女性起業家の事例3選!成功する起業家の特徴と押さえておくべきポイント
監修者: 森 健太郎(税理士)
更新

働き方や生き方の多様化が進み、現在は、性別問わず能力を発揮して活躍できる社会づくりが求められています。ビジネスの現場をはじめ、メディアでも女性起業家の姿を目にして、「私も起業を目指したい」「自分のビジネスで社会貢献したい」と考えている女性の方もいるのではないでしょうか。
実際に活躍している女性起業家の事例を知ると、ビジネスを始めるヒントが見つかるかもしれません。
ここでは、女性起業家を取り巻く社会的な背景をはじめ、女性起業家の成功事例、成功する起業家の特徴や押さえておくべきポイントについて解説します。
起業・開業の情報をLINEで毎週配信中!こちらをクリックしてまずはお友だち登録を!
女性社長の割合は8.4%
株式会社帝国データバンクのレポート:全国「女性社長」分析調査(2024年)によると、国内の女性社長の割合は8.4%です。1990年当時は4.5%、2000年当時は5.6%、2010年当時は6.8%で、今回が過去最高の割合を記録しました。
まだまだ女性社長の割合は低いものの、持続可能でより良い世界を目指すSDGs、環境や人権、法令順守に配慮したESGの観点から、世界的には女性の活躍を後押しする風潮があります。
独自のビジネスアイデアをもとに起業した著名な方として、片付けコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり)さんや、PRを軸に戦略プランニングやマネジメント事業などを行う株式会社サニーサイドアップの次原悦子さんなどが挙げられます。これから起業を考えている方は、女性社長の割合にとらわれず、女性起業家の成功例からビジネスのアイデアを考えてみましょう。
女性起業家の事例
ここでは、女性起業家がどのような経緯で起業を行ったのか、3つの起業事例をご紹介します。抜粋となるため、ビジネスのヒントをさらに深堀するなら、起業した方のインタビュー記事も併せてご覧ください。
子育て中にお金をかけずに始めたベビー服の輸入販売事業で成功
海外から輸入したベビー用の靴や洋服、雑貨をオンラインで販売する、リリーアンドデイジー株式会社の麻生満美子さんは、子育て中にお金をかけずに自力で起業した方です。
麻生さんは、出産後に再就職活動をするも当時40歳で子供も小さく、再就職が難航したことから、早く収入の目処をつけるため、得意なパソコンスキルと自身の育児経験を活かして、海外子供服専門のネットショップを始めました。貯金100万円以内でできることをしようと考え、資金計画を立てる際に資本金でどこまで事業運営が耐えられるかも計算してから、ネットショップを立ち上げたといいます。
また、英語力ゼロという状態でも、日本の企業と取引実績がない海外ブランドに取引交渉を行い、製品やサービスへの熱意を丁寧に伝えることを心掛け、契約を締結。地道にビジネスを続け、お客様への真摯な対応などが口コミを呼んで、徐々に売上が拡大し、開業して約5年後に法人化しました。
2014年に全国商工会議所女性会連合会主催の第13回女性起業家大賞で最優秀賞を受賞。現在は、オンライン販売や輸入取引の経験を活かし、起業支援インキュベーターおよびWeb販売サポート事業も行っています。
- ※先輩起業家からのヒント
リリーアンドデイジー株式会社 麻生満美子さん
あったらいいなと思う「食のサブスク」サービスで起業
最適な栄養バランスの食事をサブスクリプションサービスで提供する、株式会社Muscle Deliの西川真梨子さんは、ボディメイクをする際の自身の体験から「こんなサービスがあったらいいのに」を形にして起業した方です。
前例の少ない事業へのチャレンジだったからこそ、起業前の市場調査では、近しい宅食企業まで範囲を広げたり、ダイエットをしている方にもヒアリングを行ったりして、ビジネスの可能性を自分なりに見出してから、会社を設立して本格的に事業運営することを決心しました。
食事改善やダイエットは続けることが大事だからこそ、定期的に届くサブスクリプションサービスでの販売をスタート。最初はバーを間借りして手作りから始め、販売箇所を増やすためにテレアポをしたり、製造数を増やすために工場と交渉したり、うまくいかないときには今後の計画書や思いをまとめた資料などを直接持って伝えに行きました。
