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交通系ICカードでの経費精算はどう処理する?流れや注意点も解説

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交通系ICカードでの経費精算はどう処理する?流れや注意点も解説

キャッシュレス化やペーパーレス化が進み、交通系ICカードによる経費精算を導入する企業が増えてきました。特に交通費の精算については、申請の手間や現金管理の負担を軽減できることが注目を集め、多くの企業で導入が進んでいます。

本記事では、ICカードを使った経費精算の流れや会計処理のポイントを、具体的な仕訳例をあげて解説します。ICカードで経費精算を行う場合の注意点とその対策もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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ICカードで経費精算をする流れ

ICカードで経費精算を行う場合の基本的な流れを解説します。ICカードはさまざまな物品の購入やサービス利用料の支払に利用できますが、ここでは交通費を精算するケースを例に、流れを見ていきましょう。

1. 社員がICカードで交通費を支払う

通勤や営業活動、出張など業務上発生した交通費をICカードで支払います。このとき使用されたICカードが「個人所有」か「会社支給」かによって、精算方法や会計処理が異なる点に注意しましょう

個人所有のICカードを使う場合の処理

個人所有のICカードで経費精算を行う場合、まず社員がICカードで交通費を立て替えます。後日、経費精算の申請を行い、社内担当者の承認を得たら精算する流れです。そのため、出張など立て替える交通費が高額になるケースでは、社員の負担にならないようできるだけ速やかに精算を済ませましょう。

会社支給のICカードを使う場合の処理

会社が社員に業務専用のICカードを支給している場合、社員による交通費の立て替えが発生しないため、立替金の精算を行う必要はありません。会社がICカードの利用履歴を取りまとめ、都度もしくは月次で経費処理・精算を行います。

2. ICカードの利用履歴が分かる証憑の取得

ICカードを利用した経費精算では、利用履歴の提出が必要なケースがほとんどです。ICカードの利用履歴は、以下のいずれかの方法で取得できます。

券売機で印字する

駅に設置されている券売機にて、ICカードの利用履歴を印字できます。対応機にICカードを挿入し、画面の指示に従って操作するだけで過去の乗車記録の印刷が可能です。

ICカードリーダーでPCに読み込む

ICカードリーダーをPCに接続し、専用アプリで利用履歴を表示できます。多くはCSV出力で交通費の利用履歴を出力できるため、経費精算時に大量のデータをまとめて提出したい場合に便利です。(履歴表示、履歴印字には制限(後述)があります)

モバイルアプリで確認する

モバイルSuicaやPASMOアプリであれば、スマートフォン上で履歴を確認できます。表示された画面をスクリーンショットなどで保存しておくことも可能です。

どの方法で利用履歴を確認するかは会社ごとの運用ルールによって異なります。

3. 精算申請書に交通費を記入・申請する

次に、会社が定めている方法で交通費を申請します。精算申請書または精算システムに利用日・経路・金額・業務内容などを入力し、履歴データや領収書を添付して申請するのが一般的です。具体的な申請方法に関しては、企業ごとの運用ルールによって異なるため確認してください。一定額以上利用する場合は、別途領収書の提出を求めるといったルールを設けているケースも少なくありません。

4. 上長や経理担当者が内容を承認する

精算申請書が提出されたら、上長や経理担当者が内容を確認します。経路や金額が妥当か、業務との関連性が明らかであるかといった点を確認し、必要に応じて申請者に確認を取ることも大切な役割です。詳細に関しては、企業ごとに定めている規定と照らし合わせて承認処理を行いましょう。

5. 経理が会計処理を行い、支払・仕訳を記録する

承認された経費精算の申請内容を仕訳します。支払に関しては、現金精算や銀行振込、給与との合算支給など、会社によって対応方法はさまざまです。処理が完了した精算申請書は、利用履歴などの証憑資料とともに所定の方法で保存します。

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ICカード利用時の会計処理と仕訳例

ICカードによる交通費の精算では、社員が個人所有のICカードを利用して精算するパターンが多く見られます。ここでは、個人所有のICカードで経費精算をする場合の会計処理と仕訳例を見ていきましょう。
処理方法としては、以下の2つの方法があります。

CASE1:社員が個人ICカードで立替払いを行う場合

まずは、社員が個人所有の交通系ICカードで、利用した電車やバスの運賃を立て替えます。その後、経費として申請、経理担当者による承認を経て精算となるケースです。実務ではもっとも多く見られるパターンであり、適切な証憑(利用履歴など)の保存と仕訳処理が必要になります。

