2022/5/30更新 開業資金はどこから融資(借り入れ)を受けやすい?独立・起業時の融資制度を解説

事業を始めるときには、開業資金が必要です。業種によっては、店舗の工事や大きな設備の導入が必要で、開業時に多額の費用がかかることもあるでしょう。自己資金だけでなんとかしようとしても、足りない場合や開業後の資金繰りに影響が出る場合もあります。
開業資金を集める手段としては、金融機関などから資金を借り入れる「融資」があります。ここでは、起業・開業時に向いている融資の種類と、その上限額、融資の申し込み条件などを解説します。

開業資金の融資はどこで受けるのがいい?

開業資金の調達には、起業や開業する方に向けた創業融資や制度融資を利用するのがおすすめです。創業融資は、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関で行っています。制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供しているものです。
どちらの融資を受けるにしても、事業計画書を作成して、融資元に相談し、融資の審査をクリアする必要があります。起業・開業時は売上実績がなく、信用を得にくいため、大手銀行などから融資を受けるのが難しいことは少なくありません。そのため、起業・開業時に合う融資元を選ぶことが大切です。まずは、起業・開業時に受けやすい2つの融資元について見ていきましょう。

日本政策金融公庫による創業支援の融資

日本政策金融公庫とは、国が100%出資している政府系金融機関で、「日本公庫」「公庫」と呼ばれることもあります。国の政策として、地域の起業・開業率を引き上げることで、雇用機会を創出し、国内総生産(GDP)の引き上げを目指している背景があります。そのため、民間の金融機関から融資を受けにくい中小企業や小規模事業者、これから起業・開業する方に向けた、さまざまな融資制度があることが特徴です。日本政策金融公庫では、経営課題に応じたコンサルティングや、全国152支店のネットワークを活かした商談会なども実施しています。

日本政策金融公庫には、「新創業融資制度」「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」など、起業・開業時に利用できる融資制度があります。融資を希望する場合は、日本政策金融公庫に問い合わせるか、お近くの商工会議所、商工会、生活衛生同業組合、都道府県の生活衛生営業指導センターでも相談が可能です。

日本政策金融公庫の審査については、こちらの記事も併せてご覧ください。

自治体・金融機関・信用保証協会による制度融資

制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して行う融資のことです。制度融資では、信用保証協会が創業間もない会社の債務保証をすることで、金融機関からの融資を受けやすくする仕組みになっています。制度融資を利用するには信用保証協会の保証が必要で、信用保証協会を利用すると一般的に金利の他に保証料がかかります。
信用保証協会とは、全国47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達のために設立された公的機関のことです。融資を希望する場合は、お近くの信用保証協会に直接問い合わせるか、指定金融機関を経由して申し込みます。

日本政策金融公庫で、開業資金に利用できる3つの融資制度

ここからは、日本政策金融公庫で開業資金に利用できる「新創業融資制度」「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」についてご紹介します。3つの融資制度の利用条件と限度額を詳しく見ていきましょう。

新創業融資制度

新創業融資制度は、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象にしています。原則として無担保・無保証人で、最大3,000万円(そのうち運転資金は1,500万円)までの融資が可能です。これから創業する方や創業後に税務申告を1期終えていない方は、創業に必要な資金の10分の1以上の自己資金がないと、新創業融資制度の申し込みができません。

ただし、現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める場合、「6年以上同じ企業に勤めている方」または「現在の企業と同じ業種(開業する業種)に通算6年以上勤めている方」であれば、自己資金の要件を満たしたものとされます。その他にも、大学などで修得した技能と密接に関連した職種に継続して2年以上勤め、その職種に関連した事業を始める方なども、自己資金の要件は問われません。詳しくは、日本政策金融公庫の「新創業融資制度の『自己資金の要件を満たすものとする要件』 新規ウィンドウで開く」でご確認ください。

なお、自己資金の金額を提示する場合は、通帳のコピーなどで確認できる状態にしておく必要があります。事業に使用する予定のない資金は、自己資金とはみなされないため注意しましょう。

新規開業資金

新規開業資金は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方を対象にした融資です。融資限度額は7,200万円で、そのうち運転資金は4,800万円になります。また、担保と保証人が必要です。
新規開業資金では、自己資金の要件は設けられていません。ただし、「Uターン等により地方で新たに事業を始める方」や「技術・ノウハウ等に新規性がみられる方」など所定の要件を満たした場合は、基準利率よりも低い特別利率が適用されます。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、名称のとおり、女性や若者、シニア世代の起業や開業を支援する融資制度です。利用できるのは、「女性または35歳未満か55歳以上の方」で、なおかつ「新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方」です。
融資限度額は、新規開業資金と同様に7,200万円で、そのうち運転資金は4,800万円です。また、担保と保証人が必要です。

上記で紹介した内容以外にも、日本政策金融公庫では融資制度ごとにさまざまな要件が定められています。融資を検討する際には、必ず日本政策金融公庫のWebサイトで確認するようにしてください。

起業・開業時の資金調達方法については、こちらの記事も併せてご覧ください。

融資を検討する際に気を付けるべきポイント

融資を検討する際には、いくつか気を付けるべきポイントがあります。そもそも融資は、起業・開業するにあたって、必ずしも受けないといけないものではありません。しかし、事業開始直後は売上が見込みにくいため、ある程度の資金は手元に置いておく方が安心です。事業開始後、計画どおりに収益が上がらず、運転資金が不足することもあります。そうなってから融資を受けようとすると、難易度がかなり上がってしまいます。そのため、起業・開業後よりも起業・開業前の方が融資は受けやすいと考え、自己資金でまかなえそうな場合でも念のため融資を受けておく、というケースは珍しくありません。また、融資を受けておくと、先行投資や急な出費の際にも対応できます。ただし、融資を検討する際には、以下のようなポイントに気を付けることが大切でしょう。

