テレワークの経費は何が落ちる?個人事業主の在宅ワーク節税ガイド
更新

テレワークを中心に働く個人事業主にとって、「自宅の電気代や家賃は経費にできる?」「どこまで経費にできるのか」「Zoom飲みのビール代は、接待費にできる?」は悩みの一つです。
生活費と事業費の境界線をどう引くかは、テレワークならではの最大の課題といえます。正しく判断できないと、経費計上できないで税金が高くなったり、逆に税務調査で指摘されるリスクもあります。本記事では、テレワークにおける経費の考え方と判断基準、具体的にケースに分けて解説します。
2027年分から改正の青色申告特別控除75万円の要件には「優良な電子帳簿」で対応できるので、今から使うと安心です!
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POINT
- 在宅業務でも、外での仕事と同じように経費を考える
- 家の中での経費は家事按分が必要かどうかを考える
- 事業に関係ない支出や家事按分の生活部分は「事業主貸」を使う
テレワークで経費にできるものは?
個人事業主がテレワークで経費にできるものは、パソコンやインターネット料金、電気代など「事業に関係がある支出」です。
プライベートの支出は経費になりませんが、仕事(事業)でもプライベートでも使用するものは「家事按分(かじあんぶん)」によって事業の割合分だけを経費にできます。
「経費」とは何か?|判断のポイントは「事業に関係があるか」
経費とは、事業で収入を得るために必要な支出のことです。所得税では「必要経費」と呼ばれ、売上から経費を差し引いた金額が所得として課税の対象となります。
個人事業主の必要経費として認められる支出は、大きく以下の2種類です。
- 売上に直接対応する仕入や、販売に必要な支出
- 事業を継続するために必要な家賃・通信費などの一般経費
判断に迷ったときは「その支出がなければ事業ができなかったか」「売上につながると合理的に説明できるか」という視点で考えるとわかりやすいです。
| 経費になるもの | 商品・材料の仕入れや外注費など売上に直接関係する支出、家賃、通信費、水道光熱費など事業と直接の関連性がある支出 |
| 経費にならないもの | 日常生活のための支出や自己管理・個人消費の範囲に入るプライベートの消費 |
なお、事業とプライベートの両方で使う費用については、事業分のみを按分して経費計上する「家事按分」というルールがあります。
家事按分(かじあんぶん)とは何か|事業と生活の両方で使う支出を分ける
家事按分とは、事業とプライベートの両方で使う支出(家事関連費)のうち、事業で利用した割合だけを合理的に算出して必要経費として計上するルールのことです。
自宅でテレワークをしていると、家賃や電気代、インターネット料金など、事業とプライベート兼用で使う支出が発生します。このような費用は全額を必要経費にすることはできません。
そこで必要になるのが家事按分です。家事按分とは、事業で利用した割合だけを経費として計上する方法です。
例えば、自宅の一部を仕事部屋として使っている場合は使用面積、パソコンやインターネット回線なら利用時間などを基準に、事業利用分の割合を合理的に算出します。
按分割合に絶対的な決まりはありませんが、「なぜその割合なのか」を客観的に説明できることが重要です。使用時間のメモや部屋の面積、業務日数など、根拠となる記録を残しておくと、税務署から確認されたときに対応できます。
経費や家事按分ついては、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。
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テレワークにかかる光熱費・通信費も経費?|家事按分の考え方と仕訳例
在宅ワーク(テレワーク)にかかる電気代やインターネット料金などの光熱費・通信費は、事業で使用した分を「家事按分」することで必要経費にできます。
ここからは、テレワークで発生しやすい費用について、経費として計上できるかどうかの基準や、実際の仕訳例を具体的に見ていきます。
なお、同じ支出でも、事業内容や利用状況によって経費にできる範囲が異なる場合があります。判断に迷うときは、税理士や税務署など専門家へ相談すると安心です。
また、掲載している仕訳例は、青色申告(複式簿記)を前提としています。白色申告などの簡易簿記の方は、「どの勘定科目を使うか」の参考にしてください。
