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還付金の勘定科目とは?種類や適切な仕訳方法などを解説

納めすぎた税金が返還されるお金のことを還付金と呼びます。本来の納税額よりも多く税金を納めた場合、超過分を還付金として受け取ることができます。還付金が発生した際には、適切な勘定科目を用いて仕訳することが必要です。なお、還付金に用いる勘定科目は状況によって異なります。
本記事では、還付金を受け取った際に使用する勘定科目の種類や、還付金が発生するケースなどについて、具体的な仕訳例と共に解説します。

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還付金とは納めすぎた税金が返還されるお金のこと

還付金とは、納めすぎた税金が返還されるお金のことです。既に納めた税金の額が、本来納めるべき額よりも多かった場合に、超過分が還付金として返還されます。また、税金が還付される際に、還付金の利息に当たる還付加算金が加えられる場合もあります。事業活動において還付金が発生する税金は、主に法人税や消費税、所得税などです。それぞれの還付金の内容について詳しく見ていきましょう。

法人税

法人税は、法人の事業活動で得た所得にかかる税金です。中間申告の納付額が確定納付額より多かった場合や欠損金の繰戻し、更正の請求を行った場合などに、法人税の還付を受けられます。更正の請求とは、確定申告期間の終了後に、本来納付すべき税金額よりも多く支払っていた場合や、欠損金(純損失)が過少であった場合、還付金を少なく申告していた場合に行う申請です。

消費税

課税事業者(消費税の申告・納付義務のある事業者)が仕入などで支払った消費税額が、消費者から預かった消費税額よりも大きかった場合に、払いすぎた分が還付されます。また、中間申告で納めた消費税額が多すぎた場合にも、確定申告後に還付金を受け取れます。

所得税

所得税は、個人の所得にかかる税金です。個人事業主は、所得税の還付を受けられる場合があります。所得税の還付金が発生するのは、報酬から源泉徴収された税額が、本来納めるべき所得税額よりも多かった場合などです。

還付金の勘定科目

還付金が発生したときには、適切な勘定科目を用いて仕訳を行う必要があります。還付金の仕訳に用いる勘定科目は、「未収入金」「雑収入」「租税公課」「仮払金」「事業主借」などです。どのような場合に、どの勘定科目を使うのかを確認しておきましょう。

未収入金(未収法人税等・未収消費税等など)

未収入金は、営業目的以外の未回収残高を処理する勘定科目です。中間申告や見込納付で納めた税額が確定納付額よりも多かった場合や、仮受消費税よりも仮払消費税が多かった場合は、超過分の金額を未収入金の勘定科目で処理します。なお、一般的には、未収入金としてまとめるのではなく、還付される税金の種類に応じて「未収法人税等」や「未収消費税等」といった勘定科目で処理します。
中間申告とは、事業年度の途中でその期の税金の一部を納めること、見込納付とは、確定申告書を提出する前に、概算で算出した法人税額を納付することです。
仮受消費税と仮払消費税は、課税事業者が消費税の経理処理に税抜経理方式を採用している場合に発生します。仮受消費税は課税売上に対する消費税の額で、「預かり消費税」とも呼ばれます。その一方で、仮払消費税は、課税仕入に対する消費税額です。

雑収入

雑収入は、主たる営業活動以外から生じる営業外収益のうち、金額的にも小さく、独立した勘定科目で計上するほどの必要がない収益を処理する勘定科目です。決算時に還付金を未収入金として計上していない場合は、還付金を受け取ったときに雑収入の勘定科目で処理します。その一方で、還付金を未収入金として計上していた場合は、還付時にも同じ勘定科目を用いて貸方へ計上することが必要です。また、還付加算金を受け取ったときは、未収入金の計上をしていたかどうかにかかわらず、雑収入の勘定科目で仕訳処理を行います。

租税公課

租税公課は、国税や地方税などの「租税」と、国や地方公共団体、その他公共団体に納める罰金や会費に当たる「公課」を示す費用を計上する勘定科目です。誤って税金を二重に納付してしまったケースなど、納付と還付が同じ期中に行われる場合は、納付時に使用した勘定科目で反対仕訳を行い、過払い分の金額を相殺することが可能です。例えば、納付時に租税公課の勘定科目で仕訳をした場合は、還付時にも同じ租税公課で貸方に計上します。
期をまたいで還付された場合には、費用科目を反対仕訳せずに還付時に雑収入で計上するのが一般的です。