融資を受けた500万円でできる精一杯のロット数を作り、プレスリリースなどの宣伝にも力を入れたところ2日で商品が完売。口コミが広がり、ユーザーからは「すごく便利で助かる」「栄養バランスが整っているだけでなく時短にもなる」という反響が寄せられています。起業して楽しいことも苦しいことも10倍になり、会社員時代にはなかった醍醐味を感じているそうです。
- ※先輩起業家からのヒント
株式会社Muscle Deli 西川真梨子さん
リーガル知識や経験を活かしたビザ申請代行サービスで起業
米国就労ビザ申請代行を行う株式会社アストライアの釋迦郡享子さんは、アメリカの大学を卒業後に携わった、アメリカで暮らす女性のビザ申請のサポート業務の経験をもとに、帰国してから起業しました。
法律業務においても、テクノロジーを活用しながら効率化できると、いち早くリモートでの働き方を実践するべく起業を行ったことで、自分のペースでこなせるようになったそうです。
もともと海外にいたこともあって、当初は利益を出すためにどれくらい経費がかかるのかわからず、創業支援サービスのセミナーに参加したり、税理士に相談したりして情報を収集。想定していなかった費用などもかかりましたが、期間限定の無料の会計ソフトを使ったり、専門家と雇用契約を結んだりして、1年かけて軌道修正していきました。「自分自身が立ち上げた事業、やろうと思ったサービス内容で、依頼者に喜んでもらえたとき、それをひしひしと感じられるのはすごく楽しい」とのことでした。
- ※先輩起業家からのヒント
株式会社アストライア 釋迦郡享子さん
成功する起業家の特徴は?
性別問わず、成功している起業家の特徴には、いくつかの共通点があります。困難を乗り越え、ビジネスを成功へと導くためにも、これから起業を目指す方は、次のようなポイントを意識してみるといいでしょう。
成功する起業家の主な特徴
- プラス思考で常に学ぶ姿勢がある
- 得意なこととニーズの両方を追求する
- 起業してやりたいことへの熱意がある
- スピード感と行動力がある
- リスクを背負う覚悟がある
プラス思考で常に学ぶ姿勢がある
成功している起業家の共通点として、プラス思考で常に学ぶ姿勢を持っていることが挙げられます。1人で起業するなら、商品の仕入れや製造、宣伝などのマーケティング、資金調達など初めてのことも全て自分で行わなければなりません。うまくいかないことや失敗することもありますが、切り替えられなければ、何も進まなくなってしまいます。
学ぶチャンスと捉え、わからないことがあれば調べたり、専門家のアドバイスを受けたりして、根気よく学ぶことは、自分が提供するサービスや商品を向上させるだけでなく、お客様の喜びにもつながるでしょう。
得意なこととニーズの両方を追求する
成功している起業家は、自分の得意なことと顧客ニーズの両方を追求することで、自分独自のビジネスを行っています。ニーズとかけ離れていては利益がでませんし、ニーズに振り回されすぎると事業の軸がぶれてしまい、経営へのモチベーションが下がってしまうかもしれません。
ターゲットへのヒアリング、競合他社の商品やサービスの調査などを行ったうえで、得意なことと掛け合わせ、自分独自のビジネスを考えていくといいでしょう。
起業してやりたいことへの熱意がある
起業してやりたいことへの熱意があれば、トラブルが起こったときに、前を向く原動力になります。また、ビジネスへの熱意を取引先やお客様に伝えることで、共感してもらえたり、応援してもらえたりすることがあります。熱意を伝えるには、「自分は何のために起業するのか」「起業することで自分は何を成し遂げたいのか」を自問自答しておくといいでしょう。
スピード感と行動力がある
成功している起業家にはスピード感と行動力があります。経営においては、市場の動向や最新技術、トレンドなどの情報に常にアンテナを張り、スピーディーに対応していくことが求められます。質にこだわることも大事ですが、時間がかかるとビジネスチャンスを失ってしまうかもしれません。
また、ビジネスには実際に行動してみなければわからないこともありますので、年齢やブランクといった枠にとらわれず、やりたいことを実現するために直接交渉に行ったり、すぐに専門家に相談したりする行動力も必要になるでしょう。スピードを早めれば、自ずと行動量も増えていきます。
リスクを背負う覚悟がある