電気代(パソコン・照明・空調)
パソコン・照明・空調など、事業のために使用する電気代は必要経費として計上できます。ただし、自宅の電気代は生活用と共通になっているため、事業で使用した分だけを家事按分する必要があります。
按分割合は、業務で使用した時間や消費電力などを基準に、実態に合わせて設定します。テレワークの増加によって、在宅時間が長くなった場合は、従来より事業利用割合が高くなるケースもあるため、現在の働き方に応じて見直しましょう。
例えば、今月の電気代が10,000円で、そのうち4割を事業で使用している場合は、事業利用分のみを「水道光熱費」として計上します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 4,000 | 普通預金 | 10,000 |
| 事業主貸 | 6,000 |
プライベート利用分にあたる残りの6割は、事業とは関係のない支出として「事業主貸」で処理します。事業主貸は、個人的な支出を区分するための勘定科目であり、必要経費には含まれません。
インターネット料金や電話代
リモートワークに必要なインターネット料金や電話料金は、事業用として使用している分を必要経費として計上できます。ただし、仕事(事業用)と私用(プライベート)で兼用している場合は、家事按分によって事業利用分のみを経費にする必要があります。
按分割合は、インターネットの利用時間や電話の通話時間などを基準に設定します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 2,000 | 普通預金 | 4,000 |
| 事業主貸 | 2,000 |
水道代|水を使う「業種・業態」を除き一般的なテレワークの事業割合は少ない
水道代は、業務で日常的に水を使う業種を除き、一般的なテレワークでは事業割合はかなり少なくなります。
自宅の水道使用量の大半は入浴・洗濯・料理など生活用途が占めるため、事業利用分を客観的に区分することが難しいためです。事務所利用の一環として業務中に水を使用することはありますが、通常は全体の使用料からするとかなり少なくなるでしょう。
例えば、普段は出張先で料理を作るフードコーディネーターが、自宅で調理をしたり、メニュー開発を行ったり、オンラインで料理教室を開催するなどなら、料理や洗い物などに使用した分を事業割合にすることはできるでしょう。
また、店舗や事務所として使用している場所の水道代であれば、事業用として全額を経費計上することが可能です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 1,200 | 普通預金 | 6,000 |
| 事業主貸 | 4,800 |
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在宅環境整備にかかった費用の経費処理
テレワーク環境を整えるために購入したモニター、椅子、文房具用収納棚などの備品は、事業に必要なものであれば経費として計上できます。ただし、取得価額によってその年に一括で経費にするか、数年かけて減価償却を行うかの処理方法が異なります。
| 所得価額 | 経費計上方法 | 対象者 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 「消耗品費」として全額経費計上 | 白色申告・青色申告共通 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産(3年均等償却)の選択が可能 | 白色申告・青色申告共通 |
| 10万円以上40万円未満(※) | 少額減価償却資産の特例の活用で一括経費にすることを選択可能 | 青色申告のみ |
- ※2026年3月31日以前の取得分は30万円未満
1年以上使用し、取得価額10万円以上の備品は原則、減価償却が必要です。しかし、取得価額によっては一括償却資産や少額減価償却資産の特例を選ぶことも可能です。
なお、少額減価償却資産の特例は、青色申告事業者のメリットであるため、白色申告では適用できません。
減価償却・少額減価償却資産の特例については、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。
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テレワーク中の打ち合わせ・飲食代はどう扱う?
