カメラマンの経費はどこまで?確定申告で迷う機材費の勘定科目や節税のポイント
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個人事業主のカメラマンは、カメラ本体やレンズといった高額な機材から、スタジオ代や編集ソフト、交通費(移動費)など、多くの費用が発生します。
確定申告ではどういった費用が経費にできるかを理解し、正しく計上しましょう。特にカメラやレンズなどの高額機材は、減価償却が必要になるケースもあります。また、自宅で作業することもあるとプライベートと兼用の費用も発生します。
本記事では、カメラマンの経費の基本や帳簿付けの際の勘定科目、青色申告による節税方法までわかりやすく解説します。
2027年分から改正の青色申告特別控除75万円の要件には「優良な電子帳簿」で対応できるので、今から使うと安心です!
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POINT
- 「固定資産」か「消耗品費」か。金額で分けるのがルール
- 撮影でのスタジオ代や車両・駐車場のなどは「雑費」
- 新しい技術習得のための講座受講費は「研修費」、専門誌購入費は「新聞図書費」
経費の可否は事業に必要かどうかで判断
カメラマンが経費として計上できるのは、撮影や画像編集など事業に必要な支出です。例えば、カメラ本体やレンズ、照明機材、スタジオ利用料やロケ地までの旅費交通費など、業務に直接関係する費用は経費の対象になります。
一方で、プライベートな趣味や日常生活で使った分については経費にはできません。
仕事と関係がある支出かどうかを判断する際は、「この支出がなければ仕事はできなかったか」「撮影業務や売上獲得のために必要だったか」を基準に考えることが必要になります。
また、仕事とプライベートの両方で使用している機材や設備については、事業利用分だけを経費として計上します。これを「家事按分(かじあんぶん)」といい、使用時間や使用日数などをもとに、合理的な割合で区分する必要があります。
特にカメラやパソコン、自家用車などはプライベートと兼用になりやすいため、撮影内容や編集作業の時間、移動記録など、按分割合の根拠を残しておくことが大切です。
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カメラマンの経費は「10万円」を基準に考える
カメラ本体やレンズ、照明など高額な機材を購入することが多いカメラマンは、取得価額が10万円以上か未満かによって経費計上の方法が変わるため、「10万円」をひとつの基準として考える必要があります。
- ※10万円以上20万円未満の資産でも青色申告なら、少額減価償却資産の特例も選択できます
10万円以上の機材は「減価償却」で経費化する
取得価額が10万円以上の機材は、原則として購入した年に全額を経費にはできません。「器具備品」などの固定資産として計上し、法定耐用年数に応じて数年に分けて経費化します。これを「減価償却(げんかしょうきゃく)」といいます。
個人事業主の場合、原則的に「定額法」を使います。取得価額を耐用年数で均等に定額で経費にします。
例えば、カメラ本体の法定耐用年数は5年です。30万円のカメラを購入した場合、定額法では、1年を通じて事業の用に供した場合には、年間6万円を「減価償却費」として計上します。購入年は、1月購入を除いて月数按分が必要になります。
10万円以上20万円未満なら「一括償却資産」も選べる
取得価額が10万円以上20万円未満の機材については、「一括償却資産」として処理する方法を選択できます。この方法を使うと、耐用年数に関係なく、3年間で均等に経費にできます。
例えば、15万円の交換レンズを購入した場合は、毎年5万円ずつを3年間にわたって経費として処理します。
通常の減価償却より早く経費化できるケースも多く、白色申告・青色申告のどちらでも利用できます。
青色申告なら「少額減価償却資産の特例」を利用できる
青色申告をしている場合は、取得価額40万円未満(2026年3月31日以前の取得分は30万円未満)の機材や備品などの資産を購入して使用開始した年に全額一括で経費にできる特例があります。
これを「少額減価償却資産の特例」といいます。年間合計300万円まで対象にできます。
例えば、35万円の交換レンズや32万円の照明機材を購入した場合でも、この特例を利用すれば、通常の減価償却を行わず購入して使用開始した年に全額を経費化できます。機材投資が多いカメラマンにとっては、課税所得を抑えやすくなるメリットの大きい制度です。
なお、この特例は青色申告者のみ利用でき、白色申告では適用できません。
10万円未満は「消耗品費」で計上
SDカードやバッテリー、レンズフィルターなど、比較的少額の撮影関連用品は、「消耗品費」として購入した年に一括で経費計上します。