利息を含めた借入金額を無理なく返済できる計画性が必要

融資を受ける場合、利息を含めた借入金額を無理なく返済できる計画性を持っておくことが必要です。
融資は借入金なので、当然のことながら返済する義務があります。融資を受けた後は、月々の売上の中から、融資額に利息を加えた金額を返していかなければなりません。
返済計画を立てるときに、毎月の売上だけをもとに考えるのは危険です。売上から家賃や人件費、仕入れ代金、その他の経費を引いたものが利益になりますが、その利益には法人税などの税金がかかります。毎月支払う経費や、納めなければならない税金のことも考慮したうえで、無理のない返済計画を立てましょう。

返済義務のない補助金や助成金での資金調達も検討する

融資の他に、国や自治体による補助金や助成金といった返済義務のない資金調達手段を検討することも大切なポイントです。ただし、補助金は公募期間や採択件数が決まっており、必ずしも受給できるとは限りません。一方、助成金は通年を通して申請は可能ですが、一定の要件を満たす必要があります。どちらも審査はありますが、受給できれば返済に追われることはありません。融資と併せて、補助金や助成金での資金調達を検討してみるのもいいでしょう。

資金調達手段を手軽に探せる方法

業種によって金額に幅はあるものの、起業・開業時にはある程度まとまった資金が必要です。「事業計画どおりに利益が出るかわからないから、自己資金だけでは心配」「しっかりと運転資金を確保しておきたい」という場合は、資金調達を検討する必要があるでしょう。しかし、資金調達にはさまざまな方法があり、自力で情報を集めるには手間や時間がかかります。そのような場合は、弥生株式会社の「資金調達ナビ 新規ウィンドウで開く」がおすすめです。

「資金調達ナビ」は、事業を営むうえで必要不可欠な資金調達手段を探したり、資金調達に欠かせない知識が学べたり、資金調達の専門家の紹介が受けられたりする完全無料のWebサービスです。全国の行政が提供する補助金や助成金の他、連携する金融機関の融資情報を一括で検索でき、自分に適した資金調達手段を手軽に探せます。

「資金調達ナビ」はこんな方におすすめ

「資金調達ナビ」は、特に次のような方におすすめです。

資金調達手段の探し方がわからない方

「資金調達ナビ」では、補助金、助成金、給付金、融資、制度融資を、地域や事業形態で絞り込んで検索できます。例えば、国や自治体が実施する補助金、助成金、給付金の最新情報と、全国の主要な金融機関の融資などの一括検索が可能です。かんたんな操作で、自分に適した資金調達手段を見つけることができます。

開業資金を集めたい方、自己資金だけで起業しようと思っている方

起業・開業時には、店舗や事務所を借りた場合の敷金や礼金といった初期費用の他、仕入れ代金などさまざまなお金が必要になります。自己資金を準備していても、事業開始後、計画どおりに進まないこともあるでしょう。融資は、赤字経営のときよりも、創業前のほうが受けやすいという傾向があります。そのため、自己資金でまかなえそうであっても、創業前に余裕をもって資金調達しておくことが大切です。「資金調達ナビ」を使えば、自分に合った資金調達手段を手軽に探せます。

資金調達に関する知識を身に付けたい方

資金調達といっても、融資や補助金、助成金、株式発行による出資といったさまざまな方法があり、それぞれの違いや準備することなど、知っておきたいポイントも多くあります。「資金調達ナビ」では、専門家が執筆したコンテンツを発信しているので、資金調達の基本も学ぶことが可能です。

資金調達の専門家に相談したい方

資金を調達するには、申請書類の作成や事業計画の策定などが必要です。そのため、資金調達にあたって不安が生じ、専門家に相談したいと思う場面が出てくるかもしれません。「資金調達ナビ」では、業界最大規模の全国1万1,000のパートナー会計事務所から、資金調達について相談できる税理士を、完全無料で最短翌日までに紹介することが可能です(2021年11月現在)。紹介料は一切かかりません。

自力で事業計画書を作成したい場合

専門家に頼らず、自力で事業計画書を作成したいという方もいるかもしれません。その場合は、ツールを使うと便利です。弥生株式会社と株式会社プロジェクトニッポンが共同運営する「事業計画作成サポートツール 新規ウィンドウで開く」なら、創業融資の申請時に必要な事業計画書を、ブラウザ上で作成できます。飲食業や小売業(店舗)、ネットショップなど業種ごとのフォーマットが用意されており、質問に答えていくだけで事業計画書や数値計画書の作成ができます。利用料は一切かかりません。さらに、先輩企業の事業計画と照らし合わせて資金計画をシミュレーションすることも可能です。
融資を申請する際には、どのように事業を運営し、利益を上げていくのかを示す、事業計画書は欠かせないものです。フォーマットを活用して、融資元に納得してもらえる事業計画書を提示しましょう。

開業資金の資金調達は、創業支援に特化した融資を活用しよう

事業を始める際には、開業資金が必要です。開業資金を集めるには、創業支援に特化した融資を受けるのがおすすめです。特に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、原則無担保・低金利で最大3,000万円まで借り入れが可能なため、資金調達を希望する方にとって大きなメリットになるでしょう。ただし、融資には審査があり、事業計画書などの書類をしっかりと作成する必要があります。弥生の「資金調達ナビ 新規ウィンドウで開く」では、最適な資金調達手段や融資について相談できる専門家を無料でご紹介が可能です。起業・開業という目的を実現するために、こうしたサービスを活用しながら、創業融資を上手に受けましょう。

著者:森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル 新規ウィンドウで開くを運営。
URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/ 新規ウィンドウで開く

資金調達ナビ 資金調達を支援するための様々な手法を紹介しています。

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