割増賃金とは?発生する条件と割増率、計算方法をわかりやすく解説
更新

割増賃金は法定労働時間外の労働や休日の労働、深夜の労働に対し、一定の割合を上乗せして支払われる賃金です。従業員が条件に該当する労働を行った場合は、必ず割増賃金を支払わなければならないと、労働基準法で定められています。
本記事では割増賃金の発生する条件や、労働の種類ごとの割増率、具体例を用いた割増賃金の計算方法や割増賃金の注意点、割増賃金を払わない場合の罰則などについて詳しく解説します。また、割増賃金についてよくある質問と回答も紹介します。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
無料お役立ち資料【「弥生給与 Next」がよくわかる資料】をダウンロードする
割増賃金とは時間外や休日、深夜に労働したときに支払われる賃金のこと
割増賃金とは、一定の条件に該当する労働に対して、通常の賃金に上乗せして支払われる賃金です。対象となるのは、以下のような労働です。
-
- 1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた労働(特例措置対象事業場は週44時間)
- 週に1度の法定休日の労働
- 深夜(22時~翌5時)の労働
割増賃金は労働基準法第37条にも明記された、法的根拠のある制度です。割増賃金が設けられた目的としては、以下の2つが挙げられます。
-
- 労働者への補償:心身への負担が大きい深夜労働を行った従業員に対して、通常よりも高い賃金を支払い補償する
- 長時間労働(総労働時間)の抑止:時間外労働や休日労働に割増の負担を課すことで、労働者の総労働時間を抑え、法定時間内に業務を完了させる体制づくりを促す
なお、割増賃金を支払えば、従業員を自由に長時間働かせられるわけではありません。時間外労働や休日労働をさせるには、原則として36協定の締結・届出が欠かせず、時間外労働には上限規制も設けられています。
-
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法第37条
」
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
割増賃金の種類と割増率
割増賃金が生じる労働には3つの種類があり、それぞれ割増率が異なります。それぞれについて、詳しく解説します。
時間外労働の割増率
時間外労働とは、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える労働のことです。時間外労働の割増率は25%以上と定められており、月60時間超の時間外労働については、50%以上となります。時間外労働については、法定休日の労働時間は含まれず、所定休日の労働時間のみが含まれます。
従業員に法定労働時間を超える労働をさせるには、36協定の締結が必要です。36協定は、従業員の過半数で組織する労働組合、または従業員の過半数を代表する従業員と締結します。締結後は、労働基準監督署に届け出なければなりません。また、たとえ36協定を締結していても、時間外労働には上限があり、原則として月45時間・年360時間までとされています。
繁忙期など臨時的な事情により、それ以上の残業を要する場合は、労使間で特別条項付き36協定を締結すれば、36協定で規定された上限以上の時間外労働が一時的に可能になります。ただしその場合も、以下の要件は守らなければなりません。
-
- 時間外労働は年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が2~6か月の期間で月平均80時間以内、かつ月100時間未満
- 月45時間を超えるのは1年で6か月まで
なお、自動車運転の業務(トラック運転手など)や建設業、医師については、業務の特性から異なる上限が定められています。
会社は法定労働時間(1日8時間)の範囲内であれば、所定労働時間を自由に設定できます。もし所定労働時間が6時間や7時間の場合、残業時間を含めた労働時間が8時間以内なら、法定内残業の扱いになり、割増賃金の対象にはなりません。
時間外労働について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
-
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法第36条
」
参照:厚生労働省「建設業・ドライバー・医師の働き方改革総合サイト はたらきかたススメ」
休日労働の割増率
労働基準法では、週1日または4週に4日の休日を「法定休日」と定めています。法定休日に労働した従業員には、35%以上の割増賃金の支払い義務が生じます。
なお、週2日以上休日がある場合、法定休日以外の休日は「所定休日(法定外休日)」にあたります。所定休日に労働した場合、法定休日労働としての35%以上の割増賃金は発生しません。ただし、その労働によって週40時間を超える場合は、時間外労働として25%以上の割増賃金の対象になります。
-
参照:厚生労働省「週休2日制ですが、土日の手当に差があります。問題はない?