テレワーク中の飲食費や打ち合わせ費用は、「業務との関係性があるか」が経費の判断基準です。オンライン会議や取引先との打ち合わせなど、事業に必要な支出であれば経費として計上します。
大切なのは、「誰と・何の目的で」使った支出かを後から説明できることです。場所が自宅であっても、基本的な考え方は通常の会食と変わりません。
打ち合わせ中の宅配ピザやデリバリー代
オンラインでの長時間におよぶ打ち合わせで手配したピザや弁当の費用は、「会議費」として経費計上します 。
オンラインでの打ち合わせが長時間におよび、食事の時間帯をまたぐこともあるでしょう。そのような場合に、参加者用のピザや弁当を手配した費用は、「会議費」として経費計上できます。
これは、場所が自宅に変わっただけで、会議室での打ち合わせ中に食事を用意するケースと基本的な考え方は変わりません。
ただし、プライベートな飲食との区別がつきにくいため、「いつ、誰と、何の目的」で行った打ち合わせなのかを記録として残しておくことが重要です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 会議費 | 2,500 | 現金 | 2,500 |
取引先とのZoom飲み(缶ビール・おつまみ)代
取引先との関係構築や情報交換を目的としたオンライン飲み会(Zoom飲み)は、通常の会食と同様に「交際費」として経費計上できる場合があります。飲食物や酒類の購入費用も、業務との関連性が認められれば経費の対象になります。
ただし、単なる私的な飲み会との区別が重要です。「誰と」「どのような目的で」行ったものかを説明できるよう、参加者や日時、内容などを記録として残しておきましょう。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 交際費 | 2,000 | 現金 | 2,000 |
運動不足解消のトレーニング器具代は経費にならない
テレワークによる運動不足の解消を目的として、購入したトレーニング器具はプライベートな支出と考えられるため、経費にはできません。このような支出は、「事業主貸」で処理します。
健康維持や体調管理のためであり、業務と関係ないと判断されるためです。
一方で、アスリートやスポーツトレーナーのように、身体づくりそのものが事業に直結する業種では、トレーニング器具の購入費用を必要経費として計上できる場合があります。経費に該当するかどうかは、「業務との関連性を説明できるか」が判断のポイントです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 事業主貸 | 20,000 | 普通預金 | 20,000 |
なお、経費にならない私的支出は白色申告では、帳簿に記入しないのがルールです。
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オンラインレッスンやネットショップを始めた場合の経費
オンラインレッスンの開講やネットショップでの販売などを始めた場合、配信機材の購入費、ECサイトの利用料、梱包や発送にかかる費用など事業に必要な支出はすべて経費になります。
インターネットを活用した事業形態は今や珍しくありません。何が必要経費として認められるかを把握しておくことが、正確な申告と節税につながります。
オンラインレッスン関連の経費例
料理や語学、ヨガなどのレッスンをオンラインで行う場合は、配信や撮影、集客に必要な費用を経費として計上できます。主な例は以下のとおりです。
主な経費の種類と勘定科目は、以下の表を参考にしてください。
オンラインレッスンの主な経費例
| 支出の例 | 使用する勘定科目 | 計上方法・ポイント |
|---|---|---|
| カメラ・マイク・照明などの撮影機材 | 消耗品費/工具器具備品 | 取得価額10万円未満:消耗品費で一括計上。 10万円以上は原則として「工具器具備品」などの固定資産として減価償却を行う(※) |
| 機材にかける保険料 | 損害保険料 | |
| 機材の修理代 | 修繕費 | |
| 動画撮影用のスタジオ利用料 | 賃借料 | |
| 背景用の小道具・インテリア・撮影備品 | 消耗品費 | |
| 動画編集ソフトや配信サービスの利用料 | 消耗品費 / 通信費 | サブスクリプション費用を含め、「消耗品費」や「通信費」などで処理 10万以上の買い切りライセンスの場合は減価償却をチェック |
| ホームページ制作費やWeb広告費 | 広告宣伝費 | |
| 配信スキル向上のためのセミナー受講料 | 研修費 | |
| インターネット費用 | 通信費 |
- (※)青色申告を選択していて、10万円以上40万円未満の場合、少額減価償却資産の特例を適用可能
また、自宅の一部を撮影スペースや機材置き場として利用している場合は、その使用割合に応じて家賃を家事按分し、「地代家賃」として経費計上できます。
ネットショップ関連の経費例
ネットショップ運営では、販売・発送・集客に関するさまざまな支出が発生します。代表的な経費には、ECサイトへの出店費用や梱包材、配送料などがあり、これらはすべて必要経費として計上します。
代表的な経費と勘定科目は以下のようなものがあります。
ネットショップの主な経費例
