税理士報酬(顧問料)の相場は?税理士を選ぶ際のポイントも解説

2022/04/28更新

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

税理士との顧問契約を検討する際に気になるのは、費用ではないでしょうか。税理士との顧問契約にかかる費用は、契約内容ややりとりの頻度だけでなく、法人か個人事業主かの違いなどによっても異なります。
ここでは、税理士の顧問料相場や顧問料が変動する要因の他、費用相場以外でチェックするポイントについて解説します。

税理士への依頼は顧問契約が前提

法人でも個人事業主でも、税理士に相談をするときには、基本的には顧問契約が前提となります。顧問契約の契約形態には、大きく分けて、年間を通して定期的にやりとりをする場合と、毎年1回だけ決算期にやりとりをする場合があります。顧問契約の契約形態それぞれの特徴は、下記のとおりです。

年間を通して定期的にやりとりをする契約形態

税理士との顧問契約の中でも、年間を通して定期的に税務や節税対策、融資、資金繰りなどの相談をする契約形態があります。この契約形態では、定期的にやりとりを行うため、税理士が経営状況を把握しやすく、決算申告や年末調整などをスムースに対応できることがメリットです。
また、定期的に経営状況を相談することで、適切なタイミングで節税対策について教えてもらえることもあるでしょう。一般的に、税理士とは毎月やりとりを行いますが、面談は四半期または半年に1回のみの場合もあります。年間を通して定期的にやりとりをする契約形態では、毎月または年間の顧問料が発生します。

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毎年、年に1回だけやりとりをする契約形態

税理士との顧問契約の中には、毎年、年に1回だけ法人の決算申告や個人事業主の確定申告のみを依頼する契約形態もあります。1年限りのスポット契約であれば顧問契約になりませんが、毎年契約を更新する場合は、顧問契約扱いとなります。毎年、年に1回だけ依頼する場合は、決算申告や確定申告にかかる費用のみです。ただし、日々の記帳業務を自社で行えていない場合は、作業料金が別途発生します。
年に1回やりとりをする契約形態のメリットは、日々のやりとりの手間を省けるうえに、費用を抑えられる点です。特に個人事業主の場合は、この契約形態を選択するケースが多く見られます。ただし、年に1度のやりとりのため、年間を通じた節税対策などのアドバイスなどは受けにくくなるでしょう。

税理士との顧問契約の費用相場

税理士との契約では、法人か個人事業主かの違いや、依頼内容によって費用の相場は異なります。例えば、領収書や請求書の控え、通帳のコピーなどの必要書類を税理士に渡して帳簿を作成してもらう記帳代行を依頼するかどうかでも、費用は異なってきます。
なお、年間を通して定期的に税理士に依頼した場合の費用相場は、下記のとおりです。業種や業務内容によっても異なるため、あくまでも目安として考えてください。

税理士の月額顧問料の相場
法人 個人事業主
記帳代行なし 2万円~ 1万円~
記帳代行あり 4万円~ 3万円~

決算申告の費用は月額顧問料とは別料金

税理士に月々の顧問料を支払っていても、決算申告の費用は別途発生することがあります。決算申告とは、事業での一定期間の収支を決算書にまとめ、管轄の税務署へ提出して納税することです。顧問契約なしで、決算申告業務だけを依頼した場合の税理士の費用相場は15万~25万円程度、個人事業主が確定申告のみを依頼した場合の税理士の費用相場は5万~10万円程度です。この費用もあくまで目安で、業種や業務内容によっても異なります。

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税理士の顧問料が変動する要因

税理士の顧問料は、企業規模や税理士の面談頻度などによって変動します。顧問料が変動する要因について、具体的に見ていきましょう。

会社の売上規模

会社の売上規模によって、税理士の顧問料は変わります。一般的に、会社の売上規模が大きいほど取引数が多く、税理士の作業量が増えるため、顧問料にも影響します。

従業員数

従業員数も、税理士の顧問料が変動する要因の1つです。特に、給与計算や年末調整を税理士に依頼する場合、従業員の数だけ税理士の業務量が増えます。給与計算や年末調整を依頼する場合は、月額顧問料とは別に、従業員数に合わせた費用が設定されていることがあります。

税理士の面談頻度

税理士の面談頻度も顧問料が変動する要因です。面談頻度は、月に1回、四半期に1回、1年に1回など、さまざまなケースがありますが、面談頻度が高いほど、税理士が稼働する時間が増えるため、顧問料は高くなります。
しかし、定期的に税理士と面談すれば、税理士が経営状況を細かく把握できるため、節税対策や資金繰り、融資などに対して、ベストなタイミングでアドバイスが受けられます。税理士が経営状況を定期的に確認することは、税務調査をスムースに行うためにも重要なポイントです。顧問料は高くなりますが、税理士とこまめに面談をすることは大きなメリットだといえるでしょう。