リスクを背負う覚悟があることも、成功している起業家の共通点として挙げられます。起業において、初めからうまくいくことは珍しいものです。また、リスクを避けてばかりでは、リターンは望めません。
起業の中でのリスクといえば借金をかかえることなどが考えられます。起業事例でも紹介したように、貯金100万円の中で始めるなど、ダメージを最小限にするための対策を行ったうえで、できることから始めてみるのも1つの方法です。リスクを背負う覚悟を決めることで、乗り越えようという熱意や行動力にもつながります。
起業を失敗させないためには適切な資金を準備する
起業事例でも触れましたが、起業時には想定外の費用がかかったり、収入を得るまでに時間がかかったりします。業種を問わず、起業を失敗に終わらせないようにするには、資金の準備が必要です。
起業後すぐは計画どおりに売上を確保できるとはかぎらないため、起業する際には初期費用に加えて運転資金6か月分を目安に用意します。資金がショートすると事業を行えず、借り入れしづらくなるため、起業時に余裕をもって融資や補助金・助成金などを活用しておくのがおすすめです。
また、融資を受ける際に自己資金の割合が少ないと、希望する額の融資を受けられなくなりますので、起業を考える方は自己資金もご準備ください。
なお、融資制度の中には、日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援資金など、女性に特化した融資もあります。創業時の融資には説得力のある事業計画書が必要ですから、税理士に相談してアドバイスを受けたり、かんたんに事業計画書が作成できる弥生の資金調達ナビ「創業計画をつくる」などを利用したりしましょう。
- ※開業資金については以下の記事を併せてご覧ください
会社設立を手軽に行う方法
会社を設立するには、会社形態に応じたさまざまな手続きを行う必要があります。全ての手続きを自分1人だけで行うのは手間や時間がかかるうえ、ミスや漏れのリスクもあります。そんなときにおすすめなのが、起業に強い専門家に会社設立手続きを依頼できる「弥生の設立お任せサービス」と、自分でかんたんに書類作成ができる「弥生のかんたん会社設立」です。
専門家が会社設立を代行する「弥生の設立お任せサービス」
「弥生の設立お任せサービス」は、弥生の提携先である起業に強い専門家に、会社設立手続きを丸ごと代行してもらえるサービスです。専門家を探す手間を省ける他、電子定款や設立登記書類の作成、公証役場への定款認証などの各種手続きを依頼でき、確実かつスピーディーな会社設立が可能。事業の展望などを踏まえ、融資や助成金、節税などのアドバイスも受けられるので安心です。
会社設立後、専門家とご相談のうえ会計事務所との税務顧問契約を結ぶと、割引が受けられ、サービス利用料金は実質0円になります。定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。
自分で手軽に申請書が作れる「弥生のかんたん会社設立」
「弥生のかんたん会社設立」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を自動生成できるクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしますので、事前知識は不要。さらに、パソコンでもスマートフォンでも書類作成ができます。
サービス利用料金は無料。会社設立に必要な書類の作成はもちろん、専門家による電子定款作成/電子署名費用も全て0円です。また、「弥生のかんたん会社設立」をご利用の方限定で、創業に必要な実印を特別価格でご案内しています。
起業事例から成功のポイントを学ぼう
女性社長の割合は、年々増加傾向です。女性起業家の成功例には、「ユーザーとしての視点を活かす」「自分がほしいと思ったサービスを提供する」「スキルや経験を活かす」など、ビジネスのヒントがあります。
自分のやりたいこととニーズを掛け合わせ、スピード感をもって起業の準備を進めていきましょう。また、起業をする上では、資金調達や会社設立の手続きが必要です。
起業する際には「弥生の設立お任せサービス」や「弥生のかんたん会社設立」などのサービスをぜひご活用ください。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。