| 支出の例 | 使用する勘定科目 | 計上方法・ポイント |
|---|---|---|
| ECサイトへの出店費用・月額利用料・決済サービス利用料 | 支払手数料/広告宣伝費 | |
| 通販ページ制作費や商品掲載ページの作成費 | 広告宣伝費 | |
| 商品撮影費用 | 広告宣伝費 | 販売せずに撮影用として使用した商品は仕入高から振り替えて「消耗品費」 |
| 段ボール・緩衝材・包装材などの梱包資材 | 荷造運賃 / 消耗品費 | |
| 食品表示ラベルや商品シールなどの印刷費 | 消耗品費 / 荷造運賃 / 仕入 | 商品の包装や販売に伴って発生する費用は「消耗品費」や「荷造運賃」。商品仕入れに直接関連する場合は、「仕入高」などで計上 |
| 商品の配送料 | 荷造運賃 | |
| 売上金の振込手数料・決済手数料 | 支払手数料 | |
| リスティング広告やSNS広告などの販促費 | 広告宣伝費 |
白色申告と青色申告では、経費として認められるかどうかの判断基準に違いはありません。電気代・通信費・備品代など、事業に必要な支出であれば、申告方法にかかわらず必要経費として計上できます。
ただし、青色申告では、日々の取引を複式簿記で記帳し、帳簿を適切に管理することで、白色申告にはないさまざまな税制上の優遇措置を受けられます。
青色申告特別控除や赤字の繰り越しなど、節税につながる制度を活用できる点が大きな特徴です。
特に、経費の種類が多くなりやすい在宅ワーク(テレワーク)中心の個人事業主にとって、帳簿を整備しながら節税メリットも最大限に活用できる青色申告は、取り組む価値の高い選択肢です。ここでは青色申告の主な3つのメリットについて解説します。
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青色申告の3つのメリット
確定申告を青色申告で行う最大のメリットは、最大65万円(2027年分からは最大75万円)の青色申告特別控除をはじめとする強力な税制上の優遇措置を受けられる点にあります。
ここからは、個人事業主がテレワークを行う上でも絶対に活用したい、青色申告の代表的な3つのメリットを具体的に見ていきます。
青色申告特別控除が受けられる
青色申告では、帳簿の形式や申告方法に応じて最大65万円(2027年分以降は最大75万円)の青色申告特別控除が受けられます。控除額の分だけ所得を直接減らせるため、高い節税効果を得られます。
2026年分の確定申告では、控除額は最大65万円になります。受けられる控除額分だけ課税所得を減らすことができます。
青色申告特別控除の区分(2026年分まで)
| 要件 | 10万円控除 | 55万円控除 | 65万円控除 |
|---|---|---|---|
| 所得の種類 | ・事業所得 ・不動産所得 ・山林所得 |
・事業所得 ・不動産所得(※) |
・事業所得 ・不動産所得(※) |
| 簿記の種類 | 簡易帳簿(簡易簿記) | 複式簿記 | 複式簿記 |
| 添付書類 | 損益計算書 | 損益計算書+貸借対照表 | 損益計算書+貸借対照表 |
| 期限内申告 | 期限後でも可 | 期限内申告必須 | 期限内申告必須 |
| 提出・帳簿保存方法 | e-Tax・書面どちらでも可 | 書面提出 | e-Tax(電子申告) もしくは 優良な電子帳簿作成と保存の上、書面提出 |
| 備考 | 55万円控除もしくは65万円控除の要件を満たさない場合 |
- ※不動産所得で55万円控除以上を適用する場合は、事業的規模が要件です。ただし、事業所得と不動産所得の兼業の場合は、不動産所得が事業的規模である必要はありません。[
なお、令和8年度税制改正により、2027年分(令和9年分)の青色申告から特別控除の要件と上限が変わります。上限は最大75万円になります。
2027年分以降の青色申告特別控除の区分
青色申告控除75万円・65万円の適用には、前提として以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 青色申告特別控除(75万円・65万円)の共通要件
-
- 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる
- 現金主義による所得計算の特例を選択していない
- 正規の簿記の原則(複式簿記)により作成した貸借対照表と損益計算書の添付
- 期限内申告(原則翌年3月15日まで)
つぎに共通以外の要件を表にまとめました。
| 特別控除額 | 帳簿 | 申告方法 | 共通以外の要件 |
|---|---|---|---|
| 最大75万円(新設) | 複式簿記 | e-Tax(電子申告) | 共通要件にプラスして以下、①~②のいずれかを満たす ①優良な電子帳簿 ②請求書データ等との自動連携(新設) |
| 最大65万円 | 複式簿記 | e-Tax(電子申告) | 共通要件を満たす |
| 最大10万円 | 複式簿記 | 書面での申告 | 共通要件を満たす |
| 最大10万円(※1,※2) | 簡易帳簿(簡易簿記) | e-Tax(電子申告)/書面での申告 | ・事業所得もしくは不動産所得に係る前々年の収入が1,000万円以下(事業所得及び不動産所得がある場合はいずれも1,000万円以下)の納税者 ・事業としての規模に満たない不動産所得者もしくは山林所得者等 |
