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ボーナス(賞与)の計算方法と決め方は?手取りや控除額の計算方法も解説

2024/03/18更新

この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

ボーナス(賞与)額の決め方には、いくつかのパターンがあります。ここでは、ボーナス額の決め方、差し引く所得税や社会保険料の計算方法、支給額・手取り額の違いなどについて詳しく解説します。

多くの企業では、ボーナスは年に2回の支給で、頻繁に生じる業務ではありません。ボーナス支給月になってから計算方法に迷うことがないように、基本を押さえておきましょう。

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ボーナスとは、定期的な給与とは別に支給される給与のこと

ボーナスは、月々の給与とは別に臨時的に支給される賃金で、「賞与」と呼ばれることもあります。支給回数は企業の規定によって変わりますが、一般的な民間企業は夏と冬の2回支給する場合が多いでしょう。

ただし、就業規則での定めや支給することが権利化されている場合を除き、ボーナスの支給は法的に義務づけられているものではありません。

ボーナスには通常賞与と決算賞与がある

夏と冬の通常賞与の他に、決算賞与と呼ばれる決算時のボーナスを出す企業もあります。一般的には、年に1回です。決算期によっては、夏(または冬)の賞与に上乗せする形で支給することもあります。

ボーナスからは社会保険料と所得税が控除される

ボーナスからは、社会保険料と所得税が控除されます。ボーナスから控除される社会保険の種類は、健康保険料、介護保険料(40歳以上の場合)、厚生年金保険料、雇用保険料です。住民税の控除はありません。

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ボーナスの支給額の決め方

ボーナスの支給額は、一般的に企業が定めた規定に基づいて算出します。個人の評価や業績などに応じて支給額が決定される場合が多いでしょう。ここからは、ボーナス支給額の決定方法の例を3つご紹介します。

基本給連動型賞与の場合

基本給連動型賞与は、「基本給の2か月分」など基本給をベースに賞与額を決める方法です。個人の業績評価に応じた掛け率を別途加算する場合もあります。例えば、基本給2か月分をベースとして、D~Sランクまでの評価に応じた、0.6~1.5の掛け率を乗じるといった決め方があります。

年俸制の場合

年俸制とは、あらかじめ年間の支給額を従業員と企業間で決定しておく給与形態です。年俸制の企業では、事前に取り決めた年俸を12等分して毎月支払う場合と、14等分や16等分して月々の給与分以外に賞与を支払う場合があります。

業績連動型賞与の場合

業績連動型賞与は、企業と個人の業績に応じて支給額が決まる成果型ボーナスです。公平性を担保するために、会社や部門ごとに業績を判断する指標や、個人の業績の評価方法を明確にしておく必要があります。

ボーナスの総支給額と手取り額の違い

毎月の給与と同じように、ボーナスの「総支給額」と「手取り額」は金額が違うことを理解しておきましょう。

総支給額

総支給額とは、企業が定めた規定などに基づいて計算したボーナス額のことです。所得税や社会保険料を差し引く前の支給額が該当します。

手取り額

手取り額とは、総支給額から所得税や社会保険料を差し引いた、実際に従業員へ支払われる金額を指します。手取り額の計算方法は下記になります。

ボーナスの手取り額の計算式

ボーナスの手取り額=総支給額-(社会保険料+所得税)

ボーナスから引かれる社会保険料の計算方法

ボーナスから控除される社会保険料は、「健康保険料」「介護保険料(40歳以上の従業員のみ)」「厚生年金保険料」「雇用保険料」の4種類です。ここからは、それぞれの社会保険の控除額の計算方法について解説します。

健康保険料の計算方法

健康保険料は、ボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、健康保険料率を掛けて算出します。

健康保険料率は、加入している健康保険組合ごとに決められています。協会けんぽでは、さらに事業所の所在地によっても料率が変わるため、自社の料率を確認しておきましょう。なお、料率は給与でも賞与でも同一で、従業員と企業が半額ずつ負担します。

ボーナスから控除する健康保険料の計算式

ボーナスから控除する健康保険料=標準賞与額×健康保険料率÷2

介護保険料の計算方法

40歳以上の従業員は、介護保険料を負担します。介護保険料は、ボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に介護保険料率を掛けて算出します。

介護保険料率は加入している健康保険組合によって異なりますが、協会けんぽ(東京支部)の場合1.60%です(2024年3月分から)。これを従業員と企業が半額ずつ負担します。

