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深夜割増計算とは?深夜手当の計算方法や注意点などを解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/03/19更新

従業員が深夜労働をした場合には、通常の賃金に所定の割増率を加算した、深夜手当(深夜割増賃金)を支給する必要があります。深夜労働に該当する時間帯や深夜手当の割増率は、労働基準法によって定められています。夜勤や残業などで従業員が深夜に働く可能性のある職場では、深夜手当の割増計算について、正しく理解しておくことが重要です。

ここでは、深夜手当の割増率や計算方法、さまざまなパターンにおける深夜労働の賃金の計算方法のほか、深夜手当を計算する際の注意点についても解説します。

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深夜手当を算出する深夜割増計算

深夜割増計算は、一般的に深夜手当と呼ばれる深夜割増賃金の計算をすることです。労働基準法では、22時~翌5時を深夜として扱います。この時間帯に従業員を働かせた場合、企業は、所定の割増賃金を支払わなければなりません。

深夜労働に対する賃金の割増率は、25%以上です。つまり、深夜労働をした従業員に対しては、通常の1.25倍以上の割増賃金を支払うということです。

なお、深夜手当さえ支払えば、どの従業員に深夜労働をさせてもいいというわけではないので注意しましょう。労働基準法では、満18歳に満たない年少者に深夜労働させてはいけないと定められています。また、妊産婦は深夜労働や時間外労働および休日労働の免除を請求できるため、請求があった場合は労働をさせてはいけません。

深夜手当と夜勤手当の違い

深夜手当と混同されやすいのが夜勤手当で、この2つは法律で定められているかいないかの違いがあります。深夜手当は、労働基準法で定められた割増賃金です。それに対して、夜勤手当は、賃金規程や就業規則によって企業が任意で設けている制度です。従業員が深夜労働を行った際に、深夜手当を支給しなければ法令違反ですが、夜勤手当がなくても法的に問題はありません。ただし、賃金規程や就業規則で夜勤手当について定めた場合は、企業に支払い義務が生じます。

夜勤手当についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

深夜手当の計算方法

深夜手当は、「1時間当たりの基礎賃金×対象の労働時間数×割増率(0.25)」という計算式で算出します。では、深夜手当の具体的な計算方法を、順を追って確認していきましょう。

1時間当たりの基礎賃金を算出

まずは、深夜手当の計算で使う、1時間当たりの基礎賃金を出していきます。給与形態によって、以下のような方法で算出します。

詳細は就業規則の定めによります。

一般的な給与形態別の基礎賃金の算出方法

月給の場合:1時間当たりの基礎賃金=月給額÷月平均所定労働時間数

週給の場合:1時間当たりの基礎賃金=週給額÷週平均所定労働時間数

日給の場合:1時間当たりの基礎賃金=日給額÷1日の平均所定労働時間数

なお、月の所定労働時間数が毎月変動する場合は、月給額を1か月当たりの平均所定労働時間数で割ります。平均所定労働時間数を求めるには、まず年間日数(365日)から年間休日数を引き、さらに12か月で割ります。こうすると1か月の平均労働日数が出るので、その数に1日の所定労働時間を掛けると、1か月の平均所定労働時間数が算出できます。

計算式にすると、以下のとおりです。

平均所定労働時間数の計算式

平均所定労働時間数=(365日-年間休日数)÷12か月×1日の所定労働時間

  • 1日の所定労働時間が固定の場合

また、時給で働いている場合は、「1時間当たりの基礎賃金=時間給」になりますので、時給の金額をそのまま使用する形になります。

基礎賃金から除外される手当に注意

1時間当たりの基礎賃金を計算する際には原則として、基本給以外に支払っている手当なども含みます。ただし、次にあげる手当などは、基礎賃金から除外されます。

基礎賃金から除外される手当

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

なお、以上の名称で支給されている手当であっても、社内規定によって全社員に一律固定で支給するものは除外の対象にはなりません。また、1時間当たりの基礎賃金を計算する際の月給額には、時間外手当、早朝出勤手当、休日出勤手当、深夜手当といった所定外給与は含みません。

深夜労働時間数と割増率を掛けて深夜手当を計算

1時間当たりの基礎賃金と深夜労働をした時間数、そして深夜手当の割増率から、深夜手当の金額を算出できます。計算式にすると、以下のとおりです。なお、深夜手当の割増率は25%以上となっているため、ここでは25%としています。

深夜手当を求める計算式

深夜手当=1時間当たりの基礎賃金×深夜労働時間数×0.25

さまざまなパターンの深夜労働の賃金計算

深夜労働には、「時間外労働(残業)が深夜になった」「休日出勤で深夜労働をした」など、さまざまなパターンがあります。従業員が時間外労働や休日労働をした場合にも、それぞれ所定の割増率が定められており、それらの労働が深夜までかかった際には割増賃金が重複して発生します。

