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コンサルティング料の勘定科目は?仕訳方法や注意点などを解説

企業を経営するうえで、外部のコンサルタントやコンサルティング会社に経営のサポートを求めたり、税理士や公認会計士、弁護士などから専門的なアドバイスを受けたりすることがあります。このような場合に発生するコンサルティング料を計上する際に、どの勘定科目を選べばいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。コンサルティング料に用いられる勘定科目には、いくつかの種類があります。また、支払先によっては源泉徴収が必要になり、仕訳に関わってきます。
本記事では、コンサルティング料に用いる勘定科目や仕訳方法、会計処理における注意点などを解説します。

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コンサルティング料の勘定科目には主に支払手数料や外注費を用いる

事業に関連して受けたコンサルティング料は、経費として計上できます。外部のコンサルタントやコンサルティング会社に依頼して経営上のアドバイスを受けたときだけでなく、税理士、公認会計士、弁護士などとの契約で発生する費用もコンサルティング料に含まれます。
コンサルティング料を計上するときに迷いやすいのが、「どの勘定科目を選ぶか」ということです。コンサルティング料に用いる勘定科目には、税法や企業会計原則による定めがないため、一般的には、支払手数料や外注費などの勘定科目で計上されます。

勘定科目とは、取引で発生するお金の流れについて「何に使ったのか」「なぜ入金があったのか」を表すためのラベルのようなものです。帳簿を確認する際に取引内容が明確であれば、勘定科目の選定は企業の裁量に委ねられます。ただし、一度決めた勘定科目は、その後も社内で統一して使い続ける必要があります。経理担当者が変わるたびに、コンサルティング料を計上する勘定科目が変わらないように注意しましょう。コンサルティング料を計上する際には、主に以下の勘定科目が用いられます。

支払手数料:事務委託手数料や業務委託手数料などを処理する勘定科目

支払手数料は、事務委託手数料や業務委託手数料などを処理する勘定科目です。仲介手数料、登録手数料、解約手数料、証明書等の発行手数料、各種役所や銀行手数料などの他、コンサルタントのような専門家に支払う報酬にも用いられます。

外注費:外部の個人や法人に業務を委託するときに支払う費用を処理する勘定科目

外注費は、自社の業務の一部を、外部の個人や法人に委託するときに支払う費用を処理する勘定科目です。外注費と聞くと、Webサイトの制作や製品の製造、オフィスの清掃といった業務を外部に依頼したときの費用をイメージする方が多いかもしれません。しかし、それだけではなくコンサルティング料を支払ったときにも外注費の勘定科目で計上が可能です。

こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

支払報酬料:社外の専門家に業務を委託した費用を処理する勘定科目

支払報酬料は、社外の専門家に業務を委託した費用を処理する勘定科目です。税理士や公認会計士、弁護士などの専門家にコンサルティング料を支払った場合は、支払報酬料の勘定科目で処理します。

支払顧問料:専門家と顧問契約を結んだ場合の費用を処理する勘定科目

支払顧問料は、税理士や公認会計士、弁護士などの専門家と顧問契約を結んだ場合の費用を処理する勘定科目です。特に、法人は税理士と顧問契約を結ぶケースが一般的なため、継続的な顧問契約の場合は支払顧問料として計上します。

コンサルティング料とは専門的なアドバイスを受けるためにかかる費用のこと

コンサルティング料は、専門家からコンサルティングを受けるためにかかる費用です。コンサルティングとは、専門的な知識やスキルを用いて、ビジネス上のアドバイス・支援を行うサービスを指します。単純なアドバイスにとどまらず、具体的な解決策の提案やプロジェクトの実行支援を行うケースも少なくありません。コンサルティングの依頼先は、コンサルティング会社(法人)の場合もあれば、フリーランスのコンサルタント(個人)の場合もあります。
ビジネスの多様化に伴い、コンサルティングの内容も広がりを見せており、近年では、経営コンサルティングやITコンサルティング、人事コンサルティング、リスクコンサルティングなど、さまざまな種類のコンサルティングが存在しています。このようなコンサルティングを依頼したときに支払う費用が、コンサルティング料です。また、税理士や公認会計士、弁護士といった専門家への相談にかかる費用も、コンサルティング料に該当します。

コンサルティング料の仕訳方法は、契約内容によって異なります。一般的には、時間単位またはプロジェクト単位で料金が設定されることが多いでしょう。交通費や通信費など、コンサルタントが依頼を遂行するために使用した費用がコンサルティング料に含まれる場合もあります。
なお、企業が継続的なサポートを受けるために、コンサルタントや税理士などの専門家と顧問契約を結ぶこともあります。一般的なコンサルティングは短期的、または一時的な契約が多いのに対して、顧問契約は継続的なサポートを前提とし、長期的な関係を構築するのが特徴です。

コンサルティング料の仕訳方法の違い

コンサルティング料は、個人・法人といった発注先の形態、発注頻度、発注期間によって仕訳方法が異なります。それぞれどのような仕訳方法が適切なのかを詳しく見ていきましょう。

