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法人決算とは?自分でできる?やり方と流れ、必要書類などを解説

監修者:税理士法人 MIRAI合同会計事務所

2023/07/13更新

すべての会社では、会計期間の期末に1年間の締めくくりとして、営業活動の成果や会社の財政状態を決算書にまとめます。この手続きを「決算」といいます。

法人決算は仕組みが複雑で、準備しなければならない書類なども多岐にわたります。期末になって慌てないためにも、あらかじめ決算を行う理由や流れをしっかりと理解しておくことが大切です。

ここでは、法人決算の目的や決算のおおまかな流れの他、決算申告を税理士に依頼するメリットなどについて解説します。

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法人決算とは、企業の年間の損益をまとめ、書類を作成する一連の手続きのこと

法人は、会社の規模にかかわらず、事業年度ごとに必ず決算を行わなければなりません。決算とは、その事業年度における企業の「収益」「費用」「資産」「負債」などを計算して年間の損益をまとめ、書類を作成する一連の手続きのことです。このときまとめた書類を「決算書」と呼びます。

決算を行う事業年度の最後の月を決算期と呼び、この期間に決算報告書を作成します。個人事業主は会計期間が1月1日から12月31日と定められていますが、法人の場合は決算期を会社ごとに自由に決めることが可能です。例えば、決算期が3月なら、決算では4月1日から3月31日までの業績を集計することになります。

決算書をもとに納める税金を確定させ、申告書などの書類を提出する決算申告

決算書をもとに納める税金を確定させ、税務署等に申告書などの書類を提出することを「決算申告」といいます。決算で作成した決算書は、税務申告書などと一緒に税務署に提出しなければなりません。

税金の申告や納付には期限があり、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。そのため、期日に間に合うように法人決算の準備を進めることが大切です。

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法人決算の目的

法人が決算を行う理由は、単に「法律で決まっているから」というだけではありません。決算には、会社にとって大事な次のような目的があります。

正しく税金を申告する

会社は、決算書をもとに年に1度納めるべき税額を計算し、税務署等に申告・納付します。法人が申告する税金は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税などがありますが、その多くは決算で明らかになった所得金額をベースにして計算されます。正しく税金を申告するために、決算は必要不可欠なのです。

業績を分析・改善する

決算書は、経営者が自社の業績を分析し、適切な経営判断を下すための重要な資料になります。企業の状態を数値面から把握することは、経営管理上とても大切です。決算を行い、過去からの変化や現在の状態を客観的に分析することで、改善点を見つけたり、将来的な事業成長への指針となったりします。

関係者に業績報告をする

決算は、経営者が自社の業績を把握するだけではなく、株主や取引先、金融機関といった利害関係者に経営状態を報告するためにも必要なものです。

決算に伴い決算書を作成しないと、外部の関係者は会社の経営状況や財務状況を知ることができません。特に株主にとっては、自分の出資金が適切に運用されているかどうかを知る必要があります。そのため多くの場合、決算を行った後には、株主総会で株主に業績報告を行います。

銀行からの融資を受けるため

会社が資金調達をする代表的な手段が、金融機関からの融資です。銀行などの金融機関に融資を申し込む際、決算書は必ず提出を求められる書類の1つです。銀行側は、決算書を総合的に分析して貸出先企業の状況を把握し、融資を実行するかどうか判断します。

法人決算の流れ

法人決算の流れについて具体的に見ていきましょう。法人決算は、大きく次の7つのステップに分かれます。

1. 日々の記帳を漏れなく正確に行う

決算は帳簿をもとに進めます。決算処理を行うには、まず、当年度分の記帳をすべて完了させなければなりません。決算前にまとめて記帳をしようとすると、作業量が膨大になるうえ、ミスも起こりやすくなります。そのため、日ごろから取引をしっかり記帳しておくことが大切です。

記帳が完了したら、帳簿のデータと実際の残高を突合(突き合わせ)して、内容が合致するかどうかを確認しましょう。

2. 決算整理の前に試算表を作る

記帳の確認が終わったら、次に試算表を作成します。試算表とは、記帳の整合性をチェックするための集計表の役割を持つ書類です。確認すべき重要なポイントは、試算表の借方、貸方の合計値が一致しているかどうか。合計値が異なる場合は、仕訳やデータ入力にミスがあるということなので、見直しが必要です。

なお、試算表は、原則として決算整理の前と後に作成します。この段階で作成する試算表を、「決算整理前試算表」といいます。

試算表についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

3. 決算整理仕訳を行う

決算整理仕訳とは、事業年度をまたぐ取引について、今期分と来期分に分けて整理する仕訳のこと。まだ支払いが済んでいないものや、これから代金を受け取るものなど、入金や支払いが来期になる取引などを確認し、帳簿を修正します。