」
深夜労働の割増率
深夜労働とは22時から翌朝5時までの労働を指します。この時間帯に労働を行った場合の割増率は25%以上です。
割増賃金の条件が重複した場合の割増率
終業後の残業が22時を過ぎる場合など、割増賃金の条件が重複した場合は、それぞれの割増率を加算して適用する割増率を算出します。長時間労働の抑制を目的とする時間外・休日労働の割増と、負担の大きい深夜労働への補償を目的とする割増とは趣旨が異なるため、これらが重なるときは両方の割増率が加算されます。
主な重複ケースの割増率は、以下のとおりです。
-
- 時間外労働と深夜労働が重複する場合:25%+25%=50%以上
- 月60時間超の時間外労働と深夜労働が重複する場合:50%+25%=75%以上
- 休日労働と深夜労働が重複する場合:35%+25%=60%以上
ただし、法定休日には時間外労働の概念がありません。そのため、法定休日に8時間を超えて働いたとしても、時間外労働の割増率は加算されません。深夜労働に該当しない限り、割増率は休日労働の35%以上のみです。
ここまでご紹介した時間外労働、休日労働、深夜労働の割増率を表にまとめると、以下のようになります。
| 割増賃金の対象となる労働 | 割増率 |
|---|---|
| 法定内残業(1日8時間、週40時間以内) | 割増なし |
| 時間外労働(1か月60時間※以内) | 25%以上 |
| 時間外労働(1か月60時間※超) | 50%以上 |
| 休日労働 | 35%以上 |
| 深夜労働(22時から5時まで) | 25%以上 |
| 時間外労働+深夜労働(1か月60時間※以内) | 50%以上 |
| 時間外労働+深夜労働(1か月60時間※超) | 75%以上 |
| 休日労働+深夜労働 | 60%以上 |
- ※休日労働を除く
残業手当の計算方法について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
割増賃金の計算に必要な1時間当たりの基礎賃金の算出方法
割増賃金を計算する際は、まず1時間当たりの基礎賃金を算出します。
●月給の場合
まず、法定休日を含む年間所定休日数をもとに、月平均所定労働日数を以下の式で求めます。これは1日の所定労働時間が1パターンのみの場合の計算方法です。
(365日-年間所定休日数)÷12か月=月平均所定労働日数
次に、月平均所定労働時間を以下の式で求めます。
1日の所定労働時間×月平均所定労働日数=月平均所定労働時間
月平均所定労働時間を求めたら、1時間当たりの基礎賃金を以下の式で算出します。
割増賃金の算定基礎となる月給÷月平均所定労働時間=1時間当たりの基礎賃金
例)月給30万2,400円、月平均所定労働日数21日、1日の所定労働時間8時間の場合
8時間×21日=168時間
30万2,400円÷168時間=1,800円(1時間当たりの基礎賃金)
●週給の場合
週給÷週平均所定労働時間=1時間当たりの基礎賃金
例)週給5万円、週平均所定労働時間25時間の場合
5万円÷25時間=2,000円(1時間当たりの基礎賃金)
●日給の場合
日給÷1日の所定労働時間=1時間当たりの基礎賃金
例)日給1万2,000円、所定労働時間8時間の場合
1万2,000円÷8時間=1,500円(1時間当たりの基礎賃金)
●時給の場合
時給=1時間当たりの基礎賃金
●出来高給(インセンティブ)の場合
出来高給(インセンティブ)とは、労働時間ではなく成果や売上高などの実績に応じて支払われる賃金です。歩合給などがこれにあたります。出来高給(インセンティブ)であっても、時間外・休日・深夜労働を行った場合は割増賃金の支払いが必要です。
出来高払給÷総労働時間(残業時間なども含めた実際に働いた総時間)=1時間当たりの基礎賃金
例)月の出来高払給40万円、総労働時間200時間の場合
40万円÷200時間=2,000円(1時間当たりの基礎賃金)
なお、出来高給の場合、時間外労働などに対する通常の賃金部分はすでに出来高払給に含まれているため、追加で支払う割増賃金は、基礎賃金に割増部分の率を乗じて算出します。 つまりこのとき用いる割増率は、通常の賃金部分を含む1.25や1.35ではなく、割増分のみの0.25や0.35となる点に注意が必要です。具体的な計算方法は、後段で解説します。
-
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則第19条
」
基礎賃金から除外される手当
基礎賃金には基本給だけでなく、各種手当も含まれます。ただし、以下の手当は除外して計算します。
-
- 家族手当:扶養人数に応じた支給は除外。一律支給の場合は含める
- 通勤手当:実費や通勤距離に応じた支給は除外。一律支給の場合は含める
- 別居手当:家族との別居に伴う生活費の増加を補う趣旨で支給されるものは除外