発注先の形態によって異なる

コンサルティング料の仕訳方法の違いとして、発注先の形態があげられます。
コンサルティング料を支払う相手が個人である場合は、原則として所得税および復興特別所得税の源泉徴収が必要です。国税庁の資料新規タブで開くでは、源泉徴収が必要な報酬・料金の1つとして「企業診断員の業務に関する報酬・料金」をあげています。一例として「企業の求めに応じてその企業の状況について調査および診断を行い、または企業経営の改善および向上のための指導を行う人(経営士、経営コンサルタント、労務管理士等と称されているもの)のその業務に関する報酬・料金」としています。つまり、税理士などの士業だけでなく、経営コンサルタントのような一般的なコンサルティング料であっても、支払先が個人であれば、源泉徴収が必要ということです。
ただし、報酬を支払う側(発注者)が、従業員を雇用していない個人の場合は、源泉徴収の必要はありません。また、所得税は個人の所得にかかる税金のため、支払先が税理士法人やコンサルティング会社などの法人であれば、源泉徴収は不要です。源泉徴収額は、コンサルティング料の1回当たりの支払金額が100万円以下ならその10.21%、100万円を超える場合は「100万円×10.21%+100万円を超えた分の金額×20.42%」となっています。

発注頻度によって異なる

コンサルティング料の仕訳方法の違いは、発注頻度です。
コンサルティング料を計上するタイミングは、スポット発注か定額発注かによって異なります。スポット発注は、特定のプロジェクトや期間に対してのみ、一時的にコンサルティングを受けるケースです。例えば、新規プロジェクトの立ち上げに向けてコンサルタントからアドバイスを受けたり、税務調査の対応だけを税理士に依頼したりする場合は、スポット発注に該当します。この場合は、依頼した業務が完了し、請求が確定した時点でコンサルティング料を計上します。
その一方で、コンサルタントや税理士などと顧問契約を結んで、毎月一定の顧問料を支払う場合は、定額発注です。定額発注の場合は、顧問契約の締結時に取り決めた条件に従い、毎月定額のコンサルティング料を支払います。一般的には、口座引き落としなどで支払うケースが多いでしょう。この場合で、その月の顧問料をその月に支払う契約であれば、毎月コンサルティング料を支払ったタイミングで経費に計上します。

発注期間によって異なる

発注期間も、コンサルティング料の仕訳方法の違いの1つです。
コンサルタントや税理士などと顧問契約を結ぶ場合、顧問料を毎月支払うケースの他に、1年分の料金をまとめて前払いすることがあります。毎月顧問料を支払う場合は、上にあげた定額発注のパターンで計上します。
その一方で、契約期間が事業年度をまたぎ、年払いしたコンサルティング料の中に翌期以降の費用が含まれる場合は、前払費用として処理が必要です。前払費用は、継続的なサービスを受けるために前払いした費用のうち、まだサービスの提供を受けていない部分について計上する勘定科目を指します。例えば、事業年度が4月1日~3月31日の企業において、9月1日に顧問契約を結び、1年分のコンサルティング料を支払ったとします。この場合、当期の費用に該当するのは、支払ったコンサルティング料のうち9月~3月の7か月分です。残りの5か月分については、実際にサービスを受けるのは翌期なので、当期の費用としては計上できません。そのため、決算時に翌期に対応する金額を前払費用に振り替える処理を行います。

コンサルティング料の仕訳方法

ここでは、コンサルティング料の仕訳方法について、具体的な仕訳例と共に解説していきます。発注頻度や発注先の形態、発注期間別の仕訳例を見ていきましょう。

スポット発注のコンサルティング料を支払った場合の仕訳例

スポット発注のコンサルティング料の仕訳方法は、基本的に他の経費を仕訳する場合と同様です。税理士法人やコンサルティング会社に依頼した場合の仕訳例は以下のようになります。

仕訳例:税理士法人に決算申告業務を依頼し、普通預金から25万円を支払った

借方 貸方
支払手数料 250,000円 普通預金 250,000円

仕訳例:コンサルティング会社にアドバイスを依頼し、現金でコンサルティング料20万円を支払った

借方 貸方
外注費 200,000円 現金 200,000円

勘定科目は、支払手数料、外注費のいずれを用いても構いません。また、税理士などの専門家に支払うコンサルティング料は、支払報酬料の勘定科目を用いることもあります。

顧問契約のコンサルティング料を支払った場合の仕訳例

コンサルティング会社などと顧問契約を結び、定額発注でコンサルティング料を支払う場合は、支払のたびに仕訳を行います。

仕訳例:顧問契約を結んでいるコンサルティング会社に対して、普通預金から当月分の顧問料10万円を支払った

借方 貸方
外注費 100,000円 普通預金 100,000円

個人へコンサルティング料を支払った場合の仕訳例

個人に対してコンサルティング料を支払う場合は、原則として源泉徴収が必要です。源泉徴収した税額は預り金として計上します。

仕訳例:個人で開業している税理士にスポット発注で業務を委任し、コンサルティング料5万円から源泉徴収税額5,105円を差し引いて普通預金から支払った

借方 貸方
支払手数料 50,000円 普通預金 44,895円
預り金 5,105円

コンサルティング料を前払いした場合の仕訳例

年払いでコンサルティング料を前払いした場合は、決算時に翌期分の費用を計算して前払費用として計上します。事業年度が4月1日~3月31日の企業において、9月1日にコンサルティング会社と顧問契約を結び、同日から1年分のコンサルティング料60万円(1か月当たり5万円)を支払った場合を例として、支払時、決算時、翌期首の仕訳例を見ていきましょう。