また、動画編集ソフトのサブスクリプション利用料(月額課金型)は、「消耗品費」や「通信費」として処理するのが一般的です。
一方、買い切り型の編集ソフトで取得価額が10万円以上になる場合は、「ソフトウェア」として固定資産に計上し、耐用年数に応じた減価償却が必要です。
減価償却や少額減価償却資産の特例について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
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その他の経費と勘定科目
機材費以外にも、カメラマンにはさまざまな経費が発生します。勘定科目を正しく把握し、漏れなく計上することが節税につながります。
撮影・制作関連の費用
機材レンタル代や旅費交通費など、撮影や制作に関連する費用は、それぞれの費用に応じた勘定科目で帳簿付けをします。撮影や制作に関わる主な経費と勘定科目を一覧にしましたので確認しておきましょう。
撮影や制作に関わる主な経費と勘定科目一覧
| 費用内容 | 主な勘定科目 |
|---|---|
| カメラ・照明などの機材レンタル料 | 賃借料、雑費 |
| 電車・バス・タクシーなどの移動費 | 旅費交通費 |
| コインパーキング・駐車料金 | 旅費交通費 |
| ガソリン代 | 車両費、旅費交通費 |
| 撮影スタジオ利用料 | 賃借料、地代家賃 |
| スタッフとの打合せ時の飲食代 | 会議費 |
| アシスタント・外注スタッフへの報酬 | 外注工賃 |
| ロケ・出張時のホテル代 | 旅費交通費 |
機材レンタルやスタジオ利用など、頻繁に発生する場合は、「機材レンタル費」や「スタジオ代」といった専用の勘定科目を作成して管理すると、経費の内訳がわかりやすくなります。
スタッフとの打合せでの飲食代は会議費ですが、取引先との飲食代は接待交際費として計上してもかまいません。どちらの場合も、会食相手の氏名や人数は記録しておきましょう。
自宅兼事務所の家賃や光熱費など兼用する費用は家事按分
自宅兼事務所の家賃、光熱費、通信費など事業とプライベートの両方で使用する費用は、
事業で使用した分を経費にできます。
自宅の一部を事務所や編集スペースとして利用している場合、家賃や電気代、インターネット料金などは、事業とプライベートの両方で使用する「家事関連費」にあたります。そのため、全額を経費にはできず、事業で使用した分のみを按分して計上します。
例えば、自宅全体のうち編集作業スペースが30%を占めている場合は、家賃の30%を「地代家賃」として経費計上する方法があります。
また、インターネット回線を撮影データの送信や動画編集など業務中心で利用している場合は、利用実態に応じて大部分を事業利用分とすることもあります。
按分割合は、使用面積、利用時間、業務利用日数など、合理的に説明できる基準で設定します。
使用面積の割合を計算したり、業務時間を記録するなど、根拠となる資料を作成しておきましょう。悩む場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
家事按分については、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。
スキルアップと営業活動のための費用
スキルアップや営業活動のための費用は、事業に必要な支出として経費計上できます。
カメラマンや映像クリエイターの仕事では、撮影技術や編集スキルの向上、新機材への対応など、継続的な学習が欠かせません。また、案件獲得のための営業活動にかかる費用も、事業に必要な支出です。
以下は、主な費用の内容と勘定科目の一覧です。
| 費用内容 | 主な勘定科目 |
|---|---|
| 写真・映像関連の専門書や資料集 | 新聞図書費 |
| オンライン講座・勉強会・セミナー参加費 | 研修費 |
| 写真協会・クリエイター団体などの年会費 | 諸会費 |
| ポートフォリオサイト・ホームページ制作費 | 広告宣伝費 |
| サーバー代・ドメイン維持費 | 通信費・広告宣伝費 |
| 名刺・作品集・営業用パンフレットの印刷費 | 広告宣伝費 |
| Instagram広告・Google広告などの広告費 | 広告宣伝費 |
専門書などを購入した場合は「新聞図書費」として計上します。オンライン講座やセミナーの受講料は「研修費」が一般的です。写真協会など業界団体の年会費は「諸会費」として計上できます。
ポートフォリオサイトやホームページの制作費、SNSやGoogle広告など、集客・宣伝を目的とした費用は「広告宣伝費」として計上します。サーバー代やドメイン利用料は「広告宣伝費」または「通信費」になります。名刺やポートフォリオの印刷費も営業活動に必要な支出として「広告宣伝費」に計上できます。