仮払金

仮払金は、使い道や金額は定かでないものの、一定のお金が必要になることは確定しているものに対して事前に支払をしたときに計上する勘定科目です。なお、仮払金も租税公課と同様に、納付時に使用した勘定科目で反対仕訳を行うことで、過払い分の金額を相殺できます。例えば、納付時点で過払いが判明しており、超過分を仮払金で処理していた場合は、還付金を受け取ったときも貸方に仮払金で計上します。

事業主借

事業主借は、個人事業主特有の勘定科目で、プライベートの資金を事業用に移した場合に使用します。個人事業主が、事業用の口座に所得税の還付を受けた場合は、事業主借の勘定科目で処理します。所得税は個人の所得にかかる税金であり、還付金も個人事業主に対して支払われるものです。そのため、還付金がプライベートの口座に振り込まれた場合、仕訳は不要ですが、事業用口座で受け取った場合は、お金の動きに対して適切に仕訳をしなければなりません。事業用口座に事業と関係ない入金があったことになるため、事業主借で仕訳をします。

還付金の種類

税金の還付に関係する入金は、「還付金」「過誤納金」「還付加算金」の大きく3つですが、還付金が発生する例としては、中間申告や見込納付による税金の納めすぎ、欠損金・災害損失の繰戻しなど、さまざまなケースがあります。ここからは、還付金の主な種類を、還付が発生するケースと共に紹介していきます。

中間申告による還付金

前事業年度の法人税額が20万円を超えた企業は、原則として、法人税の中間申告が必要になります。また、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の地方消費税を除いた確定消費税額が48万円を超えると、消費税の中間申告が必要です。中間申告では、課税期間の税額をあらかじめ概算で見積もり、前もって申告・納付し、納めた税額が多すぎた場合は、確定申告後に還付されます。
なお、個人事業主には、法人税の中間申告に似た、所得税の予定納税という制度があります。予定納税とは、翌年分の所得税額の一部をあらかじめ納付する制度で、原則として前年の申告納税額が15万円以上になる人が対象です。予定納税額が本来支払うべき税額を上回っていた場合は、確定申告で還付が受けられます。

見込納付による還付金

法人税の申告をするには、決算書を作成して株主総会で承認を受けなければなりません。法人税の申告・納付期限は決算日の翌日から2か月以内ですが、株主総会の開催を「事業年度終了の翌日から3か月以内」と定款で定めている場合などは、期限を延長できる特例があります。ただし、この特例で延長されるのは申告期限だけで、納付期限は変わりません。そのため、一般的には本来の申告期限までに暫定的な税額を見込納付し、申告の際に改めて精算を行います。見込納付税額が確定税額よりも多かった場合は、納めすぎた金額が還付されます。

欠損金の繰戻し還付

欠損金の繰戻しとは、当期の赤字を前期の黒字と相殺することです。青色申告をしている資本金1億円以下の中小企業であれば、赤字が出たときに前期に繰戻すことができます。欠損金の繰戻しを行うと、当期の赤字分が前期の所得から差し引かれ、それによって納めすぎとなった前期の法人税が還付されます。つまり、過去の申告で納税した金額と、赤字と相殺した後の所得で再計算した税額との差額が還付されるということです。欠損金の繰戻しを利用できる法人は、資本金1億円以下であることに加えて、以下の要件を満たす必要があります。

欠損金の繰戻し還付を受けられる要件

  1. (1)
    還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
  2. (2)
    欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること
  3. (3)
    (2)の確定申告書と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出すること

なお、青色申告をしている個人事業主も、所定の要件を満たせば、純損失(赤字)の繰戻しによる所得税の還付を受けられます。

災害損失の繰戻し還付

災害によって、法人が所有する棚卸資産や固定資産が損害を受け、欠損金が発生した場合は一定の事業年度に欠損金を繰戻して法人税額の還付を受けることができます。災害には、震災、風水害、火災などの自然災害をはじめ、鉱害、火薬類の爆発、害虫、害獣による災害なども含まれます。災害損失の繰戻しは、青色申告をしている法人だけでなく、白色申告をしている法人も可能です。災害損失の繰戻し還付を受けられる要件は以下のとおりです。

