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年末調整の保険料控除とは?対象となる保険や控除額計算法などを解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/03/01更新

会社員をはじめとした給与所得者の多くは、健康保険や厚生年金保険といった社会保険に加入しています。また、公的な社会保険とは別に、民間の生命保険や地震保険に加入している方もいるでしょう。これらに支払った保険料は、年末調整において所得控除の対象になります。年末調整で保険料控除が適用されると、その分、所得税額や住民税額を減らすことができます。

年末調整を行うのは納税者(給与所得者)本人ではなく、勤務先の会社です。企業は、従業員が保険料控除を受けるために必要な書類を回収し、適切に手続きを行わなければなりません。

ここでは、年末調整で適用できる保険料控除と控除額の計算方法の他、保険料控除を受けるために必要な年末調整の手続きなどについて解説します。

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年末調整で4つの保険料が控除できる

保険料控除は、年末調整や確定申告で適用できる所得控除で、「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」の4種類があります。

所得控除とは、所得税の課税対象となる所得から一定金額を差し引く制度のことです。これにより税率を乗ずる前の金額が少なくなり、税負担を軽くできます。保険料控除を適用すると、支払った保険料の全額または一部が所得から控除され、所得税や住民税の税額を減らすことができます。

会社員などの給与所得者の場合、保険料控除の手続きは基本的に年末調整で行います。年末調整は、所得税の過不足を調整するために、納税者の勤務先である会社などが行う手続きです。給与所得者の所得税は、月々の給与から源泉徴収(天引き)されて、本人に代わって勤務先の会社が納めています。

ただし、源泉徴収されている所得税は概算であるため、1年間の給与が確定した時点で会社が正しい税額を計算し、過不足を精算しなければなりません。この一連の手続きを年末調整といい、保険料控除はこの年末調整のときに併せて控除申請を行います。なお、自営業者など年末調整を行わない人は、確定申告により自分で保険料控除の手続きをします。

次からは、4つの保険料控除について詳しく解説していきましょう。

源泉所得税についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
源泉所得税とは?申告所得税との違いや税額計算法、年末調整手順を解説

1 生命保険料控除

生命保険料控除は、その年に支払った生命保険料に応じて、一定の金額が所得から差し引かれる制度です。生命保険料控除は、保険契約を結んだ時期によって、下記のように「新制度」と「旧制度」に分かれ、それぞれ対象となる保険の種類や控除額の上限が異なります。

生命保険料控除制度の種類と適用限度額

生命保険料控除制度の違い

新制度:2012年1月1日以降に結んだ保険契約にもとづいて支払った保険料
新制度は、一般生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料に適用されます。控除限度額は3種類合計で、所得税が12万円、住民税が7万円です。
旧制度:2011年12月31日以前に結んだ保険契約にもとづいて支払った保険料
旧制度は、一般生命保険料、個人年金保険料に適用されます。控除限度額は2種類合計で、所得税が10万円、住民税が7万円です。
  • 旧制度に該当する保険契約でも、2012年以降に更新や転換、特約の中途付加などを行った場合、以後の保険料は新制度の対象となります。

生命保険料控除の対象となる保険契約

生命保険料控除の対象になるのは、「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」の3種類です。ただし、このうち個人年金保険料は、新制度では適用対象外となります。

また、上記の保険に加入していても、新制度と旧制度では対象範囲が異なります。生命保険料控除の対象になる保険契約を、新制度・旧制度の制度ごとに詳しく見ていきましょう。

対象となる生命保険

新制度
  • 生命保険会社との保険契約、旧簡易生命保険契約、農業協同組合との生命共済契約など、生存または死亡に起因して一定額の保険金が支払われる保険契約
  • 確定給付企業年金や適格退職年金契約
旧制度
  • 生存または死亡に起因して一定額の保険金が支払われる保険契約
  • 旧簡易生命保険契約
  • 農業協同組合と締結した生命共済など
  • 生命保険会社や損害保険会社などと締結した身体の疾病・障害の他、これらに類することに起因して保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由によって保険金等が支払われるもの
  • 確定給付企業年金や適格退職年金契約

対象となる介護医療保険

新制度
  • 生命保険会社や損害保険会社との保険契約、旧簡易生命保険契約、生命共済契約など、疾病や身体の障害などにより保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由によって保険金等が支払われる保険契約
旧制度

なし

対象となる個人年金保険

新制度
  • 生命保険のうち、年金(退職年金を除く)が給付される保険契約で、「年金の受取人が、保険料を支払う本人かその配偶者」「年金の支払いを受けるまでに、10年以上の期間にわたり定期的に保険料を支払う契約」「受取人の年齢が原則満60歳になってから年金の支払いが開始される、10年以上の定期または終身の年金」という要件を満たすもの
旧制度

新制度と同じ

生命保険料控除の計算方法

生命保険料控除の控除額は、1年間に支払った保険料の金額に応じて、下記のように計算されます。計算方法についても、新制度と旧制度で異なるため注意しましょう。

新制度の生命保険料控除額
所得税 住民税
年間の支払保険料等 控除額 年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料の全額 12,000円以下 支払保険料の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円 12,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+6,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円 32,000円超 56,000円以下 支払保険料等×1/4+14,000円
80,000円超 一律40,000円 56,000円超 一律28,000円
旧制度の生命保険料控除額
所得税 住民税
年間の支払保険料等 控除額 年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料の全額 15,000円以下 支払保険料の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円 15,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+7,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円 40,000円超 70,000円以下 支払保険料等×1/4+17,500円
100,000円超 一律50,000円 70,000円超 一律35,000円

