年末調整でふるさと納税の控除申告はできる?会社員がワンストップ申請する方法やデメリットを解説
2024/10/02更新
ふるさと納税として寄附した金額について、年末調整では控除が受けられないことを存じでしょうか。ふるさと納税の控除を受けるには、ワンストップ特例か確定申告で申告しなければなりません。
ワンストップ特例と確定申告は手続きが異なるため、内容の違いを理解しておく必要があります。また、会社員でふるさと納税をするデメリットも理解しておくことが大切です。
ここでは、年末調整でふるさと納税の控除ができない理由やワンストップ特例と確定申告の方法、ふるさと納税のデメリットについて解説します。
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会社の年末調整でふるさと納税の控除を受けられない理由
会社の年末調整でふるさと納税の控除が受けられない理由は、12月31日まで寄附金額が確定できず、年末調整手続きに間に合わないからです。
年末調整は通常11月~12月に手続きしますが、ふるさと納税は1月1日から12月31日までの寄附金総額で控除額を決定します。年末調整を実施するタイミングとふるさと納税の期限がかみ合わないため「ワンストップ特例」もしくは「確定申告」で控除を申告しましょう。
ふるさと納税の控除を受ける方法
ふるさと納税の控除を受ける方法は、以下の2つです。
- ワンストップ特例
- 確定申告
基本的にはワンストップ特例を利用してふるさと納税の控除を受けますが、一定の条件に当てはまる人は、確定申告で申告しなければいけません。
ここからは、ワンストップ特例でふるさと納税の控除を申請する方法、確定申告で申告しなければならない人の条件について解説します。
ワンストップ特例でふるさと納税の控除を申請する
ワンストップ特例とは、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる制度です。なお、ワンストップ特例は、ふるさと納税を行う自治体の数が5自治体以内である場合に限り利用できます。6自治体以上になると確定申告で申告しなければなりません。
ワンストップ特例を利用する流れは、以下のとおりです。
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1.「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を用意し記入する
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2.申請書以外の必要書類を準備する
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3.期限内に寄附をした自治体へ必要書類を提出する
寄附金税額控除に係る申告特例申請書は、総務省ホームページからダウンロード可能です。用意したらすべての項目を記入して、申請書以外に必要な書類を準備しましょう。申請書以外に必要な書類は、以下のとおりです。
- マイナンバーカードの表と裏のコピー
- 通知カード+運転免許証やパスポートなど身分証明書のコピー(マイナンバーカードがない場合)
- マイナンバーが記載された住民票+運転免許証やパスポートなど身分証明証書のコピー(マイナンバーカード・通知カードがない場合)
申請書と必要書類が準備できたら、寄附をした自治体に郵送してワンストップ特例の手続きは完了です。なお、郵送には期限があり、ふるさと納税をした翌年の1月10日必着と決められています。
確定申告でふるさと納税の控除を申告する
ふるさと納税のワンストップ特例は便利な制度ですが、以下の条件に当てはまる人は会社員でも確定申告で控除を申告しなければなりません。
- 1月1日〜12月31日の間にふるさと納税の寄附先が6自治体以上になった人
- ワンストップ特例の申請書を提出できなかった自治体がある人
- 年間収入2,000万円を超えている、給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えている、など確定申告をしなければいけない条件を満たしている人
会社員が確定申告をするときの流れは、以下のとおりです。
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1.必要な書類を用意する
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2.確定申告書を作成する
-
3.確定申告書と添付書類を提出する
確定申告書は税務署のホームページからダウンロードできますが、毎年更新されるため申告する年度にあった書式を準備しましょう。
会社員が確定申告をするときに必要なふるさと納税の関連書類は、以下のとおりです。
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1.対象期間の寄附金受領証明書
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2.対象期間の源泉徴収票
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3.還付金受取用口座番号
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4.マイナンバーカード(マイナンバーカードがない場合、通知カード+運転免許証やパスポートなど身分証明書のコピーで代用が可能)
なお、確定申告ではふるさと納税に関連する書類以外にも添付書類が必要です。たとえば、不動産を売却したときの所得税の申告には、不動産の関係書類が必要になります。人によって準備する書類が変わるため、どのような書類が必要なのかあらかじめ確認しておきましょう。
ふるさと納税の控除額を確認する方法は年末調整ではなく住民税決定通知書
ふるさと納税の控除額は住民税決定通知書で確認します。住民税決定通知書とは、毎年5月~6月に自治体から郵送される書類で、住民税の税額が記載されています。
控除額は住民税決定通知書の摘要欄から確認できます。摘要欄の寄附金税額控除額がふるさと納税をした寄附金から2,000円を引いた額になっていれば、問題なく控除が行われています。