また、決算時の棚卸資産の残高を確認するために在庫を点検・計測する「実地棚卸」を行って売上原価の計算や、固定資産の減価償却などを行います。決算整理仕訳を終えたら、試算表を改めて確定させましょう。

決算整理仕訳についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

4. 決算書を作成する

決算整理仕訳が完了して試算表が確定したら、決算書を作成します。原則として、法人決算で作成すべき決算書は、下記の3つがあります。

貸借対照表(B/S)

貸借対照表は、事業において決算日現在の資産と負債、純資産の状態を表しており、決算時の残高一覧のようなものです。B/S(Balance Sheet)とも呼ばれ、会社が保有する資産、返済義務がある負債、返済義務のない純資産などが把握できます。

損益計算書(P/L)

損益計算書は、収益から費用を差し引き、会計年度1年間の利益を把握するための書類で、P/L(Profit and Loss Statement)とも呼ばれます。収益、費用、利益の3つの状態を分析することで、事業のどこに問題があるのかを把握することが可能です。

個別注記表

個別注記表は、貸借対照表や損益計算書など各決算書類の注記事項を一覧にしてまとめた書類です。

この他にも、会社によって次のような決算書を作成する場合があります。

株主資本等変動計算書(S/S)

株主資本等変動計算書は、1年間を通した株主資本の変動を表す書類です。S/S(Statements of Shareholders’ Equity)とも呼ばれます。

計算書類に係る附属明細書

計算書類に係る附属明細書は、計算書類を補足する重要な事項を示す書類です。計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、個別注記表および株主資本等変動計算書などです。

事業報告書

事業報告書は、事業年度ごとの会社の事業内容や状況について報告する書類です。

事業報告書についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

事業報告に係る附属明細書

事業報告に係る附属明細書は、事業報告を補足する重要な事項を示す書類です。

5. 取締役会、株主総会での承認を得る

作成した決算書(計算書類)は、会社法によって定められている機関から承認を得る必要があります。株式会社の場合、原則として取締役会、株主総会で承認を受けます。

6. 法人税申告書を作成する

決算書をもとに納めるべき税額を計算し、法人税申告書を作成します。法人が申告する税金は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税などです。法人税申告書は自力で作成するのが非常に難しいため、一般的には税理士に依頼します。

法人税申告書についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

7. 税務署等に提出・納税する

作成した法人税申告書を決算書と共に税務署等に提出し、確定した税金を納めます。税務署や都道府県税事務所など、税金の種類によって申告先が異なるので注意が必要です。各種税金の申告と納付の期限は、原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内と定められています。

8. 提出した書類を保管しておく

貸借対照表や損益計算書、個別注記表などの書類は、原則として税法上では7年、会社法では10年の保存が必要と定められています。保存しなければいけない書類を確認したうえで、定められた期間はしっかり保管しておきましょう。

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決算書作成は自分でできる?税理士に頼むべき?

法人の決算や税務申告は手続きが複雑なため、専門知識がなければ自力で行うのは困難です。無理に自分で決算をしようとすると、膨大な手間と時間がかかり、ミスが起こったり本業を圧迫したりすることになりかねません。そのため、法人の決算申告は、税理士に依頼をするのが一般的です。

税理士に決算申告を頼む際のメリットや注意点について見ていきましょう。

税理士に法人決算を依頼するメリット

法人の決算申告は複雑でわかりにくく、正しい知識がなければミスや漏れが起こりがちです。間違った内容の決算書を提出してしまうと、せっかく仕上げた書類をやり直す羽目になったり、税務調査が発生したりする可能性もあります。税理士に依頼すれば、決算にかかる手間を省くと同時に正確な内容で申告を行えるので、決算処理のミスや本業への影響を大幅に軽減できます。

また、法人の税金の仕組みは複雑なうえ、税制改正も頻繁です。特に中小企業の場合、利用できる税制上の優遇措置や補助金、助成金なども多くあります。税理士に依頼すればこれらについてもチェックしてもらえる場合が多いため、自社に有利な情報を見落としたり、必要以上に税金を納めたりするような事態も避けることが可能です。

場合によっては、税理士から節税や経営計画、事業継承などについてのアドバイスを受けられることもあります。長期的な観点からアドバイスを受けるためには、顧問契約も視野に入れて検討するといいでしょう。

税理士に依頼する際の注意点

法人決算を税理士に依頼すると、費用が発生します。決算のみを依頼するか顧問契約を結ぶかで費用は変わってきますが、いずれにしてもあらかじめ確認しておくことが大切です。

また、税理士を選ぶ際に注意すべきポイントとして、相性や考え方が合うかという点が挙げられます。税理士への依頼を検討する前にはできるだけ直接会って、話しやすい相手か、考え方に大きな相違点がないかを確認するといいでしょう。

決算申告を税理士に依頼した場合の費用相場やメリットについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

