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仮払消費税と仮受消費税の違いは?それぞれの仕訳例と共に解説

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「仮払消費税」と「仮受消費税」は、消費税を計上する際に使用する勘定科目です。混同して使用されることも多い勘定科目ですが、両者の違いはどのような点にあるのでしょうか。

本記事では、仮払消費税と仮受消費税の違いについて、それぞれの意味や仕訳例などと共に解説します。起業したばかりの人はもちろん、インボイス制度などの影響で消費税の課税事業者を選択した人は覚えておきましょう。

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消費税の帳簿付けは「税抜経理方式」「税込経理方式」に分けられる

仮払消費税と仮受消費税の意味を理解するためには、まず消費税の経理処理の方法を知っておく必要があります。消費税の経理処理の方法は、「税抜経理方式」と「税込経理方式」の2通りです。

税抜経理方式では、取引を消費税抜きの本体価額と消費税の金額に分けて記帳します。その際、仕入や売上、経費などの代金にかかる消費税分を「仮払消費税」「仮受消費税」として処理します。その一方で、税込経理方式は、商品やサービスの本体価格と消費税を合計した金額で経理処理する方法です。消費税はそれぞれの収益、経費に含めて計上します。

なお、課税事業者の場合は、税抜経理方式と税込経理方式のどちらを選択しても問題ありません。選択は事業者の任意であり、届け出の提出なども不要です。また、どちらの経理方式を選択しても、納税する消費税額は変わりません。

免税事業者の場合は、基本的に税込経理方式で経理処理を行います。

消費税の課税事業者と免税事業者の違い

事業者は、消費税を納付する義務を負った課税事業者と消費税の納税が免除されている免税事業者に分けられます。それぞれの違いについて見てきましょう。

課税事業者

消費税の課税事業者とは、消費税の納税義務を負った事業者のことです。消費税とは、商品やサービスを購入した際に消費者が支払う税金です。

しかし、消費者が国や地方自治体に自ら消費税を納付するわけではありません。商品代金に上乗せする形で、商品やサービスを購入した事業者に支払います。その後、消費税を受け取った事業者が預かり、自らの仕入等でかかった消費税額を差し引いて、消費税を納付するのです。すべての事業者が消費税を納付しているわけではなく、消費税の納付義務を負った、課税事業者が消費税の納税を行います。

課税事業者についてはこちらの記事で解説しています。参考にしてください。

免税事業者

免税事業者とは、消費税の申告や納付を免除されている事業者のことです。前々年度の課税売上高が1,000万円以下の事業者が該当します。そのため、前々年度の実績がない起業したての事業者は、原則的に免税事業者となります。

消費税は、原則的に課税取引時に預かった消費税から外部に支払った消費税を引いた差額を納税することで二重課税を防ぐような仕組みになっています。現在、免税事業者は消費税の課税にあたる取引で消費税を請求しても問題はありません。そして、受け取った消費税をそのまま売上高として処理することができます。

なお、インボイス制度開始に伴い、適格請求書発行事業者の登録を受けられるのは、消費税の課税事業者です。そのため免税事業者は、インボイスを発行できるように課税事業者になるか、インボイスを発行できない免税事業者のままでいるかを選択する必要があります。

インボイス制度についてはこちらの記事で解説しています。参考にしてください。

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仮払消費税とは、事業者が税抜経理方式を適用した場合の課税仕入に対する消費税等の額のこと

仮払消費税とは、事業者がすべての取引について税抜経理方式を適用した場合の、課税仕入に対する消費税等の額のことです。

税抜経理方式を採用している場合に、仕入や経費などの代金にかかる消費税のことです。商品を仕入れたときに、商品代金と消費税額を分けて処理し、支払った消費税額を仮払消費税として記載します。

仮払消費税に関する仕訳について、考えてみましょう。例えば、標準税率10%の商品を仕入れて、本体代金10,000円と消費税1,000円を支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。

仮払消費税を用いた仕訳例
借方 貸方
仕入 10,000 現金 11,000
仮払消費税 1,000

なお、同じ取引でも税込経理方式の場合は、以下のように仕訳します。

借方 貸方
仕入 11,000 現金 11,000

仮受消費税とは、事業者が税抜経理方式を適用した場合の課税売上に対する消費税等の額のこと

仮受消費税とは、事業者がすべての取引について税抜経理方式を選択適用した場合の、課税売上に対する消費税等の額のことで、「預かり消費税」と呼ばれることもあります。商品やサービスが売れた際には、売上代金と消費税額を分けて経理処理し、受け取った消費税額を「仮受消費税」として記録します。

仮受消費税に関する仕訳について、考えてみましょう。例えば、標準税率10%で、本体代金10,000円と消費税1,000円を仕入れた際の仕訳例は、以下のとおりです。

仮受消費税を用いた仕訳例
借方 貸方
現金 11,000 売上 10,000
仮受消費税 1,000

また、同じ取引を税込経理方式で処理する場合は、以下のようになります。

借方 貸方
現金 11,000 売上 11,000

消費税納税までの流れ

すべての課税事業者は、仮受消費税から仮払消費税を引くことで消費税を算出し、消費者が支払った税金を分担して納税しています。

ここでは、課税事業者が消費税を納税するまでの流れについて、順を追って説明します。

1 日々の取引の帳簿付けを行う

消費税を納税するためには、日々の帳簿付けが必要です。すべての事業者は、税金の申告や決算のために、日々の詳細な取引を帳簿に記録しています。

課税事業者の場合、取引金額だけでなく、その中の消費税の金額も帳簿に記載する必要があります。この際、売上に関連する消費税を仮受消費税、支払に関連する消費税を仮払消費税として記載します。

2 消費税を申告する

決算や確定申告の時期が近づいたら、帳簿の消費税額を集計し、消費税の申告書を作成しましょう。確定申告に必要な書類は、一般課税か簡易課税かによって異なるため、必要な書類を確認のうえ、期限に間に合うように確定申告の準備を進める必要があります。

消費税の確定申告の期限については、個人事業主は適用事業年度の翌年3月31日、法人は事業年度終了の日(決算期末)から2か月以内です。

消費税の確定申告についてはこちらの記事で解説しています。参考にしてください。

3 納税する

作成した消費税の申告書を提出したら、期限内に消費税を納付します。個人事業主の場合、納付期限は、適用事業年度の翌年3月31日です。3月31日が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となります。また、法人の場合の納付期限は、課税期間終了日の翌日から2か月以内となります。

なお、申告・納付を期限内に行わなかったり、内容が間違っていたりすると、附帯税などの加算税が課される可能性があるため注意しましょう。附帯税には、次のようなものがあります。

無申告加算税

無申告加算税とは、税務調査などの結果、確定申告の義務があるにもかかわらず、無申告であることが発覚した場合に発生する加算税です。税率は、納付すべき税額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%となります。

過少申告加算税

過少申告加算税とは、実際の納税額よりも少ない額で確定申告をしたときに課される加算税です。後日、修正申告をした場合は課税されないので、ミスに気付いたときは速やかに修正申告を行いましょう。

延滞税

延滞税とは、申告や納税が期限よりも遅れた場合に課される利息です。

重加算税

重加算税とは、税務署によって悪質な隠蔽と判断された場合に徴収される加算税です。税率は35~40%です。

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仮払消費税とは、税抜経理方式を採用している場合に、仕入や経費などの支払代金にかかる消費税を指す言葉です。それに対し、仮受消費税とは売上にかかる消費税のことを指します。すべての課税事業者は、決算時にこれらの仮払消費税と仮受消費税を相殺し、その差額である消費税額を申告、納税する必要があります。

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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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