融資で門前払いされないために!個人事業主の「法人成り」で注意すべき5つのポイント

2023/12/04更新

この記事の監修吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

個人事業から法人に変更する(法人成り)する際に行わなければならないのが法人登記。その後、金融機関から融資を受ける際には、必ず「登記簿謄本」の提出が必要になります。その登記簿謄本の作り方によっては、金融機関から最悪の場合、門前払いされてしまったり、損をしたりすることがあります。そうならないためにも、法人成りする際の登記簿謄本の作り方で注意すべき5つのポイントを解説いたします。

起業・開業に使える資金調達方法の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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ポイントその1「本店」の所在
本店はレンタルオフィス、本当にそこで大丈夫ですか?

個人事業主時代に事務所などを借りている場合は、そこを本店所在地として登記するのが一般でしょう。しかしながら、個人事業から法人成りする際に、「思い切って都心に事務所を借りよう」というケースもあるはずです。その際、レンタルオフィスかバーチャルオフィスを借りて本店登記をしよう、と考える方もいらっしゃると思います。費用が抑えられますし、色々なサービスが揃っていて便利ですよね。

しかしながら、そのレンタルオフィスやバーチャルオフィスがどういうところなのか?という確認は必要です。契約する前に、「現在の入居者(企業)さんたちは、銀行から融資を受けることができているでしょうか? 法人口座を開設できているでしょうか?」と確認してみてください。入居者へのサポートがしっかりとされているところでしたら、ちゃんと回答してくれるはずです。

一部の入居者(企業)が大きな問題を起して、金融機関から「あのレンタル/バーチャルオフィスは危ない事業者ばかりだ」というイメージを持たれている可能性も否定できません。中にはレンタル/バーチャルオフィスに対して否定的な金融機関もあります。よって、融資審査に悪影響が出る可能性も否定できません。

現在の政府は副業、兼業による起業を積極的に推進しています。今後、レンタル/バーチャルオフィスを利用する機会も増えていくでしょうから、単に「レンタル/バーチャルオフィスだからNG」という理由で門前払いされることは少なくなると思います。

ポイントその2「目的」の数と順番
登記簿謄本の「目的」の数は多すぎませんか?順番は大丈夫ですか?

登記簿謄本には、「目的」という箇所があります。つまり事業内容です。適正な「数」が特に決められているわけではありません。10個でも20個でも30個でも構いません。しかしながら、法人成りした後に、融資申請のために金融機関に登記簿謄本を提出したとします。登記簿には30個の目的が列挙されていたら、金融機関はどう思うでしょうか。「この会社は一体何をしたいのだろうか?」と余計な疑義を抱きかねません。

また「順番」も同じです。一般的な認識として、一番上に記載されている目的がメインの事業のはずです。それが、3番目や5番目に記載されていたら、金融機関はどう思うでしょうか。 実際、そういう登記簿謄本はまれにあります。

「ちょっと考えすぎでは? そんなこと気にしないでしょう」と思われる方もいると思いますが、金融機関の担当者も“人”です。人それぞれの感じ方があります。それをマイナスイメージとして抱く方もいるでしょう。

マイナスイメージをあえてアピールする必要はありません。一旦、抱かれてしまったマイナスイメージを払拭するのはとても大変だということを認識しておいてください。特に基準はありませんが、10~15個前後が妥当ということころだと思います。

登記簿標本の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

ポイントその3「目的」の事業内容
リスクのある事業目的になっていませんか?

日本政策金融公庫には「普通貸付」という制度があります。対象者のところには、「ほとんどの業種の中小企業の方にご利用いただけます (金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等の業種の方はご利用になれません)」と書かれています。

ポイントは「金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等の業種の方はご利用になれません」という箇所です。つまり、「目的」に利用できない業種が書かれていたら、日本政策金融公庫はどう判断するだろうか? ということです。

「将来的に金融関係の仕事に進出したいから」という理由で、金融業に該当すると思われる事業目的を記載したら、日本政策金融公庫から融資を受けることが出来なくなる可能性も否定できません。「本当は金融業をやりたいのでないか? そっちに資金が回るのでは?」と勘繰られてしまう可能性があります。

あくまでも可能性であって、絶対に融資を受けることができなくなる! ということではありませんが、できれば潜在的なリスクがあるのなら避けておきたいですよね。

ポイントその4「資本金」の額
その額で大丈夫ですか?

法人設立をする際に「資本金額をいくらにするか?」について悩まれる事業者の方は多いのではないでしょうか。法人設立の専門家である司法書士や行政書士でも、明確に回答できる方は少ないと思われます。とても難しい問題なのです。

しかしながら、これだけは言えます。法人化して「融資を受けよう」と思っているのなら、ある程度の資本金は積んでおいてください。

理論上は1円でも設立できます。よって、数万円の資本金でも可能なのです。たとえば、1万円の資本金で株式会社を設立したとしましょう。そして、金融機関に1,000万円の融資を申請したら、どうでしょうか? 金融機関に、資本金の1,000倍の額を融資してください、と言っているわけです。もちろん、ケースバイケースなので絶対に無理だ、とは断言しません。しかし常識の範囲内で考えてみてください。

融資額を考えるのであれば、できれば数百万円単位の資本金にはしたいですね。金融機関から融資を受ける必要がないのなら、過少資本でも問題ないのかもしれませんが……。

資本金の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

ポイントその5「役員」の人選
その役員は、ブラックではないですか?

法人を設立すると「役員」を決めなくてはいけません。通常、小規模事業者の場合でしたら、ご本人と奥さんなどが役員になることが多いでしょう。しかしながら、一例ですが、「法人化するのだから先輩の経営者に役員になってもらおう」というケースもあるかもしれません。また、先輩経営者などから「私が役員になって事業をサポートしてあげよう」と有難い申し出があるかしれません。

外部から役員を入れる際には、「その方はどういう人なのか? 金融事故などはないか?」についてしっかりと精査しておく必要があります。単純なことなのです。

もしも役員候補の方が日本政策金融公庫から資金を借りていて、返済できずに塩漬け状態になっているとしたら、どうでしょうか? 法人化して融資申請をした際に日本政策金融公庫はどう判断するでしょう。「当公庫に金融事故のある人が役員に入っている。この会社は大丈夫だろうか? この役員が別会社名義で融資を重ねようとしているのではないだろうか?」などと勘繰る可能性は否定できません。

その結果、思うように融資を受けることができなかったら、とても困りますよね。そのため、外部から役員を入れる際には、しっかりと金融事故などについては確認しておきたいものです。

いかがでしたでしょうか。いずれも、簡単に「見直す」ことのできる項目ばかりです。法人成りを行う際は、ただ必要事項を記載するだけではなく、少しだけ慎重に、もう一度見直してから実施してください。融資を受けるときになって後悔しないよう、先に手を打っておくべきなのです。

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この記事の監修吉田 学(よしだ まなぶ)/ 財務・資金調達コンサルタント

株式会社MBSコンサルティング新規タブで開く 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)新規タブで開く」を主催している。吉田学ブログ「融資・資金調達支援を武器にして法人顧問を獲得しよう!新規タブで開く

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