記帳代行の料金相場は?代行先や費用、依頼時の注意点を解説

2022/06/01更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

事業を営むうえで、日々発生するお金のやりとりを会計上で取引といい、この取引内容を帳簿に記入することを記帳といいます。税制改正により、2014年からは「記帳・帳簿等の保存制度」が義務化され、法人でも個人事業主でも、帳簿を一定期間保存することが必要になりました。

記帳業務は、日々のさまざまな取引を記録するため、手間や時間がかかります。また、記帳業務で作成した帳簿は、税額の計算や申告の際にも使用するため、正確さが求められるものです。本業で忙しかったり、やり方がわからなかったりする場合は、記帳業務を依頼できる記帳代行を利用するのも1つの方法です。

ここでは、記帳代行の依頼先や費用相場、記帳代行を依頼する際の注意点について解説します。

記帳代行の依頼先

記帳代行とは、記帳業務を請け負うアウトソーシングサービスのことです。記帳代行の依頼先に、領収書や請求書の控え、通帳のコピーなどの必要書類を渡すと、仕訳して会計ソフトに入力し、試算表や総勘定元帳といった帳簿の作成を行ってくれます。仕訳とは、どういった取引があったかを簿記のルールに従って分類することです。

なお、記帳代行と混同されやすいものに、経理代行があります。経理代行とは、記帳代行に加えて、請求書の発行や入金の管理など、会社の経理担当者が行う業務全般を代行するサービスです。ここでは、記帳代行を依頼先できる税理士事務所と記帳代行業者、それぞれの違いを見ていきましょう。

税理士事務所

記帳代行の依頼先として一般的なのが、税理士事務所です。決算申告業務や年末調整業務の代行は税理士以外できないため、決算申告までお願いしたい場合は、記帳代行から税理士事務所に依頼した方がスムースでしょう。

税理士事務所に記帳代行を依頼する場合は、継続した顧問契約を結ぶことが一般的です。税務の専門家である税理士であれば、契約内容によっては、帳簿作成の他、税務相談にも対応してもらうことができます。

記帳代行業者

記帳代行業者は記帳代行を請け負う専門業者で、アシスタントサービスとも呼ばれます。税理士のように税務の専門家ではないので、業務の質やスピードは代行業者によって差があります。一方で、税理士事務所に依頼するよりも料金が安くなる可能性があり、月単位での契約もできることが特徴です。

ただし、依頼先の代行業者に税理士が在籍していない場合は、決算申告業務を依頼することはできません。その場合は、記帳代行とは別に税理士に依頼する必要があり、記帳代行業者が処理した帳簿のチェック費用などが余計にかかってしまうことがありますので注意が必要です。

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税理士事務所に依頼できる業務 ・記帳代行 ・決算申告業務 ・年末調整業務 記帳代行業者に依頼できる業務 ・記帳代行のみ ※税理士が在籍している場合は決算申告業務と年末調整業務も依頼可能

記帳代行の料金形態と料金変動のポイント

記帳代行の料金は、仕訳数(取引数)によって決まることが一般的です。月額料金で決まった仕訳数を対応し、仕訳数が上限を超えると段階的に追加料金が発生する、または1仕訳単位で料金が決まることもあります。

記帳代行は仕訳数の他にも、次のような条件によって料金が変動する可能性があります。料金形態は税理士事務所や代行業者ごとに異なりますので、依頼前に必ず確認しておきましょう。

依頼先に提出する資料の状態

記帳代行を依頼する際に渡す、領収書や請求書控えなどの資料の状態によっては、記帳代行の料金が高くなることがあります。

資料が整理されていなければ、資料を振り分けるところから行わなければならないため、記帳代行の料金が高くなるのです。例えば、現金や預金の入出金を記録した出納帳や電子データが揃っているか、資料が月ごとや項目ごとにファイリングされているかどうかがポイントです。