- 子女教育手当:子どもの人数や教育費に応じた支給は除外。一律支給の場合は含める
- 住宅手当:家賃の一定割合など、住宅に要する費用に応じた支給は除外。一律支給の場合は含める
- 臨時に支払われた賃金:結婚手当など臨時的な手当は除外
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金:賞与など毎月は支給されない賃金は除外
賞与という名称であっても、年俸の一部として毎月決まった額が分割支給されるなど、実質的に毎月支払われる賃金とみなされる場合は、割増賃金の基礎に含まれます。一方、支給が1か月を超える期間ごとに行われる本来の賞与は、割増賃金の基礎から除外されます。
割増賃金の基礎から除外できる賃金は、労働基準法第37条および労働基準法施行規則第21条で限定的に列挙されています。そのため、上記に該当しない手当を、企業の判断で割増賃金の対象から除外することはできません。
また、除外できるかどうかは、名称にかかわらず実質で判断されます。家族手当という名称でも、実際は一律支給されているなど、実質的に毎月一定額の支給が見込めるものであれば、基礎賃金に含まれます。不明点がある場合は、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士等の専門家に確認しましょう。
-
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法第37条
」
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則第21条」
賞与について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
割増賃金の計算方法を種類別に解説
次に、割増賃金の種類に応じた計算方法を解説します。割増率は法に定められた下限の数値で計算しているため、これより高く設定しても問題はありません。ただし、賃金規程などに明記し、すべての従業員に公平に適用することが求められます。
なお、例示している計算式では割増分のみではなく、基礎賃金も含めた割増賃金の総支給額を求めています。もし残業代計算で1円未満の端数が出た場合は、50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げる処理を行いましょう。
時間外労働(残業)の割増賃金の計算方法
深夜残業に該当しない一般的な残業に対する割増率は25%以上なので、計算式は以下のとおりです。
1時間当たりの基礎賃金×時間外労働の時間数×1.25=時間外労働分の賃金
月60時間を超える時間外労働については、割増率が50%以上となるため、以下の式で計算します。
1時間当たりの基礎賃金×60時間を超えた時間数×1.5=60時間超の時間外労働分の賃金
では、具体的な数値を当てはめた計算例を見てみましょう。条件は以下とします。
例)
1時間当たりの基礎賃金:1,800円
時間外労働:70時間/月
この場合、計算式は以下のようになります。
60時間以内の部分
1,800円×60時間×1.25=13万5,000円
60時間超の部分
1,800円×10時間×1.5=2万7,000円
よって、この月の時間外労働に対して支払う賃金の合計は16万2,000円です。
休日労働の割増賃金の計算方法
休日労働の割増率は35%以上なので、計算式は以下のとおりです。
1時間当たりの基礎賃金×休日労働の時間数×1.35=休日労働分の賃金
休日労働と深夜労働が重複した場合は、割増率は60%以上になるため、計算式は以下のようになります。
1時間当たりの基礎賃金×時間数×1.6=休日労働と深夜労働が重複する時間分の賃金
次に、具体的な数字を用いて計算してみましょう。条件は以下のとおりとします。
例)
1時間当たりの基礎賃金:1,800円
法定休日の労働時間:10時~24時(休憩1時間、実働13時間)
賃金は、通常の休日労働の時間帯と、深夜労働が重複する時間帯に分けて計算します。計算式は以下のとおりです。
10時~22時(休憩1時間、実働11時間・休日)
1,800円×11時間×1.35=2万6,730円
22時~24時(2時間・休日+深夜)
1,800円×2時間×1.6=5,760円
よって、この日の休日労働分の賃金合計は3万2,490円です。
深夜労働の割増賃金の計算方法
深夜労働の割増率は25%以上なので、計算式は以下のとおりです。
1時間当たりの基礎賃金×深夜労働の時間数×1.25=深夜労働分の賃金
時間外労働と深夜労働が重複した場合は、割増率は50%以上になるため、深夜労働割増分を含めた時間外労働分の賃金は以下の式で計算します。
1時間当たりの基礎賃金×時間数×1.5=時間外労働と深夜労働が重複する時間分の賃金