以下は、社員が8,000円の交通費を個人のICカードで立て替えた場合の仕訳例です。

仕訳例:社員が個人のICカードで交通費を8,000円立替払いした場合

借方 貸方
旅費交通費 8,000円 未払金 8,000円

仕訳例:会社が社員へ精算金を支払った場合

借方 貸方
未払金 8,000円 現金 8,000円

なお、摘要に取引の内容を簡潔に書くことで、後から見返した際にどの経費なのかがわかりやすくなります。例えば「ICカードによる交通費立替分」といった具体的な内容を記録しておくのが望ましいでしょう。

CASE2:仮払金でICカードにチャージし、後日精算する場合

出張などまとまった交通費の支出が見込まれる場合には、あらかじめ会社が現金を社員に渡し、社員がICカードにチャージするパターンもあります。この場合、使途が未確定の経費であることから、仮払金として扱われます。利用後に実際の交通費にもとづいて精算し、過不足を調整するのが基本的な流れです。

仮払いでICカードにチャージし、後日精算する流れ

  • 仮払申請書などによる事前申請・承認・支払
  • 実際の利用明細をもとに差額を精算
  • 利用実績が仮払金を上回った場合は、不足分を立替金として追加精算
  • ICカードの利用履歴や明細を証憑として保存

以下は、仮払いとして現金で6,000円支給してICカードにチャージし、後日利用額に応じて精算した場合の仕訳例です。

仕訳例:仮払金で6,000円支給した場合の仕訳

借方 貸方 摘要
仮払金 6,000円 現金 6,000円 仮払金支給(交通費用)

仕訳例:実際の利用額が5,500円だった場合の仕訳

借方 貸方 摘要
旅費交通費 5,500円 仮払金 6,000円 交通費精算(仮払金精算)
普通預金 500円 差額返金

差額を返金する際の処理は、返金方法によって勘定科目が異なります。返金の手段に応じて適切な科目を選択するよう注意しましょう。

仕訳例:実際の利用額が6,500円だった場合の仕訳

借方 貸方 摘要
旅費交通費 6,500円 仮払金 6,000円 交通費精算(仮払金精算)
普通預金 500円 不足分を社員へ支給

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ICカード払いで利用されることが多い経費の種類と勘定科目

ICカードは交通費以外の支払にも利用可能です。例えば、コンビニや自動販売機、飲食店での支払などにICカードを活用するケースもあるでしょう。ICカード払いで利用されることの多い経費の種類と、その勘定科目の例は以下のとおりです。

ICカード払いで利用される主な経費の種類と勘定科目の例

経費の種類 勘定科目の例
出張時などの交通費 旅費交通費
取引先との打ち合わせ用の飲料などの購入 会議費
文房具の購入 消耗品費

出張費、会議費、消耗品費についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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ICカード利用分の経費精算をする際の注意点と対策

ICカードを利用することで経費精算を効率的に進めやすくなる一方で、注意が必要な点もあります。正しく運用されていない場合、経費として認められなかったり、税務上のリスクが生じたりする可能性も否定できません。ここでは、ICカード利用分の経費精算をする際の注意点とその対策について解説します。

私的利用と業務利用が混在してしまう

ICカードで支払った費用が経費として計上できるのは、あくまでも業務上必要なものに限られます。ICカードは私的利用分と業務利用分が混在しやすい傾向があるため、利用履歴と申請内容から業務利用分を特定できるようにしておくことが大切です。社員に経費の使途や業務内容を明確に記載して申請するように伝えるとともに、上長や経理担当者は利用履歴と申請内容を慎重にチェックすることが求められます。

私的利用を防ぐための対策

  • 社員は経費申請時に業務利用の内容を必ず記載する
  • 社員は利用履歴を提出し、利用目的を明確にする
  • 頻繁に利用する社員には業務専用のICカードを会社名義で発行することも検討する

利用履歴の保存・取得に制限がある

交通系ICカードの利用履歴は、駅の券売機やICカードリーダー、モバイルアプリで取得できますが、閲覧や印字する際の表示件数や取得可能な期間には制限が設けられている点に注意しなければなりません。利用履歴が取得できない場合、経費精算申請書に証憑を添付できなくなってしまうため、社員は、こまめな利用履歴の取得を促す必要があるでしょう。

利用履歴を確実に保存・取得するための対策

  • 精算は定期的に行うよう促す
  • 利用履歴の取得手順をマニュアル化し、社内に共有する
  • 会計ソフトやICカード連携ツールを活用して、自動取得・保存の仕組みを整える

精算ルールの社内統一がされていない

精算時の運用方法に対する認識が社員によって異なるなど、社内でルールが統一されていない場合もトラブルの原因になりがちです。経費の申請方法が統一されていないと、経理担当者が処理内容を確認する手間が増えるだけでなく、集計ミスや重複計上につながるおそれがあります。また、同じ交通費でも「仮払金を使ったか」「立替での申請か」によって仕訳も異なるため、正確な会計処理に支障をきたすことにもなりかねません。経費申請のルールを明文化し、周知しておくことが大切です。