ボーナスから控除する介護保険料の計算式

ボーナスから控除する介護保険料=標準賞与額×介護保険料率÷2

厚生年金保険料の計算方法

ボーナスから差し引く厚生年金保険料は、ボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、厚生年金保険料率を掛けた金額です。

厚生保険料率は、18.3%です(2024年3月現在)。これを従業員と事業主が半額ずつ負担します。

ボーナスから控除する厚生年金保険料の計算式

ボーナスから控除する厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率(18.3%)÷2

雇用保険料の計算方法

ボーナスにかかる雇用保険料は、ボーナス支給額に従業員負担の雇用保険料率を掛けて算出します。

雇用保険料率は、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3区分でそれぞれ異なります。また、従業員と事業主の負担割合も折半ではありません。一般の事業の場合、2025年3月31日までの雇用保険料率は、従業員負担が0.6%、事業主負担が0.95%の合計1.55%です。

ボーナスから控除する雇用保険料の計算式

ボーナスから控除する雇用保険料=ボーナス総支給額×雇用保険料率(従業員負担分)

2024年度の雇用保険料率
事業の種類 雇用保険料率
雇用保険料率 労働者負担 事業主負担
一般の事業 1.55% 0.6% 0.95%
農林水産・清酒製造の事業 1.75% 0.7% 1.05%
建設の事業 1.85% 0.7% 1.15%

ボーナスにかかる社会保険料上限額

健康保険、介護保険、厚生年金では、ボーナスを計算する際の標準賞与額に上限が設けられています。具体的な金額は下記のとおりです。

健康保険と介護保険の標準賞与額の上限

ボーナスにかかる健康保険と介護保険の標準賞与額の上限は、4月から翌年3月までの累計で年間573万円です。

例えば、夏(6月)に250万円、冬(12月)250万円、決算賞与(3月)100万円が支給された従業員の場合、夏と冬の賞与では250万円を標準賞与額として健康保険料と介護保険料の計算をしますが、決算賞与時は「573万円-250万円-250万円=73万円」を標準賞与額として保険料の計算を行います。

厚生年金の標準賞与額の上限

厚生年金の標準賞与額の上限は、1か月当たり150万円です。1か月に複数回賞与が支給された場合は合算します。

例えば、夏(6月)に250万円、冬(12月)250万円、決算賞与(3月)100万円が支給された従業員の場合、夏と冬の標準賞与額は150万円、決算賞与時の標準賞与額は100万円として計算します。

ボーナスから引かれる所得税の計算方法

ボーナスから控除する所得税額は、総支給額から社会保険料を控除した後の金額を基に計算します。具体的な計算方法は下記の3ステップです。

1. 賞与支給月の前月の給与から所得税率(源泉徴収率)を求める

ボーナスの所得税率は、前月の給与から社会保険料を控除した金額と扶養親族の人数によって決まります。「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表新規タブで開く」を参照して、税率を確認しましょう。

例えば、前月の給与支給額が30万円、社会保険料が4万6,980円だった従業員の場合、社会保険料を控除した金額は25万3,020円です。この従業員には10歳の子供が1人いて、ひとり親控除の対象者です。

16歳未満の子供は控除対象扶養親族ではないため、表の「扶養親族の人数」には加算しません。しかし、ひとり親控除の対象者は扶養親族に1を加算するため、結果として扶養親族が1人いるものとして税率を求めます。

「扶養親族が1人」の欄の「243(千円)以上282(千円)未満」は、税率が4.084%です。これが、この従業員のボーナスにかかる所得税率です。

ただし、下記の場合には「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に基づかず、異なる計算式で算出します。

賞与の所得税率が異なる計算式になる場合

  • 前月の給与等の支払いがない場合
  • 賞与の金額(社会保険料等の控除後の金額)が、前月の給与等(社会保険料等の控除後の金額)の10倍に相当する金額を上回る場合

賞与の所得税の詳しい計算方法についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

2. ボーナス総支給額から社会保険料を差し引き、課税対象額を求める

次に、ボーナスの総支給額から健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の合計金額(社会保険料)を差し引いて課税対象額を求めます。

例えば、ボーナスの総支給額が50万円、社会保険料が7万8,300円の場合、計算式は「50万円-7万8,300円=42万1,700円」となり、課税対象額は42万1,700円です。