具体的に以下のようなケースを計算してみましょう。
例)
1時間当たりの基礎賃金:1,800円
労働時間:9時~24時(休憩1時間、実働14時間)
所定労働時間:8時間
9時~18時までの8時間は所定労働時間のため、割増賃金は発生しません。18時以降の時間外労働分の賃金は、「時間外労働のみ」「時間外労働+深夜労働」の2つに分けて計算します。
18時~22時(4時間・時間外)
1,800円×4時間×1.25=9,000円
22時~24時(2時間・時間外+深夜)
1,800円×2時間×1.5=5,400円
よって、この日の時間外労働に対して支払う賃金の合計は1万4,400円です。
夜勤手当について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
出来高給(インセンティブ)の割増賃金の計算方法
ここまでの計算例では、基礎賃金を含めた賃金額を算出してきました。一方、出来高給(インセンティブ)の場合は、通常の賃金部分がすでに出来高給に含まれているため、割増部分のみを上乗せして計算します。計算式は以下のとおりです。
(出来高給の総額÷総労働時間(残業時間なども含めた実際に働いた総時間))×時間外労働の時間数×0.25=出来高給(インセンティブ)の時間外労働の割増賃金
深夜労働や休日労働の場合も、同様に割増部分のみを計算します。具体的に以下のようなケースを見てみましょう。
例)
出来高給(インセンティブ)の総額:30万円/月
総労働時間:200時間/月
時間外労働:20時間/月
休日労働:8時間/月
時間外労働の割増賃金
(30万円÷200時間)×20時間×0.25=7,500円
休日労働の割増賃金
(30万円÷200時間)×8時間×0.35=4,200円
よって、出来高給(インセンティブ)に対する割増賃金の合計は11,700円です。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
割増賃金を支払わない場合の罰則
割増賃金の支払いは、法律で定められた義務です。割増賃金を支払わなかった場合、是正勧告や付加金・遅延損害金、刑事罰の対象となる可能性があります。
労働基準監督署の是正勧告を受ける
割増賃金の支払いが行われていない場合、労働基準監督署による調査の結果、是正勧告を受ける可能性があります。是正勧告自体は罰則ではなく行政指導であるため、この段階で直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし、是正勧告に従わないなど、悪質な場合には罰則が適用される可能性があります。
未払金に加えて付加金と遅延損害金を支払う
従業員が未払いの割増賃金を裁判で請求した場合、未払金に加えて付加金の支払いを命じられる可能性があります。付加金とは、労働基準法第114条に基づき、裁判所が未払金と同一額の支払いを命じることができる制度です。加えて、遅延損害金の対象にもなります。
遅延損害金の利率は、2026年6月現在、在職中は民法上の法定利率である年3%です。退職後の未払賃金については、「賃金の支払の確保等に関する法律」により、退職日の翌日から支払日まで年14.6%の遅延利息が発生します。
-
参照:法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について
」
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法第114条」
悪質な場合は刑事罰の対象となる
労働基準監督署の是正勧告を受けても未払いを是正しない場合など、悪質と判断されるケースでは、刑事罰の対象となる可能性があります。割増賃金未払いの刑事罰は、労働基準法119条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と定められています。
-
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法第119条
」
労働基準法に則した勤怠管理について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
割増賃金に関する注意点
割増賃金に関しては、雇用形態や給与形態などに応じて、いくつかの注意点があります。主な4点について、詳しく解説します。
月60時間超の時間外労働に対して代替休暇を付与できる
月60時間を超える時間外労働では、割増率が25%以上から50%以上に引き上げられます。代替休暇に関する労使協定を締結している場合は、引き上げ分の割増賃金の支払いに代えて、有休の代替休暇を付与できます。
ただし、代替休暇の取得は従業員本人が決めるもので事業主が指定することはできません。また、代替休暇を取得した場合でも、通常の時間外労働分25%以上の割増賃金は支払いが求められます。