次に、深夜労働のパターン別に、割増賃金の計算方法を見ていきましょう。

深夜に時間外労働をした場合

時間外労働とは、「1日8時間、週40時間」という法定労働時間を超える労働のことです。時間外労働に対する割増賃金の割増率は、25%以上です。

もし22時~翌5時の深夜に時間外労働をした場合は、深夜労働の割増率25%と、時間外労働の割増率25%が合算され、割増賃金の割増率は50%以上となります。つまり、従業員が深夜残業をすると、該当する労働時間については通常の1.5倍以上の割増賃金が発生するということです。

休日出勤で深夜労働をした場合

休日に出勤して深夜労働をした場合は、その休日が「法定休日」か「所定休日(法定外休日)」かによって割増賃金の計算方法が変わります。

法定休日とは、労働基準法によって定められている毎週少なくとも1日、または4週間を通じて4日以上の休日のことです。この法定休日に従業員を働かせた場合は、割増率35%以上の割増賃金(休日手当)が発生します。

一方、所定休日とは、法定休日のほかに会社が定める休日です。所定休日に働かせた場合は、通常の労働と同じ扱いになり、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた分に対して25%以上の割増賃金(時間外労働手当)を支払います。労働時間の上限に達しなければ割増賃金は発生せず、働いた時間に応じた通常の賃金を支払うことになります。ただ、1日8時間・週5日の一般的なフルタイム勤務であれば、所定休日に出勤した時点で時間外労働手当が発生することになります。

このような休日出勤で、労働時間が深夜の時間帯になった場合は、それぞれの割増率に深夜手当の25%が合算されます。

法定休日に深夜労働をした場合

法定休日の22時~翌5時に働いた場合は、深夜労働の割増率25%と休日労働の割増率35%が合算され、割増賃金の割増率は60%以上になります。

例えば、従業員が法定休日に出勤し、13時から23時(休憩1時間)まで働いたとしましょう。この場合に支給する賃金は、休憩時間を除く22時までの「基礎賃金×8時間×1.35」と、22時から23時の「基礎賃金×1時間×1.6」の合計額ということになります。

所定休日に深夜労働をした場合

所定休日に深夜労働をした場合は、平日に深夜残業をしたときと同様に、深夜労働の25%と時間外労働の25%が合算され、割増賃金の割増率は50%以上です。

ただし、所定休日の労働時間が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えない範囲であれば、割増賃金が発生する時間外労働には当たらないため、25%以上の深夜手当だけが適用されます。

深夜手当の計算を行う際の注意点

深夜手当の計算を行う際には、以下の点に注意が必要です。深夜手当の処理などで悩む場合もあるかと思いますので、計算する前に確認しておきましょう。

管理監督者も深夜手当が付く

管理監督者には、深夜手当が付くため注意が必要です。管理監督者は、労働基準法の労働時間や休日の規定が適用されないので、時間外手当(残業代)や休日手当の支払いは発生しません。そのため、深夜手当も対象外になるのかと誤解されがちですが、深夜手当については発生します。

管理監督者の深夜手当も、一般従業員と同様に「1時間当たりの基礎賃金×深夜労働時間数×0.25」で計算します。

なお、管理監督者に該当するかどうかは、役職名だけではなく、職務内容や責任、権限、勤務状況などの実態によって判断されます。たとえ「課長」や「店長」といった役職名が付いていても、管理職としての責任や権限、優遇措置などが伴っていなければ、管理監督者とは見なされません。

端数が出た場合の処理方法

深夜手当などの割増賃金の計算をするときに、1円未満の端数が生じることがあります。その場合は、割増賃金計算の端数処理にあたって常に労働者の不利となるものでなく、事務簡便を目的としたものと認められるものについては50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げます。

また、1か月間の深夜労働時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることが可能です。これらの端数処理方法は、深夜労働のほか、時間外労働や休日労働の割増賃金計算においても同様に適用できます。

なお、いずれの場合も、端数処理の方法については、就業規則などであらかじめ定めておく必要があります。

従業員に深夜労働をさせた場合は、深夜手当を正しく計算しよう

従業員を22時から翌朝5時の時間帯に働かせた場合は、通常賃金の0.25倍以上の深夜手当を支払わなければなりません。また、深夜にわたって時間外労働を行った場合や、休日労働が深夜まで及んだ場合は、割増賃金が重複して発生するため注意が必要です。

深夜手当をはじめとする割増賃金は、従業員ごとに細かく計算しなければいけないため、ミスのないようにルールを確認しておきましょう。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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