見落としがちな保険料や修繕費も計上する
見落としがちですが、機材の保険料は「損害保険料」、修理やメンテナンスの費用は「修繕費」として経費になります。
撮影機材の破損・故障・盗難などに備えて加入している保険の保険料は、「損害保険料」として経費計上できます。カメラ本体やレンズ、照明機材などを対象とした機材保険も、業務用であれば経費の対象です。
また、仕事で使用している機材の修理・点検にかかった費用は、「修繕費」として処理します。例えば、カメラのオーバーホール、レンズのメンテナンス、ドローンの修理費用などが該当します。
-
参考;国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定
」
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青色申告でさらに節税を図る
個人事業主のカメラマンは、青色申告を選択すると、特別控除や赤字の繰越控除、少額減価償却資産の特例など、節税につながる制度を活用できます。
必要経費として認められる範囲は、白色申告でも青色申告でも基本的に変わりません。
しかし、カメラマンのような職業は、高額な機材投資が発生しやすい職業です。そのため、青色申告による税制優遇を活用することで、税負担を抑えやすくなります。
なお、青色申告を利用するには、あらかじめ「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署へ提出する必要があります。提出期限は、原則として青色申告を受けたい年の3月15日までです。1月16日以降に開業した場合は、開業日から2か月以内に提出します。
主なメリットは以下のとおりです。
-
- 青色申告特別控除を適用して所得を下げることで節税
- 赤字を翌年以降に繰り越して、翌年以降の黒字と相殺して節税
- 少額減価償却資産の特例は高額機材の購入時に有効
少額減価償却資産の特例については、「カメラマンの経費は「10万円」を基準に考える」で解説しています。
青色申告特別控除を適用して所得を下げることで節税
青色申告特別控除を適用すると所得が下げられるので、税負担が軽減されます。所得が下がると結果的に住民税や国民健康保険料も下がります。
青色申告では、帳簿の付け方や申告方法など一定の要件を満たすことで、「青色申告特別控除」を受けることができます。控除額は記帳方法などによって異なり、最大65万円(2027年分以降は最大75万円)が所得から差し引かれるため、課税対象となる所得を抑えることができます。
青色申告特別控除の区分(2026年分まで)
| 要件 | 10万円控除 | 55万円控除 | 65万円控除 |
|---|---|---|---|
| 所得の種類 | ・事業所得 ・不動産所得 ・山林所得 |
・事業所得 ・不動産所得(※) |
・事業所得 ・不動産所得(※) |
| 簿記の種類 | 単式簿記 | 複式簿記 | 複式簿記 |
| 添付書類 | 損益計算書 | 損益計算書+貸借対照表 | 損益計算書+貸借対照表 |
| 期限内申告 | 期限後でも可 | 期限内申告必須 | 期限内申告必須 |
| 提出・帳簿保存方法 | e-Tax(電子申告) もしくは 優良な電子帳簿を作成と保存の上、書面提出 |
書面提出 | e-Tax(電子申告) もしくは 優良な電子帳簿を作成と保存の上、書面提出 |
| 備考 | 55万円控除もしくは65万円控除の要件を満たさない場合 |
- ※不動産所得で55万円控除以上を適用する場合は、事業的規模が要件です。ただし、事業所得と不動産所得の兼業の場合は、不動産所得が事業的規模である必要はありません。
-
参考;国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
」
なお、令和8年度税制改正により、2027年分(令和9年分)の青色申告から特別控除の要件と上限が変わります。上限は最大75万円になります。
2027年分以降の青色申告特別控除の区分
青色申告控除75万円・65万円の適用には、前提として以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 青色申告特別控除(75万円・65万円)の共通要件
-
- 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる
- 現金主義による所得計算の特例を選択していない
- 正規の簿記の原則(複式簿記)により作成した貸借対照表と損益計算書の添付
- 期限内申告(原則翌年3月15日まで)
つぎに共通以外の要件を表にまとめました。
| 特別控除額 | 帳簿 | 申告方法 | 共通以外の要件 |