- ※1不動産所得については、収入区分が1,000万円超である場合、事業的規模の方のみ控除対象外です。
- ※2事業的規模ではない規模(業務的規模)の方は、2027年分以降も最大10万円の控除を適用できます。なお、不動産所得が事業的規模ではない場合は、2027年分以降に複式簿記に移行したとしても、控除額は簡易帳簿の場合と同様に最大10万円です。
2027年分以降、65万円以上の特別控除を受けるために、e-Taxが必須になります。また、書面での提出では10万円の控除額になってしまいます。さらに、単式簿記簡易帳簿の場合は、前々年分の収入が1,000万円を超えている場合は特別控除の対象になりません。
2027年分の確定申告に備え、今からe-Taxや優良な電子帳簿もしくは請求書データ等の自動連携に対応できるよう準備しておきましょう。
弥生のクラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」では、直接e-Taxでの電子申告ができて優良な電子帳簿にも対応しています。
青色申告のメリットや事前の届け出、優良な電子帳簿については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
少額減価償却資産の特例(40万円未満まで一括で経費計上できる)
少額減価償却資産の特例とは、青色申告者が10万円以上の備品などを[裕宮6.1]購入して使用開始した年に一括で全額経費にできる制度です。
通常、パソコンや撮影機材など、1年以上使用して取得価額が10万円以上の備品は資産として扱われ、耐用年数に応じて減価償却を行う必要があります。
ただし、青色申告では「少額減価償却資産の特例」を利用することで、取得価額40万円未満(2026年3月31日以前に取得した資産は30万円未満)の備品を、購入して使用開始した年に一括で必要経費として計上できます。
ハイスペックPCや撮影機材など、テレワーク環境の整備に必要な設備も、上限額未満であれば購入年にまとめて経費計上できるため、初年度の税負担軽減にもつながります。なお、この特例には合計で年間300万円までの上限があり、白色申告では利用できません。
減価償却や少額減価償却資産の特例について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
赤字の繰越控除が受けられる
青色申告では赤字が出ても将来の黒字(利益)と相殺できる制度があります。これを「純損失の繰越控除」といいます。
具体的には、事業で発生した赤字(純損失)を翌年以降最大3年間繰り越し、将来の黒字と相殺できます。
通常、赤字になった年は所得税が発生しないだけですが、青色申告なら、その赤字を翌年以降の所得から差し引けるため、将来の税負担を軽減できます。
例えば、開業したばかりでパソコンや撮影機材、広告費などの初期費用がかさんで赤字になる年もあるでしょう。その場合でも、翌年以降に利益が出れば、繰り越した赤字と相殺して課税所得を減らすことができます。
赤字の繰り越しのイメージ
また、過去に青色申告をしていて黒字だった場合は、今年の赤字を過去の黒字と相殺して、過去の申告で納税した金額と、相殺後の利益で再計算した税額との差額を返してもらう「繰戻し還付」という制度もあります。
ただし、繰戻し還付制度は還付請求があった場合にその内容を調査して還付を決めることになっていますから、税務署からの問い合わせや場合によっては税務調査があることも想定しておきましょう。
「繰越控除」、「繰戻し還付」について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
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確定申告を乗り切るための実践ポイント
テレワークの確定申告をスムーズに乗り切るポイントは、日頃から「領収書へのメモ」や「定期的な帳簿付け」を習慣化すること、そして申告ソフトを活用して効率化と正しい申告を行うことにあります。
テレワークでは、在宅での支出が「事業用なのか、生活費なのか」を区別しにくいという特徴があります。経費として計上する支出については、領収書やレシートを受け取ったら、その場で「いつ・誰と・何のために」使ったかをメモする習慣をつけておくといいでしょう。
帳簿付けを後回しにすると、支出の内容や利用目的を忘れてしまいやすくなります。取引が発生したタイミングで定期的に記帳することで、確定申告時の負担を減らせます。
青色申告と白色申告では、経費として認められる範囲自体に違いはありません。ただし、青色申告を選択すると、最大65万円(2027年分以降は最大75万円)の青色申告特別控除や、赤字の繰り越しなどの優遇措置を利用できます。
青色申告では簡易簿記での帳簿付けでも適用できる特別控除もありますが、より大きな特別控除を適用するには、複式簿記が必須になります。
そのため、複式簿記による帳簿付けが、難しく感じる方もいるでしょう。
そこで、弥生のクラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」の活用がおすすめです。
