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就業規則を変更するには?変更届の作成方法と手続きの流れ

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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常時10人以上の従業員を雇用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。また、一度定めた就業規則の変更は、作成のときと同様に定められたプロセスを経て行わなければなりません。

本記事では、就業規則の変更が必要になるケースや、就業規則を変更する手続きの流れのほか、変更時の注意点などについて解説します。

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就業規則は職場で働くルールを定めたもの

就業規則とは、職場で働くためのルールや規則を明文化したものです。

正社員やパート、アルバイトといった雇用形態を問わず、常時10人以上の従業員を雇用する事業場では、労働基準法により、就業規則の作成が義務付けられています。作成した就業規則は、管轄の労働基準監督署へ届け出なければなりません。また、従業員数が10人未満であっても、会社のルールを明確にし、労働トラブルを防ぐため、就業規則の作成が望ましいとされています。

正規社員10名の場合は作成義務あり 正規社員7名、パートタイム労働者・アルバイト3名の場合は作成義務あり 正規社員2名、パートタイム労働者・アルバイト8名の場合は作成義務あり

就業規則は、事業場で働くすべての従業員に関する規則とする必要があります。なお、パート従業員のように、勤務形態の違いから他の従業員とは異なる定めが必要な場合は、一般の就業規則とは別に「パートタイム労働者就業規則」などを作成することも可能です。

就業規則に記載する3つの事項

就業規則に記載する事項は、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的必要記載事項」の3種類に分けられます。

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、労働基準法によって就業規則に必ず記載しなければいけないと定められている事項です。絶対的必要記載事項に不足があると、罰金の対象となります。

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項とは、事業場で制度として定めを設けるのであれば、記載しなければいけないと定められている事項です。

任意的必要記載事項

任意的必要記載事項とは、法的な規制はなく、社会通念や公序良俗に反しない範囲で会社が独自に定めることができる事項です。就業規則に記載しなくても社内ルールとして設定することはできますが、就業規則に記載することにより、変更等には就業規則の変更手続きが必要になります。

それぞれの具体的な内容は、以下のとおりです。

就業規則の絶対的必要記載事項

  • 労働時間に関すること:始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交代制の場合には就業時転換に関する事項
  • 賃金に関すること:賃金の決定、計算および支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期並びに昇給に関する事項
  • 退職に関すること:退職に関する事項(解雇の事由を含む)

就業規則の相対的必要記載事項

  • 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  • 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額に関する事項
  • 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
  • 安全および衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰および制裁の種類および程度に関する事項
  • 事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項

就業規則の任意的記載事項

  • 経営理念、社是(しゃぜ)、行動指針
  • 慶弔見舞金に関する事項
  • その他、福利厚生など

就業規則が変更になるケース

就業規則は、事業場で働くすべての従業員に関する定めです。管轄の労働基準監督署へ届け出ていることもあり、頻繁に変更するものではありません。しかし、時には変更をせざるを得ないことがあります。就業規則の変更が必要になるケースとしては、主に以下のようなものがあります。

労働関連の法令の改正

労働基準法をはじめとする労働関連の法令の改正により、現行の就業規則が法令に合わなくなることがあります。そのような場合は、法改正に対応するため、就業規則の変更が必要になります。

例えば、法改正によって、就業規則に定めなければいけない事項が増えた場合が該当します。また、最低賃金法の改定により、就業規則で定めた給与規程の賃金テーブルが最低賃金を下回ってしまった場合なども、就業規則を変更しなければなりません。

労働基準法では、就業規則は法令に反してはならない旨が規定されています。労働関連の法令は頻繁に改正が行われるため、定期的に実態と規程が一致しているか確認が必要です。

就業規則の内容が実態と異なる

経営環境の変化や会社の成長などにより、就業規則の内容が実態とかけ離れてきた場合も、変更が必要になります。

例えば、新規事業の開始や業務内容の変更、従業員数の増加により、既存の定めだけではカバーしきれなくなった場合などです。また、働き方の多様化に伴い、テレワークやフレックスタイム制、変形労働時間制を新たに導入するような場合も、就業規則の見直しが求められます。