消費税の課税事業者かどうか

消費税の課税事業者かどうかによっても、記帳代行の料金は変動することがあります。消費税の課税事業者は、日々の取引について標準税率と軽減税率を区分するなど、帳簿の作成が複雑になります。そのため、免税事業者に比べて、記帳代行料金が高くなる可能性があるのです。

記帳代行の費用相場

では、記帳代行に依頼すると、どれくらい費用がかかるのでしょうか。ここからは、税理士事務所と記帳代行業者に依頼した場合の、それぞれの費用相場を見ていきましょう。

税理士に依頼した場合
  • 法人 4万円程度から
  • 個人事業主 3万円程度から
記帳代行業者に依頼した場合
  • 月の仕訳数100~250件程度で6千円~2万円程度

税理士事務所に記帳代行を依頼した場合の費用相場

税理士事務所に記帳代行を依頼する場合は顧問契約を結ぶため、月額顧問料を支払うことが一般的です。
記帳代行を含む月額顧問料の費用相場は、法人が4万円程度から、個人事業主が3万円程度からです。

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記帳代行業者に記帳代行を依頼した場合の費用相場

記帳代行業者に記帳代行を依頼した場合の費用相場は、月の仕訳数を100~250件程度とすると、月額6,000~2万円程度です。

ただし、特急作業の他、領収書や請求書などの取引に関わる証憑書類のファイリング、部門別に記帳業務が必要な場合などは、原則として追加料金が発生します。追加料金の規定は代行業者によって異なりますので、依頼前に確認しておきましょう。

記帳代行を依頼する際の注意点

記帳代行を依頼するときには、注意すべきポイントがあります。ここでは2つの注意点を見ていきましょう。

決算申告や年末調整の費用も併せて考える

記帳代行の費用だけを比べれば、税理士事務所も記帳代行業者もそれほど差はありません。ただし、記帳代行業者に税理士がいない場合、決算申告業務や年末調整業務を別途税理士に依頼する必要があります。

決算申告業務や年末調整業務は、税理士事務所に依頼しても別料金がかかりますが、顧問料と合わせて割引される場合があります。そのため、トータルの費用で考えると、記帳代行業者に依頼するよりも、税理士事務所に依頼した方が費用を抑えられる可能性があるのです。

記帳代行の依頼先を選ぶ際には、記帳代行の費用だけではなく、決算申告や年末調整の費用についても考えておくことが大切です。

依頼するタイミングを検討する

記帳代行を依頼するタイミングも検討する必要があります。記帳代行を依頼するタイミングとしては、経営者自身が記帳業務を行っていて、本業にあてるべき時間を圧迫しているようなときが挙げられます。

一方、取引数や売上がさほど多くなかったり、記帳業務に慣れている従業員がいたりすれば、社内で記帳をした方がコストを抑えられるかもしれません。記帳代行を依頼するメリットとデメリットをよく検討したうえで、記帳代行を検討するようにしましょう。

なお、記帳代行を依頼していても、年間の取引数が1万件を超える規模になってきたら、自社で帳簿付けする自計化を考えることも大切です。

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記帳代行を依頼できる最適な税理士を探す方法

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記帳業務を丸ごとプロに任せたい方

日々の取引を記帳するには手間や労力がかかります。売上が増えるとともに経理作業量も増え、負担が大きくなってしまうでしょう。記帳業務を税理士に丸投げできれば、その分しっかり本業に集中できるようになります。

記帳代行は税理士に依頼すると安心

記帳代行を依頼すると、帳簿付けの手間が大幅に削減できます。「日々の記帳が大変で本業に集中できない」「簿記の知識がないので帳簿付けが不安」という場合は、記帳代行の依頼を検討してみるといいでしょう。記帳代行の費用相場を参考に、メリットとデメリットを検討したうえで、自社に合った方法を選ぶようにしてください。

なお、税理士事務所なら記帳代行に加えて、決算申告業務や年末調整業務も一括で対応してもらえるので安心です。「どうやって税理士を探したらよいかわからない」という場合は、ぜひ弥生の「税理士紹介ナビ 新規タブで開く」をご活用ください。

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。
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