起業とは?法人と個人事業主、フリーランスとの違いも解説

2024/06/10更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

新たに事業を立ち上げるには、法人や個人事業主として起業する方法があります。また、フリーランスとして独立するといった働き方もあります。事業を始めるうえでそれぞれどのような違いがあるのか把握しておくと、スムースに選ぶことができるでしょう。

ここでは、法人や個人事業主、フリーランスの違いの他、起業の際に法人か個人事業主かを選ぶときのポイント、事業開始に必要な手続きなどについても解説します。

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起業とフリーランスとの違い

起業とは事業を起こすこと、つまり自分で新しいビジネスを始めることです。一般的には、「起業」というと、事業の立ち上げにあたって法人を設立することを指します。一方、フリーランスは、基本的には、会社や組織と雇用契約を結ばずに、個人として仕事を請け負う働き方のことです。中には、会社に所属しながら、副業でフリーランスとして働く方法もあります。

フリーランスは働き方なので、開業届を提出せずに働いている場合と、起業して税務上「個人事業主」や「法人」になっている場合があります。

※フリーランスについては、以下の記事も併せてご覧ください

フリーランスとは?どうやったらなれる?必要な準備や手続きを解説

起業における法人と個人事業主の違い

自ら新しい事業を立ち上げる人のことを「起業家」といいますが、法人として会社を設立した人がすべて起業家と呼ばれるわけでもありません。多くの人が起業家とみなすのは、これまで世の中になかったような革新的なアイデアで事業を創り、会社を設立する人です。

個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことです。個人事業主になるには、税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出する必要があります。
なお、個人事業主の場合、開業届を提出していなくても、確定申告をすることで提出したこととみなされます。ただ、その場合は青色申告の事前申請をしていないため白色申告しかできず、青色申告の控除が受けられず納税額が増えてしまいます。売上を見込めるのであれば、開業届を提出して青色申告の事前申請を行った方が良いでしょう。

事業を始めるにあたって、法人となるか個人事業主となるかを選ぶ必要がありますが、以下のようにさまざまな違いがあります。

課税される税金の違い

起業における法人と個人事業主との違いには、納付しなければならない税金の種類が挙げられます。
法人には、所得に応じて法人税や法人住民税、法人事業税がかかりますが、個人事業主に課税されるのは所得税や住民税、個人事業税などです。

それぞれ税金の仕組みや税率が異なり、所得が一定以上になると個人事業主よりも法人の方が節税効果は高くなります。しかし、個人事業主は赤字なら所得税や住民税はかかりませんが、法人には赤字でも納付しなければならない法人住民税の均等割があります。

経費として認められる範囲の違い

起業における法人と個人事業主との違いとして、認められる経費の範囲にも注意が必要です。
例えば、個人事業主の場合事業主本人への給与は経費扱いにはなりませんが、法人であれば所定の要件を満たせば、経営者への役員報酬も経費にすることができます。

起業する際に法人と個人事業主を選ぶときのポイント

起業にあたって、法人として会社を設立するか、個人事業主として開業届を提出するかによって、さまざまな違いがあります。法人か個人事業主かを選ぶときに迷うなら、以下のポイントを踏まえて検討してみると良いでしょう。

起業する際に法人と個人事業主を選ぶときのポイント

  • 取引の幅や規模の大きさ
  • 目指す事業規模や調達したい資金額
  • 課税される税金の仕組み

取引の幅や規模の大きさ

起業する際に法人と個人事業主を選ぶときのポイントは、取引の幅や規模の大きさです。
一般的には、個人事業主よりも法人の方が、社会的な信用度は高くなります。法人を設立するときには、商号(社名)や住所、資本金などといった情報を法務局に提出して登記しなければなりません。登記した内容は誰でも閲覧できるので、法人としての責任が発生し、個人事業主に比べて社会的な信用度が高くなるのです。

取引先によっては法人としか契約を結ばない企業や、個人事業主とは規模の大きな取引を行わない企業もあります。そのような企業と取引を行いたい場合には、個人事業主として開業するより、法人を設立して起業するメリットの方が大きいといえます。

目指す事業規模や調達したい資金額

起業する際に法人と個人事業主を選ぶときのポイントには、目指す事業規模や調達したい資金の額も挙げられます。
「ゆくゆくは事業拡大を目指したい」「多額の資金調達を行いたい」という場合には、法人設立を視野に入れて検討するのがいいかもしれません。
法人と個人事業主では社会的な信用度が変わってくるため、規模の大きな取引は法人の方が行いやすくなります。

