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決算申告のみを税理士に依頼した場合の費用相場とメリットを解説

2022/04/12更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

法人の決算申告は手続きが複雑で、作成しなければいけない書類も非常に多いため、税理士に依頼するのが一般的です。また、個人事業主の中にも「確定申告を税理士にお願いしたい」と考える方はいるかもしれません。税理士に依頼する際には決算申告だけをお願いする方法と、継続的に顧問契約を結ぶ方法があります。

税理士に決算申告のみを依頼する場合の費用の相場とメリット・デメリットの他、依頼を決算申告のみか顧問契約か判断するポイントについて解説します。

税理士に決算申告のみを依頼する場合の費用の相場

決算申告とは一定期間の収入と支出を計算して、利益や損失を確定させることです。法人の場合は、決算申告の内容をもとに納めるべき税額を確定させ、事業年度終了日の翌日から2か月以内に税務申告を行わなければなりません。これらの申告手続きを決算申告といいます。

税理士への決算申告の依頼を検討する際、気になるのは費用ではないでしょうか。まずは、決算申告のみを依頼した場合の費用の相場を見てみましょう。

決算申告のみの費用相場は15万~25万円

顧問契約ではなく、税理士に決算申告業務だけを依頼した場合の費用の相場は15万~25万円程度です。この費用は、会社の規模や売上高、従業員数などによって変わります。つまりは会社の会計上の取引数が多くなるほど仕訳の数も増え、決算申告が複雑になるため、その分費用も高くなるということです。

なお、個人事業主が確定申告のみを依頼した場合、費用の相場は5万円程度ですが、税理士によっても異なります。

顧問契約を結んでいても決算申告は別料金

税理士と顧問契約を結んでいたとしても、一般的には月々の顧問料とは別に決算申告費用が発生します。この場合の決算申告費用の相場は月額顧問料の4~6か月分といわれています。法人に対する税理士の月額顧問料が3万円の場合は、決算申告費用の相場は12万~18万円です。

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税理士に決算申告のみを依頼するメリット

決算申告は、顧問税理士に依頼したり、自社で行ったりする方法がありますが、税理士に決算申告だけを依頼する場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、決算申告だけを税理士に依頼する場合のメリットについて見ていきましょう。

顧問契約よりも税理士に支払う費用を抑えられる

決算申告だけをスポットで依頼する場合は、顧問料などの固定費がかかりません。スポット契約での決算申告費用は顧問契約をしている場合よりも割高ですが、顧問料と合わせた年間トータルの費用で比べればかなり安く抑えられます。顧問契約よりも税理士に支払う費用が抑えられるという点は、税理士に決算申告のみを依頼するメリットだといえます。

定期的にやりとりする必要がない

税理士に決算申告だけを依頼するときは、1年分の帳簿や会計ソフトのデータをまとめて税理士に渡し、必要書類を作成してもらうのが一般的な流れです。年に1度の依頼になるため、顧問税理士のように定期的にやりとりすることはありません。税理士とのやりとりに時間を割けない場合や、頻繁に税務相談を行う必要がない場合、定期的にやりとりする必要がないのはメリットです。ただし、このメリットを享受できるのは、あくまでも事業規模が小さく、取引内容もシンプルで、会計資料のボリュームが少ない場合に限ります。そうでなければ、顧問契約を結んで定期的に税理士とやりとりすることが必要となります。
また、決算申告だけを依頼する場合であっても、仕訳や帳簿に不明点があったときなどは、必要に応じて税理士から連絡があります。

税理士の署名で決算申告書の信頼性が高まる

決算申告のみの依頼に限らず税理士が決算申告業務を代行した場合は、税務署に提出する申告書類に税理士の署名が入ります。これは「税務の専門家である税理士が決算申告処理に携わった」という証明です。税理士に依頼せずに決算申告を行う場合に比べて、決算申告書の信頼性を高めることができる点もメリットといえるでしょう。ただし、税理士が決算申告を行っても、税務調査の対象になる可能性がなくなるわけではありません。

税理士に決算申告のみを依頼するデメリット

決算申告だけスポットで依頼する場合は、費用を抑えられたり、定期的にやりとりする必要がなかったりするメリットがありますが、その一方でデメリットもあります。決算申告のみを依頼するデメリットについて紹介します。

十分な節税を行えずに決算申告を迎えることがある

決算申告のみを依頼する場合、税理士は会社の帳簿をもとに決算申告処理を行うだけです。また、決算申告のみの依頼では、会社の経営に関わる節税も含めた中長期的なアドバイスをもらうことは難しいというデメリットがあります。

決算申告後の税務調査は対応外となる場合もある

決算申告後の税務調査は対応外となる場合もあるという点も、税理士に決算申告のみを依頼するデメリットでしょう。税務調査とは、納税者から提出された申告書が事実にもとづき、正しく作成されているかどうかを税務署が確認する調査のことです。税務調査によって申告内容に問題が判明した場合は、追徴課税が行われます。