変形労働時間制を採用している場合は計算方法が異なる
変形労働時間制とは、一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間内に収まるよう、特定の日や週の労働時間を調整できる制度です。月初は閑散期で月末が繁忙期といった企業では、変形労働時間制を採用することで、月初の労働時間を短く、月末の労働時間を長く設定できます。
変形労働時間制では、1日8時間・週40時間を超えても、直ちに割増賃金の対象にならない場合があります。ただし、あらかじめ定めた労働時間や、変形期間全体の法定労働時間の総枠を超えた時間は、割増賃金の対象になります。具体的には、以下の時間が対象です。
-
- 1週間単位:1週間の法定労働時間の総枠を超えた時間
- 1か月単位:変形期間の暦日数÷7×40時間を超えた時間
- 1年単位:対象期間の暦日数÷7×40時間を超えた時間
-
参照:厚生労働省「1週間単位の非定型的変形労働時間制
」
参照:厚生労働省「1か月単位の変形労働時間制」P.1,2
参照:厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」
それぞれの制度で、日・週・月・年単位の労働時間を正確に把握し、適切に精算することが大切です。
変形労働時間制について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
固定残業代を支払っている場合でも不足分は追加で支払う
固定残業代とは「みなし残業代」ともよばれ、あらかじめ一定時間分の残業代を、固定額として給与に含める制度のことです。固定残業代の場合、「給与に含まれるから残業代は不要」と誤解されがちですが、実際の労働時間に基づいて計算した割増賃金が固定残業代を超えた場合は、差額の支払いが発生します。
もし超過分の残業代を支払わなければ、労働基準法第37条に定められた割増賃金の未払いに該当する可能性があるので注意しましょう。
固定残業代について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
今後の法改正で割増賃金に関するルールが変わる可能性がある
2025年1月8日に、厚生労働省は「労働基準関係法制研究会報告書」を公表しました。その中では、以下のような割増賃金に関するルールの見直しも検討されています。
-
- 副業・兼業者の割増賃金算定について、健康確保のための労働時間通算は維持しつつ、割増賃金の支払いに関しては労働時間の通算を不要とする方向で見直す
- 法定休日か所定休日かの区別を明確にし、割増賃金の適用を明確化する
- 36協定で休日労働の条項を設けた場合でも、連続勤務の日数に上限を設ける
- 現状、常時10人未満の労働者を使用する特定の業種(商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)の事業場に認められている週44時間特例措置を廃止し、全事業場で週40時間に統一する
-
参照:厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書
」P.37,40,46~49
2026年6月時点で、これらの見直しがいつ実施されるかは未定です。今後、割増賃金のルールが変わる可能性もあるため、法改正の動向を注視しましょう。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
複雑な割増賃金の計算は給与計算ソフトで正確かつ効率的に行おう
割増賃金の計算は、労働の種類や給与形態によって割増率や計算方法が変わります。時間外労働と深夜労働が重なるケースや、月60時間を超える時間外労働が発生するケースなどもあり、計算が複雑になりがちです。
このような計算を手作業で行うと、時間や手間がかかるだけでなく、ミスにもつながりやすくなります。割増賃金の未払いが発生すれば、是正勧告や罰則の対象となる可能性もあるため慎重な対応が求められます。
割増賃金を正確かつ効率的に計算するなら、給与計算ソフトの活用がおすすめです。クラウド給与計算ソフト「弥生給与 Next」なら、勤怠データと連携して割増賃金を自動計算し、給与明細の作成から年末調整まで一連の業務の効率化が期待できます。法令改正への対応もサポートされるため、割増率の変更漏れなどのミスも防ぎやすくなります。 業務の効率化を目指す企業様は、ぜひ導入を検討ください。
-
※ご契約のプランによって利用できる機能が異なります。
※本記事は2026年6月11日時点の情報を基に制作しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
よくあるご質問
管理監督者にも割増賃金の支払いは必要ですか?