労働基準監督署からの是正勧告があったとき

労働基準監督官の調査により、就業規則が法令違反と判断された場合、是正勧告が出されます。

就業規則に関する是正勧告の例としては、必要記載項目の漏れや不備、法令を下回っている場合などがあげられます。労働基準監督署から是正勧告を受けた場合には、早急な修正・変更が必要です。

手当の範囲変更や新たな手当を設定するとき

就業規則に定めた就業時間や給与体系などの労働条件を変更する際にも、就業規則の変更手続きが必要です。例えば、手当の支給対象範囲を変える場合や、新たに手当を設定する場合、休日の曜日を変更する場合などが当てはまります。

手当の新設や増額、休日の増加など、従業員にとって有利な就業規則の変更については、問題となりません。しかし、休日を減らしたり、給与を減額したりといった従業員にとって不利益な変更の場合は、一方的に変更することはできません。詳しくは後述しますが、就業規則の不利益変更には、不利益を受ける従業員の個々の同意を得るために、変更の必要性などについて合理的な理由を説明し、かつ変更後の就業規則を周知させるといった手続きが必要になります。

就業規則変更の手順

さまざまな理由により就業規則を変更することになった場合、作成時と同様に決められた手順で変更を進めなければなりません。ここからは、就業規則を変更するための具体的な手続きについて解説していきます。就業規則の変更は、次のような手順で行います。

1. 変更案を作成し、経営陣の合意を得る

就業規則を変更する際には、会社が変更案を作成します。その後、法律に抵触する部分がないかなどの確認を行い、問題がなければ、経営陣の合意を得た後に就業規則案を、全社的に公開して周知します。

これらの手続きの際に、就業規則を変更するための説明会を実施することを推奨します。

2. 意見書を作成する

就業規則の変更は労働基準監督署へ届出が必要ですが、その際に添付しなければいけないのが「労働者を代表する者の意見書」です。労働者の過半数の代表者(過半数の従業員が加入する労働組合がある場合は労働組合の代表者)の意見を聴取して書面にまとめ、意見書を作成しましょう。意見書に決まった様式はありませんが、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー新規タブで開く」などからダウンロードも可能です。

なお、意見を聴取する「労働者を代表する者」を選任する際には、労働基準法第41条第2号に規定される監理・監督の立場にある人(管理監督者)は除外されます。これは、管理監督者は経営者に近い立場にあり、労働者の代表としてはふさわしくない、と判断されるためです。

また、代表者の選出は投票や従業員の話し合いなど、労働者の過半数が支持したと確認できる方法で行います。会社が指定する労働者を代表者にすることは、認められません。

3. 就業規則変更届を作成する

労働基準監督署に提出するための「就業規則変更届」を作成します。変更届に記載する内容は、以下のとおりです。

就業規則変更届の記載項目

  • 記入日
  • 宛名(所轄の労働基準監督署名)
  • 主な変更事項
  • 労働保険番号
  • 事業場名
  • 所在地・電話番号
  • 使用者職氏名(会社の代表者名)
  • 業種・労働者数

必要事項が記載されていれば様式に定めはありませんが、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー新規タブで開く」からダウンロードすることもできます。

4. 所轄労働基準監督署に提出する

「就業規則変更届」「労働者を代表する者の意見書」「変更後の就業規則」を2部ずつ用意し、所轄の労働基準監督署に提出します。1部は控えなので、受付印をもらって事業場で保管しましょう。

なお、就業規則変更届や就業規則は、要件を満たせばCD-Rなどの電子媒体やeGOVによる電子申請で提出することも可能です。ただし、意見書は紙の書面(電子申請などの場合にはPDF添付)による提出が必要とされています。

5. 従業員に変更を周知する

労働基準監督署に提出した後、変更した就業規則について従業員に公開して周知します。就業規則にまつわる最も重要といえるプロセスが、この社内周知です。たとえ就業規則を作成・変更しても、労働者への周知がなければ、その就業規則は有効とみなされないケースがあります。

