経理業務を効率化する方法とは?メリットや注意点などを解説
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経理は、事業運営に欠かせない重要な業務です。また、経理部門は企業のお金の流れを管理する役割を担っており、業務において他部門との連携が求められる場面も多くあります。そのため、経理業務を効率化することは、企業全体の業務効率化を目指すうえでも重要な施策です。
本記事では、経理業務を効率化するメリットや具体的な方法に加え、経理業務の効率化における注意点についても解説します。
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経理業務は効率化が求められている
経理部門は、企業の経済活動におけるお金や取引の流れを記録・管理する役割を担う重要な部門です。具体的には、伝票や請求書の作成、入出金の各種帳簿への記帳、固定資産台帳の管理、経営に関する資料の作成など、企業のお金に関する全般が経理業務に該当します。企業の財務状況について把握するためには、これらの経理業務を正確かつスピーディーに進めることが必要です。
ただし、経理業務は複雑で多岐にわたるため、多くの手間や時間がかかります。加えて、経理業務には、決算をはじめ、期限が定められた業務も多く、短時間で多くの複雑な作業を行わなければなりません。そのような中で、人為的なミスが発生すると企業の信用問題に発展してしまう可能性もあります。特に、中小企業の場合、直接利益を生み出すわけではない間接部門である経理業務には人員が割かれにくく、慢性的な人材不足に悩まされている企業も少なくありません。特定の従業員に作業が集中すると、業務効率や正確性の低下を招きやすくなります。また、経理業務の属人化が進むと、改善点が見えにくくなり、退職や異動によって後任者への引き継ぎが難しくなることもあります。
経理の日常業務である売上管理や仕入管理、各種帳簿への記帳、決算書作成などは、事業目標の達成と経営課題の改善に欠かせない重要なプロセスです。さらに、経理部門には、経営の観点から数字を分析し、経営判断に役立つ情報を提供するなど、付加価値の高い業務が求められることもあります。近年では、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の開始や改正電子帳簿保存法などの影響もあり、経理部門の負担はますます増加しています。経理部門の負担を軽減し、ミスを防止するためにも、経理業務の効率化は一層重要だといえるでしょう。
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経理業務を効率化するメリット
経理業務の効率化は、企業に多くのメリットをもたらします。ここでは、経理業務を効率化することによって得られる具体的なメリットについて見ていきましょう。
経営判断のスピードが上がる
経理業務を効率化するメリットは、迅速な経営判断につながることです。
経理業務では、企業の売上や費用、利益、資産、負債といったデータを、正確に記録・集計します。これらの情報は、経営陣が企業の現状を把握し、将来の意思決定を行う土台となるものです。経理業務を効率化すれば、財務データを迅速に集計・分析でき、経営層が必要な情報を即座に把握できるようになります。例えば、「今月の売上が目標を下回っている」「特定のコストが想定より大きい」「資金繰りに余裕がない」などの状況を即座に把握できれば、早期に適切な対応が可能になるでしょう。
経理業務の効率化に役立つ会計ソフトの中には、入力したデータを分析し、期中の経営成績を把握するための試算表などのレポートを作成できる機能を備えたものもあります。このような会計ソフトを活用すれば、より高度な財務分析や収益予測が可能になります。
コストを削減できる
コストを削減できることも、経理業務を効率化するメリットの1つです。
業務効率化で作業時間が短縮されれば、残業代や休日手当の発生を抑えられ、経理部門の人件費を減らすことにもつながります。また、経理業務を自動化し、納品書や請求書などを電子発行すれば、用紙代、印刷代、郵送コストなどを削減できます。また、これまで紙で作成していた書類をデータで管理できると、書類を保管するためのスペースや関連コストも抑えられるでしょう。
他の業務に集中できる
他の業務に集中できることも、経理業務を効率化するメリットになります。
