税務調査とは?調査時期や流れ、対象、必要書類などの基礎知識を解説
監修者: 森 健太郎(もり けんたろう)
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税務調査は、法人にも個人事業主にも行われる可能性があります。税務調査に対して、「なんとなく怖いイメージがある」「何を準備すればいいのかわからない」という方もいるかもしれません。税務調査は税金を正しく申告・納付していれば怖がる必要はありませんが、調査の流れや事前準備について知っておくことが大切です。
ここでは、税務調査の内容の他、時期や流れ、対象、必要書類など、税務調査について知っておくべきポイントを解説します。
税務調査とは、納税者の申告内容を確認する調査のこと
税務調査とは、納税者から提出された申告内容が正確かどうかを確認するために行う調査のことです。
法人税や所得税などは、納税者が自ら税額を申告し、それにもとづき納税する申告納税制度をとっています。納税者全員が正しく申告・納付していれば問題ありませんが、中にはミスをしたり、故意に不正をしたりする方も出てきます。そのため、申告内容に誤りがないか確認することを目的として、税務調査が行われるのです。
税務調査の種類
税務調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。それぞれどのような調査なのか見ていきましょう。
任意調査
任意調査は、税務署職員が実施するもので、税務調査の大半がこれに該当します。一般的には事前に電話で通知があり、2日ほどかけて帳簿などが調べられます。
「任意」と付いているものの、任意調査は受忍義務があるため、拒否したり、正当な理由なく帳簿を見せなかったりすると、法律で定められた罰則がありますので注意しましょう。
なお、帳簿書類の隠蔽や改ざんといった不当な行為の可能性があったり、調査の適正な遂行が難しかったりするなど、国税通則法74条の10に該当する場合は、無予告調査として事前通知がないものもあります。ただし、無予告調査で調査対象になった理由を税務署職員に確認し、後日通知のうえで調査を依頼することが可能です。
強制調査(犯則調査)
強制調査は、国税局査察部が実施する調査です。裁判所の令状をもって事前連絡なく強制的に行われるもので、調査対象となった場合は拒否できません。立件を目的とした犯罪捜査の一種で、巨額の脱税の疑いがある場合に行われます。
税務調査が行われる時期と実施数
税務調査が行われる時期に明確な決まりはありませんが、傾向として、3月の確定申告時期明けの4月~5月ごろと、国税局や税務署の人事異動が終わる7月~11月ごろに行われることが多いといわれます。
国税庁から発表された「税務行政の現状と課題」(2018年)によると、法人に対して実施された税務調査の割合を示す法人実調率は3.2%です。数字だけ見ると少ないように見ますが、稼働していない休眠法人なども分母に含みますので、実際には5年に一度くらいの頻度で税務調査がやってくると思っておいたほうがよいでしょう。いつ税務調査が行われることになっても適切な対応がとれるようにしておくことは大切です。
税務調査(任意調査)の流れ
税務調査(任意調査)の場合、一般的には、下記の1~6の流れで進行します。ただし、顧問税理士がいる場合といない場合では流れが異なります。ここでは、税務調査の主な流れについて、順を追って見ていきましょう。
1. 税務署からの事前通知
まず、税務署から税務調査を行う旨の事前連絡があります。一般的には税務署から電話で連絡がありますが、通知は義務ではありません。税理士が申告書に税務代理権限証書を添付して申告していた場合は、税理士に連絡が入ります。
2. 調査実施日の日程調整
事前通知の後は、税務署と調査実施日の調整を行います。調査実施日は、仕事が忙しい日を避けるなど、会社や事業主側の都合に合わせることができます。なお、調査実施日については、税理士に立ち会ってもらう場合、税理士と日程調整を行うことが大切です。顧問税理士がおらず、対応が不安な場合は、税理士を探すことをおすすめします。
3. 必要書類を揃える(顧問税理士がいる場合は調査前に税理士と相談する)
税務調査前に必要書類を揃えます。顧問税理士がいる場合は、税務調査前に税理士と打ち合わせをして、揃えるべき資料に不備や漏れはないかを確認することが可能です。調査当日に聞かれそうなことや、誤りではなくても税務署と見解が食い違いそうな項目なども想定して準備しておきましょう。
4. 調査当日
税務調査当日は、税務調査官が会社や店舗、事務所などを訪れます。多くの場合、税務調査は2日間にわたって行われます。