また、資金調達を行ううえでも、社会的な信用を得やすい法人の方が有利になる可能性があります。個人事業主が資金調達をしにくいというわけではありませんが、事業拡大などでまとまった額の融資が必要になる場合は、法人の方が資金調達方法の選択肢は広がるでしょう。

課税される税金の仕組み

起業する際に法人と個人事業主を選ぶときのポイントの1つに、課税される税金の仕組みも挙げられます。
具体的には、法人の所得に課税される法人税は、資本金1億円以下の法人の場合、所得が800万円を超えると税率は23.2%、800万円以下なら税率は15%です。それに対して、個人事業主の所得税は累進課税となり、税率の上限は45%です。つまり、所得が増えれば増えるほど、個人事業主よりも法人の方が節税効果は高くなるといえるでしょう。

ただし、法人と個人事業主のどちらがより節税メリットが大きいかは、所得額に加えて、経営者の役員報酬の金額や、法人が支払う法人住民税、法人事業税などによっても変わってきます。できるだけ節税効果を高めたいと考えるなら、起業を検討するタイミングで税理士に相談すると安心です。

※法人と個人事業主の違いについては以下の記事を併せてご覧ください

法人と個人事業主の違いや起業スタイルの選択基準を解説

法人とは?種類や意味、個人事業主との違いを簡単に解説

個人事業主からスタートして法人化する方法もある

事業を立ち上げるときは、小規模からスタートするとリスクを抑えることができます。
「起業していきなり会社を設立するのはハードルが高い」と感じる場合には、まず個人事業主から始めて、事業が軌道に乗ってから法人化するのも1つの方法です。

会社員から独立しようと考えた場合も、はじめは副業からスタートして、ある程度売上の見込みが立ってから起業を目指すといいかもしれません。

※事業の小規模スタートについては以下の記事を併せてご覧ください

スモールビジネスとは?小さく始めるメリットと起業の成功事例を解説

法人を設立して起業するときに必要な手続き

法人を設立するには、定款の作成や法人設立登記をはじめとした多くの手続きが必要です。併せて、資本金の振り込みや登録免許税などの支払いといった費用もかかる点を確認しておきましょう。

法人を設立して起業するときに必要な手続き

  • 定款を作成し、必要があれば認証を受ける
  • 出資金(資本金)の払い込み
  • 会社設立登記の申請
  • 税金関係に関する手続き
  • 社会保険や労働保険に関する手続き

定款を作成し、必要があれば認証を受ける

法人を設立するには、まずは会社形態を決める必要があります。日本で新しく設立できる会社の形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類ですが、一般的には株式会社か合同会社のいずれかを選ぶことになるでしょう。

会社の形態や概要を決めたら、定款を作成します。株式会社を設立する場合は公証役場での定款認証手続きも必要ですが、合同会社であれば認証を受ける必要はありません。なお、会社設立にあたっては、登録免許税などの費用がかかります。

出資金(資本金)の払い込み

定款の準備ができたら、発起人の個人口座に登記資本金を払い込みます。この時点では、まだ会社の登記申請が完了しておらず、法人口座が開設できていないためです。この後の登記申請の際に資本金の払い込みを証明する書類が必要になるので、資本金を振り込んだら、通帳の表紙と1ページ目、振り込み内容が記載されているページをコピーしておきましょう。

合同会社を設立する場合には、現物で資本金を受領することも認められています。その場合には、登記申請の際に、代表者印が作成した領収書を提出すれば問題ありません。

会社設立登記の申請

会社設立のための登記申請書類を作成し、法務局で申請します。申請書を法務局のWebサイト「商業・法人登記申請手続新規タブで開く」からダウンロードして法務局へ提出、または国税庁のWebサイト「法人設立ワンストップサービス新規タブで開く」からオンラインでの申請も可能です。株式会社と合同会社で申請の際に必要な書類が異なるため、申請前に確認しておいてください。

税金関係に関する手続き

会社設立登記の申請が完了したら、所轄の税務署に「法人設立届出書新規タブで開く」「青色申告の承認申請書新規タブで開く」「給与支払事務所等の開設届出書新規タブで開く」といった書類の提出が必要です。さらに、会社によっては、「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書新規タブで開く」「棚卸資産の評価方法の届出書新規タブで開く」「減価償却資産の償却方法の届出書新規タブで開く」といった書類の提出が必要になる場合もあります。自社がどの書類を提出しなければならないか、よく確認しておきましょう。

