、基本時給の1.25倍を支払わなければなりません。

深夜労働の場合

深夜労働とは、22時から翌朝5時までの時間帯における労働のことです。アルバイトに深夜労働をさせた場合は、通常の基本時給+通常の基本時給×0.25倍の割増賃金が発生します。

休日労働の場合

労働基準法では、週1日以上または4週間を通じて4日以上の休日を従業員に与えることを定めており、この休日を法定休日といいます。法定休日にアルバイトを働かせた場合は、基本時給×1.35倍の割増賃金が発生します。

なお、例えば元々シフトが休みだった日に出勤したとしても、それが法定休日に該当しなければ、休日労働の割増賃金の対象にはなりません。

割増賃金が重複した場合

深夜に及ぶ時間外労働を行った場合や、休日労働が深夜になった場合などは、割増賃金が重複して発生します。このようなときは、条件に該当する割増賃金が合算して支払われます。

例えば、時間外労働が深夜に及んだ場合は、時間外労働の割増率1.25倍以上と深夜労働の割増率0.25倍以上が合計され、割増率1.5倍となるため注意が必要です。

アルバイトの給与計算の流れ

アルバイトの給与計算は、時給に勤務時間を乗じて算出するだけでなく、同時に就業規則や賃金規程などの確認が必要だということを見てきました。ここからは、アルバイトの給与計算の具体的な流れを解説していきましょう。

1. 労働時間を集計する

まずは、タイムカードなどの勤怠記録を確認し、アルバイトの労働時間を集計します。通常の労働時間に加えて、時間外労働、深夜労働、休日労働についてもそれぞれ正しく集計しましょう。

なお、アルバイトの労働時間は、1分単位での計算を行います。10分や15分単位などで切り捨てることは、「賃金全額払いの原則」を定めた労働基準法に反するため注意が必要です。

2. 支給額を計算する

集計した労働時間に時給の単価を乗じて、支給額を計算します。「時給×労働時間」の通常賃金と、「時給×割増率×時間外・深夜・休日労働時間」の割増賃金をそれぞれ計算し、合計して支給額を出しましょう。

3. 控除額を計算する

アルバイトでも、勤務状況や収入によっては雇用保険や社会保険への加入義務があります。また、所定の給与や労働時間を超えると、所得税等が給与から天引きされます。雇用保険料や社会保険料、税金などの控除が必要な場合には、それぞれの控除額を計算します。

アルバイトの給与明細で注意すべき点

アルバイトの給与明細で注意すべき点は、正社員やアルバイトといった雇用形態にかかわらず、会社は給与を支払っているすべての従業員に給与明細を交付しなければならないということです。給与明細を発行しなかった場合は所得税法違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となります。

また、給与明細は、給与の支払日までに従業員に交付する必要があります。交付遅延による罰則は定められていませんが、従業員に給与を支払う際には、給与明細の作成と発行を忘れないようにしましょう。

アルバイトの給与明細作成には給与計算ソフトを活用しよう

アルバイトの給与明細は、正社員に比べれば記載項目が限られるものの、作成にあたってはさまざまな確認事項があります。特に、割増賃金や控除額の計算などは、手作業で行うと手間がかかるうえ、ミスも起こりやすくなってしまいます。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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