開業届を出すときに必要なものは?準備と手順を解説
執筆者:安田博勇
2024/01/16更新
クリエイティブ系の仕事では「名刺をつくれば、誰でも今日から個人事業主になれる!」なんてたびたび耳にするものですが、現実にはそれだけで個人事業主になれるわけではありませんでした。個人事業主として開業するときには「個人事業の開業・廃業等届出書」、通称「開業届」を管轄の税務署に提出しなければならないからです。
青色申告をするときに提出すると思っている人もいるようで、意外と提出をし忘れがちな「開業届」について、その手順と準備内容・書き方をまとめました。
個人事業主が開業届けを出すメリット・デメリットの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
POINT
- 開業届は事業開始から1ヵ月以内に提出
- 開業届にはマイナンバーを記載、本人確認も必要に
- ネットで書類を手に入れる場合は、最新のフォーマットを入手する
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開業時に必ず提出しなければいけない開業届
今回テーマとして扱う「開業届」。正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
- 新たに事業を開始したとき
- 事業用の事務所・事業所を新設・増設・移転・廃止したとき
- 事業を廃止したとき
特に青色申告をするときに、出すと思っている人もいるようですが、開業する人は、青色申告・白色申告にかかわらず、提出が必要な書類なのです。
提出期限は「事業開始等の日から1ヵ月以内」。管轄の税務署で「納税地を所轄する税務署長宛」に提出します。手続きに手数料はいっさいかかりません。なお、提出期限が土・日曜日・祝日に重なる場合は、これらの日の翌日以降の最初の平日が提出期限となります。
また、個人事業の開業届はe-Taxからでも提出できます。手続きはやや煩雑ですがe-Taxを利用して特定の書類を提出することに慣れている場合はこちらからの手続きをとるのもよいでしょう。
開業届に記載すべき事項
「個人事業の開業・廃業等届出書」とはなにやら小難しそうな名称ですが、その記載自体、あるいは手続きの手順は、それほど面倒ではありません。
先に挙げた「1. 新たに事業を開始したとき」に該当する方が記載すべき項目は、次の4項目です。
- 届出の区分
- 「開業」に○をつける
- 所得の種類
- 不動産所得・山林所得・事業(農業)所得から選択
- 開業・廃業等日
- 開業した日を記入
- 事業の概要
- 具体的にこれから始める事業についてできるだけ具体的に記入
以下の項目は、自分に該当するものがある場合のみ、その必要事項を記入する欄です。
- 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
- 青色申告者になる場合→「有」をチェック ※「青色申告承認申請書」を提出
消費税に関する届出書の提出の有無は、通常「無」をチェック - 給与等の支払の状況
- 開業時から人を雇用する場合→「従業員数」には、専従者、使用人ごとに人数を記入。
「給与の定め方」には、「日給」「月給」などと記入。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
雇用する人がいて、源泉所得税の納期の特例の承認申請書を提出する場合→「有」にチェックを入れる。
給与支払を開始する年月日を記入。
開業届の上の段には、納税地(住所、居住地、事業所の所在地)、氏名、生年月日、職業、屋号を記載します。職業欄は、例えば筆者のようなライターならば「執筆業」などと記載します。
ここには押印欄もありますが、認印でOKです。とはいえ、プライベートで使用している印鑑と混在するのはあまりいいことではありませんから、事業用に使う認印をひとつ作っておいてもよいかもしれないですね。
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開業届はマイナンバーの記載対象書類に該当
なお、この開業届、平成28年から書式が変更になっています。
大きな変更点はマイナンバー制度への対応です。事業に関係する公的書類は数えきれないほどたくさんありますが、開業届は税制改正によるマイナンバー記載対象書類「平成29年1月1日以後も引き続きマイナンバーの記載を要する書類」に該当します。対象書類には、原則、個人であれば申請書本人のマイナンバー(12桁)の記載が必要となります。
開業届提出時には、成りすまし防止のため、税務署窓口では本人確認(マイナンバーが確認できる書類、および、運転免許証やパスポート等での身元確認)を求められます。税務署の窓口ではなく、郵送で済ませる場合も、申請者本人のマイナンバーであることを証明するため、本人確認書類の写しの添付が必要です。添付の際は「本人確認書類(写)添付台紙」を利用します。
e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の提示・提出は不要です。
番号が確認できる書類とは?
- マイナンバー通知カード
- マイナンバーの記載がある住民票の写し
- マイナンバーの記載がある住民票記載事項証明書
なお、マイナンバーカードを持っていれば、それ自体をマイナンバーの確認と本人確認として使用できます。この場合はマイナンバーカードの表裏両面をコピーし、添付台紙に貼り付けます。
また開業届の書式をインターネットからダウンロードするときには、古いフォーマットが残っている場合があるので、国税庁のホームページから「個人番号」の記載欄のある最新のひな形をダウンロードするようにしましょう。
マイナンバー(個人番号)記載欄のある個人事業の開業届出・廃業届出書の書式はこちらからダウンロードしてください。
photo:Getty Images
この記事の執筆者安田博勇
1977年生まれ。大学卒業後に就職した建設系企業で施工管理&建物管理に従事するも5年間勤めてから退職。出版・編集系の専門学校に通った後、2006年に都内の編集プロダクションに転職。以降いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。