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従業員を雇用する際に気をつけるべき注意点【社労士監修】

更新

会社で人を雇うとき、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。雇う側も雇われる側も「最初に確認しておけば良かった」とか「こんなことを伝えておけば良かった」と、後から思うことは意外に多いようです。法律できちんと定められているものも多くありますので確認しておきましょう。

POINT

  • 求人票では基本情報だけでなく、良いことは積極的にアピール
  • 面接時など採用前に確認しておきたい事項は「質問シート」を活用
  • 労働条件は口約束ではNG

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求人票を出すとき

求人票を出すとき、どんなことに注意したら良いでしょう。給与額や休日・業務内容等の記載はもちろんのこと、例えば「交通の便が良い」とか「こんな福利厚生がある」とか「社保完備である」など、求職者にとって安心して働ける職場であることをアピールしましょう。逆の立場で考えて「どんな職場だったら自分が働きたいと思うか」をイメージするのも良いかもしれませんね。

採用面接をするとき

求人票を見た応募者から問い合わせがあり、その後に書類選考や面接へと進むことになるでしょう。特に面接は、応募者について書類だけではうかがい知ることのできない情報を得る大切な機会です。採用面接時に気をつけたい事柄を挙げてみました。

  • 1.
    マイナンバーの提供を求めるタイミング
  • 2.
    前職を辞めた理由を聞くこと
  • 3.
    メンタル系の病気ではないかの確認

これらは、実際に社長さんや人事総務担当者さんから筆者にお問い合わせの多い事柄です。ひとつずつ見ていきましょう。

マイナンバーの提供を求めるタイミング

社会保険や税の手続きの際にはマイナンバーの記載が必要であることは、皆さまご存知のとおりです。さて、それでは人を雇うとき、採用面接でマイナンバーの提供を求めても良いのでしょうか?…答えはNOです。採用が決まり、雇用契約を結んだ後でないとマイナンバーの提供を求めることはできませんので注意しましょう。

厚生労働省のリーフレット新規タブで開くをご参照ください。

前職を辞めた理由を知りたいとき

「当社を希望する動機は?」という質問にはハキハキと答えられても「前職を辞めた理由は?」と聞くと、歯切れの悪い返答だったりすることが良くあります。
質問して悪いわけではありませんので、気になる場合はきちんと確認しておくことが大切です。
ひとつの手段としては、応募者自身が以前の勤務先に退職証明書を請求し、それを見せてもらうことで確認できます。退職証明書の発行は労働基準法で定められていますので勤務先に拒否されるということはありません。ただし2年の時効があります。

東京労働局HP「退職証明書の様式」新規タブで開くをご参照ください。

メンタル系の病気ではないか知りたいとき

近年、このような心配をされる社長さんや人事総務担当者さんが増えています。しかしメンタル系の病気を特別視することなく、その人が担当する業務に支障をきたすような健康状態ではないか?という観点で考えることが大切だと思います。

例えば腰痛持ちの方であれば「頻繁に重い荷物を持ち上げる業務は避けた方が良い」とか、日光アレルギーの方が「昼間、外回りをする業務は避けた方が良い」というケースと同様です。

メンタル系の病気の場合、「定期的な通院と服薬さえすれば、ほかは通常と変わりない」という方も大勢いらっしゃいます。ただ、薬の種類によっては「車の運転をしてはいけない」というものもありますし、通院の頻度によっては業務に支障をきたす場合もあります。会社には従業員の安全を配慮する義務(労働契約法)がありますから是非確認しておきたいところです。

しかし、そのような個人的な問題、とりわけメンタル系の病気に関する話はとてもデリケートなことですから面接時に確認しづらい場合もあります。そんなときはあらかじめ質問シートを用意し、それに記入して回答してもらうという方法があります。ただし回答を強制してはいけません。あくまでも任意です。また、個人情報保護の観点からもじゅうぶんに注意しましょう。

雇い入れ時の健康診断について

労働安全衛生法では、雇い入れ時健康診断を会社に義務付けています。これは採用が決まった方に行うもので、項目が決まっています。

栃木労働局HP「定期健康診断等について」新規タブで開くをご参照ください。

労働条件は書面で

求人票に記載されていた給与額や休日などの労働条件が、実態と違っていたというトラブルが多発しています。そんなことはあってはいけませんし、もし求人票どおりの労働条件だとしても単なる口約束ではNGです。労働基準法では労働条件を書面で明示するよう会社に義務付けています。
書面に必ず記載しなくてはいけない項目は以下のとおりです。

  • 1.
    労働契約の期間
  • 2.
    就業の場所、従事する業務の内容
  • 3.
    始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  • 4.
    賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
  • 5.
    退職に関する事項(解雇の事由を含む)

上記1について、「無期雇用労働者」の場合は「契約期間の定めなし」と記載するのが一般的です。また、職業訓練や休職に関することなどは口頭で伝えても良いことになっています。

まとめ

「良い人材を雇いたい」と思う社長さんは多くいらっしゃるでしょう。そのためにはまず「良い会社でありたい」ですよね。法律を守った正しい労務管理を心がけましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者宮田 享子(社会保険労務士)

宮田享子(みやたきょうこ)
社会保険労務士。産業カウンセラー。
社労士事務所・社労士法人等で実務経験を積んだ後、2010年(平成22年)独立開業。労務相談の他、講師業やメンタルヘルス対策に力を入れている。趣味はオーボエ演奏とランニング。

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