経理業務の効率化により、経理担当者の負担が軽減されると、時間的・精神的な余裕が生まれます。その結果、記帳や伝票作成といった日常業務に追われることがなくなり、経営分析など企業利益に直結する業務に取り組みやすくなるでしょう。
経理は「経営管理」の略とされ、「経営に関わること」が本来の役割といえます。業務フローやプロセスがある程度明確な定型業務を効率化することで、経営課題の改善につながる情報提供など、より重要度の高い業務に集中できるようになります。企業の利益に貢献できる人材を育てるために、効率化によって生まれた時間を従業員のスキルアップにあてるのもおすすめです。
ミスを削減できる
経理業務を効率化するメリットには、ミスを削減できることもあげられます。
人の手で作業や計算をしていると、どうしても漏れやミスが生じがちです。また、手作業で紙の帳簿を作成している場合や数字が合わない場合には、過去にさかのぼってミスした箇所を探さなければならず、確認・修正にも時間がかかります。会計ソフトなどを活用して経理業務を効率化すれば、このような入力や計算、仕訳におけるミスを減らすことが可能です。なお、経理業務は企業のお金にかかわるため、小さなミスが企業にとって重大なリスクにつながる可能性もあります。人的ミスの削減ができる点は、経理業務を効率化する大きなメリットといえるでしょう。
労働環境の改善につながる
経理業務の効率化は、労働環境の改善を目指すうえでもメリットがあります。
経理業務が効率化され、残業や休日出勤が減ると、従業員の身体的・精神的な負担が軽減されることが期待できます。また、会計ソフトの導入によって、システム上で経理業務を進められるようになれば、テレワークなど柔軟な働き方にも対応しやすくなるでしょう。働きやすい職場環境づくりは、従業員満足度を高め、結果として人材の定着率向上にもつながります。
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経理業務を効率化する方法
経理業務を効率化するには、以下のような方法が考えられます。企業や従業員の状況に合わせて、無理なく実施できるものから段階的に取り組みましょう。
経理業務のフローを可視化する
経理業務を効率化する第一歩は、業務フローの可視化です。
経理業務は専門性が高く、属人化しやすいため、特定の担当者に作業が集中しやすい傾向があります。その結果、業務全体の流れや課題が見えにくくなり、どの部分をどのように改善すれば効率化できるのかがわからなくなります。まずは、自社の経理業務の内容や作業手順、それぞれの作業にかかる時間を洗い出し、「どこに無駄があるのか」「ボトルネックはどこなのか」を明確にしましょう。そして、既存のマニュアルや手順書とも照らし合わせながら、想定と現実のギャップを確認し、改善に向けた対策を検討します。その過程で、それまで意識していなかった無駄な作業や重複した作業が見つかるかもしれません。自社の経理業務をあらためて見直すことで、どこから改善すればよいのかという優先順位も明確になります。
ペーパーレス化やキャッシュレス化を推進する
経理業務を効率化する方法の中でも、取り組みやすいのがペーパーレス化やキャッシュレス化の推進です。
経理業務では、帳簿や伝票など、日常的に大量の書類を取り扱います。これらの書類を電子化すれば、共有や検索がスムーズになり、業務効率化につながるでしょう。また、書類の保管スペースが不要になり、管理の負担も軽減されます。
電子帳簿保存法の改正によって、2024年1月から電子取引データの保存が義務化されました。これにより、電子的にやりとりした請求書や領収書といった取引関係書類は、データのまま保存することが求められます。経理業務の効率化だけでなく、法令遵守の観点からも、ペーパーレス化の仕組みを整えることは早急に対応すべき課題です。領収書などを紙で受け取った場合も、電子帳簿保存法の要件を満たした形でスキャンしてデータで管理するようにすれば、保管が容易になるうえ、紛失や破損のリスクを軽減できます。
また、キャッシュレス化を進めると、経理の日常業務である経費精算を大幅に効率化できます。例えば、経費精算の多い部門や従業員に法人用クレジットカードを貸与すれば、現金での精算の手間を削減することが可能です。クレジットカードの利用履歴もデータで確認でき、リモートワークでもスムーズな経費精算が実現できます。
アウトソーシングを活用する
経理業務の一部を外部業者へアウトソーシング(委託)するのも、効率化の有効な方法の1つになります。
アウトソーシングできる業務の内容や範囲は代行業者によって異なりますが、一般的には、記帳業務、給与計算業務、決算業務などを依頼可能です。中でも、経費精算や請求書発行などの定型業務は、アウトソーシングに適しているといえます。