税理士を選ぶ際に、費用相場以外でチェックするポイント

税理士を選ぶ際には、費用相場以外にも注目すべき点がいくつかあります。税理士の選び方で失敗しないためにも、4つのポイントを押さえていきましょう。

自分と相性や考え方が合うか

税理士を選ぶうえで重視すべきポイントとして、自分と相性や考え方が合うかどうかが挙げられます。税理士はビジネスパートナーであり、長くお付き合いをする存在です。そのため、ストレスなくコミュニケーションがとれるかどうかを見極めることは、とても大切なことです。
税理士に依頼を検討する前には、直接話して、話しやすい相手か、考え方に大きな相違点がないかという点を確認しておくといいでしょう。第一印象で相性が合わないと感じた相手には、今後の事業展開などの大切な相談をしても苦労することが考えられます。

顧問料の内訳が明確か

税理士の顧問料の内訳が明確かも、税理士を選ぶうえでは重要なポイントです。一般的には、税理士と顧問契約をする場合、顧問料とは別に、決算申告や記帳代行などの業務ごとに費用が設定されています。その他にも、会社の規模や面談回数によっても顧問料は変わります。
顧問料と業務内容をしっかり確認しないまま依頼してしまい、後で「顧問料は安価だが相談に応じてもらえない」「打ち合わせが別料金になっていた」「決算が別料金になるとは知らなかった」といったトラブルに発展するケースも見られます。税理士を選ぶときには、顧問料の内訳と業務内容を必ず確認してください。

素早く対応してもらえるか

税理士を選ぶうえでは、素早く対応してもらえるかという点も重視しましょう。資金繰りについて相談しても、顧問税理士になかなか連絡がつかないようでは、ストレスがたまるばかりでなく、経営判断の遅れにつながるかもしれません。
なお、対応の早さは、税理士事務所に電話やメールで問い合わせをしてみると、ある程度推し量ることができます。電話なら当日中、メールなら遅くても翌日中までに折り返しの連絡がない場合、スピーディーなコミュニケーションをとるのは難しいかもしれません。

自社の業界・業種への知識があるか

業界によっては、特有の慣行や決済方法、法規制などがある場合も少なくありません。税理士に自社の業界についての知識がない場合、アドバイスする内容がずれていたり、効果的に節税できなかったりすることがあります。
税理士に依頼する前には、担当経験のある業界・業種などを確認し、自社の業界についての理解があるかを確認しておきましょう。

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税理士の費用を抑えるには?

税理士に定期的に相談できるのは安心ですが、顧問料がかかりすぎて経営を圧迫してしまっては意味がありません。税理士に依頼する場合は、依頼する業務内容と顧問料のバランスを考える必要があります。税理士の顧問料を抑えたいと思ったら、次のようなポイントを見直してみるといいでしょう。

記帳業務を自社で行う

税理士の顧問料を抑えるには、記帳業務を自社で行うという方法もあります。領収書などの資料をもとに、会計ソフトを活用すれば記帳業務を自社で行うことも可能です。記帳方法や自社での対応範囲については、税理士と相談してみてもいいでしょう。

税理士の面談回数を減らす

税理士の面談回数が多いほど、顧問料は高くなります。そのため、相談したい内容によって、面談回数を見直してみたり、対面ではなくオンラインでの面談にしたりすることで、費用が安くなるケースがあります。

自社のニーズとマッチしているかを考える

税理士との契約内容を見直すことも顧問料を抑えるポイントになります。例えば、月額顧問料を相場よりも安く設定している税理士の場合、基本的には税金の計算のみを行い、経営相談や税務調査の立ち会いなどは、別料金に設定していることもあります。
今後の事業展開や節税対策について相談したいと考えている場合、このような税理士と顧問契約を結ぶと、定期的に相談ができず、料金も割高になってしまいかねません。顧問料に含まれる業務内容を見直し、自社のニーズとマッチしているかどうかを考えてみましょう。

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「税理士紹介ナビ」はこんな方におすすめ

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記帳業務を丸ごとプロに任せたい方

日々の取引を記帳するには手間や労力がかかります。売上が増えるとともに経理作業量も増え、負担が大きくなってしまうでしょう。記帳業務を税理士に丸投げできれば、その分しっかり本業に集中できるようになります。

費用相場を把握したうえで、信頼できる税理士を選ぼう

税理士との顧問契約形態には、年間を通して定期的にやりとりをする形態と、毎年、年に1回、決算申告や確定申告だけを依頼する形態があります。いずれにしても税理士とは継続的なお付き合いになるため、信頼できる税理士と顧問契約を結ぶことが大切です。税理士を選ぶ際には、費用面以外に、「自分と相性がいいか」「営んでいる事業への理解が深いか」といった要素も重要なポイントになります。無料相談に対応している税理士事務所もありますので、顧問契約をする前にできるだけ話をしてみることをおすすめします。「どうやって税理士を探したらよいかわからない」という場合は、ぜひ弥生の「税理士紹介ナビ 新規タブで開く」をご活用ください。

この記事の監修森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。
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