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定款認証とは?費用や公証役場に提出する必要書類を解説

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会社の設立にあたっては、株式会社も合同会社も会社のルールを定めた「定款」(ていかん)の作成が必要です。また、株式会社の場合は、定款の作成後に公証役場で認証手続きを行わなくてはなりません。

定款には紙と電子の2種類の提出方法があり、それぞれ認証手続きや費用、必要な提出物などが異なります。スムースに会社設立の手続きを進めるためにも、定款の認証や費用について知っておきましょう。

ここでは、株式会社の設立時に行う定款の認証方法や費用、必要な提出物などを解説します。

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定款の認証とは公証人が定款の正当性を証明すること

定款の認証とは、法務省が管轄している公証役場で公証人が定款の正当性を証明することです。公証人は法律の専門家で、原則として裁判官や検察官、弁護士、法務局長といった法律に関わる仕事に関わった人の中から法務大臣によって任命され、各都道府県に設置された公証役場で公証作業を行っています。

定款は、会社を経営していくためのルールをまとめたもので、会社を設立するときに作成が義務付けられている重要な書類です。定款の記載内容は、法的な効力の違いによって「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」に分けられ、「絶対的記載事項」のみ記載が必要です。「相対的記載事項」と「任意的記載事項」の記載は任意となりますが、「相対的記載事項」は記載した事項に関しては効力が生じます。記載事項によって法的な効力が違うことも知っておきましょう。

定款を認証する理由は出資者との問題を防ぐため

定款の認証を行うのは、会社設立が適法に行われるようにするためです。また、発起人全員の同意のもとで定款を作成したことを証明すると同時に、内容の明確性を確保し、将来的な紛争や不正行為を防ぐという理由もあります。例えば、株式の譲渡や相続が発生したときに問題が起きないようにするため、定款の認証が必要になっています。

株式会社や一般社団法人は定款の認証手続きが必要

定款の認証が必要な法人のうち、代表的なものが株式会社です。他にも一般社団法人や一般財団法人、税理士法人なども、法人設立時には定款の認証手続きが必要になります。一方、合同会社、合資会社、合名会社といった所有と経営が一致している持分会社の場合は、定款の作成は必要ですが、公証人による認証は不要です。

  • 合同会社の定款については以下の記事を併せてご覧ください

定款は提出方法によって費用が異なる

定款の提出方法には、紙面に印刷・製本したものと電子文書(PDF化されたもの)があり、それぞれ認証手続きに伴って発生する費用が異なります。例えば、紙の定款に必要な収入印紙代4万円が、電子定款では不要です。紙の定款よりも電子定款の方が認証手続きにかかる費用は安くなる傾向があるので、費用を抑えたい人は電子定款での提出を検討してみましょう。

なお、定款の認証にかかる主な費用は以下のとおりです。

定款の認証手数料

定款の認証を受ける際には、紙でも電子でも公証役場に支払う認証手数料が必要です。資本金の金額別に認証手数料は次のように分かれています。

定款の認証手数料の金額

  • 資本金の金額が100万円未満の場合:1.5万円
  • 資本金の金額が100万円以上300万円未満の場合:4万円
  • その他の場合:5万円
  • 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける自然人3人以内で、取締役会を設置しない定款のみ1万5千円。条件に当てはまらない定款の場合は、3万円になります。

資本金の金額が定款に記載されていない場合は、「設立に際して出資される財産の価額」を基準として認証手数料が決まります。なお、定款に「◯◯万円以上」と資本金の最低額を記載している場合は、上記のうち「その他」に該当するとみなされ、認証手数料は5万円となりますので注意しましょう。

収入印紙代(紙の場合のみ)

紙の定款は、印紙税法上の課税文書にあたるため、収入印紙代(印紙税)の4万円がかかります。定款の認証手続きの際には、印刷・製本した定款に、4万円の収入印紙を貼付します。
なお、電子定款は電子データなので課税文書には該当せず、印紙税は発生しません。

電磁的記録の保存手数料(電子の場合のみ)

電子定款で認証手続きをした場合は、公証人が電子署名を付与した認証済み定款が電子データで交付されます。ただし、認証済み定款のデータはインターネット経由で受け取ることはできず、CD-RやDVD-R、USBメモリなどの電子媒体に記録してもらう必要があります。このデータ(電磁的記録)の保存手数料として、1回あたり300円がかかります。
紙の定款はデータの保存が必要ないため、電磁的記録の保存手数料はかかりません。

謄本代

定款の認証には、定款の謄本が必要になるため、紙の定款の場合は1枚につき250円の交付手数料がかかります。この1枚とは1通ではなく、1ページのことで、認証文のページ1枚分も含みます。つまり、交付手数料として、「250円×(定款のページ数+1枚)」の金額がかかるということです。定款のページ数によって金額は異なりますが、一般的には2,000円程度といわれています。

なお、電子定款の場合は、紙の謄本にあたる「同一情報」が電子データまたは書面で交付されます。電子データで取得する場合は、同一情報の提供手数料が1通につき700円かかります。書面での交付を希望する場合は、同一情報の提供手数料に、1枚あたり20円が加算され、「700円+20円×(定款のページ数+1枚)」となりますのでご注意ください。

