せどりのための確定申告ガイド
執筆者:荒井滋
2023/08/01更新
Amazonやヤフオクなど、せどりや転売が気軽にできるようになった今「確定申告が必要なの?」と思っていませんか?
せどりや転売を海外にする人も少しずつ増えているなか、税務調査が来ることになって慌てたり、税務調査で多くの指摘を受けるケースも散見されます。きちんとした正しい知識で確定申告をすることで、還付が受けられるなどメリットを十分に得られる業種です。
次のポイントをしっかり押さえて、正しい申告、節税を行いましょう。
POINT
- 入金額=売上額ではないことに注意
- サービス連携で楽々記帳
- 海外への輸出がほとんどなら消費税還付特典を活用しよう
せどりで確定申告が必要な人と不要な人
Amazonやヤフオクなど個人が転売できる環境が整い、企業にお勤めの方でも副業でせどりや転売のノウハウを見聞きして、実際に始める方もいらっしゃるかと思います。掘り出し物を見つけるためのノウハウ本やブログ、相場情報を調べられるアプリなどでかんたんにでき、せどりを気軽に始めることができるようになりました。気軽に始められるからこそ、自分が確定申告する必要があるかを知り、どのように確定申告をしたら良いかということまできちんとあらかじめ確認して正しい運用をする必要があります。
個人事業をしていて年間(1月1日から12月31日まで)に48万円を超える利益がある方はもちろん、サラリーマンなど本業で給与を受け取っている人でも、副業としてせどりや転売などで年間20万円を超える利益がある方も確定申告が必要です。つまり、副業でせどりや転売をしている方のほとんどは確定申告が必要なのです。
売上高の把握は、売上=入金された額と思われる方もいらっしゃると思いますが、せどりや転売はAmazonやヤフオクなど、個人で出品できるサービスを使って転売している方がほとんどだと思います。その場合の多くは、販売や出品の手数料が差し引かれて入金されてくるため、実際に入金された額と買い手が購入した金額が一致しないことがあります。「売上高」は買い手が実際に購入した金額になります。そのため、手数料などがいくら引かれて入金されているか転売できるサイトの明細を確認して、把握する必要があります。また仕入れたものを在庫として持つ場合には、「棚卸し」が必要になります。特に期末(12月31日)時点の棚卸しを実施し、在庫がどれくらいあるのかはしっかり把握するようにしましょう。なお、棚卸しは仕入れ価格で在庫金額を集計するようにしましょう。
主な経費は、商材の購入代金発送等にかかる経費です。たとえば商材の購入代金は「仕入高」、前述をした販売や出品の手数料は「支払手数料」、商品の発送費は「荷造運賃」、梱包商材の購入代金は「消耗品費」などで処理します。
白色申告の場合の帳簿の付け方については、「白色申告の帳簿の書き方は?記載例やポイントをわかりやすく解説」をご覧ください。
しかし、せっかく帳簿記帳するのであれば、日付・金額・相手先・内容を記載して、この後説明する青色申告制度の特典を活用しましょう。
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せどりや転売でも使える青色申告特典!