日々の取引を入力するだけで複式簿記の帳簿付けができます。銀行口座やクレジットカードとの連携による自動取込やAIによる自動仕訳も搭載しているため、記帳作業を効率化できます。確定申告書類も設問に答えていくだけで作成してくれます。また、e-Taxおよび優良な電子帳簿にも対応しており、2027年分以降の最大75万円控除の要件にも対応できます。
なお、個人で得た収入は「事業所得」または「雑所得」として申告します。継続的に事業として行っている実態がある場合は事業所得に該当しますが、副収入程度の小規模な活動は雑所得として扱われるケースもあります。雑所得は青色申告の対象外であり、赤字を他の所得と相殺できないなど、税務上の取り扱いが異なります。
アルバイトや会社員としての給与収入がある場合は、給与所得と事業所得・雑所得をそれぞれ区分して計算し、最終的に合算して所得税を計算します。確定申告では、その年に得たすべての所得を申告する必要があるため、申告漏れがないよう注意しましょう。
photo:Getty Images
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よくあるご質問
在宅ワーク(テレワーク)の個人事業主が経費にできるものとできないものの違いは何ですか?
「その支出が事業を行うために必要だったか」が判断の基準です。文房具や通信費、パソコンの購入費など業務に関連する支出は経費になります。一方、日常生活のための支出やプライベートな消費は経費にはなりません。仕事とプライベートの両方で使う費用については、事業利用分のみを必要経費として計上します。
詳細はこちら
事業でもプライベートでも使うものは経費になりますか?
経費になりますが、全額ではありません。事業で使用した割合に応じた金額のみを経費として計上します。この考え方を「家事按分」といいます。家賃や電気代、スマホ代、ネット代などが代表的な例です。割合は使用時間や面積比など合理的な基準で設定して金額を計上します。
詳細はこちら
家事按分(かじあんぶん)って何ですか?
家事按分とは、事業とプライベートの両方で使用している費用をのうち、業事業利用分のみを必要経費として計上する考え方です。
按分割合は、支出の内容に応じて合理的な基準で設定します。例えば、「仕事部屋の面積割合」、「業務で使用時間」などを基準にします。
業務時間の記録や家の間取り図と面積計算など、按分割合の根拠を保存しておくことが重要です。
詳細はこちら
テレワーク用に購入した高額なパソコンやデスクは一括で経費にできますか?
10万円未満は一括経費、10万円以上は減価償却で複数年にわたって経費にします。青色申告なら40万円未満まで一括可能です。
1年以上使用して、取得価額10万円以上の資産は原則として減価償却が必要です。しかし、青色申告者であれば「少額減価償却資産の特例」を適用することで、1組あたり取得価額40万円未満(2026年3月31日までは30万円未満)の資産を購入して使用開始した年の経費に一括計上できます。
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【2027年分から改正】青色申告特別控除75万円の要件には「優良な電子帳簿」で対応
2027年分(令和9年分)から、青色申告特別控除が最大75万円に引き上げられます。この75万円控除を適用するための要件が 「優良な電子帳簿」もしくは、新設の「請求書データ等との自動連携」の対応です。
「やよいの青色申告 オンライン」は、特別な設定不要で使用を開始したその日から「優良な電子帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)」としてデータが作成・保存されます。
2026年中の準備がおすすめな理由
優良な電子帳簿は「その課税期間の最初(個人事業主の場合1月1日から)」要件を満たしている必要があります。
2027年分以降で最大75万円の特別控除を目指すなら「やよいの青色申告 オンライン」を2026年から使用しておけば、2027年1月1日から優良な電子帳簿に対応できるので安心です。
※2027年分以降、65万円以上の青色申告特別控除の適用は、e-Taxでの電子申告など複数の要件を満たすことが必要です。
- ※「やよいの青色申告 オンライン」は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が審査する「「優良な電子帳簿」の機能要件承認」を満たし、電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧に登録されています。(認証番号:106800-00)
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※「電子帳簿ソフト法的要件認証制度
」
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この記事の監修者宮原 裕一(宮原裕一税理士事務所 代表税理士)
「宮原裕一税理士事務所」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