社内ルール統一のための対策

  • 社内規定を整備する
  • 新入社員向けや定期的な経費精算研修で周知を徹底する
  • 経費精算システムを導入し、運用ルールをソフトに組み込んで申請ミスを防止する

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経費精算にICカードを活用するメリット

経費精算にICカードを活用することで、さまざまなメリットを得られます。具体的なメリットとしてあげられるのは以下の5点です。

履歴が残るため証憑として活用できる

経費精算にICカードを活用するメリットに、利用履歴を証憑として活用できることがあります。公共交通機関の運賃のように、領収書が発行されない支払に関しても利用履歴のデータを取得すれば経費の使途や具体的な金額を証明できるため、会計処理の透明性・信頼性を担保するうえで有効です。また、履歴一覧には利用した駅名も記載されているため、経路が適切であったかどうかの確認もしやすくなります。

少額の支払もスムーズに処理できる

電車やバスの運賃など、1回あたりの金額が小さい交通費は、都度立替精算を行うと申請・確認作業の負担が大きくなりがちです。ICカードを利用すれば、利用履歴が自動的に記録されるため、こうした少額の支払をまとめて精算しやすくなります。結果として経理処理を効率化でき、社員・経理担当者の双方の負担を軽減できるのも大きなメリットでしょう。煩雑になりがちな少額の経費精算を効率化したい場合は、ICカードを活用した経費精算の導入がおすすめです。

入力ミスを減らせる

経費申請者による入力ミスを抑制できるのもメリットです。ICカードの利用履歴を自動で取り込んで経費申請書を作成することで、経路や金額を手入力する必要がなくなり、申請内容の誤りを減らせます。上長や経理担当者にとっては、提出された経費申請書の確認作業が進めやすく、より正確なチェックがしやすくなることも大きなメリットです。結果として、申請書類の差し戻しや再提出に要していた時間と労力を軽減する効果が期待できます。

現金を扱う必要がなくなり、管理の手間が減る

キャッシュレス化が促進され、現金を扱う機会が少なくなることもメリットといえます。小口現金の管理に要していた手間が軽減されるほか、精算書の作成を簡略化することにもつながるでしょう。また、安全性の面でもキャッシュレスの促進には大きな意義があります。金庫の取り扱いなど、小口現金を適切に管理するにはさまざまなルールや運用上の注意事項が不可欠です。現金を扱う必要がなくなれば、こうした管理上の留意点を大幅に簡素化できます。

会計ソフトと連携すればさらに効率化が可能

ICカードの利用履歴と会計ソフトを連携して、さらなる効率化を図ることもできます。履歴データをCSV形式などで取り込むことにより、仕訳を自動化できる会計ソフトもあるからです。こうした自動取込機能を活用することで、従来の経費精算で発生しがちだった申請漏れや入力ミス、集計ミスなどを防ぐ効果も期待できます。煩雑な経費精算のフローを効率化できることは、経費を申請する社員・経理担当者の双方にとって大きなメリットといえるでしょう。

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取引入力も連携した銀行口座などから明細を取得して仕訳を登録できますので、入力の手間を大幅に削減できます。勘定科目はAIが自動で推測して設定するため、会計業務に慣れていない方でも仕訳を登録できます。 

仕訳を登録するたびにAIが学習するので、徐々に仕訳の精度が向上します。 

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交通系ICカードを活用した経費精算は申請や会計処理の効率化につながる

交通系ICカードを活用した経費精算は、申請や会計処理の効率化につながる便利な経費精算方法です。特に交通費の立替精算においては、利用履歴の活用や仕訳ルールの明確化により、経理担当者・申請者ともに負担を軽減する効果が期待できます。

その一方で、私的利用と業務利用の混在や履歴取得のタイミングなど、ICカードによる経費精算には運用上の注意点もあります。社内ルールを整備するとともに、システム連携による管理の簡素化を図ることが、ICカード活用のメリットを引き出す大切なポイントです。今回紹介した運用の流れや会計処理のポイント、注意点を参考に、交通系ICカードを活用した経費精算を取り入れてみてはいかがでしょうか。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)

東京都町田市にある東京税理士会法人登録NO.1
税理士法人フォース 代表社員

お客様にとって必要な税理士とはどのようなものか。私たちは、事業者様のちょっとした疑問点や困りごと、相談事などに真剣に耳を傾け、AIなどの機械化では生み出せない安心感と信頼感を生み出し、関与させていただく事業者様の事業発展の「ちから=フォース」になる。これが私たちの法人が追い求める姿です。

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