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個人事業主の開業時にやることをリスト化!開業後に必要な準備も紹介

監修者:森 健太郎(税理士)

2024/05/17更新

個人事業主として開業するには、開業準備の他に、開業届をはじめとする書類の提出、業種によっては許認可の申請なども必要になります。対応に漏れがあると、開業するのに時間がかかったり、確定申告で節税効果を得られなかったりするかもしれません。

開業準備や書類の提出を漏れなく行うには、やることをリスト化して、順番に進めていくようにしましょう。

ここでは、個人事業主の開業にあたって押さえておきたい、やることリストや流れの他、開業届や確定申告の手続きについても紹介します。

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開業時の個人事業主のやることリスト

個人事業主として開業するには、いくつかの手続きが必要です。個人事業主が開業までに行う主な手続きや準備は、次のとおりです。

個人事業主の開業時のやることリスト

  • 事業計画を立てる
  • 国民年金、国民健康保険へ切り替える
  • 開業届を提出する
  • 青色申告承認申請書を提出する
  • 許認可申請を行う
  • 資金調達をする
  • 銀行口座を開設する
  • Webサイトや名刺などを準備する

なお、会社員の方の中には、個人事業主になるのに、会社を辞めないといけないのではと考える方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。会社や組織などに勤めながら、個人事業主として副業を行うことも可能です。ただし、副業は、会社によって禁止されていたり、条件付きで許可されていたりするケースもあります。副業については、勤め先の就業規則で条件を確認したうえで、次の手順を進めていきましょう。

  • 副業については以下の記事を併せてご覧ください

事業計画を立てる

開業にあたっては、まずどのような事業でどうやって収益を上げていくかを具体的にまとめた事業計画を立てます。開業する事業内容を具体化するときには、扱う商品やサービスの他に、価格設定、ターゲット、販売形態、集客方法なども考えておきます。

また、自分の提供する商品やサービスを顧客に選んでもらえるよう、市場や競合他社を分析し、差別化を図ることを意識するといいでしょう。事業計画が固まったら、資金調達や営業開始後の目標確認に使用する事業計画書に落とし込んでいきます。

  • 事業計画書の書き方については以下の記事を併せてご覧ください

国民年金や国民健康保険に切り替える

会社員の場合は勤め先の社会保険に加入しますが、個人事業主の場合は、基本的に国民年金と国民健康保険に加入することになります。会社員から個人事業主に変わる場合は、勤務先の社会保険から、国民年金と国民健康保険へ切り替える手続きが必要です。会社を退職した日から14日以内に、住所地の市町村役場で切り替え手続きを行いましょう。会社に勤めながら副業をする場合は、社会保険の切り替え手続きは不要です。

また、健康保険については、退職後の翌日から2年間は会社員時代の健康保険に継続して加入できる健康保険任意継続制度を利用できます。健康保険任意継続制度を利用すれば、会社が負担していた保険料を自分で納めることになりますが、扶養家族がいる場合、世帯全体での健康保険料を国民健康保険よりも抑えられる可能性があります。健康保険任意保険制度については、全国保険健康協会のWebサイト「健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について新規タブで開く」をご確認ください。

開業届を提出する

個人事業主として開業するには、納税地を所轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書新規タブで開く」(以下、開業届)を提出する必要があります。開業届の提出期限は、事業を開始などの事実があった日から1か月以内です。提出期限を過ぎても特に罰則はありませんが、開業届を提出しなければ、後述する青色申告で確定申告を行うことができません。

開業届は、国税庁のWebサイト「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続新規タブで開く」からダウンロード、または税務署の窓口で受け取れます。記入方法がわからない場合は、無料サービスの「弥生のかんたん開業届新規タブで開く」のように画面の案内に沿って入力して作成する方法もあります。提出については、税務署の窓口、郵送、国税電子申告・納税システムe-Taxのいずれかです。

青色申告承認申請書を提出する

確定申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けられる青色申告を行うには、開業届を提出したうえで、開業日から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書新規タブで開く」の提出が必要です。

会社員の場合、会社が源泉徴収を行い、年末調整で所得税の納税が完了しますが、個人事業主の場合は、1月1日から12月31日までの1年間の売上から経費を引いた所得が年間48万円以上あると、自分で確定申告を行わなくてはなりません。確定申告は、納める税金の額を計算して税務署に報告する手続きです。

個人事業主が行う確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告なら最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。ただし、青色申告を行うためには、所轄の税務署に所得税の青色申告承認申請書の提出が必要です。提出期限は、開業日が1月1日~15日ならその年の3月15日まで、1月16日以降なら開業日から2か月以内となります。

また、青色申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記での記帳が必要です。簿記の知識がない方は、青色申告に特化した確定申告用のソフトを使用することをご検討ください。忙しい創業期に提出を忘れないよう、開業届と一緒に青色申告承認申請書も提出しておくといいでしょう。
なお、従業員を雇う場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書新規タブで開く」も提出します。

許認可申請を行う

業種によっては、開業にあたって許認可申請が必要な場合があります。許認可とは、特定の事業を行うために必要な手続きのことで、届出、登録、認可、許可、免許の5つの種類があります。手続き窓口は許認可の種類によって異なります。

例えば、飲食店を開業する場合は、保健所の営業許可が必要です。また、食品衛生責任者を施設ごとに1人おく必要があり、食品衛生責任者になれる資格を取得するか、講習会に参加して資格を取得しなくてはなりません。