2 地震保険料控除

地震保険料控除は、その年に支払った地震保険料のうち、一定額が所得から控除される制度です。

地震保険は単独での加入ができず、基本的に火災保険とセットでの契約になります。地震保険料控除の対象になるのは、地震保険にかかる保険料または掛金のみです。火災保険と合わせた保険料ではないので注意しましょう。

なお、2006年の税制改正によって、従来の損害保険料控除は廃止されました。ただし、経過措置として、2006年12月31日までに契約した満期返戻金等のある契約期間が10年以上の長期損害保険(2007年以降に契約の変更をしていないもの)については、その保険料を地震保険料控除の対象とすることができます。

地震保険料控除の計算方法

地震保険料控除の控除額は、下記のとおりです。地震保険料と前述した旧長期損害保険料では、計算方法が異なるため注意しましょう。

地震保険料控除額
区分 年間の支払保険料の合計 控除額
地震保険料 50,000円以下 支払金額の全額
50,000円超 一律50,000円
旧長期損害保険料 10,000円以下 支払金額の全額
10,000円超 20,000円以下 支払金額×1/2+5,000円
20,000円超 15,000円
地震保険料・旧長期損害保険料両方がある場合 対象外 地震保険料・旧長期損害保険料それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円)

3 社会保険料控除

社会保険料控除とは、1年間に支払った社会保険料が所得から控除される制度です。納税者自身の社会保険料だけではなく、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を支払った場合も、社会保険料控除が適用されます。

控除対象となるのは、「健康保険料(健康保険、国民健康保険)」「年金保険料(国民年金、厚生年金保険)」「労働保険料(雇用保険)」「介護保険料」「国民年金基金・厚生年金基金等の掛金」などで、支払った、または給与などから源泉徴収された社会保険料の全額が控除されます。

4 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済法に規定された共済契約にもとづく掛金等を支払った場合に適用される所得控除です。具体的には、「小規模企業共済」「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「企業型確定拠出年金(企業型DC)」「心身障害者扶養共済」の掛金について、その年に支払った全額が所得から控除されます。

年末調整での保険料控除の手順

給与所得者の保険料控除は、基本的に年末調整で手続きを行います。保険料控除の対象となる保険に加入している人のもとには、毎年10月ごろに、保険会社から保険料控除証明書が送られてきます(最近は電子データでの交付など、ペーパーレス化が少しずつ進んできています)。ただし、送付時期は保険会社や保険の加入時期、保険料の支払い方法などによって異なります。

年末調整の時期になったら、会社は従業員に「給与所得者の保険料控除申告書」を配付し、保険料控除の対象となる保険について、種類や保険会社などの事項を記入してもらいます。記入する内容は、保険料控除証明書で確認できます。

その後、記入を終えた給与所得者の保険料控除申告書と保険料控除証明書の原本を、他の年末調整書類と併せて、従業員から会社に提出します。なお、会社は従業員から提出を受けた書類について、適切に保管しておかなければなりません。

年末調整の保険料控除よくある質問

年末調整で保険料控除を適用するにあたり、従業員から寄せられることの多い質問をまとめました。従業員から質問があった場合は、適切に対処するようにしましょう。

年末調整時に保険料控除証明書を紛失したら?

年末調整で保険料控除を適用するには、保険会社から送付された保険料控除証明書の原本が必要です。従業員が「保険料控除証明書を紛失してしまった」という場合は、発行元に依頼すれば再発行(または、電子データでの再交付)してもらうことができます。従業員本人から、発行元である保険会社に再発行を依頼するよう伝えてください。

年末調整時に保険料控除の漏れやミス、申告忘れがあったときは?

年末調整で従業員が申告した内容に漏れやミスがあったときや、保険料控除の申告を忘れたときは、期限内であれば正しい内容で再提出してもらいましょう。もし、年末調整の期限に間に合わない場合は、従業員本人が確定申告をすることで、保険料控除が適用されます。

年の途中で転職した場合の年末調整はどうする?

年の途中で転職した場合は、新しい勤務先で年末調整を行うことになります。中途入社した従業員に関しては、以前の勤務先から受け取った源泉徴収票を、年末調整の必要書類と共に提出してもらいましょう。

年末調整の保険料控除をミスなく行うため、給与計算ソフトの導入を

年末調整では、保険料控除など煩雑な作業が多く発生します。さらに、年末調整で適用される控除は、保険料控除だけではありません。年末調整では、保険料控除に関わる書類の他にも、数多くの書類を従業員から回収しなければならず、一人ひとりについて税額計算などを行う必要があります。年末調整にかかる業務を効率化するには、給与計算ソフトの導入がおすすめです。

弥生の給与計算ソフト「弥生給与」と「弥生給与 Next」、「やよいの給与計算」は、給与計算業務に必要な機能を網羅し、給与・賞与計算、社会保険、年末調整を確実にできるうえ、給与支払報告書の電子提出にも対応しています。
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自社に合った給与計算ソフトを活用して、年末調整業務を効率良く進めましょう。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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