法人決算には会計ソフトが圧倒的に便利

決算申告を税理士に依頼する場合も、基本的には日々の取引の記帳は自社で行います。決算に必要な準備をかんたんにするには、会計ソフトの利用がおすすめです。

日々の記帳がかんたんにできる

毎日発生する取引について、日付や金額、勘定科目などを一つひとつ手書きやExcelで記載するのは大変な作業です。しかし、会計ソフトを使えば、日々の仕訳にかかる手間と時間をぐっと削減できます。

さらに、スマートフォンからも取引の入力ができる会計ソフトを選べば、出先や移動中の隙間時間を活用して、効率良く記帳を進めることが可能です。

一部の会計ソフトには、スキャナーやスマートフォン用アプリを使って領収書の内容を読み取れる機能もあります。そのような会計ソフトなら、領収書を見ながら1つずつ内容を入力する必要もありません。

決算書類を自動作成できる

会計ソフトを利用すると、入力したデータをもとに、法人決算に必要なさまざまな書類を自動で作成できます。書類ごとの様式に悩むこともありません。

また、決算申告を依頼する税理士とやりとりしやすい会計ソフトを選ぶのもポイントのひとつです。仕訳した会計ソフトのデータを税理士と共有できれば、その後の決算や税務申告もスムースです。

会計ソフトなら、日々の帳簿付けや決算書作成もかんたん

日々の帳簿付けと法人決算をスムースに進める大きなポイントが、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶこと。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」です。

「弥生会計 オンライン」は、初めて会計ソフトを導入する方でもかんたんに使える、クラウド会計ソフトです。初年度無料ですべての機能が使用できるので、気軽にお試しいただけます。

簿記・会計の知識がなくても使える機能と画面設計

「弥生会計 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても使える機能と画面設計で、初めて会計ソフトを使う方でも安心です。取引の日付や金額などを入力するだけで、小規模法人に必要な複式簿記帳簿が自動作成できます。

また、日々入力したデータは顧問の税理士・会計事務所(※弥生PAP会員の税理士・会計事務所)とクラウド上で共有できます。受け渡しの手間が省けて効率的です。

銀行明細、クレジットカードなどの取引データを自動で取込できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、銀行明細やクレジットカードなどの取引データの他、レシートや領収書のスキャンデータ、スマートフォンアプリで撮影したデータを自動で取り込み、自動で仕訳することができます。金融機関からダウンロードした取引明細や帳簿、ご自身で作成したCSV形式のファイルを取り込むこともできるため、入力と仕訳の手間を省くことが可能です。また、スマートフォンから直接入力もでき、出先や移動中の時間を効率良く使えます。

日々の取引を自動で集計でき、見やすいレポートで管理できる

「弥生会計 オンライン」を使えば、入力したデータをもとに日々の取引を自動で集計し、さまざまなレポートを自動で作成することができます。わかりやすいグラフレポートをいつでも確認可能なため、経営成績がひと目で把握できます。

初心者でも安心!カスタマーセンターがしっかりサポート

業界に精通した専門スタッフが、電話、メールでの操作サポートに加え、仕訳や経理業務の相談にもお応えします。製品の操作が不安な方や会計の業務が苦手な方でも、充実のサポートで安心してお使いいただけます。

  • カスタマーセンターによるサポートは、「サポート付きプラン(ベーシックプラン)」が対象です。

法人決算の流れを理解して、しっかりと準備を進めよう

法人決算を行う際には、事前にしっかりと準備をしておくことが大切です。日々の記帳や必要書類の作成など、決算前には行わなければならない作業がたくさんあります。これらの作業を効率良く進めたい場合は、会計ソフトの導入がおすすめです。

会計ソフトを使用すると、手間なく帳簿付けができるうえ、入力したデータから法人決算に必要なさまざまな書類を自動で作成することもできます。決算申告を税理士に依頼する場合も、会計ソフトで記帳していればやりとりが楽になるでしょう。

法人決算を効率的に進めたい方は、ぜひ弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」をご利用ください。

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よくあるご質問

法人決算とは?

法人決算とは、企業の年間の損益をまとめ、書類を作成する一連の手続きのことです。法人は会社の規模にかかわらず、事業年度ごとに必ず決算を行わなければなりません。詳しくはこちらをご確認ください。

法人の決算期はいつ?

個人事業主は会計期間が1月1日から12月31日と定められていますが、法人の場合は決算期を会社ごとに自由に決めることが可能です。例えば、決算期が3月なら、決算では4月1日から3月31日までの業績を集計することになります。詳しくはこちらをご確認ください。

決算書作成は自分でできる?

法人の決算や税務申告は手続きが複雑なため、専門知識がなければ自力で行うのは困難です。そのため、法人の決算申告は、税理士に依頼をするのが一般的です。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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