3. 課税対象額に所得税率を掛けて、ボーナスにかかる所得税の金額を算出する

最後に、課税対象額に所得税率を掛けて、ボーナスにかかる所得税額を算出します。

「1」「2」で求めた計算課税対象額が42万1,700円、所得税率4.084%の場合は、「42万1,700円×4.084%=1万7,222.228円」となりますが、源泉所得税計算では円未満の端数を切り捨てるため、この従業員の所得税額は1万7,222円です。

ボーナスの控除額を計算するときの注意点

続いては、ボーナスから控除される社会保険料や所得税額を計算する際に注意しておきたいポイントを紹介します。間違えやすいポイントを知っておきましょう。

雇用保険料の計算は標準賞与額がベースではない

ボーナスから差し引く社会保険料のうち、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は標準賞与額を基に計算しますが、雇用保険料は雇用保険の対象となる総支給額を基に計算します。混同してしまわないように注意しましょう。

税率や保険料率は変更されることがある

ボーナスからは、社会保険料と所得税を控除しますが、保険料率や税率は変更になることがあります。見直しのタイミングは一律ではないため、常に最新の保険料額表や所得税額表を基に計算を行うように心掛けてください。社会保険の税率は給与と同じため、変更を見落としてしまうと、過去の給与にさかのぼって修正を行わなければいけなくなる可能性もあります。

計算で端数が出たときの処理を確認する

ボーナスから差し引く社会保険料や所得税を計算する際に、端数が出ることがあります。社会保険料と所得税で処理方法が異なるため、注意してください。

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の場合
1円未満の端数が出た場合、50銭以下は切り捨て、50銭を超えた場合は切り上げます。なお、これはあくまでも従業員の賞与や給与から差し引く保険料の端数処理方法です。事業主が納付する金額を算出する際の端数は切り捨てで処理します。
所得税の場合
1円未満の端数が出た場合は、切り捨てます。

ボーナスの支給にまつわる注意点

ボーナスの支給時には、通常とは異なるさまざまな事務処理が必要になります。ボーナスの支給に関する実務をとり行う際は、下記のポイントに注意しましょう。

社会保険料と所得税は納付期日が違う

ボーナスから控除した社会保険料や所得税は、それぞれの納付期日までに納めなければなりません。期日が異なるため、遅れないように注意してください。

控除した社会保険料・所得税の納付期日

  • 健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料:賞与支払い月の翌月に郵送される納入告知書を基に、月末までに納付
  • 雇用保険料:給与から徴収した保険料と合わせて、4月1日から翌年3月31日までの1年分を7月10日までに納付
  • 所得税:ボーナス支給月の翌月10日までに、該当の月の給与から差し引いた源泉所得税分とまとめて所轄の税務署に納付

退職日によってはボーナスの保険料が一部控除対象外になる

厚生年金保険料と健康保険料の対象になるのは、資格喪失日(退職日の翌日)の前月までに支給されたボーナスのため、退職月に支給されたボーナスは月末退職の場合を除いて控除の対象になりません。ただし、雇用保険料と所得税は退職のタイミングにかかわらず徴収します。

ボーナス支給日から5日以内に賞与支払届を提出する

賞与支払届とは、賞与を支給した際に所轄の年金事務所または事務センターに提出しなければならない書類です。提出期日は、支給日から5日以内です。社会保険料の納付額は、賞与支払届を基に決定されるため、必ず提出してください。

また、賞与の支給予定月を年金事務所に登録している事業者は、賞与支給を行わなかった場合に「賞与不支給報告書」を提出しなければなりません。

年4回以上のボーナスは通常の給与として扱われる

規程等に定めており、ボーナスを年4回以上支払う場合は、臨時的な賃金ではなく通常の給与として扱われます。月々の給与から差し引く社会保険料を計算する際の基準になる「標準報酬月額」を求める際にも含める必要が出てくるため、標準報酬月額の算定が高額になる恐れがあります。ボーナスとして処理したいのであれば、年3回までに支給回数を抑える必要があります。

給与計算ソフトを利用してボーナス計算を効率化しよう

ボーナスから徴収する社会保険料や所得税を手計算するのは手間がかかり、間違いのもとにもなります。効率化のために、自動計算ができる給与計算ソフトの導入を検討しましょう。

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この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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