労働基準法41条に規定された「管理監督者」は、時間外労働と休日労働の割増賃金の対象から除外されます。ただし、「管理監督者」とは、労働条件や人事に関する重要な決定に関与し、勤務時間についても一定の裁量がある人を指します。 管理職の肩書きがあっても実態として管理監督者に該当しない「名ばかり管理職」には、割増賃金を支払わなければなりません。
また労働基準法上の管理監督者に該当する人に対しても、深夜労働(22時~5時)の割増賃金には支払い義務が生じます。
-
参照:e-Gov 法令検索「労働基準法第41条
」
-
参照:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために
」P.1,2
パート・アルバイトにも割増賃金の支払いは必要ですか?
パート・アルバイトであっても、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた分については、法律で定められた割増率以上の割増賃金の支払いが求められます。
パート・アルバイトの場合、会社と労働者間で結ばれた労働契約において、週何日、どのぐらいの時間働くという「所定労働時間」が設定されていることが一般的です。割増賃金が発生するのはあくまで法定労働時間を超えた場合であり、所定労働時間と混同しないよう注意しましょう。
例えば、所定労働時間が1日6時間の従業員が会社の指示で1日9時間働いた場合、所定労働時間を超えた3時間のうち2時間は法定内残業で、1時間のみ法定外残業の扱いになります。
計算式は法定内残業の2時間分が「時給×1.0」、1時間は法定外残業となるので、「時給×1.25以上」となります。
法定休日と所定休日で割増率はどう違いますか?
法定休日と所定休日では、以下のように割増率が異なります。
- 法定休日に労働した場合:35%以上
- 所定休日に労働した場合:休日労働としての割増率は適用されない
- 所定休日の労働によって週40時間を超える場合:時間外労働として25%以上
法定休日の日数は、労働基準法で週1日または4週に4日と定められていますが、曜日についての規定はありません。割増賃金の計算で迷わないよう、どの曜日を法定休日とするかは、就業規則などで明確にしておきましょう。
割増賃金の未払いはいつまで遡って請求できますか?
2020年4月の労働基準法改正により、割増賃金を含む未払賃金の請求権の消滅時効は、原則5年とされています。ただし、当分の間は経過措置として3年の消滅時効が適用されています。対象となるのは、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金請求権です。
将来的には経過措置が終了し、労働基準法に定められた原則どおり消滅時効が5年となる可能性があります。賃金台帳などの記録保存期間も同様に、原則5年・当分の間3年とされているため、今後の制度変更に備えて管理方法を確認しておきましょう。
-
参照:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています
」
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
「弥生給与 Next」で給与・勤怠・労務をまとめてサクッとデジタル化
弥生給与 Nextは、複雑な人事労務業務をシームレスに連携し、効率化するクラウド給与サービスです。
従業員情報の管理から給与計算・年末調整、勤怠管理、保険や入社の手続きといった労務管理まで、これひとつで完結します。
今なら、すべての機能を最大2か月間無料で利用できます!
この機会にぜひお試しください。
この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務
中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
「日本で一番喜ばれる数の多い会計事務所グループになる」
この夢の実現に向けて、全力でご支援しております。
解決できない経営課題がありましたら、ぜひ私たちにお声掛けください。必ず力になります。