税理士に税務調査の立ち会いを依頼すれば、調査前にしっかり準備ができますし、調査当日の税務署とのやりとりもスムースになるでしょう。しかし、決算申告のみを税理士に依頼した場合は、申告後の税務調査については対応外となるケースが少なくありません。税務調査は対応外となってしまうと、税務署からの指摘に対して根拠ある説明が十分に行えない可能性もあります。

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税理士が会社の取引を把握しきれない

税理士に決算申告のみを依頼した場合、税理士が会社の取引を把握しきれないこともデメリットの1つです。
決算申告のみの依頼では定期的にコミュニケーションをとることができないため、お互いの認識に齟齬が生じる場合があります。例えば、「経費だと思っていたものが実は違った」「売上ではなく手付金だった」というような食い違いは、コミュニケーション不足が要因になっていることがあるのです。

特にその会社独自の売上認識のタイミングや取引関係がある場合、決算申告だけで税理士がそれを正しく把握することは困難でしょう。税理士が会社の取引を把握しきれないと、税務調査の対応が難しくなったり、追徴リスクが上がったりしてしまいます。

決算申告のみにするか顧問契約にするかを判断するポイント

「税理士に決算申告をお願いしよう」と考えても、決算申告だけを依頼するか顧問契約を結ぶか、判断が分かれるところです。どちらの形にするか迷ったときは、次のようなポイントで考えてみるといいでしょう。

個人事業主か法人か

個人事業主で、なおかつ事業規模がそれほど大きくない場合は、自力で確定申告を行うことも可能でしょう。税理士に頼む場合も、確定申告だけを依頼するだけで済むケースが少なくありません。

一方で法人の場合、決算申告を自力で行うのは専門知識がなければ困難です。日頃からしっかり節税をするためにも、できるだけ顧問契約をしておいた方が安心でしょう。

年間の売上高がどれくらいか

税理士と顧問契約を結ぶかどうか迷ったとき、判断の目安の1つになるのが年間の売上高です。
年間売上が1,000万円を超えると、個人、法人を問わず、消費税の納税義務が生じます。消費税の計算を自力で行うのは手間がかかるので、税理士との顧問契約を検討した方がいいでしょう。個人事業主の場合、顧問税理士がいれば、法人化(法人成り)のタイミングについてのアドバイスも受けられます。

会社の利益や規模が大きくなるなど取引数が増えるほど、経理業務が煩雑化していき税理士と顧問契約を結ぶメリットは高くなります。会社にとって税理士の顧問料は月々の固定支出になりますが、節税や資金繰りの改善など、費用負担を上回ったメリットが得られるでしょう。反対に、月々の顧問料で経営が圧迫されてしまうような場合は、決算申告のみの依頼を選択する方が良いです。

なお、決算申告のみを依頼する場合は日々の帳簿付けは自社内で行う必要があります。手間がかかりそうな記帳作業も、「弥生会計」や「弥生会計オンライン」といった会計ソフトを使えば、簿記知識がなくても簡単に行うことができます。

税理士を手軽に探す方法とは

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「税理士紹介ナビ」はこんな方におすすめ

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初めて会社を設立する方

会社を設立する際には、必要な手続きや資金調達など多くの不安や疑問が生じることがあります。「税理士紹介ナビ」なら、これから事業を始める方の悩みや困りごとに合わせて、最適な税理士探しをサポートします。個人事業主から法人成りを予定している方にもぴったりです。

起業後の会計処理や決算が不安な方

会社を運営するうえでは、法人税や地方税、消費税など、さまざまな税や固定資産の知識が必要になります。そのような場合も、会計処理や決算に関することをまとめてプロに相談できます。

できるだけ節税したい方

「節税したいが方法がわからない」という方にも「税理士紹介ナビ」はおすすめです。税理士からのアドバイスで節税方法を理解できれば、戦略的な経営にも役立つでしょう。

記帳業務を丸ごとプロに任せたい方

日々の取引を記帳するには手間や労力がかかります。売上が増えるとともに経理作業量も増え、負担が大きくなってしまうでしょう。記帳業務を税理士に丸投げできれば、その分しっかり本業に集中できるようになります。

事業の良きパートナーとなる自分に合った税理士を探そう

法人の決算申告は、作成書類が多く手続きも複雑なため、税理士に依頼するのが一般的です。また、個人事業主でも取引数が多い場合などは、確定申告を税理士に依頼した方が手間と時間が省けます。

税理士に依頼する際に決算申告のみを頼むか顧問契約を結ぶかは、会社の状況や売上規模によっても異なります。法人の場合は、税理士への顧問料が経営を圧迫してしまうようなケースを除けば、顧問税理士がいた方が節税を含み多くの面でメリットを感じるでしょう。個人事業主でも年間売上が1,000万円を超えるようなら、税理士と顧問契約を結んでおいた方が有益であるといえます。

税の専門家である税理士は、事業を営むうえでの心強いパートナーになってくれる存在です。自分に合った税理士を手軽に探したいというときには、ぜひ弥生の「税理士紹介ナビ 新規タブで開く」をご活用ください。

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。
URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

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