定款の認証手続きの流れ

定款の認証手続きは紙も電子も同様です。主に以下の流れに沿って認証を進めます。

定款の認証手続きの主な流れ

  • 定款を作成する
  • 公証役場に面談の予約を取る
  • 必要書類と手数料を公証役場に提出する

定款を作成する

定款の作成は、会社設立手続きの中でも時間のかかる作業の1つです。特に、定款に定める資本金の金額や株主構成、役員報酬の金額、決算月などは会社設立後の納税額に影響するため、決めるのに時間がかかる傾向があります。税務や資金繰りなどの判断に迷うことがあったら、税理士に相談するとシミュレーションをもとにアドバイスをもらえるでしょう。

なお、商号(社名)や事業目的、本店所在地といった絶対的記載事項に記載漏れがあったり、違法性があったりすると、定款そのものが無効になってビジネスに支障をきたしますので記載内容に注意してください。

また、定款の提出方法は紙と電子があります。紙の定款の場合は、一般的にパソコンで作成したものを印刷・製本して公証役場に提出します。一方、電子定款とは、PDFにて作成して電子署名を付与した定款のことです。電子定款を作成するには、電子署名のためのソフトやICカードリーダー/ライターや申請のソフトなどが必要になりますので、作成する段階で提出方法を決めておきましょう。

  • 定款の書き方や電子定款のメリットについては以下の記事を併せてご覧ください

公証役場に面談の予約を取る

公証役場での定款の認証は、原則として事前に面談の予約が必要です。提出方法が紙でも電子でも面談が必要となりますので、認証を申請する公証役場にメールやFAXで予約を取っておきましょう。申請先となる公証役場は、会社の本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人です。管轄区域外の公証人による定款の認証は無効となるので、本店所在地の公証役場で認証を受けるようにしてください。

なお、定款は一度では認証されないこともあります。また、認証後の定款を変更するには手数料がかかるため、認証手続きを行う前に、作成した定款に不備がないかどうかをメールやFAXなどで確認してもらうのも1つの方法です。定款の事前確認方法は公証役場によって異なるので、申請先となる公証役場にあらかじめ確認してみてください。

必要書類と手数料を公証役場に提出する

公証役場の事前確認で問題がなければ、予約した面談日時に公証役場に出向き、定款をはじめとする必要書類と認証手数料などを提出します。紙の定款の認証に必要なものは以下のとおりです。

紙の定款の認証に必要なもの

  • 定款3通
  • 実質的支配者となるべき者の申告書
  • 委任状(定款の認証手続きを代理人に依頼する場合)
  • 発起人全員の印鑑証明書
  • 定款を受け取りに行く方の印鑑
  • 定款を受け取りに行く方の身分証明書
  • 収入印紙代(4万円)
  • 認証手数料(約3万~5万円)
  • その他、公証人から指示されたもの

電子定款の場合、公証役場での面談後、定款をPDFファイルに変換して電子署名を付与し、「登記・供託オンライン申請システム新規タブで開く」または、デジタル庁のマイナポータル「法人設立ワンストップサービス新規タブで開く」から提出を行います。それぞれ手順はWebサイトで確認できます。事前に申請者情報登録を行ったり、必要な機器やソフトを準備したりして、手順に沿って進めましょう。

なお、電子定款の申請はオンラインでできますが、認証後の定款の受け取りについては公証役場へ出向く必要があります。また、認証済の定款の受け取りの際には以下が必要になりますので、漏れのないように準備してください。

認証済みの電子定款を受け取る際に必要なもの

  • 電子定款
  • 実質的支配者となるべき者の申告書
  • 委任状(代理人が定款の認証手続きをする場合)
  • 定款作成の委任状(電子定款の作成・署名を専門家に依頼した場合)
  • 発起人全員の印鑑証明書
  • 定款を受け取りに行く方の印鑑
  • 定款を受け取りに行く方の身分証明書
  • 空のデータ用CD-R、USBメモリなど(認証された定款の受け取り用)
  • 認証手数料(約3万~5万円)
  • その他公証人から指示されたもの
  • 定款の認証に必要な書類については以下の記事を併せてご覧ください

定款の作成を手軽に行う方法

定款の作成といった、会社設立に必要な手続きを手軽に行いたい場合におすすめなのが、自分でかんたんに書類作成ができる「弥生のかんたん会社設立」と、起業に強い専門家に会社設立手続きを依頼できる「弥生の設立お任せサービス」です。

「弥生のかんたん会社設立」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を自動生成できる無料のクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしますので、事前知識は不要。さらに、パソコンでもスマートフォンでも書類作成ができます。

また、「弥生の設立お任せサービス」は、弥生の提携先である起業に強い専門家に、会社設立手続きを丸ごと代行してもらえるサービスです。専門家を探す手間を省ける他、電子定款や設立登記書類の作成、公証役場への定款認証などの各種手続きを依頼でき、確実かつスピーディな会社設立が可能です。会社設立後、専門家とご相談のうえ会計事務所との税務顧問契約を結ぶと、割引が受けられ、サービス利用料金は実質0円になります。定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。

株式会社を設立する場合は定款の認証について把握しておこう

株式会社の設立にあたっては、定款を作成後、公証役場で認証を受ける必要があります。定款の提出方法には紙と電子があり、認証に伴う費用や提出書類などが異なります。電子定款なら収入印紙代4万円がかからないので費用を抑えられますが、電子署名の付与や専用のソフトを準備する必要があるので、どちらが自分に向いているかを決めてから定款を作成するようにしましょう。

定款を手軽に作成したい場合は無料のクラウドサービス「弥生のかんたん会社設立」を活用する方法もあります。スムースな会社設立を目指すには、定款の認証方法や必要な費用などを把握して、設立準備を進めてみてください。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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