顧問税理士とは?顧問契約のメリットや契約前に注意すべき点
監修者:森 健太郎(もり けんたろう)
2024/08/02更新
多くの企業では、税理士と顧問契約を結ぶことが一般的です。税理士と顧問契約を結ぶ場合、月または年単位での顧問料が発生しますが、税務指導や経営サポートなどを継続して行ってもらえます。
では、税理士と顧問契約を結ぶとどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、税理士に依頼できる業務や税理士と顧問契約を結ぶメリット、契約前に注意したいポイントの他、良い税理士を探す方法について解説します。
税理士に依頼できる業務とは
税理士は、税務の専門家としての立場から企業の税務と会計のサポートを行います。ここからは、税理士に依頼できる業務を見ていきましょう。
税理士のみが対応できる独占業務
税理士が対応できる業務の中でも、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つは税理士の独占業務です。
税務代理
税務代理とは、法人の決算申告や個人の確定申告など、税に関わる申告や申請を代理で行うことです。また、税務調査に立ち会い、納税者に代わって異議申し立てなどを行うことができます。
税務書類の作成
税務書類とは、確定申告書や相続申告書をはじめとする税務署に提出する書類です。これらの税務書類の作成は、税理士にしか代行できません。また、年末調整に必要な源泉徴収票や法定調書の作成も、税理士の独占業務です。
税務相談
税理士は、税務書類の作成や納税額の計算、税務調査などの相談に対応できます。税務に関する相談に応じる業務を行えるのは税理士だけです。
税理士に依頼できる業務
税務代理、税務書類作成、税務相談が税理士の独占業務ですが、経理業務全般の代行を請け負っていることも多くあります。具体的には下記のような業務を依頼できます。
会計指導
「経理・会計業務を社内で行いたいが知識がない」という場合には、顧問税理士から会計指導を受けることも可能です。会計ソフトの使用方法や仕訳方法についても教えてもらえます。
給与計算
給与計算も税理士に依頼できます。税理士に月々の勤怠データを渡すことで、所得金額や源泉所得税、社会保険料などの計算を一括して行ってもらうことが可能です。
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年末調整
年に1度行う年末調整は税理士の独占業務です。従業員から年末調整に必要な書類を集め、税理士に依頼することで年末調整を行ってくれます。
節税のアドバイス
税理士は節税のアドバイスも行えます。税務の専門家である税理士であれば、売上と経費のバランスや資金繰りの状況なども把握しながら、より効果的な節税のアドバイスをしてくれるでしょう。
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記帳代行
記帳代行も税理士が対応できる業務です。領収書や請求書、通帳のコピーなどの必要書類を税理士に渡すと、会計ソフトへの入力から帳簿の作成まで行ってくれます。
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税理士への依頼方法は顧問契約とスポット契約
税理士に依頼する方法としては、継続して会社の状況を見てもらう顧問契約と単発で依頼するスポット契約があります。スポット契約は決算のみといった業務を限定した契約です。定期的なやりとりがなく、1年分の帳簿や会計ソフトのデータを渡して決算申告など依頼した業務に必要な書類を作成してもらうのが一般的です。
企業には顧問税理士がついていることがほとんどですが、年間取引数が多くなく、大きな黒字が発生していなければ、決算申告のみのスポット契約を選ぶことで、税理士に支払う費用を抑えることができます。自社の目的や費用に合わせて、税理士への依頼方法を決めるといいでしょう。
税理士と顧問契約を結ぶ3つのメリット
税理士と顧問契約を結ぶことでメリットもいくつかあります。税理士と顧問契約を結んだ場合のメリットを3つ紹介します。
記帳代行を任せられる
税理士と顧問契約を結ぶメリットの1つは、記帳代行を任せられるということが挙げられます。記帳代行とは、日々の取引に関わる記帳を外部に依頼することです。設立したばかりの企業や中小企業、個人事業主の場合、自ら記帳を行っているケースも少なくありません。しかし、事業規模が大きくなるほど仕訳数も多くなり、記帳業務に追われて本業にかけるべき時間を圧迫してしまいます。
そのような場合、顧問税理士に記帳代行を依頼すれば、経営者や従業員の負担が減り、その分、本業に専念できるようになるでしょう。税理士による正確な記帳であれば、決算申告も安心です。記帳代行はスポット契約での依頼もできますが、長期的に任せることで節税などのより適切なアドバイスを期待できます。
お金に関するさまざまなアドバイスが受けられる
お金に関するさまざまなアドバイスが受けられることも、税理士と顧問契約を結ぶメリットです。例えば、節税を行うことで納める税額は大きく変わってきます。顧問税理士がいれば、お金の専門家としての視点から節税に関するさまざまなアドバイスが受けられるでしょう。同時に、申告漏れによる追徴リスクも軽減できます。
また、資金繰りの改善や今後の事業展開についても、顧問税理士に相談することが可能です。その他、助成金や補助金に関する提案など、会社のお金にまつわる多くのサポートをしてもらえます。
税務調査に対応してもらえる
税理士と顧問契約をしていれば、税務調査が入った際の対応を依頼できるメリットがあります。税務調査当日の立ち会いや事前の書類準備なども顧問税理士に依頼できるため、税務署とのやりとりもスムースになるでしょう。顧問税理士なら日々の会計上の取引の実態をしっかり把握できるため、税務調査に対しても適切な対応ができます。
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税理士と顧問契約を結ぶ前に注意したいポイント
税理士と顧問契約を結ぶと、ビジネスパートナーとして長いお付き合いをすることになります。税理士と顧問契約を結ぶ際に注意したいポイントについて解説します。
税理士に依頼する内容を明確にしておく
顧問税理士に依頼できる業務は多岐にわたります。税理士と顧問契約を結ぶ前には、「何のためにどのような業務を税理士に依頼したいのか」という目的と内容を明確にすることが大切です。
自分に合う税理士を選ぶ
会社にとって、税理士選びはビジネスパートナー選びと同じです。顧問契約を結ぶ前には、できる限り税理士と対面かオンラインで面談することをおすすめします。話しやすい相手か、考え方に大きな相違がないかといった点をチェックしてください。
また、税理士が自社の業界について知識がない場合、アドバイスの内容にずれが生じたり、効果的な節税につながらなかったりすることがあります。これまで担当してきた業界・業種などを確認し、自社の業界についての理解があるかをチェックしておきましょう。
費用の内訳や業務内容を確認しておく
税理士と顧問契約を結ぶ前には、費用の内訳や業務内容を確認しておく必要があります。税理士の費用は、顧問料とは別に記帳代行や年末調整など業務ごとに別途設定されている場合がほとんどです。また、会社の規模や訪問回数などによって費用が変わることもあります。
顧問契約を結んだ後で、「打ち合わせが別料金になっていた」「追加料金が発生するとは知らなかった」といったトラブルに発展する場合もあります。顧問契約を結ぶ前には、費用の内訳と業務内容を必ず確認してください。また、契約期間途中の解約には別途料金が発生する場合もあるため、契約前には契約書をしっかり確認しておきましょう。
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顧問税理士は頼もしい経営のパートナー
顧問税理士がいれば、節税をはじめとする多くのメリットが得られます。しかし、顧問税理士は税理士であれば誰でもいいというわけではなく、目的や相性、費用の内訳などをしっかりと考慮して選ぶ必要があります。
顧問税理士は、税務の専門知識で事業運営をサポートしてくれる、経営のパートナーともいえる存在です。自分に合った顧問税理士を探したい方は、ぜひ弥生の「税理士紹介ナビ 」をご活用ください。
この記事の監修者森 健太郎(もり けんたろう)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。
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