5. 税務署の指摘に対して回答する(顧問税理士がいる場合は税理士が行う)
税務職員の訪問が終わっても、税務調査はまだ続きます。訪問での調査を踏まえ、税務署から指摘や質問があり、それに対する資料の準備や回答するなどのやりとりをします。顧問税理士がいない場合は事業者自身が、顧問税理士がいる場合は税理士が交渉を行います。また、追加で資料の提出を求められることもあるでしょう。交渉が終わり、調査結果が決定するまでの期間は1か月以上かかるのが一般的です。
6. 調査結果
税務調査の結果には、「申告是認」「修正申告」「更正」という3パターンの着地点があります。申告是認とは申告内容に何も問題がないことで、修正申告は税務署の指摘を認めて自分で申告をすることです。また、更生とは税務署の指摘に対して、納税者がその指摘を納得せず修正申告を出さない場合に、税務署側が各税法の規定を根拠に行なう課税処分のことです。
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税務調査で指摘を受けた際の対処方法
税務署の指摘を受けて修正申告をする場合は、修正申告書を作成して税務署に提出します。修正申告と更正の場合も不足していた税額や延滞税、過少申告加算税などを納めますが、悪質な脱税と認められると重加算税が課せられる場合もあります。
税務調査の際に必要な書類
税務調査(任意調査)では、帳簿類や申告書などの確認作業が行われます。調査当日までに、必要書類をしっかり揃えておきましょう。用意すべき資料は、基本的には一定期間の保存が義務付けられている帳簿や書類です。税務署からの指示に応じて、直近3年から5年の資料を用意します。なお、帳簿書類の保存期間は7年とされています(欠損金を生じた年度については、青色欠損金の繰越控除を受けるために10年保存が必要とされています)。提示を求められたときにすぐ見せられるよう準備しておくようにしましょう。
税務調査にかかる手間を減らす方法
税務調査は、書類の準備や調査当日の対応、税務調査官への回答などを行わなくてはならず、税や会計の知識がない場合は、慣れない作業に手間取って時間がかかってしまうものです。ここでは、税務調査にかかる手間を減らす2つの方法を見ていきましょう。
申告書の作成を税理士に依頼する
税務調査の手間をできるだけ少なくしたい場合は、顧問契約している税理士に、申告書の作成を依頼するといいでしょう。税理士が申告書を作成しても税務調査の可能性がゼロになるわけではありませんが、税務の専門家である税理士が決算処理に携わったという証明になり、信頼性が高まります。
また、申告書の作成を税理士に依頼する際に、書面添付制度を活用する方法もあります。これは、税理士法第33条の2にもとづく書面を申告書に添付する制度で、申告書の信頼性を高めることにつながるものです。
この書面が添付された申告書について税務調査を行う場合、税務署側は、原則として税理士の意見を聞いてからでないと調査に移ることができません。税務調査の対象になった場合は、まず税理士の元に連絡が入り、税務署と税理士の間でやりとりが行われます。その結果、実際の調査が行われずに済むケースも少なくありません。できるだけ税務調査を避けたいという場合は、書面添付制度に対応してくれる税理士に申告書の作成を依頼すると良いでしょう。
顧問税理士に立ち会いを依頼する
税務調査での対応の手間を減らすには、税理士に立ち会いを依頼することをおすすめします。税理士と顧問契約していれば、税理士が事業に関してのお金のやりとりを把握しているため、税務調査での対応がスムースです。また、税務調査官の指摘が間違っている場合、税理士なら適切に対応することが可能でしょう。
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税務調査で適切な対応をするには、税理士の力を借りよう
申告内容に何も後ろめたい点がなくても、税務調査の通知が来ると不安な気持ちになるものです。税務調査の際に、税務署調査官の指摘に適切に対応するには、税理士に立ち会いを依頼するのがおすすめです。
そのためには、事業への理解も深めてもらえるよう、信頼できる税理士と顧問契約を結んでおくといいでしょう。自社に合う税理士を探す場合は、ぜひ弥生の「税理士紹介ナビ 」をご活用ください。
この記事の監修者森 健太郎(もり けんたろう)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネルを運営。
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