|---|---|---|---|
| 最大75万円(新設) | 複式簿記 | e-Tax(電子申告) | 共通要件にプラスして以下、①~②のいずれかを満たす ①優良な電子帳簿 ②請求書データ等との自動連携(新設) |
| 最大65万円 | 複式簿記 | e-Tax(電子申告) | 共通要件を満たす |
| 最大10万円 | 複式簿記 | 書面での申告 | 共通要件を満たす |
| 最大10万円(※1,※2) | 簡易帳簿(簡易簿記) | e-Tax(電子申告)/書面での申告 | ・事業所得もしくは不動産所得に係る前々年の収入が1,000万円以下(事業所得及び不動産所得がある場合はいずれも1,000万円以下)の納税者 ・事業としての規模に満たない不動産所得者もしくは山林所得者等 |
- ※1不動産所得については、収入区分が1,000万円超である場合、事業的規模の方のみ控除対象外です。
- ※2事業的規模ではない規模(業務的規模)の方は、2027年分以降も最大10万円の控除を適用できます。なお、不動産所得が事業的規模ではない場合は、2027年分以降に複式簿記に移行したとしても、控除額は簡易帳簿の場合と同様に最大10万円です。
2027年分以降、65万円以上の特別控除を受けるために、e-Taxが必須になります。書面での提出では10万円の控除額になってしまいます。さらに、単式簿記の場合は、前々年分の収入が1,000万円を超えている場合は特別控除の対象になりません。
2027年分の確定申告に備え、今からe-Taxや優良な電子帳簿保存もしくは請求書データ等の自動連携に対応できるよう準備しておきましょう。「やよいの青色申告 オンライン」では、e-Taxや優良な電子帳簿の作成と保存にも対応しています。
青色申告のメリットや事前の届け出については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
赤字を翌年以降に繰り越して、翌年以降の黒字と相殺して節税
青色申告では、事業で発生した赤字(純損失)を翌年以降最大3年間繰り越し、将来の黒字と相殺できます。これを「純損失の繰越控除」といいます。
例えば、独立初年度にカメラ本体や照明など高額な機材をまとめて購入し、経費が先行して赤字になった場合でも、その損失を翌年以降に繰り越すことが可能です。
翌年以降に売上が増えて黒字になった際は、繰り越した赤字と相殺することで、課税対象となる所得を抑えることができます。
photo:PIXTA
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よくあるご質問
カメラマンの場合、カメラやレンズは経費になりますか?
カメラマンが撮影業務で使用するカメラや交換レンズなどは、事業に必要な備品として経費に計上できます。
ただし、購入した金額(取得価額)が10万円未満か10万円以上かによって、消耗品費として一括で処理するか、数年かけて経費にする減価償却を行うかの違いがあります。
また、プライベートでも兼用している場合は、仕事使用分のみ経費にできます
詳しくは「こちら」を確認してください。
25万円のカメラを一括で経費にできるの?
青色申告を選択していれば、特例を適用して一括で経費にできます。
25万円のカメラは耐用年数に応じた減価償却が原則です。ただし、青色申告者は「少額減価償却資産の特例」を適用することで、取得価額40万円未満(2026年3月31日以前の取得分は30万円未満)のカメラを購入して使用開始した年に全額一括経費計上できます(年間合計300万円まで)。
詳しくは「こちら」を確認してください。
スキルアップのための費用は経費にできるの?
事業に必要なセミナー参加費や専門書の購入費などは経費になります。
撮影技術や編集スキルの向上のために支払った費用は、それぞれの内容に応じた勘定科目(研修費や新聞図書費など)で経費計上します。ただし、業務との関連性を説明できることが前提で、趣味や純粋な自己啓発の範囲と判断される支出は経費にはなりません。
詳しくは「こちら」を確認してください。
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この記事の監修者齋藤一生(税理士法人センチュリーパートナーズ代表)
東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。
税理士法人センチュリーパートナーズ代表として、渋谷・恵比寿エリアを中心に、会社設立、創業融資、税務顧問、税務調査対応、無申告の解消支援などを幅広くサポート。
特に、起業直後の法人支援や、申告期限を過ぎてしまった法人・個人の期限後申告を得意としています。副業の確定申告や税金について解説した「副業起業塾 」も運営しています。