支払時の仕訳例

借方 貸方
支払手数料 600,000円 普通預金 600,000円

支払時には、支払ったコンサルティング料を全額費用計上します。

決算時の仕訳例

借方 貸方
前払費用 250,000円 支払手数料 250,000円

支払時に計上した1年分のコンサルティング料のうち、当期に該当するのは7か月分です。そのため、決算時には当期分と翌期分のコンサルティング料を計算し、翌期分(5か月分)に該当する金額を前払費用に振り替えます。

翌期首の仕訳例

借方 貸方
支払手数料 250,000円 前払費用 250,000円

翌期になったときには、前払費用に振り替えた費用を、決算で行った仕訳とは逆の仕訳を行い、再度、元の費用に振り戻す作業を行います。

なお、1年以内の期間の費用を前払いした場合で、支払時に全額経費計上していれば税務上損金として認められる「短期前払費用の特例」という制度がありますが、コンサルティング料には適用されず、必ず期間按分が必要になることに注意しましょう。

コンサルティング料の会計処理における注意点

コンサルティング料の会計処理においては、いくつかの注意点があります。コンサルティング料を計上する際には、主に以下の注意点を確認しておきましょう。

一度決めた勘定科目は継続する

コンサルティング料の会計処理における注意点は、一度決めた勘定科目は継続することです。
コンサルティング料に用いる勘定科目には、税法や企業会計原則による定めはありません。一般的には、支払手数料や外注費などの勘定科目を用いて仕訳をします。どの勘定科目を使うかは基本的に企業の任意ですが、一度決めた勘定科目は、経理担当者が変わっても継続して使い続けることが大切です。
企業会計には「一度選択した会計処理の方法は継続して使用しなければならない」という継続性の原則があります。コンサルティング料に使う勘定科目を決めたら、ルール化して社内に周知しておきましょう。また、支払先や内容がわかりやすいように、コンサルティング会社へのスポット発注は支払手数料、税理士に支払う顧問契約料は支払顧問料など、勘定科目を使い分けるのも1つの方法です。

個人に対するコンサルティング料は源泉徴収の必要がある

個人に対するコンサルティング料は、源泉徴収の必要があることも、注意点としてあげられます。
個人で開業している税理士や公認会計士、フリーランスのコンサルタントなど、個人へ支払うコンサルティング料は、所得税および復興特別所得税の源泉徴収が必要です。同じ内容や金額のコンサルティングを依頼した場合でも、支払先が個人か法人かによって会計処理の方法が異なるため注意しましょう。

税務調査に備える

税務調査に備えることも、コンサルティング料の会計処理における注意点となります。
コンサルティング料は、税務調査で指摘を受けやすい費用の1つです。その背景には、「形のないサービス」というコンサルティングの性質があります。商品の仕入や備品の購入などとは違い、コンサルティング料は、支払っても何か物品を得られるわけではありません。極端に言えば、コンサルティング料の請求書さえあれば、いくらでも経費として計上できてしまうのです。
コンサルティング料は損金として計上が可能なため、金額が大きいほど税負担が少なくなります。そのため、計上したコンサルティング料に不自然な点があると、「本当に金額に見合ったサービスを受けたのか」「不正に金額を水増ししていないか」など、税務署からチェックされる可能性があります。
税務調査に備えて、コンサルティング料を計上する場合は、請求書や契約書などを明確かつ詳細に作成しておきましょう。併せて、打ち合わせの資料やコンサルティングの報告書など、内容がわかるものを適切に管理・保存しておくことが大切です。

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コンサルティング料を計上する際は仕訳方法に注意しよう

コンサルティング料を計上する際に使用する勘定科目には、支払手数料、外注費、支払報酬料など、さまざまな種類があります。コンサルティング料に用いる勘定科目に明確な定めはありませんが、一度勘定科目を決めたなら、経理担当者や事業年度が違っても変えないようにすることが大切です。また、コンサルティング料の支払先が個人である場合は、源泉徴収が必要になるため、勘定科目だけでなく、仕訳方法についても注意が必要です。
コンサルティング料を効率良く適切に仕訳するには会計ソフトの利用をおすすめします。コンサルティング料は、税務調査でも指摘を受けやすい項目の1つです。そのため、コンサルティング料が発生したときには会計ソフトを利用して適切に仕訳を行う他、関連する書類をしっかりと管理・保存しましょう。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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