併せて、都道府県税事務所と市町村役場にも、「法人設立届出書」や定款の写しといった書類の提出が必要です。自治体によっては、「登記事項証明書」の提出も必要な場合があるので、提出前に確認するようにしてください。

社会保険や労働保険に関する手続き

会社を設立したら、健康保険や厚生年金といった社会保険に加入するため、年金事務所に届出を行います。従業員を雇用する場合には、労災保険と雇用保険の加入手続きを行わなければなりません。労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークで手続きを行います。

※法人の種類や設立の手続き、必要書類については以下の記事を併せてご覧ください

法人の種類は?法人一覧と設立方法をわかりやすく解説

会社設立の流れとは?株式会社を設立するためにやることや必要書類を解説

合同会社設立の流れ 必要書類や手順、期間、自分で設立する方法

個人事業主として起業するときに必要な手続き

個人事業主として起業するときは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出すれば手続きは完了です。費用はかかりません。ただし、青色申告をするための申請書の提出や、税金や社会保険関する手続きが必要になる場合もあるため、どの手続きが必要かよく確認しておいてください。

個人事業主として起業するときに必要な手続き

  • 開業届の提出
  • 青色申告をするための申請書の提出
  • 税金や社会保険に関する手続き

開業届の提出

個人事業主の開業手続きは、事業開始後1か月以内に所轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出するだけです。開業届は、国税庁のWebサイト「個人事業の開業届出・廃業届出等手続新規タブで開く」よりダウンロードした用紙に記入し提出、もしくはe-taxから提出も可能です。

青色申告をするための申請書の提出

確定申告で青色申告を行いたい場合には、併せて所轄の税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」も提出しておきましょう。国税庁のWebサイト「所得税の青色申告承認申請手続新規タブで開く」よりダウンロードした用紙に記入し提出、もしくはe-taxから提出できます。事業開始後2か月目までに提出すれば良いので、事業を開始して様子を見てから、白色申告にするか青色申告にするかを選ぶこともできます。

税金や社会保険に関する手続き

税金や社会保険の手続きも行わなければなりません。従業員を雇う場合には、所轄の税務署へ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書新規タブで開く」を提出する必要があります。個人事業主でも社員が5人以上いる場合には、原則として社会保険への加入が必要です。また、社員といった雇用形態に関わらず、従業員を雇用した場合には労災保険の加入手続きも必要です。

さらに、2023年10月からはインボイス制度が開始したため、適格請求書(インボイス)発行事業者になるかならないかを選択しなければなりません。もし適格請求書発行事業者になるのであれば、「適格請求書発行事業者の登録申請書新規タブで開く」を所轄の税務署へ提出する必要があります。インボイス制度に対応して適格請求書発行事業者になると。課税事業者となり消費税が課税されることになるため、よく検討するようにしてください。

※個人事業主の開業手続きについては以下の記事を併せてご覧ください

個人事業主の開業時にやることをリスト化!開業後に必要な準備も紹介

個人事業主として開業するには?開業の方法をステップに分けて解説

給与支払事務所等の開設届出書とは?書き方や注意したいケースを解説

会社の設立や開業届作成の手続きを手軽に行う方法

会社設立に必要な手続きを手軽に行いたい場合は、「弥生のかんたん会社設立」がおすすめです。「弥生のかんたん会社設立」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、株式会社や合同会社の設立時に必要な書類を自動生成できるクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしてくれるので、事前知識は不要。さらに、パソコンでもスマートフォンでも書類作成ができます。
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また、個人事業主が事業を始めるときには、開業から1か月以内に、開業届を納税地の税務署に提出する必要があります。また、確定申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けられる青色申告を行うには、開業届を提出したうえで、事業開始から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。
個人事業主として開業する場合は、「弥生のかんたん開業届」を使えば、画面の案内に従って操作するだけで開業届などの必要書類の作成ができます。

法人か個人事業主かで迷ったときには専門家に相談しよう

起業を考えたとき、多くの方が最初に悩むポイントは「法人と個人事業主のどちらにするか」ということです。法人としての起業と個人事業主としての開業には、必要な手続きや税金の仕組みなど、多くの違いがあります。

法人と個人事業主のどちらがよりメリットが大きいかは、業種や売上の規模、事業の状態などによって異なります。自分に合う起業スタイルについて迷った場合には、税理士にアドバイスをもらえる「税理士紹介ナビ新規タブで開く」の利用をおすすめします。

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この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

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