住民税決定通知書は再発行できないため、届いたらすぐに寄附金税額控除額を確認し、控除額があっているか確認しておきましょう。また、ワンストップ特例で控除されるのは住民税の減税のみであり、所得税の還付は行われません。
なお、令和6年度分以後の個人住民税特別徴収税額通知(納税義務者用)から、従業員への税額の通知は電子データによる送付が可能になります。この制度の変更により、電子化対応企業の従業員が受け取る個人住民税特別徴収税額通知書も電子化されます。
会社員がふるさと納税をする4つのデメリット
ふるさと納税は所得税控除ができるうえに、返礼品がもらえるため多くの人が利用しています。しかし、ふるさと納税は万能ではなくデメリットや一定の規制があるため、利用する前に内容を確認しておかなければなりません。
会社員がふるさと納税をするデメリットは、以下の4つです。
- 寄附金額がすべて控除されるわけではない
- 寄附金に見合わない高額な商品はない
- 控除が行われるのは翌年になる
- 住宅ローン控除のほうが優先される
順番に確認していきましょう。
寄附金額がすべて控除されるわけではない
ふるさと納税には2,000円の負担金や、所得税および住民税の控除額上限があり、寄附金額が全て税金から差し引かれることはありません。とくに、控除額上限は人によって異なることに注意しましょう。ふるさと納税は控除であるため、納税する所得税額・住民税額以上の金額を控除できません。そのため、所得税額や住民税額がどの程度になるか事前にシミュレーションしておくことが大切です。
寄附金に見合わない高額な商品はない
ふるさと納税の制度が開始されたばかりのときには、寄附金に見合わない高額な商品を提供する自治体が多くありました。しかし、そのようなサービスは行き過ぎており、むしろ税収を圧迫してしまいます。このような経緯があり、返礼品には以下のような制限が課されました。
- 返礼品は地場産品で調達費は寄附額の3割以下であること
- 調達費用と送料・仲介サイトへの仲介手数料を合計した費用の総額は5割以下
規制ができたことにより、ふるさと納税の返礼品は一定金額内の商品・サービスのみとなっています。
控除が行われるのは翌年になる
ふるさと納税は1月1日~12月31日に行った寄附金額を合計するため、寄附を行った年には控除できません。会社員が住民税を納めるのは翌年6月からであり、寄附を行った分の金額は持ち出しとなってしまいます。控除まで時間がかかるため、多額のふるさと納税をするときには注意しましょう。
住宅ローン控除のほうが優先される
ふるさと納税と住宅ローン控除は併用が可能です。しかし、ふるさと納税による控除が多い場合、住宅ローン控除で引ききれない金額が出てしまうケースがあります。
通常、住宅ローン控除は所得税から控除されますが、所得税から控除しきれなかった金額がある場合、住民税からも控除できます。ところが、住民税から控除できる金額には上限が設けられており、残った金額が多くあったとしても、住宅ローン控除として引けず無駄になるため注意しなければいけません。
ふるさと納税を行うと所得税が減るとしても控除しきれないとメリットが薄まってしまいます。ふるさと納税の上限額をシミュレーションするときには、住宅ローン控除を考慮して計算することが大切です。
ふるさと納税に関するよくある質問
ふるさと納税に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- ふるさと納税を行うと会社に迷惑がかかる?
- ふるさと納税をすると年末調整で還付金が受けられる?
- ふるさと納税と医療費控除は併用できる?
ふるさと納税は多くの人が利用している分、疑問も多く挙げられます。ここからは、ふるさと納税に関するよくある質問とその回答を紹介します。
ふるさと納税を行うと会社に迷惑がかかる?
ふるさと納税を行っても会社に迷惑はかかりません。ふるさと納税は年末調整で控除を受けられないため、ワンストップ特例か確定申告を行って控除を適用しましょう。ワンストップ特例は寄附をした自治体が手続きをしてくれますし、確定申告は自分で書類を作成して税務署に申告します。どちらの方法を行ったとしても会社が手続きをする必要はなく、申告や書類作成などの手間を会社にかけなくて済みます。また、ふるさと納税はあくまで自分や自治体が手続きを行い控除する制度であるため、会社に申告する必要もありません。
ふるさと納税をすると年末調整で還付金が受けられる?
ふるさと納税をしても、基本的に年末調整の還付金は受けられません。年末調整で還付金が受けられるのは配偶者控除や住宅ローン控除、ひとり親控除などです。ふるさと納税をして還付金が受けられるのは確定申告で申告したときだけであり、ワンストップ特例を利用した場合には住民税の控除しか受けられません。
なお、確定申告でふるさと納税を行うと、確定申告期間終了後1ヶ月~2ヶ月程度で還付されます。いつ還付金が入金されるのか、還付される金額がいくらなのかは、確定申告後に送られてくる国税還付金振込通知書にて確認が可能です。
ふるさと納税と医療費控除は併用できる?
ふるさと納税と医療費控除は併用が可能です。ただし、併用するには年末調整ではなく、確定申告をする必要があります。ふるさと納税はワンストップ特例を利用すれば確定申告をしなくても控除できますが、医療費控除は年末調整ができず、確定申告をしなければなりません。なお、すでにワンストップ特例を利用してしまっていたとしても、その後に確定申告でふるさと納税を申告すれば控除は可能です。
会社員だとしても年末調整でふるさと納税の控除の申告はできない
ふるさと納税は年末調整で控除を申告できません。ふるさと納税で控除を申告できるのは、ワンストップ特例か確定申告です。それぞれ申告の方法や申告の流れが違うため、どちらを利用するのか検討しなければいけません。ワンストップ特例は手続きが簡単ですが、医療費控除と併用できません。医療費控除をする場合、確定申告でふるさと納税の控除の申告をする必要があります。自分にあった申告がどの方法なのか確認し、ふるさと納税の寄附金控除を活用していきましょう。
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