後継者のいない会社を買うには?目的に合った売手の探し方を紹介
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今やM&Aは大企業だけが行うものではなく、中小企業のM&Aも増加傾向です。その背景には中小企業での後継者不足があり、近年では中小企業同士のM&Aや、個人が中小企業を買収することで中小企業を引き継ぐケースも見られます。
ここでは、会社を買う際に大切となることや事例の他、目的に合った売手を探す方法などについて解説します。
後継者が見つからない会社が増え、M&A案件は増加中
中小企業のM&A件数が増えている理由の1つは、後継者が見つからない中小企業における事業承継を目的としたM&Aが増加していることです。
日本政策金融公庫総合研究所が行った「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査) 」(2020年1月)によると、60歳以上の経営者のうち、半数以上が将来的な廃業を予定していると回答しています。
また、廃業理由として「適当な後継者がいない」との回答も約3割に上っており、現在では60歳以上の経営者において事業承継を目的として会社を売却する割合が多くなっています。中小企業庁の「2022年版 小規模企業白書 」(2022年4月)によると、60歳代経営者の49.1%、70歳以上経営者の67.5%が、「事業の承継」を目的としてM&Aを行っています。
このような状況もあり、大手企業によるM&Aだけでなく、中小企業同士や個人による事業承継目的のM&Aが増えているのです。
会社を買うと技術や従業員を引き継げる
会社を買うことで、技術や従業員を引き継げます。後継者のいない会社の中には、優れた技術やビジネスモデルがあるにもかかわらず、後継者がいないことで廃業してしまう会社もあります。そのような会社を買収することで、取引先も引き継げるため、ある程度の事業展開が見込める状態でスタートすることが可能です。
また、従業員の雇用も継続できます。会社を立ち上げて従業員を教育するとなると、時間やコストもかかりますが、会社を買収すれば、ビジネスに必要な技術・資格を持っている従業員や、業務に慣れた従業員を継続して雇用することができます。
事業承継・引継ぎ補助金が利用できる
事業承継やM&Aを契機として、経営資源を引き継ぐ中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)は、「事業承継・引継ぎ補助金 」などの活用が可能です。
補助金や助成金は返済不要なので、資金調達方法としては安心できるものですが、いずれも受給者には審査があります。また、補助金は募集期間や金額、採択件数があらかじめ決められており、申請しても必ず受給できるとは限りませんので注意が必要です。補助金の申請にあたっては、提出書類の内容が非常に重要になります。
一方、助成金は随時受け付けているものが多く、一定要件を満たせば原則として受給が可能です。
従業員承継の際におすすめの事業承継・引継ぎ補助金の概要は下記のとおりです。
事業承継・引継ぎ補助金
事情承継・引継ぎ補助金は、事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)、事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)の3つに分かれています。どういった取り組みを行うかによって申請する種類が異なります。さらに事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)には創業支援型、経営者交代型、M&A型といった型があるなど、それぞれに条件が細かく定められていますので、活用する際は事業承継・引継ぎ補助金事務局のWEBサイト「事業承継・引継ぎ補助金 」をご確認ください。
会社を買う際には信頼関係構築が重要
親族や従業員ではない第三者が会社を買う場合、会社の関係者との信頼関係を構築することが重要です。
親族や従業員が経営を引き継ぐ場合は、それまでの経営方針や取引先との関係などを理解した状態で引き継ぐことが一般的です。しかし、第三者が経営を引き継いだ際に、関係者との信頼関係を構築する前に経営方針を転換したり、取引先を変えたりすると、事業がうまく進まない可能性もあります。
まずは信頼関係を構築し、関係者の理解を得ながら事業を進めていくことが重要になります。
会社を買う際の注意点や流れについては別の記事で解説していますので、参考にしてください。
第三者への事業承継の事例
後継者のいない会社を買うにあたって、事業を円滑に進めるために成功事例を知っておくことも大切です。
例えば、後継者を決めることなく経営者が亡くなった町工場に対して、個人がM&Aによって買収した事例もあります。この町工場では熟練した技術を持つ技術者による金属部品加工を得意としていましたが、資金繰りが悪化した状態で経営者が亡くなったことにより経営危機に。そこに、大手メーカー生産部門での就業経験があり起業を考えていた個人が、町工場にM&Aを申し入れました。個人の明確な経営方針や事業理解もあり、町工場は個人に株式を譲渡。関係者との話し合いも重ねて信頼も構築できており、従業員の雇用も守ったまま、経営基盤を安定させて事業を継続できるようになっています。
目的に合った売手(買収先)を探す方法
会社を買うにあたっては、目的に合った売手(買収先)を探すことが大切です。目的を明確にした後、まずは自分で相手を探すことが多いでしょう。そのような場合には、登録無料で利用できるM&Aマッチングサービスがおすすめです。
ほとんどのマッチングサービスでは、掲載されている売手企業の情報を無料で検索・閲覧できます。
M&Aでは、交渉力に加えて財務、税務、会計、法務、労務などの専門的な知識が必要となり、すべての手続きを自力で進めるのは困難です。マッチングサービスをうまく活用していきましょう。これから事業を始めたい個人の方や、これから事業を拡大したい方、事業承継をしたい経営者の方、事業の多角化を目指したい方にもぴったりです。
まずは、専門家に相談してみよう
中小企業の後継者不足などを背景に、中小規模のM&A件数は増えています。一から会社を立ち上げる場合とは異なり、技術や従業員を引き継げるため、ある程度の事業展開が見込める状態でスタートできますが、M&Aを成功させるには自社の目的に合った売手(買収先)を探すことが大切です。
まずは「M&A・事業承継相談窓口 by BATONZ」で相談してみましょう。