その他、美容室は保健所への届出、旅行業は運輸局や都道府県庁への登録などが必要です。許認可が必要であるにもかかわらず、申請せずに事業を行うとペナルティを受ける場合がありますので注意しましょう。

  • 許認可が必要な業種や申請先については以下の記事を併せてご覧ください

資金調達をする

個人事業主の開業準備には、資金調達も必要です。業種によって開業準備にかかる費用は異なりますので、事業計画を立てる際にコストと売上を予測して、必要な資金を調達するようにしましょう。

開業時に準備しておく資金の目安は、開業後すぐに事業が安定するとは限らないため、開業時の初期費用に加えて、運転資金6か月分です。初期費用は店舗やオフィスの敷金・礼金、内装費などの設備資金、運転資金は毎月かかる家賃や水道光熱費、仕入れ代金、人件費などが該当します。

創業時の資金調達先としては、日本政策金融公庫の「新規開業資金新規タブで開く」をはじめ、国や地方自治体による補助金・助成金、クラウドファンディングなどがあります。開業時は実績がないため、銀行での融資が受けづらいこともありますので、創業に特化した融資先を検討してみてください。

  • 開業資金の費用相場や資金調達方法については以下の記事を併せてご覧ください

銀行口座を開設する

開業する際は、プライベートの銀行口座とは別に、事業用の銀行口座を開設しておくと、お金の管理がしやすくなります。プライベートの銀行口座を事業用として使用することもできますが、区別して管理していないと確定申告の際に、どれが事業用なのかを振り分けなくてはならず、手間がかかります。

銀行口座を区別しておけば、確定申告において、取引内容と金額を記載する仕訳作業の手間を少なくすることにもつながるでしょう。

また、個人事業主は、「○○美容室」や「○○商店」といった屋号を任意でつけることができ、屋号付きの銀行口座を開設することもできます。屋号付きの銀行口座ならお金を管理しやすいだけでなく、取引先やお客様からも事業内容が伝わって信用を得やすくなる傾向があります。

  • 屋号のつけ方については以下の記事を併せてご覧ください

Webサイトや名刺などを準備する

開業して顧客開拓をしていくには、Webサイトやチラシ、名刺といった営業活動に必要なツールの準備をします。例えば、飲食業であれば地域の方に知ってもらうために開店イベントを行ったり、コンサルタントであれば実績を載せたパンフレットを作ったりすることが挙げられます。

また、友人や知人、元同僚、過去の取引先など、周りの方へ開業のお知らせを送付するのもひとつの方法です。開業したことを広く知らせることで、新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。

なお、1人で開業した場合、営業活動の他、自分で顧客管理や会計管理なども行う必要があります。営業活動や制作活動に時間を割くためには、顧客管理ツールや会計ソフトといった日々の管理作業をサポートしてくれるツールも開業時に準備しておくと良いでしょう。

税金や社会保険の手続きを行わなければならない

会社員とは異なり、個人事業主は、税金や社会保険などの手続きも全て自分で行わなければなりません。個人事業主でも、従業員が常時5人以上いる場合は、原則として社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入が必要です。さらに、雇用形態にかかわらず、従業員を雇った場合は労働保険への加入義務が生じますので、手続きを忘れないようにしましょう。

また、2023年10月1日から始まるインボイス制度は、会社員の給与には影響しませんが、個人事業主として取引先から仕事を受ける場合に、インボイス制度に対応していないと、収入や取引先との契約に影響がでる可能性があります。

インボイス制度に対応するには、適格請求書発行事業者の登録申請書を税務署へ提出する必要がありますが、適格請求書発行事業者として登録すると課税事業者になるため、年間の課税売上高が1,000万円以下の際に免除されていた消費税が課税されることになります。

適格請求書発行事業者になれば消費税を負担するので手取りは減る、適格請求書発行事業者にならなければ契約する案件が縮小して手取りが減る、という可能性があります。
そのため、インボイス制度に対応する適格請求書発行事業者になるかどうかは、よく検討しておく必要があるでしょう。適格請求書発行事業者になるか迷ったら、税理士に相談してみるのもひとつの方法です。

開業届や確定申告を手軽に行う方法

個人事業主が事業を始めるときには、開業から1か月以内に、開業届を納税地の税務署に提出する必要があります。また、確定申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けられる青色申告を行うには、開業届を提出したうえで、事業開始から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

個人事業主として開業する場合は、「弥生のかんたん開業届」を使えば、画面の案内に従って操作するだけで開業届などの必要書類の作成ができます。

また、クラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告オンライン」を使えば、簿記や会計の知識がなくても、最大65万円の青色申告特別控除の要件を満たした青色申告の必要書類がかんたんに作成できます。
起業・開業後はお店の運営の他に、会計業務などお金の管理を自分で行うことが必要になるため、起業・開業のタイミングで会計ソフトや確定申告ソフトなどを導入しておくといいでしょう。

やることリストをもとに開業手続きを進めよう

個人事業主として開業するには、事業計画書を作成したり、開業届をはじめとする書類を提出したり、さまざまな準備が必要です。やらなければいけないことを事前に整理してリスト化し、流れに沿って進めることで漏れを防ぐことにもつながります。1人でできる範囲には限りがありますので、専門家の力を借りたり、お金や顧客情報を管理できるソフトを取り入れたりして、手間を省いて、時間を捻出するといいでしょう。

個人事業主が開業する際は「弥生のかんたん開業届」を利用すると、開業届などの必要書類の作成が手軽にできますので、ぜひご活用ください。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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