災害損失の繰戻し還付を受けられる要件

  1. (1)
    還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して確定申告書を提出していること
  2. (2)
    欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること
  3. (3)
    (2)の確定申告書または仮決算による中間申告書と同時に欠損金の「災害損失の繰戻しによる還付請求書」を提出すること

過誤納金による還付

過誤納金とは、本来なら納めなくてもいい税金である「過納金」と、二重納付など誤って多く税金を納める「誤納金」のことです。過誤納金については、基本的には還付となりますが、もし未納がある場合は滞納税へ充当されることもあります。例えば、法人税や所得税、消費税について、本来の納税額よりも多く申告してしまった場合は更正の請求が可能です。更正の請求を行うことで、払いすぎた税金の還付を受けられる場合があります。なお、更正の請求ができる期間は、法定申告期限から5年以内と定められています。この期限を過ぎてしまうと請求できなくなるので注意しましょう。

還付加算金

税金の還付を受ける際、還付金と併せて還付加算金が支払われることがあります。還付加算金とは、還付金の利息のようなもので、納めすぎた税金の納付期限日等の翌日から、還付金支払決定までの日数に応じて加算されます。
一般的に、還付金と還付加算金は一緒に入金されますが、仕訳の際はそれぞれを分けて処理することが必要です。法人税の計算にあたり、還付金は納めたときに損金算入できる税金を除き、益金不算入となります。それに対して、還付加算金は受取利息の性質を持つため、益金として扱われます。還付金と還付加算金を区別して処理しないと、課税所得を正しく計算できなくなるため注意しましょう。

還付金の仕訳方法

ここからは、還付金の仕訳方法について解説していきます。還付金の受け取りでよくあるケースを例に、どのように仕訳するかを見ていきましょう。

中間申告の納付額よりも確定納付額が少ない場合

中間申告の納付額よりも、実際に納めるべき税額が少なかった場合は差額が還付されます。法人税の中間申告をして30万円を納付したものの、確定納付税額が20万円だったため10万円が還付された場合の仕訳例は以下のとおりです。

中間申告時の仕訳例

借方 貸方
仮払法人税等 300,000円 普通預金 300,000円

中間申告では、まだ納税額は確定していないため、勘定科目は「仮払法人税等」となります。また、現金で納めた場合は、貸方の勘定科目は「現金」になります。

決算時の仕訳例

借方 貸方
法人税等 200,000円 仮払法人税等 300,000円
未収法人税等 100,000円

確定した法人税額を「法人税等」、中間申告で納めた税額との差額を「未収法人税等」として計上します。

還付時の仕訳例

借方 貸方
普通預金 100,000円 未収法人税等 100,000円

確定申告をして還付金の10万円が入金された場合、上のような仕訳を行います。

還付金の入金額に還付加算金が含まれている場合

税金が還付されるとき、還付金の利息に当たる還付加算金が支払われることがあります。還付加算金を受け取ったときは、雑収入として仕訳処理を行います。中間申告をした法人税が還付されるとき、還付金10万円と合わせて、還付加算金3,000円を受け取った場合の仕訳例は以下のとおりです。

還付時の仕訳例

借方 貸方
普通預金 103,000円 未収法人税等 100,000円
雑収入 3,000円

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還付金が発生したときは適切な勘定科目で仕訳しよう

法人税や消費税、所得税などの税金を納めすぎたときは、還付金を受け取れます。還付金が発生したときには、適切な勘定科目で仕訳をしなければなりません。還付金の仕訳に用いる勘定科目は、還付金が発生した状況や税金の種類などによって異なります。また、還付金に加えて還付加算金を受け取った際には、必ず雑収入として計上する必要があります。還付金の会計処理を効率的に行うには「弥生会計 Next」などの会計ソフトの利用がおすすめです。還付金が発生するケースや仕訳方法などを理解し、会計ソフトを活用して適切に処理するようにしましょう。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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