青色申告を活用するメリットとしては、次のようなものがあります。
青色申告控除として最大65万円が所得から控除される
仕入に対して利幅が少ないせどりや転売をしている方にとって最大で年間65万円も引けるのはとてもうれしいことです。そのために多少の手間がかかったとしても、ぜひ青色申告をしてもらいたいです。
家族への給料を経費で落とせる
15歳以上で他で働いていない家族、例えば専業主婦である奥さんに経理業務をしてもらっている場合などは、青色事業専従者給与として給料を支払って、それを経費で落とすことができます。
赤字が出た場合その損失を3年間繰り越せる
せどりを始めたばかりは仕入れたものが思っていたような価格で売れないなど、始めたばかりはさまざまな仕入れがかさみ、一時的に赤字が出ることがあります。
始めから青色申告を選択していれば、その損失を3年間まで繰り越して、黒字が出た年の所得から控除することができます。
30万円未満の固定資産を、支払った年の経費にできる
10万円以上の固定資産は通常、固定資産となり、その支払った年で一括では経費になりません。青色申告をしていれば、30万円未満のパソコンや中古車などが、その年の経費になって所得税が減るわけですから、うれしいですね。
なお、「青色申告の特典」を得るためには、一定期間内に申請又は届出が必要となりますので、身近な会計事務所への相談や、国税庁のホ-ムペ-ジをチェックしてください。
サービス連携で楽々経理
青色申告の承認を受けたら、さっそく毎日の記帳を始めましょう! と言っても、複式簿記の帳簿記帳ができるか心配な方もいらっしゃるかと思います。そんな時は、クラウド会計ソフトを活用して、正しく効率的に記帳しましょう。かんたんに正確な記帳をするコツは「現金取引をなくす」ことです。もちろん100パーセントというのは難しいという方もいらっしゃると思いますが、他の業種に比べて現金取引をなくすことも十分可能です!
仕入はクレジットカード、電子マネー活用!
せどりや転売の仕入の多くは中古商品を扱っている店舗での仕入だと思いますので、クレジットカードや電子マネーを使うことができる店舗ならクレジットカードや電子マネーで仕入ましょう。クレジットカードや電子マネーによってはポイントの還元も受けられますし、領収書1枚1枚手で記帳することなく、クレジットカードや電子マネーのオンライン明細との連動で経費を入力するのもかんたんです。
売上、経費もインターネットバンキング、クレジットカード活用で正確に!
売上も銀行などのインターネットバンキングを使用すれば、取引データが直接会計ソフトに入ってきます。経費はクレジットカードを使うことでオンライン明細データを直接仕訳に活用できます。直接データが入ってくるので、転記の際の入力ミスも防げて履歴管理が容易です。
海外への輸出がほとんどなら消費税還付特典を活用しよう
せどりや転売をしている方のなかには、利幅を大きくするために、海外への輸出を考えられる方もいらっしゃるかと思います。国内で仕入れたものを海外へ輸出するのは、少し前までは個人ではなかなか難しいことでしたが、Paypalなどの決済サービスや、Amazon、e-bayなど、個人で商品を販売できるサービスの増加やサービスの向上で敷居が下がりました。日本国内で仕入れたものを海外に販売している場合には、仕入れたときに支払った消費税を取り戻す(還付)ことができるかもしれません。ただ、国内での販売の方が多い場合などは還付どころか追徴を受ける可能性もありますので、しっかりとした見きわめが必要です。
消費税の還付は、国内での仕入れと海外の輸出が増えれば増えるほど還付額も多くなります。そのためには、課税事業者の届け出や必要書類の備え付けなど、青色申告の承認に比べるとハードルが少し高くなります。また消費税の還付は不正還付も数少なくないことから税務調査などの対象にもなりやすいと言われています。相談できる会計事務所や税理士にまずはしっかり相談をして、効果的な還付を行うことをお勧めします。
せどりや転売の仕事は、仕入れや発送の業務などに追われ、どうしても記帳が後追いになりがちです。しかし、確定申告の時期に記帳に追われて仕入れが思うようにできなかったり、発送が遅れてしまったりしては本末転倒です。忙しい業種だからこそ、会計ソフトのサービス連携やデータの取り込みを活用し、手間を少なくして、かつ青色申告特別控除のメリットも受けることをお勧めします。
photo:Thinkstock / Getty Images
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確定申告書類を自動作成。e-Tax対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムースに
画面の案内に沿って入力していくだけで、確定申告書等の提出用書類が自動作成されます。青色申告特別控除の最高65万円/55万円の要件を満たした資料の用意も簡単です。インターネットを使って直接申告するe-Tax(電子申告)にも対応し、最大65万円の青色申告特別控除もスムースに受けられます。
自動集計されるレポートで経営状態がリアルタイムに把握できる
日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。確定申告の時期にならなくても、事業に利益が出ているのかリアルタイムで確認できますので、経営状況を把握して早めの判断を下すことができるようになります。