周知とは、どの労働者も確認したいときに確認できる状況にあることを指します。各作業場の見やすい場所に掲示する、書面で従業員に配布する、データ形式で従業員が誰でも閲覧できる環境に置くなど、社内周知のための方法を工夫しましょう。

就業規則の変更で注意すべき点

就業規則は、従業員の生活と密接に関係する重要なもの。変更の際には、ミスがないよう十分に注意することが求められます。ここでは、就業規則を変更する際に知っておくべき、いくつかの注意点についてご紹介します。

原則的に就業規則の変更は事業場単位

就業規則の作成や変更は、原則として事業場ごとに行われます。事業場とは、支店や事務所、工場、店舗などのように、組織上独立して業務が行われている単位のことです。ただし、本社と店舗の就業規則がまったく同じ内容である場合などは、本社で一括して労働基準監督署に届け出ることも可能です。ただし、店舗における意見書等の書類は割愛できませんので、ご注意ください。

従業員の反対があっても就業規則は変更できる

就業規則の変更にあたり、労働者を代表する者の意見を聴取することは会社の義務です。ですがこれは、労働者の同意を得なければならないという意味ではありません。労働者代表の反対意見があっても、その他の手順が適法であれば、就業規則の変更は可能です。

ただし、会社が一方的に、労働者にとって不利益になる内容の就業規則の変更をすることは、労務トラブルの原因になります。労働者に不利益な変更とは、例えば、賃金の引き下げや休日の減少、手当や福利厚生の廃止などがあげられます。こうした不利益な変更を行う場合は、個別の合意や、合理的な理由が求められます。

労働契約法第10条では、就業規則変更の合理性を判断する基準として、次の5つをあげています。

就業規則の変更の合理性を判断する基準

  • 労働条件の変更の必要性
  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等との交渉の状況
  • その他の就業規則の変更にかかる事情

また、以上の観点から検討し、合理的な理由があると判断された場合でも、変更の経緯や事情を従業員に対して丁寧に説明することが大切です。

就業規則変更届出の提出に明確な期限はない

就業規則変更届の提出時期について、明確な期限は定められていません。ただし、提出は遅延なく行うこととされているため、できるだけ速やかな届出を心掛けましょう。届出があまりにも遅れた場合は、就業規則の提出または届出の義務を怠ったとみなされ、労働基準監督署からの指導や処罰の対象になる可能性があります。

就業規則を変更する際のポイント

スムーズに就業規則を変更するために気を付けるべきポイントがあります。就業規則の変更を労働者(従業員)に抵抗なく受け入れてもらうためにも、次のようなポイントを意識しましょう。

労働組合・労働者の過半数を代表する者としっかり話し合う

就業規則を変更する際に大切なのが、従業員としっかり話し合うことです。就業規則は、職場で働く従業員の労働環境を左右するものでもあります。変更にあたって従業員の賛成は必要ないとはいえ、話し合いが足りないと、後々のトラブルのもとになりかねません。

特に、従業員が多い事業場では、労働組合や労働者代表の働きも重要です。就業規則変更の趣旨を理解してもらったうえで、できる限り従業員の意見を取りまとめてもらい、誠実に話し合いを行いましょう。

従業員の生活に影響を与えるような変更時は代償・経過措置を講じる

給与や労働時間など、従業員の生活に直接影響するような事項を変更する場合は、十分な配慮が必要です。急激な変化を避けるために、経過措置や代替手段などをしっかり準備しましょう。

自社保管用の変更届は5年間の保存が義務付けられている

就業規則変更届は、労働基準法で5年間の保存が義務付けられている「労働関係に関する重要な書類」に該当します。労働基準監督署に提出した就業規則変更届の控えは、原則として5年間の保存が必要です。

なお、経過措置により当面の間は保存期間が3年間とされていますが、特段の事情がない限り5年間保存しておくことをおすすめします。

就業規則の変更はしっかり時間をかけてミスなく行うことが重要

就業規則を変更するには、大変な手間と労力がかかります。さらに、就業規則に記載された給与体系や手当などを変更した場合は、新たな規定に沿って、ミスのないように給与計算を行わなければなりません。給与計算にかかる手間を軽減するには、給与計算ソフトの導入がおすすめです。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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