経理業務をアウトソーシングすれば、自社のリソースをより有効に活用できます。決算や年末調整などの繁忙期も、アウトソーシングを利用すれば、人手不足の問題を解決できるでしょう。また、アウトソーシングによって従業員の業務負担を軽減できることに加えて、経理のプロが業務を代行してくれるため、業務品質の向上も図れます。
ただし、年末調整については書類の回収等はアウトソーシングできますが、所得税の計算業務は税理士の独占業務になっている点に注意しておきましょう。
会計ソフトを導入する
会計ソフトの導入も経理業務の効率化を目指すうえで効果的な方法です。
会計ソフトを使えば、手書きやExcelでの帳簿作成に比べて、格段に効率的な処理ができます。また、会計ソフトの多くには入力補助機能が搭載されており、仕訳項目もスムーズかつ正確になり、入力漏れや転記ミスの防止にもつながります。入力されたデータは会計ソフト上で自動的に集計・転記されるため、計算に時間をとられることもありません。
会計ソフトの中には、領収書・レシートをスキャンやスマホで撮影すると自動で仕訳したり、銀行口座・クレジットカードの取引データを自動で取り込んだりするものもあります。なお、会計ソフトの多くは、設定の変更やアップデートにより、法改正にも柔軟に対応できます。経理の専門知識がなくても操作しやすい会計ソフトを選ぶことで、属人化の防止にも役立つでしょう。
会計ソフトについては、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
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経理業務の効率化における注意点
経理業務を効率化したいと思っても、方法を誤ると、むしろ現場の混乱を招く可能性があります。経理業務の効率化にあたっては、以下の注意点をあらかじめ確認しておきましょう。
自社に適した会計ソフトを導入する
前述したように、経理業務を効率化するには会計ソフトの導入が効果的ですが、このときに大切なのが、自社に適した会計ソフトを選ぶことです。
会計ソフトには、インターネットを経由して利用する「クラウド型」と、パソコンにインストールして使う「デスクトップ型」の2種類があります。それぞれメリットとデメリットがあるため、自社の使用目的に合ったものを選ぶことが大切です。さらに、企業規模や担当者のスキルレベルによっても、選ぶべき会計ソフトは変わってきます。会計ソフトの機能が多くても、必ずしも業務効率化に直結するとは限りません。例えば、大企業が導入するような高性能で高額な会計ソフトを中小企業が導入しても、不要な機能が多く、コストがかさむだけです。また、会計ソフトを使用する担当者が経理初心者の場合は、簿記の知識が少なくても使いやすいソフトを選ぶことをおすすめします。
その他にも、「サポート体制は充実しているか」「セキュリティ対策は十分か」「顧問税理士との連携が可能か」「機能追加などのカスタマイズができるか」など、会計ソフトの導入にあたっては、事前に確認しておきたいポイントがあります。販売管理や給与計算、経費精算など、社内ですでに別のシステムを導入している場合は、それらと連携可能な会計ソフトを選ぶことで、企業全体の業務効率化を実現できるでしょう。
全社的に取り組む
経理業務の効率化を進めるには、全社的な取り組みが不可欠です。
経理業務は、経理部門だけで完結するものではありません。例えば、請求書の発行や支払処理、経費精算など、他部署との連携なしでは進まない業務も数多く存在します。経理業務の課題を確認した後は、社内で共有し、他部署にも改善の目的や背景を丁寧に伝えることが大切です。また、経理業務を効率化すると、業務フローやルールが大きく変更される可能性があります。社内の混乱を防ぐため、社内説明会やマニュアルの整備、研修の実施などが求められるでしょう。
経理部門の業務が効率化されると、社内の情報伝達や処理スピードも向上し、結果として組織全体の生産性の向上につながります。従業員一人ひとりの意識改革を促すことで、経理業務の効率化は一層効果的になります。
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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)
税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。
